家事事件手続法 第166条(特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分)
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- 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。
- 2.前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。
- 3.家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。
- 4.家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
- 5.前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。
この条文の基本情報
特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分とは何ですか?
定義特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分とは、家事事件手続法第166条に定められた規定で、「家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 家事事件手続法第166条(特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分)は、日本の家事事件手続法に含まれる条文です。
- 家事事件手続法第166条の条文原文は「家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。」で始まります。
- 家事事件手続法第166条は第七款に置かれています。
- 家事事件手続法の公布日は平成23年5月25日です。
- 家事事件手続法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 家事事件手続法第166条の前の条は家事事件手続法第165条です。
- 家事事件手続法第166条の次の条は家事事件手続法第167条です。
- 家事事件手続法第166条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第166条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000052 - 本サイト収録
家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第166条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/423AC0000000052/166
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点家事事件手続法166条は、特別養子縁組の申立人が審判の効力発生まで、自らを監護者に選任させ、実親の親権の職務執行停止と職務代行者選任を求められる保全処分を定める。
Q · 特別養子縁組の審判を待っている間に実親が「子を返して」と言ってきたら、どうすればいい?
審判確定まで監護者選任や実親の親権停止を申し立てられる
家事事件手続法166条により、特別養子縁組の成立を申し立てた者は、審判が効力を生ずるまでの間、自分を子の監護者に選任するよう家庭裁判所に求めることができます。必要があれば、実親(親権者)や未成年後見人の職務執行停止と職務代行者の選任も求められます。ただし、子の利益のため必要であることを具体的な事実で疎明する必要があり(同法106条2項)、「念のため」という理由では認められません。
解説
特別養子縁組の審判が確定するまでの数か月間、子の法律上の親はまだ実親のままである。民法817条の8は、養親となる者に原則として6か月以上の試験養育を求めている。毎日ミルクを作り、保育園の送り迎えをしていても、その期間中の養親は法的には親権のない「同居人」にすぎない。この隙間に実親が現れて「子を返せ」と言ってきたら、どうするか。家事事件手続法166条は、この空白を埋めるための緊急装置である。縁組を申し立てた者は、家庭裁判所に自分を監護者(子を日々世話して守る法的な立場)に選任するよう求めることができる。さらに、実親の親権の職務執行停止と、職務代行者(停止中に親権を代わりに行う人)の選任も求められる。つまり、本案(縁組そのものの審判)の結論を待たずに、子の生活と法的な立場を固めておける。ただし、この申立てができるのは縁組を申し立てた本人だけである。また「子の利益のため必要」であることを疎明(裁判官に一応確からしいと思わせる程度の証明、106条2項)しなければならない。
法的な位置づけ
家事事件手続法166条は、特別養子縁組の成立の審判事件を本案とする審判前の保全処分を定める規定である。養子となるべき者の利益のため必要があるとき、縁組の申立人の申立てにより、申立人の監護者選任、親権者又は未成年後見人の職務執行停止及び職務代行者選任を命じることができ、監護者選任を除いて離縁の審判事件にも準用される。
手順・フロー
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手順
- 1.実親側の言動を日時付きで記録する 実親からのLINE・電話・訪問などの内容を日時・手段とともに記録し、スクリーンショットや録音を保存する。これが「子の利益のため必要」であることを示す疎明資料の核になる
- 2.児童相談所・あっせん機関に経緯を報告する 委託元の児童相談所や養子縁組あっせん機関に経緯を伝え、子の養育状況や実親の言動に関する意見書・陳述書を依頼できるか確認する
- 3.弁護士と申し立てる保全処分の種類を決める 監護者選任だけで足りるか、親権者の職務執行停止と職務代行者選任まで必要かを、実親の同意がどの手続でなされたか(164条の2の確認手続か否か)を踏まえて弁護士と検討する
- 4.家庭裁判所に保全処分を申し立てる 縁組の申立てをした家庭裁判所に、求める保全処分と申立ての理由を明らかにして申し立て、子の利益のため必要である事情を疎明する(106条1項・2項)。本案と同日の申立ても可能
- 5.審判後、関係先に審判書を示す 審判の告知後、保育園・学校・病院などに審判書の写しを示し、実親への引渡しや手続の代行に応じないよう伝えておく
よくある質問 AI による整理
Q1特別養子縁組の保全処分とは?
