民法 第985条(遺言の効力の発生時期)
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- 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
- 2.遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
この条文の基本情報
遺言の効力の発生時期とは何ですか?
定義遺言の効力の発生時期とは、民法第985条に定められた規定で、「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第985条(遺言の効力の発生時期)は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第985条の条文原文は「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。」で始まります。
- 民法第985条は第三節に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民法第985条の前の条は民法第984条です。
- 民法第985条の次の条は民法第986条です。
- 民法第985条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第985条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第985条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/985
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法985条は、遺言の効力が遺言者の死亡の時から生じると定める。生存中は何度でも撤回・書き換えができ、停止条件付きなら条件成就の時から効力を生ずる。
Q · 遺言って、書いた日から効力があるの?それとも死んだあと?
効力が生じるのは遺言者が死亡した時です(民法985条)。
民法985条により、遺言の効力は遺言者の死亡の時から生じます。書いた日ではありません。だからこそ遺言者は生きている間いつでも遺言を撤回・書き換えでき、矛盾する新しい遺言を書けば古い遺言は撤回されたとみなされます(1023条)。逆に効力発生が死亡時であるため、財産を渡す受遺者は遺言者の死亡時に生存していなければならず、先に死亡すれば遺贈は失効し財産は法定相続人へ戻ります(994条)。停止条件を付した場合は条件成就の時まで効力が宙づりになります(985条2項)。
解説
遺言書を書き上げた瞬間、多くの人は「これで自分の意思は固まった」と安心する。だが法律はそう動かない。民法985条は、遺言の効力が生じるのは遺言者が死亡した瞬間だと定める。書いた日ではない。この一点があなたに二つの力を与える。第一に、生きている限り遺言は何度でも書き換えられ、前の遺言と矛盾する新しい遺言を書けば古い方は撤回されたとみなされる(1022条、1023条)。あなたの気が変わるたびに、財産の行き先を上書きできる。第二に、効力発生が死亡時だからこそ、財産を渡す相手(受遺者)はあなたの死亡時に生きていなければならない。相手が先に死ねば、その遺贈は無効になり、財産は相続人に戻る(994条)。さらに「孫が成人したら」のような停止条件を付ければ、効力は条件成就の時まで宙づりになる(2項)。遺言とは、書いた瞬間の宣言ではなく、死の瞬間に初めて起動する装置だ。
法的な位置づけ
民法985条は遺言の効力発生時期を定める規定であり、遺言は遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、条件が成就した時から効力を生ずる。作成時ではなく死亡時を効力発生の基準点とする点に、本条の本質がある。
手順
- 1.効力発生は死亡時だと理解して書き換えの自由を確保 民法985条で効力発生は死亡時。生きている間の遺言は確定していないと理解し、家族関係や財産状況の変化に応じて遠慮なく見直す前提を持つ
- 2.書き換えは全文を新しい日付で作り直す 古い遺言を破棄するより、新しい日付で全文を書き直すのが確実。日付が後の遺言が優先され(1023条)、矛盾する条項は自動的に上書きされる。古い遺言も意思の変遷の証拠として残してよい
- 3.受遺者が先に死ぬ事態に備え予備的受遺者を指定 効力発生が死亡時であるため、受遺者が遺言者より先に死亡すると遺贈は失効する(994条)。「もし○○が先に死亡したらその子に」という予備的遺贈を書いておき、空振りを防ぐ
- 4.見つけた遺言は開封せず検認・法務局保管制度を確認 封のある自筆証書遺言を勝手に開けると過料の対象(1004条)。家庭裁判所の検認を受ける。自筆証書遺言書保管制度(2020年開始)を使えば検認不要で紛失・改ざんのリスクも減る
よくある質問 AI による整理
Q1遺言はいつから効力が生じますか?
遺言者が死亡した時から生じます(民法985条)。書いた日ではなく、亡くなった瞬間が起点です。停止条件を付した場合は条件成就の時からとなります。
Q2停止条件付き遺言とは何ですか?
「孫が成人したら」のように一定の条件成就を効力発生の要件とする遺言です。条件が死亡後に成就したときは、その成就した時から効力が生じます(985条2項、127条)。
Q3遺言を撤回するにはどうすればいいですか?
新しい日付で遺言を書き直せば、矛盾する範囲で古い遺言は撤回されたとみなされます(1023条)。生存中の撤回は自由で、回数に制限はありません(1022条)。
Q4遺言能力は何歳から認められますか?
満15歳以上で意思能力があれば遺言ができます(961条)。能力の有無は作成時を基準に判断され、その後認知症が進んでも作成済みの遺言の効力は覆りません。
Q5遺言書の検認とは何ですか?
