自動車損害賠償保障法 第76条(代位等)
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- 政府は、第七十二条第一項第一号又は第二号の規定による損害の塡補をしたときは、その支払金額の限度において、被害者が損害賠償の責任を有する者に対して有する権利を取得する。
- 2.政府は、保険契約者若しくは被保険者又は共済契約者若しくは被共済者の悪意によつて損害が生じた場合において、保険会社又は組合が第十六条第一項(第二十三条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により被害者に対して損害賠償額の支払をしたときは、その支払金額の限度において、被害者が保険契約者若しくは被保険者又は共済契約者若しくは被共済者に対して有する権利を取得する。
- 3.政府は、保有者の損害賠償の責任が発生しなかつた場合において、保険会社又は組合が第十七条第一項(第二十三条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により被害者に対して仮渡金の支払をしたときは、被害者に対してその返還を請求することができる。
この条文の基本情報
代位等とは何ですか?
定義代位等とは、自動車損害賠償保障法第76条に定められた規定で、「政府は、第七十二条第一項第一号又は第二号の規定による損害の塡補をしたときは、その支払金額の限度において、被害者が損害賠償の責任を有する者に対して有する権利を取得…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 自動車損害賠償保障法第76条(代位等)は、日本の自動車損害賠償保障法に含まれる条文です。
- 自動車損害賠償保障法第76条の条文原文は「政府は、第七十二条第一項第一号又は第二号の規定による損害の塡補をしたときは、その支払金額の限度において、被害者が損害賠償の責任を有する者に対して有する権利を取得…」で始まります。
- 自動車損害賠償保障法第76条は第二節に置かれています。
- 自動車損害賠償保障法の公布日は昭和30年7月29日です。
- 自動車損害賠償保障法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 自動車損害賠償保障法第76条の前の条は自動車損害賠償保障法第75条です。
- 自動車損害賠償保障法第76条の次の条は自動車損害賠償保障法第77条です。
- 自動車損害賠償保障法第76条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第76条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/330AC0000000097 - 本サイト収録
自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第76条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/330AC0000000097/76
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点自動車損害賠償保障法76条は、政府保障事業で被害者に損害を塡補した国が、支払額の限度で被害者の加害者への損害賠償請求権を取得すると定める。仮渡金の返還請求も規定する。
Q · ひき逃げや無保険の事故で国が被害者に払ったら、加害者の責任はなくなるの?
なくならない。国が被害者の請求権を引き継いで請求してくる
自動車損害賠償保障法76条1項により、政府保障事業(72条1項1号・2号)で被害者の損害を塡補した政府は、支払金額の限度で、被害者が加害者に対して持つ損害賠償請求権を取得します。無保険の加害者やあとで判明したひき逃げ犯には、国から求償が届きます。故意の事故で保険会社が支払った場合も同じです(2項)。一方、仮渡金を受け取った後で保有者に責任がないと分かった場合、国は被害者に返還を求めることができます(3項)。
解説
国が被害者に払ったお金は、国からの贈り物ではない。立て替えである。ひき逃げで犯人が分からない事故や、無保険車による事故では、自賠責保険からお金が出ない。そこで政府保障事業(自賠責保険の代わりに国が最低限の補償をする仕組み、自賠法72条)が被害者に支払う。本条1項は、その後の処理を決めている。国は支払った金額の範囲で、被害者が加害者に対して持っていた損害賠償請求権をそのまま引き継ぐ。無保険で人をはね、被害者と示談もしないまま時間が過ぎた運転者のもとには、何年か後に国から求償(立て替えた分の返還請求)が届くことになる。2項は、わざと人をはねた運転者を逃がさないための規定である。保険会社がいったん被害者に支払った分を、最終的に国が運転者本人に請求する。3項は向きが逆になる。仮渡金(治療費などに充てるため先に受け取れるお金)を受け取った後で相手に責任がなかったと分かれば、国は被害者に返還を求めることができる。受け取ったお金が確定したものなのか、終わったと思っていた請求がどこから届くのか。それを知っているかどうかで、次にとる行動が変わる。
法的な位置づけ
自動車損害賠償保障法76条は、政府による請求権の代位取得と仮渡金の返還請求を定める規定である。政府保障事業による損害の塡補(72条1項1号・2号)をした政府は、支払金額の限度で、被害者が損害賠償責任者に対して有する権利を取得する。悪意による事故で保険会社が支払った場合も同様であり、保有者責任が生じなかったときは仮渡金の返還を請求できる。
手順
- 1.求償通知の内容と根拠を確認する 国土交通省等から届いた通知が自賠法76条のどの項に基づく請求かを確認し、支払額、事故日、被害者への支払内訳を書き出す。通知は放置しない
- 2.争える事情の資料を集める 被害者へすでに直接支払った金額の領収書、示談書、被害者側の過失を示す実況見分調書や写真など、減額につながる資料を集める
- 3.訴訟前に請求額と支払方法を交渉する 集めた資料をもとに、過失相殺や既払金の控除を主張する。一括払いが難しい場合は分割納付を相談する。訴訟前が最も交渉の余地が大きい
- 4.事実に争いがあれば弁護士に相談する 事故態様や責任の有無そのものに争いがある場合、訴訟を起こされる前に弁護士に相談し、時効の起算点を含めて見通しを確認する
よくある質問 AI による整理
Q1政府保障事業の求償とは?
