自動車損害賠償保障法 第4条(民法の適用)
クイックジャンプ
自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による。
この条文の基本情報
民法の適用とは何ですか?
定義民法の適用とは、自動車損害賠償保障法第4条に定められた規定で、「自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 自動車損害賠償保障法第4条(民法の適用)は、日本の自動車損害賠償保障法に含まれる条文です。
- 自動車損害賠償保障法第4条の条文原文は「自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による。」で始まります。
- 自動車損害賠償保障法第4条は第二章 自動車損害賠償責任に置かれています。
- 自動車損害賠償保障法の公布日は昭和30年7月29日です。
- 自動車損害賠償保障法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 自動車損害賠償保障法第4条の前の条は自動車損害賠償保障法第3条です。
- 自動車損害賠償保障法第4条の次の条は自動車損害賠償保障法第5条です。
- 自動車損害賠償保障法第4条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第4条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/330AC0000000097 - 本サイト収録
自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第4条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/330AC0000000097/4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点自動車損害賠償保障法4条は、運行供用者の損害賠償責任に3条のほか民法を適用すると定める。過失相殺や時効、慰謝料の扱いは民法の規定で決まる。
Q · 自賠法の人身事故なのに、なぜ過失割合や時効は民法で決まるの?
自賠法4条が、責任の中身と期限を民法に任せているから
自動車損害賠償保障法4条は、運行供用者の損害賠償責任について「前条の規定によるほか、民法の規定による」と定めています。責任を負う者と免責の要件は3条が決め、賠償額の減額(過失相殺・民法722条2項)、請求期限(民法724条・724条の2)、遺族の慰謝料(民法711条)、請求権の相続などは民法が決めます。人身事故の請求額を左右する論点の多くは、4条を通じて民法側で判断されます。
解説
自賠法3条は、人身事故の加害者側(運行供用者、つまり自分のために車を走らせて利益や支配を得ている者)に、ほぼ無過失に近い重い責任を負わせる。責任を免れるには、自分と運転者に不注意がなかったこと、被害者か第三者に故意・過失があったこと、車に欠陥がなかったことの三つをすべて証明しなければならない。ただし3条が決めているのは「誰が責任を負うか」までである。いくら払うか、被害者にも落ち度があった場合にどれだけ差し引くか、請求期限はいつまでか、遺族の慰謝料はどうなるか。こうした点について自賠法はほとんど何も書いておらず、4条が一言で民法へ回している。だから人身事故の請求額を大きく左右する過失割合は民法722条2項で決まり、請求期限は民法724条・724条の2で決まる。さらに3条は生命・身体の被害にしか使えないため、壊れた車の修理代は民法709条に戻り、被害者が相手の過失を証明しなければならない。人身は3条、物損は709条、減額と時効は民法。この分かれ目を知らない被害者は、「相手の責任は当然」と思い込んで、提示された過失割合をそのまま受け入れてしまう。
法的な位置づけ
自動車損害賠償保障法第4条は、運行供用者の損害賠償責任について、同法3条が定める責任の成立要件以外の事項を民法の規定に委ねる補充規定である。賠償の範囲、過失相殺、消滅時効、損害賠償請求権の相続、共同不法行為などは民法の一般原則に従って処理される。
手順
- 1.損害を人身と物損に仕分ける 治療費・休業損害・慰謝料などの人身損害(自賠法3条)と、車の修理代・積荷などの物損(民法709条)を別の表に分ける。物損は相手の過失を自分で証明する必要があるため、証拠の要否が変わる
- 2.物損の過失立証の証拠を確保する ドライブレコーダー映像、現場写真、目撃者の連絡先を保全する。人身事故として警察に届け出れば実況見分調書が作成され、後の過失割合の争いで使える
- 3.自賠責への被害者請求を検討する 過失割合で揉めている場合ほど、自賠責保険会社への被害者請求(自賠法16条)を先に行う。被害者の過失が7割未満なら自賠責からの支払いは減額されない
- 4.上限超過分の請求で過失割合の根拠を求める 自賠責の上限を超える部分を任意保険・加害者に請求する段階では、民法722条2項の過失相殺が全面的に適用される。提示された過失割合の基準と修正要素を書面で求め、一つずつ反論する
- 5.二本の時効を別々に管理する 自賠責への請求(3年・自賠法19条)と加害者本人への人身請求(5年・民法724条の2)、物損請求(3年・民法724条)の期限をそれぞれカレンダーに登録し、期限前に請求や協議の合意で時効の完成を猶予させる
よくある質問 AI による整理
Q1自賠法4条とは何を定めた条文ですか?
運行供用者の賠償責任について、3条で定めていない事項(減額・時効・相続など)に民法を適用すると定めた補充規定です。
Q2交通事故の人身損害の請求はいつまで?
加害者本人への請求は、損害と加害者を知った時から5年、事故から20年です(4条経由で民法724条の2・724条を適用)。
Q3交通事故で亡くなった家族の慰謝料は遺族が請求できる?