自筆証書遺言などの存在と内容を家庭裁判所が確認する手続です(1004条)。封のある遺言を勝手に開封すると過料の対象になります。公正証書遺言は検認不要です。
Q6遺贈と相続の違いは何ですか?
相続は法律の定めにより相続人へ財産が承継されること、遺贈は遺言によって特定の人へ財産を与えることです。遺贈は受遺者が死亡時に生存していることが要件です。
Q7遺言執行者は必要ですか?
必須ではありませんが、停止条件付き遺贈や不動産の名義変更がある場合は指定しておくと手続が円滑です。指定がないと相続人間で管理や履行をめぐり揉めやすくなります。
Q8遺言が複数見つかったらどれが優先しますか?
内容が抵触する部分については、日付の新しい遺言が優先し、古い遺言はその範囲で撤回されたとみなされます(1023条)。日付のない自筆証書遺言は無効になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1遺言書って、書いたあとに気が変わったら書き直せるんですか?
何度でも書き直せます。民法985条で効力が生じるのは死亡時なので、生きている間の遺言はいわば下書き状態。新しい遺言を書けば、内容が矛盾する部分は古い遺言が撤回されたとみなされます(1023条)。実務のポイント:書き直すとき古い遺言を破り捨てる人がいますが、これは不要。日付の新しい遺言が自動的に優先されるので、むしろ古い遺言も残しておくと意思の変遷が証拠になります
Q2親が「お前に家をやる」と遺言に書いてくれたのに、親より先に私が死んだらどうなりますか?
その遺贈は無効になります(994条)。遺言の効力が生じる遺言者の死亡時に、受け取る側が生きていることが大前提だからです。あなたの相続人が代わりに受け取れるわけではなく、原則として家は法定相続人へ戻ります。実務のポイント:これを防ぐには遺言者側が『もし○○が先に死んだらその子に』という予備的遺贈を書いておく必要がある。受遺者側からは何もできないので、元気なうちに遺言者に頼んでおくのが唯一の手です
Q3「結婚したら家を譲る」みたいな条件付きの遺言って有効なんですか?
有効です。これを停止条件付き遺言といい、985条2項で、条件が遺言者の死亡後に成就したときは、その成就した時から効力が生じます。結婚するまでは家の所有権はまだ移りません。実務のポイント:条件成就まで財産が宙づりになるため、その間の管理を誰がするか(遺言執行者の指定)を併せて書かないと、家が放置されて荒れるトラブルが起きます。条件付き遺言には執行者指定がセットです
Q4公正証書遺言と自分で書いた遺言、効力が生じるタイミングは違うんですか?
タイミングは同じで、どちらも遺言者の死亡時に効力が生じます(985条)。違うのは安全性と手続。自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要ですが、公正証書遺言は検認不要ですぐ手続に入れます。実務のポイント:自筆証書遺言を法務局で保管する制度(2020年開始)を使えば検認が不要になり、紛失や改ざんのリスクも消える。費用も数千円と安く、公正証書より手軽な中間策です
間違えやすい点 AI による整理
- 遺言書を書いたら、もう変更できないと思い込んでいる人が多い。実際は逆で、効力が生じるのは死亡時だから、生きている間は何度でも書き直せる。最新の日付の遺言が古いものを覆す(1023条)。一度書いたから縛られるのではなく、最後に書いたものが勝つ
- 遺言が死亡時に効くことは知っていても、その帰結の深刻さまで考えている人は少ない。財産を譲ると指定した相手があなたより一日でも先に死ねば、その遺贈は丸ごと無効になり(994条)、あなたの意思に反して法定相続人へ渡る。予備の受遺者を指定しておかないと、せっかくの遺言が空振りする
- 「遺言はいつ有効になるのか」と問う人は、暗黙に遺言を一個の固定物として捉えている。だが停止条件を付ければ、効力発生は死亡時ですらなく、条件が成就した未来の一点までずれる(985条2項、127条)。問うべきは『いつ』ではなく『何が起きたら』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 民法985条:遺言の効力発生時期(死亡時/条件成就時) | 民法994条:受遺者の死亡による遺贈の失効 民法1023条:前後の遺言の抵触による撤回擬制 |
| 焦点 | いつ効力が生じるか(時点) | 誰が受け取れるか(受遺者の生存要件) どの遺言が生き残るか(撤回の優先順位) |
| 前提条件 | 遺言者の死亡(停止条件付きは条件成就) | 受遺者が遺言者より先に死亡したこと 内容の抵触する複数の遺言が存在すること |
| 効果 | 死亡時または条件成就時から効力発生 | 当該遺贈は失効し財産は相続人へ戻る 日付の新しい遺言が優先、古い遺言は失効 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も「遺嘱は遺言者の死亡時から効力を生ずる」と明定し、日本985条1項とほぼ同一の構造。停止条件付き遺贈の扱いも類似する
