会社法 第623条(有限責任社員の利益の配当に関する責任)
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- 持分会社が利益の配当により有限責任社員に対して交付した金銭等の帳簿価額(以下この項において「配当額」という。)が当該利益の配当をする日における利益額(持分会社の利益の額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下この章において同じ。)を超える場合には、当該利益の配当を受けた有限責任社員は、当該持分会社に対し、連帯して、当該配当額に相当する金銭を支払う義務を負う。
- 2.前項に規定する場合における同項の利益の配当を受けた有限責任社員についての第五百八十条第二項の規定の適用については、同項中「を限度として」とあるのは、「及び第六百二十三条第一項の配当額が同項の利益額を超過する額(同項の義務を履行した額を除く。)の合計額を限度として」とする。
この条文の基本情報
有限責任社員の利益の配当に関する責任とは何ですか?
定義有限責任社員の利益の配当に関する責任とは、会社法第623条に定められた規定で、「持分会社が利益の配当により有限責任社員に対して交付した金銭等の帳簿価額(以下この項において「配当額」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第623条(有限責任社員の利益の配当に関する責任)は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第623条の条文原文は「持分会社が利益の配当により有限責任社員に対して交付した金銭等の帳簿価額(以下この項において「配当額」という。」で始まります。
- 会社法第623条は第五節 利益の配当に置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第623条の前の条は会社法第622条です。
- 会社法第623条の次の条は会社法第624条です。
- 会社法第623条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第623条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第623条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/623
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法623条は、持分会社が有限責任社員に交付した配当が利益額を超える場合、その社員が会社に連帯して超過分を返還する義務を負うと定める。
Q · 有限責任社員なのに、受け取った配当を返せと言われることがあるの?
利益額を超える配当は連帯して返還義務を負う
会社法623条1項により、持分会社が有限責任社員に交付した配当の帳簿価額がその配当日の利益額を超えると、配当を受けた有限責任社員は会社に対し連帯して超過分(配当額相当額)を返還する義務を負います。受領者の善意・悪意は問われません。さらに2項が580条2項を読み替え、対債権者責任の限度額に超過配当分が加算されます。会社が倒産すると破産管財人が真っ先に過去数期の配当と利益額を対比し、回収を図ります。
解説
「有限責任社員」という肩書きを、出資した分だけ責任を負えばそれ以上は一円も追加で取られない、そう理解しているなら危うい。合資会社や合同会社に出資して有限責任社員になり、毎年の配当を当然のように受け取ってきたとする。ところが会社は実際には利益が出ていなかった、あるいは利益額を超える金額が配当されていた。会社法623条は、この超過分について有限責任社員に「会社に対し、連帯して返せ」と命じる。しかも2項を経由して580条2項の責任額の枠そのものが広がる仕組みになっており、出資の払戻しを受けた額の上限に、この超過配当分が上乗せされる。つまり有限責任の壁は、利益と偽った配当を受け取った瞬間に一部崩れる。あなたが守られているのは適正な配当を受けている限りの話であって、過大な配当は後から会社債権者を守るために巻き戻される。受け取った通帳の数字は、あなたの確定した取り分とは限らない。
法的な位置づけ
会社法623条は持分会社の有限責任社員の超過配当責任を定める規定である。利益の配当として交付された金銭等の帳簿価額が配当日の利益額を超える場合、配当を受けた有限責任社員は会社に対し連帯して当該配当額相当額の支払義務を負う。2項は580条2項を読み替え、社員の対債権者責任の限度額に超過配当分を加算する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.配当を受け取る前に当期の利益額を確認 配当通知が来たら受領前に、その期の利益額が会社計算規則の算定方法で実際に出ているかを決算書で確認する。受領前なら配当の妥当性を社内で問題化でき、受領後は返還額の計算しか争えなくなる
- 2.過去の配当履歴を平時に棚卸し 会社が債務超過や倒産に陥る前に、直近2〜3期の配当額と各期の利益額を対比し、超過がないか自分で点検する。危険な配当を早期に止められるのは平時のうちだけ
- 3.返還を求められたら超過の有無と金額を精査 管財人や債権者から返還請求が来たら、その配当日の利益額を会社計算規則で再計算し、本当に超過があるか・超過額はいくらかを確定する。自分の受領額を超える連帯責任を負わされていないか580条2項読み替え後の責任枠も確認する
- 4.原因が虚偽決算なら経営陣へ別軌道で求償 超過配当の原因が業務執行社員の虚偽説明にある場合、返還義務とは別に596条等で経営陣への損害賠償・求償を組み立てる。返してから求償する二段構えを最初から想定する
よくある質問 AI による整理
Q1超過配当とは何ですか?