できます。4条を通じて民法711条が適用され、父母・配偶者・子は固有の慰謝料を請求できます。本人の請求権の相続も可能です。
Q4交通事故の賠償請求権は相続できる?
できます。亡くなった被害者本人の損害賠償請求権は、4条を通じて民法の相続規定(896条)により相続人に承継されます。
Q5交通事故の賠償金に遅延損害金はつく?
つきます。不法行為による賠償債務は事故日から遅滞に陥るとされ、2020年4月以降の事故は法定利率年3%(民法404条)が基準です。
Q6中間利息控除とは何ですか?
将来の逸失利益を一括で受け取る際、運用益相当分を差し引く計算です。民法722条1項が417条の2を準用し、4条経由で自賠法の請求にも適用されます。
Q7加害者が複数いる交通事故は誰に請求できる?
4条を通じて民法719条の共同不法行為が適用され、被害者は各加害者に損害全額を請求できます。内部の負担割合は加害者同士で精算します。
Q8自賠法3条と民法はどちらが優先?
責任の成立は特別法である自賠法3条が優先し、3条が定めない事項だけを民法が補います。4条はその優先関係を明文化しています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が100%悪い事故なのに、どうして私の過失割合が1割とかつけられるんですか?
運行供用者の責任(自賠法3条)が成立しても、賠償額の計算には4条を通じて民法722条2項の過失相殺が適用されるためである。避けられたかもしれない事情が被害者側に少しでもあれば、保険会社は減額を主張してくる。実務のポイント:保険会社は判例タイムズの過失割合基準を使っているが、修正要素(夜間、幹線道路、著しい過失など)のあてはめには交渉の余地が大きい。事故態様の図面を自分で描いて、修正要素を一つずつ反論すると数字が動くことは多い
Q2車の修理代も自賠責保険で出してもらえますか?
出ない。自賠法3条と自賠責保険は、他人の生命・身体の被害に限られる。物損は4条のとおり民法709条の問題になり、相手の故意・過失をあなたが証明しなければならない。実務のポイント:人身事故として届け出ないと、実況見分調書が作成されず物損事故の簡易な記録しか残らない。後で過失を争うとき、この差が証拠の量に直結する。軽いけがでも診断書を警察に出すかどうかは、物損の請求にまで影響する
Q3自賠責に請求するのと、相手の任意保険に請求するのと、何が違うんですか?
自賠責は国の支払基準(告示)で計算され、傷害は120万円まで、過失相殺は被害者の過失が7割以上の場合だけに限られる。任意保険や加害者への請求は3条と民法で計算され、上限はないが過失相殺が全面的に適用される。実務のポイント:被害者の過失が大きい事故では、自賠責の支払額の方が任意保険の提示額より高くなる逆転現象が起こる。任意保険の一括対応に任せきりにせず、自賠責への被害者請求(16条)を先に使うという選択肢を知っておく
間違えやすい点 AI による整理
- 「自賠法の人身事故は加害者がほぼ全責任を負うのだから、自分の過失は関係ない」と思われがちである。実際には、4条を通じて民法722条2項が適用され、裁判や任意保険との示談では被害者の過失割合がそのまま差し引かれる。自賠責保険の支払いだけは例外で、被害者の過失が7割未満なら減額されない(重過失減額)。この二つの計算ルールを混同すると、どちらの窓口で請求すべきかの判断を誤る
- 無過失に近い責任という評判は知っていても、それが及ぶ範囲の狭さを知らない人が多い。3条の対象は他人の生命・身体の被害に限られる。車の修理代、積んでいた荷物、壊れた店舗のガラスは対象外で、民法709条に戻るため、相手の過失を被害者が証明しなければならない。物損の示談が人身より難航しやすいのはこのためである
- 「自賠法と民法のどちらで請求するか」を選ぶという発想自体がずれている。4条は選択を求めているのではなく、二つを重ねて適用するよう定めている。責任を負う者の範囲と免責の難しさは3条、賠償の中身と期限は民法。一つの請求の中に二つの法律が同時に働いている
- 被害者から見れば「相手の保険が払ってくれる」一本の手続に見える。しかし法律上は、加害者本人への損害賠償請求権(3条+民法、時効5年)と、自賠責保険会社への直接請求権(16条、時効3年)という二本の別々の権利がある。後者の期限だけ過ぎてしまい、残った前者を回収しようとしたら相手に資力がなかった、という事態が起こりうる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 自賠法4条:3条にない事項を民法に委ねる補充規定 | 自賠法3条:運行供用者の責任と免責3要件 自賠法16条:被害者の自賠責保険会社への直接請求権 |
| 減額(過失相殺) | 民法722条2項により被害者の過失割合をそのまま減額 | 3条自体は減額方法を定めない(4条経由で民法) 国の支払基準により、被害者過失7割未満は減額なし |
| 請求期限 | 民法724条・724条の2(人身は知った時から5年) | 3条自体は期限を定めない 自賠法19条により3年 |