韓国も遺言は遺言者の死亡時から効力が生じると定める。停止条件付き遺言の効力発生時期も日本と同様の規律
ドイツは相続(Erbfall)が被相続人の死亡時に開始する原則を起点とし、遺言(Testament)の効力も死亡時に生ずる。遺言能力は作成時基準とする点も共通
米国コモンローでは遺言は ambulatory(流動的)で、遺言者の死亡時に初めて効力が生じ、それまで自由に撤回・変更できるとされる。日本985条と発想が一致する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 長男に家を遺すと書いた数年後、その長男が介護を放り出して音信不通になった。書き直せるのか、と不安になるが心配ない。効力発生は死亡時だから、あなたは今すぐ新しい遺言で次男へ書き換えられる。古い遺言は矛盾する範囲で撤回されたとみなされる(1023条)。最後に書いた意思だけが生き残る
- あなたが「弟に預金を遺す」と遺言に書いた。その弟があなたより先に亡くなったらどうなるか。その遺贈部分は丸ごと無効になり(994条)、預金は弟の子ではなくあなたの法定相続人へ戻る。受遺者が死亡時に生存していることが効力発生の絶対条件だからだ
- 「孫が大学に合格したら学費分を渡す」という停止条件付きの遺言を残して祖父が死亡した。孫が合格するまで、その財産は宙づり状態。合格した瞬間に初めて効力が生じる(985条2項、127条)。それまで誰がその財産を管理するのか、遺言執行者の指定がなければ揉める
- もし遺言を書いた後に認知症が進んだら、その遺言は無効になるのか。ならない。遺言能力は作成時に備わっていれば足り、効力発生は死亡時。書いた瞬間に意思能力があったかが争点で、その後の状態は遺言の有効性を覆さない
- あと四十九日で遺産分割の話し合いが始まる。あなたは仏壇から見つけた自筆の遺言書を、検認も受けずに開けてしまった。効力発生のタイミングを確認する前に、開封という手続違反で過料の対象になりかねない(1004条)。封がされた遺言は家庭裁判所へ持ち込むのが先だ
- 親友が「親の遺言があるんだけど、これっていつから効くの」と相談してきた。あなたは答えられる。効力が生じるのは親が亡くなった時、それまでは何度でも書き換え可能で、もらう側がもし先に死んでいたらその部分は無効になる、と
取るべき行動
被害を受けた側:1. 遺言書を見つけたら勝手に開封せず、自筆証書遺言なら家庭裁判所の検認(1004条)を受ける、開封すると過料の対象2. 遺言者の死亡日と作成日を確認、効力は死亡時に発生する3. 自分が受遺者なら遺言者の死亡時に自分が生存していたかが要件、停止条件付きなら条件成就を確認4. 他の相続人と取り分で揉めそうなら遺留分(1042条)の侵害がないか計算、侵害額請求には期限がある(最新の改正状況をご確認ください)
訴えられた側:1. 遺言を作るなら、効力発生が死亡時である以上、受遺者が先に死ぬ事態に備え予備的受遺者を指定する2. 気が変わったら古い遺言に縛られず、新しい日付で全文を書き直せば前の遺言は撤回擬制される(1023条) 3. 公正証書遺言にすれば検認不要かつ無効を争われにくい4. 遺言能力(15歳以上、意思能力)は作成時に備えておく、認知症が進む前に整える
時効(請求できる期限):遺言自体の効力発生時期に特定の時効はない。効力は遺言者の死亡時(停止条件付きは条件成就時)に当然に生ずる。ただし関連する権利には期限があり、遺留分侵害額請求は相続開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で消滅する(民法1048条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:985条は遺言の効力発生時期を遺言者の死亡時に確定する規定であり、遺言能力や方式の具備は作成時を基準とし、効力発生は死亡時を基準とする二段階の時点構造をとると解される。停止条件付き遺言については127条の一般原則が適用され、条件成就まで効力は不確定状態となる。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 民法現代語化に伴う改正。カタカナ文語体の条文をひらがな口語体に改めた。遺言の効力発生時期(死亡時、停止条件成就時)という実質的内容は明治以来維持されている
改正の年表
- 1.明治31年(1898年) 新設:民法相続編の制定に伴い、遺言の効力発生時期を遺言者の死亡時とする規定が置かれた。死亡時を起点とする構造は明治以来一貫している
- 2.平成16年(2004年) 改正:民法現代語化に伴う改正。カタカナ文語体の条文をひらがな口語体に改めた。死亡時・条件成就時に効力を生ずるという実質的内容は維持されている
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