特別養子縁組の審判が効力を生ずるまでの間、子の生活を守るため家庭裁判所が命じる暫定的な措置です。監護者選任、親権の職務執行停止、職務代行者選任の3種類があります(家事事件手続法166条)。
Q2特別養子縁組の保全処分は誰が申し立てできる?
特別養子縁組の成立を申し立てた本人だけです。児童相談所や親族など、縁組を申し立てていない者は、本条の保全処分を申し立てることはできません。
Q3保全処分の申立てはどこの裁判所にする?
原則として、縁組の申立てを受けた家庭裁判所です。本案の審判に対して即時抗告がされ、事件が高等裁判所に係属している場合は高等裁判所になります(家事事件手続法105条2項)。
Q4職務執行停止の効力はいつから?
停止される親権者や未成年後見人、他の親権者、または選任された職務代行者に審判が告知された時点で効力が生じます(166条2項)。確定を待つ必要はありません。
Q5職務代行者の報酬は誰が払う?
家庭裁判所は、職務代行者に対し、養子となるべき子の財産の中から相当な報酬を与えることができます(166条4項)。申立人が当然に負担するわけではありません。
Q6保全処分はいつまで続く?
特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでです。縁組が成立すれば実方との親族関係は終了し(民法817条の9)、保全の役目も終わります。
Q7保全処分に不服があるときは?
告知を受けた日から2週間以内に即時抗告ができます(家事事件手続法86条、110条)。ただし即時抗告だけでは執行は止まらないため、別途執行停止の申立てを検討します。
Q8特別養子の離縁でも保全処分は使える?
使えます。166条5項により離縁の審判事件を本案とする保全処分にも準用されます。ただし監護者を選任する保全処分の部分は準用から除かれています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1里親として育てている子を特別養子にしたいんですが、保全処分って必ず出さないといけないんですか?
必須ではありません。166条の保全処分は「養子となるべき者の利益のため必要があるとき」に限って認められます。実親が同意して協力的で、干渉の兆候がなければ、申し立てても必要性が認められないこともあります。実務のポイント:保全処分が必要かどうかは、実親の同意がどの手続で得られたかでほぼ決まります。家庭裁判所の特別養子適格の確認手続で同意し、2週間が経過していれば撤回できません(164条の2第5項)。それ以外の同意しかないなら、早めに保全の準備を相談する価値があります
Q2親権が停止されたら、実の親はもう子どもに会えないんですか?
職務執行停止は、親権者として法的な決定をする権限を一時的に止めるもので、面会を直接禁じる命令ではありません。ただし監護者が選任されれば、子の日常の監護は監護者が担います。面会の可否や方法は、実務上は子の利益の観点から調整されます。実務のポイント:縁組の審判が確定すると、実親との法的な親族関係自体が終了します(民法817条の9)。保全段階の問題は本案の前哨戦です。実親側が本当に争うべきなのは、同意の有無と817条の6ただし書の要件のほうです
間違えやすい点 AI による整理
- 「試験養育中なら、もう実質的に親だから大丈夫」と思われがちだが、法的には違う。縁組の審判が確定するまで親権者は実親のままであり、実親が子の引渡しを求めることを止める根拠は、保全処分がなければ非常に弱い。実際に一緒に暮らしているという事実と、法律上の地位のずれが最大の弱点になる
- 「実親が縁組に同意したのだから、邪魔が入るはずがない」という前提がそもそも危うい。2019年改正後は、特別養子適格の確認の手続で家庭裁判所に対してした同意は、2週間を経過すると撤回できなくなった(164条の2第5項)。逆に言えば、それ以外の場面での同意や、2週間が経過する前の同意は覆される余地がある。同意が「どこで、いつ」なされたかで、保全処分の必要性はまったく変わる
- 養親側からは「子を守るための正当な手続」に見えても、法律から見れば親権の一時停止は、憲法レベルで重く扱われる親子関係への強い介入である。そのため、裁判所は「子の利益のため必要」かどうかを具体的な事実で判断する。「念のため」「不安だから」という理由では認められない。実親の具体的な言動の記録がないと、申立ては空振りに終わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 本案となる事件 | 166条:特別養子縁組の成立(5項で離縁にも準用) | 174条:親権喪失・親権停止・管理権喪失の審判事件 105条・106条:審判前の保全処分の一般規定 |