| 請求の相手 | 運行供用者(加害者本人・会社など) | 運行供用者 自賠責保険会社 |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾には運行供用者責任に相当する特別法がなく、民法191条の2が運転者の過失を推定する形で責任を強化している。強制保険は強制汽車責任保険法が別に定める。
韓国の自賠法4条は日本の4条とほぼ同じ文言で、3条以外の事項に民法を適用すると定めている。
中国も自動車事故の責任を道路交通安全法と民法典の二層で規律し、民法典1208条がその接続規定となっている。
ドイツは保有者責任を道路交通法(StVG)7条で定め、被害者の共同過失は9条を通じてBGB254条を適用する。16条はBGBなど他の法律による責任を留保している。
フランスは特別法で被害者保護を強め、運転者以外の被害者については、許されない過失がない限り自身の過失で減額されない仕組みをとる。
米国では州ごとに扱いが異なり、No-Fault 州では一定額まで自分の保険から過失を問わず給付を受ける。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 交差点で右折車とぶつかり、あなたは骨折、バイクは全損になった。治療費と慰謝料は自賠法3条で請求でき、相手の過失をあなたが証明する必要はない。ところがバイクの修理代は民法709条の請求になり、相手の前方不注意を示すドライブレコーダー映像があるかどうかで結論が変わる。同じ事故でも、ルールは二本立てになる
- 保険会社から「過失割合はあなた3、相手7」という書面が届いた。3条のもとでも、この3割分は民法722条2項の過失相殺として賠償額から差し引かれる。損害額が1,000万円なら300万円が消える。その数字が妥当かどうかを確かめずにサインしようとしていないか
- 社用車で営業回り中、あなたが歩行者に接触した。3条の運行供用者責任を負うのは会社であり、民法715条の使用者責任も重なる。ただし会社が払った後、民法の求償ルールによって一部をあなたに請求してくる可能性はある。もっとも判例(最判昭和51.7.8)は、従業員への求償を信義則上相当な範囲に限定している
- 事故から4年半が過ぎ、後遺障害の等級認定でもめているうちに時間だけが過ぎた。加害者への人身損害の請求権は、4条を通じて民法724条の2が適用され、損害と加害者を知った時から5年で時効にかかる。残りは半年しかない。一方、自賠責保険会社への被害者請求(自賠法16条)は3年で時効となり、こちらはすでに過ぎている可能性がある
- 友人の車に同乗していて事故に遭った場合、運転していた友人に請求できるのか? 同乗者も原則として3条の「他人」にあたる。ただし好意同乗(無償で乗せてもらっていた場合)を理由に賠償額を減らすべきかどうかは、実務上解釈が分かれている。事故の数か月前から危険運転を知りながら同乗していた場合などには、減額が認められやすい
取るべき行動
被害を受けた側:1. 損害を人身(3条)と物損(民法709条)に分けて整理する。物損については、ドライブレコーダー映像や現場写真など、相手の過失を示す証拠を今のうちに確保しておく。2. 自賠責保険への被害者請求(16条)を検討する。被害者の過失が7割未満なら減額されないため、過失割合でもめている場合ほど先に使う価値がある。3. 自賠責の上限を超える部分は任意保険や加害者に請求するが、ここでは民法722条2項の過失相殺が全面的に適用されるため、過失割合の根拠(判例タイムズ等の基準)を提示するよう求める。4. 時効(自賠責は3年、加害者本人は5年)を分けて管理する
訴えられた側:1. 3条の免責を主張するには、自分と運転者の無過失、被害者または第三者の故意・過失、車の構造上の欠陥や機能障害がないことの三点すべてを証明する必要がある。ドライブレコーダーと整備記録をすぐに保全する。2. 免責が難しい場合でも、4条経由の民法722条2項で被害者の過失を主張すれば賠償額を減らせる。3. 被害者に自分で支払った場合は、自賠法15条の加害者請求で自賠責保険から回収できる(支払後3年以内)。4. 共同で責任を負う者がいれば、民法719条の共同不法行為として負担を分ける交渉をする
時効(請求できる期限):加害者への人身損害の請求は、4条を通じて民法が適用され、損害と加害者を知った時から5年、事故の時から20年(民法724条・724条の2)。物損(民法709条)は知った時から3年。自賠責保険会社への被害者請求(自賠法16条)と加害者請求(同15条)は3年(同19条)。起算点は、死亡事故なら死亡時、後遺障害なら症状固定時とするのが実務上の扱いである(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:自賠法3条は民法709条の特則であり、4条は3条に定めのない事項について民法の一般規定(722条、724条、711条、719条、896条など)が補充的に適用されることを確認した規定と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和30年(1955年) 新設:自動車損害賠償保障法の制定とともに新設。運行供用者責任(3条)を定めたうえで、それ以外の事項を民法に委ねる構造が採用された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める