ひき逃げや無保険車の事故で国が被害者に支払った後、その金額を加害者に請求することです。根拠は自賠法76条1項で、国は被害者の損害賠償請求権を引き継ぎます。
Q2無保険で事故を起こしたら国から請求は来る?
来ます。被害者が政府保障事業から支払を受けると、国は支払額の限度で被害者の権利を取得し、加害者本人に返還を求めます(自賠法76条1項)。
Q3国からの求償 分割払いできる?
一括払いが難しい場合は、早めに窓口へ分割納付を相談するのが実務的です。運用は個別に異なるため、通知に書かれた連絡先で最新の取扱いを確認してください。
Q4国からの求償は時効がある?
国が取得するのは被害者の請求権そのものなので、原則として民法724条・724条の2の時効が適用されます。人身損害は知った時から5年、行為時から20年が目安です。
Q5故意の事故でも自賠責は払われる?
被害者の直接請求(自賠法16条1項)には保険会社が支払います。ただし支払後、国が被害者の権利を取得し、故意の運転者本人に請求します(76条2項)。
Q6仮渡金 返還 いつ求められる?
保有者に損害賠償責任が発生しなかったことが明らかになった場合です。自賠法76条3項により、国が仮渡金を受け取った被害者に返還を請求できます。
Q7国から求償されたら過失相殺を主張できる?
できると解されます。国は被害者の権利をそのまま取得するため、被害者側の過失や既に被害者へ支払った額など、被害者に主張できた事情は国にも主張できます。
Q8ひき逃げの犯人が見つかったら国はどうする?
国は政府保障事業で被害者に支払った金額の限度で、被害者の損害賠償請求権を取得しているため、判明した加害者に対して求償します(自賠法76条1項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1国から「自賠法76条に基づく求償」って書いた通知が来た。無視したらどうなるの?
国は本条1項により被害者の損害賠償請求権を引き継いでいるので、民事訴訟を起こし、判決を得れば給与や預金を差し押さえられる。実務のポイント:国が持っているのは被害者の権利そのものなので、被害者の過失割合や、あなたがすでに被害者に払った金額は国に対しても主張できる。「国相手では何も言えない」と思い込んで争点を捨てる人が多い
Q2ひき逃げで国から補償をもらったけど、全然足りない。犯人が見つかったら残りは請求できる?
できる。国が引き継ぐのは支払った金額の範囲だけで(本条1項)、それを超える損害の請求権は被害者に残る。実務のポイント:政府保障事業の支払は自賠責と同じ支払基準と上限で計算されるため、慰謝料は裁判基準よりかなり低くなることが多い。この差額は自分で請求しない限り、誰も取り立ててくれない。国の請求と被害者の請求が同じ加害者に向かったときにどちらが優先されるかは、実務上、解釈が分かれうる
Q3仮渡金ってもらったら自分のお金じゃないの?返せって言われることある?
ある。仮渡金(自賠法17条)は責任の有無が確定する前に支払われる暫定的なお金で、後で保有者に責任がないと確定すれば、本条3項に基づいて国が返還を求める。実務のポイント:政府保障事業には仮渡金の制度がないため、ひき逃げや無保険車の事故では当座の資金を受け取れない(運用は最新の状況をご確認ください)。自分の任意保険の人身傷害保険を先に確認するのが実務の定石である
間違えやすい点 AI による整理
- 「国が被害者に補償してくれたのだから、自分の賠償責任は消えた」と考える無保険の加害者は多い。実際には、責任は消えずに債権者が変わるだけである。示談の交渉相手が被害者本人から国に代わる、と考えたほうが正確だ
- 国から請求が来ることは知っていても、その重さを知らない人が多い。国は被害者の請求権を引き継いでいるので、判決を取れば給与や預金を差し押さえられる。さらに、故意や重大な過失で人の生命・身体を害した場合の損害賠償請求権は、自己破産しても免責されない(破産法253条1項3号)。国が代位取得した請求権にこの規定がどこまで及ぶかは実務上解釈が分かれうるが、「最後は破産すればいい」という逃げ道は当てにできない
- 被害者から見れば、仮渡金は「もう受け取ったお金」である。法律から見れば、責任の有無が確定するまでの暫定的な立て替えにすぎない。相手の責任が否定されれば、国が返還を求めてくる(本条3項)。受け取ったときの安心感と、後で返還を求められる現実との落差が、生活費の計画を狂わせる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 機能 | 76条:国の請求権取得(1・2項)と仮渡金の返還請求(3項) | 72条:政府保障事業による損害の塡補 17条:保険会社による仮渡金の支払 |
| お金の流れ | 国 → 加害者(求償)、または国 → 被害者(仮渡金の返還) | 国 → 被害者(塡補) 保険会社 → 被害者(先払い) |