| 申立権者 | 特別養子縁組の成立を申し立てた者のみ | 親権喪失等の審判を申し立てた者 各本案規定が定める者 |
| 命じられる処分 | 申立人の監護者選任、職務執行停止、職務代行者選任 | 親権者の職務執行停止、職務代行者選任 個別規定が定める処分(仮差押え・仮処分等) |
| 要件 | 養子となるべき者の利益のため必要があること | 子の利益のため必要があること 申立ての趣旨と保全処分を求める事由の疎明(106条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では家事非訟事件の本案裁定前に、法院が申立て又は職権で暫時処分を命じられる一般規定が置かれ、収養認可事件にも用いられうる。
韓国の親養子(完全養子)も家庭法院の審判で成立し、家事事件では審判前の사전처분による暫定措置が一般的に用意されている。
ドイツでは縁組前に相当期間の試験養育(Adoptionspflege)を置くのが原則で、家事手続法上の仮命令が暫定措置の受け皿となる。
フランスでは縁組を目的とする委託(placement)がされると、実方家族への子の返還が阻止される構造になっており、実体法側で空白期間を塞いでいる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 試験養育が始まって4か月目、児童相談所経由で託された1歳の子の実母から、突然「やっぱり引き取る」とLINEが届いた。実母はまだ親権者であり、保育園に迎えに行くと言っている。本案の審判を待っていては間に合わない。今週中に保全処分を申し立て、監護者選任と職務執行停止を求めることになる
- もし実親が、子の名義の預金や保険金を自分のために動かし始めたら、どうなる? 親権者は子の財産管理権を持つため、放っておけば引き出される。職務執行停止と職務代行者選任の申立てで管理権を止め、第三者の職務代行者に財産を守らせる道がある。代行者の報酬は子の財産から支払われる(4項)ので、その点も踏まえて判断することになる
- あなたは実父の側である。ある日、家庭裁判所から「親権者の職務の執行を停止する」旨の審判書が届いた。効力はその告知を受けた時点ですでに生じている(2項)。残された手段は、告知から2週間以内の即時抗告である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 実親からの連絡、訪問、脅しの内容を日時付きで記録し、スクショと録音を保存する2. 児童相談所またはあっせん機関の担当者に経緯を報告し、意見書や陳述を頼めるか確認する3. 縁組成立の申立てをした家庭裁判所に、監護者選任と、必要に応じて親権者の職務執行停止・職務代行者選任を申し立てる。その際、子の利益のため必要である事情を疎明する(106条2項) 4. 審判の告知後も、保育園・学校・病院に審判書の写しを示して、引渡しに応じないよう伝えておく
訴えられた側:1. 職務執行停止の審判は、告知された時点で効力が生じている(2項)。まず審判書の理由を精読する2. 事実誤認があるなら、告知から2週間以内に即時抗告を検討する(110条、86条) 3. 即時抗告には保全処分の執行を止める効力がないため、執行停止の申立ても併せて検討する4. 縁組そのものに異議がある場合、争いの主戦場は本案手続である。同意の有無や民法817条の6ただし書の該当性を、本案で弁護士と組み立てる
時効(請求できる期限):保全処分の効力は、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまで続く。保全処分の審判に対する即時抗告は告知を受けた日から2週間以内(家事事件手続法86条)。試験養育は原則6か月以上(民法817条の8)で、その期間全体が保全を要する空白期間になりうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の保全処分は、試験養育期間中に生じる事実上の養育と法律上の親権とのずれを埋める暫定措置であり、親権への介入である以上、必要性は具体的事実に基づいて判断され、期間も本案審判の効力発生までに限定されると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 新設:家事審判法に代わる家事事件手続法(平成23年法律第52号)の制定により、特別養子縁組の成立の審判事件を本案とする保全処分の規定として設けられた(2013年1月1日施行)。
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