| 前提となる状況 | 国が塡補した後、または保有者の責任が否定された後 | ひき逃げ・無保険車などで自賠責から支払われない 責任の確定前で、当座の治療費等が必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では特別補償基金がひき逃げや無保険車の被害者に補償し、補償後は請求権者の加害者に対する請求権を代位行使できる。日本の政府保障事業と求償に近い構造
韓国も政府の保障事業がひき逃げや無保険車の被害者を救済し、支払後は加害者への請求権を代位取得する。日本法と同じ系統の制度設計
ドイツでは Verkehrsopferhilfe e.V. が保障基金の役割を担い、ひき逃げや無保険車の被害者を補償する。国ではなく業界団体が運営する点が日本と異なる
フランスでは FGAO が無保険車やひき逃げの被害者を補償し、責任者に求償する。保険業界の拠出による基金方式
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自賠責が切れたままの原付で歩行者に接触した。被害者には国の保障事業から支払があったと聞き、自分の問題は片付いたと思っている。だが数年後、国から求償通知が届く。国が払った金額は、そのままあなた個人が負う債務として残っている
- 夜道でひき逃げされたが、犯人は分からないまま。国から補償を受けて半年後に犯人が逮捕された。国が支払った金額の分の請求権は、すでに国に移っている。
- 口論になった相手を、運転者が車でわざとはねた。自賠責の保険会社は被害者の直接請求に応じて支払うが、話はそこで終わらない。2項により、最終的には国がその運転者本人に支払額を請求する。「保険が払ったから済んだ」は、故意の事故には当てはまらない
- もし信号無視で横断中に車にはねられ、仮渡金を受け取った後で運転者の無過失が認められたらどうなるか。保有者に責任がないと確定すると、国から仮渡金の返還請求が届く。通知の納付期限は迫っているのに、そのお金はもう治療費に使ってしまった
- あなたの車が盗まれ、その車が人をはねた。キーの管理状況などから、あなたが保有者としての責任を負わないと判断されれば、被害者には政府保障事業が支払い、国は窃盗犯に請求する。ただし、キーを挿したまま放置していた場合などは、あなた自身の責任を認めた判例もあり、判断は事案ごとに分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. ひき逃げや無保険車の事故では、まず自分の任意保険(人身傷害保険・無保険車傷害保険)が使えるかを確認し、並行して損害保険会社の窓口から政府保障事業に請求する2. 加害者が特定された場合は、警察や国(保障事業の窓口)に情報を伝えるとともに、国の支払額を超える損害を自分で請求する準備をする3. 仮渡金を受け取った場合は、相手の責任が否定されたときに返還を求められる可能性(本条3項)を考え、全額を使い切らずに記録を残しておく
訴えられた側:1. 国からの求償通知は無視しない。放置すれば国が民事訴訟を起こし、判決に基づいて差押えを受けるおそれがある2. 通知に書かれた支払額の内訳を確認する。被害者に直接支払った分や、被害者側の過失(過失相殺)は、被害者に主張できたのと同じように国にも主張できる3. 一括で払えない場合は、早い段階で分割納付を相談する(運用は最新の状況をご確認ください) 4. 事実関係に争いがある場合は、訴訟になる前に弁護士に相談する
時効(請求できる期限):国が代位取得した請求権は、被害者の損害賠償請求権と同じ権利である。そのため原則として、損害と加害者を知った時から5年(人の生命・身体の侵害の場合)、不法行為の時から20年で時効にかかる(民法724条、724条の2)。ただし起算点の扱いは個別事案で争われうる。被害者が政府保障事業に請求する期限は3年(自賠法75条)。仮渡金の返還請求には特定の時効がないため、一般消滅時効(民法166条、知った時から5年または権利行使できる時から10年)による(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:本条1項・2項による権利取得は法律上当然の権利移転(法定代位)であり、国は被害者の権利を同一性を保ったまま取得する。そのため加害者は、過失相殺や既払金の控除など被害者に対抗できた事由を国にも主張できると解されている。
- 自動車損害賠償保障法 第72条政府保障事業による損害の塡補
- 自動車損害賠償保障法 第16条被害者の保険会社への直接請求
- 自動車損害賠償保障法 第17条仮渡金の支払、3項返還の前提
- 自動車損害賠償保障法 第3条運行供用者責任と免責要件
- 自動車損害賠償保障法 第75条保障事業への請求権の時効
- 民法 第709条代位の対象となる被害者の請求権
- 民法 第724条代位取得した請求権の消滅時効
- 保険法 第25条保険者の請求権代位の一般規律
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