配当として交付された金銭等の帳簿価額が、その配当日の利益額を超えた部分をいいます。会社法623条1項により、この超過分が有限責任社員の返還義務の対象になります。
Q2持分会社の利益額はどのように算定しますか?
会社法623条1項の「利益額」は法務省令(会社計算規則)が定める方法で算定します。単純な通帳残高ではなく、計算規則に従った会社の利益の額が基準です。
Q3623条の連帯責任は誰がどこまで負いますか?
配当を受けた有限責任社員が連帯して負います。会社は資力ある一人に全額を請求でき、社員間の負担調整(求償)は社員側に委ねられます。自分の受領額に限られません。
Q4超過配当の返還義務に時効はありますか?
623条固有の時効規定はなく、一般の消滅時効(民法166条、知った時から5年または行使可能時から10年)が適用されます。起算点は各配当の超過時点が基準です(最新の改正状況をご確認ください)。
Q5合資会社の有限責任社員も返還の対象になりますか?
対象になります。623条は持分会社(合資・合同・合名)の有限責任社員一般に適用され、合資会社で毎年配当を受けてきた社員も倒産時に返還を求められます。
Q6破産管財人はどの段階で返還を請求してきますか?
会社が支払不能・破産に陥った後です。管財人は過去数期の配当額と利益額を対比し、超過があれば資力ある社員から回収します。平時に争うより覆しにくくなります。
Q7配当を受け取る前に確認すべきことは何ですか?
その期の利益額が会社計算規則の算定方法で本当に出ているかです。受領前なら配当の妥当性を社内で問題にでき、受領後は返還額の計算しか争えなくなります。
Q8580条2項の読み替えとはどういう意味ですか?
有限責任社員が本来「出資未履行分を限度」とする対債権者責任の枠に、623条の超過配当分を上乗せする処理です。責任の上限そのものが広がります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1有限責任社員なのに、なぜ出資額以上の返還を求められるんですか?
有限責任は「会社債権者に対して出資額を限度に責任を負う」という意味で、会社から不当に流出した財産を返さなくてよいという意味ではないからです。623条1項は利益額を超える配当を受けた有限責任社員に連帯返還義務を課し、2項で580条2項の責任枠を拡張します。実務のポイント:実務では会社が黒字で適正配当をしている限りこの条文は眠っていますが、倒産局面で破産管財人が真っ先に確認するのが過去数期の配当と利益額の対比です。配当を受けた社員は、会社が傾いた瞬間に回収候補に変わる
Q2配当が利益を超えていると知らずに受け取った場合でも返さないといけませんか?
原則として返還義務は生じます。623条1項は受領者の善意・悪意や過失の有無を要件にしておらず、会社財産が社外に過大流出したという客観的事実で義務が発生します。実務のポイント:だまされて受け取った場合、返還は免れませんが、虚偽の決算を作った業務執行社員に対しては別途596条等で責任追及できます。返す義務と、だました側を追う権利は別ルートで動く。返還してから求償する二段構えになることを最初から想定しておく
Q3合同会社の社員ですが、623条と629条のどちらが適用されますか?
合同会社には計算の特則(会社法628条以下)があり、利益配当に関する社員の責任は629条が特に規定しています。一般の有限責任社員の規律である623条との関係を、合同会社では特則優先で読む必要があります。実務のポイント:合同会社は債権者保護を株式会社並みに厚くする設計のため、629条は配当可能額を超える配当について業務執行社員にも厳しい責任を課します。LLC だから身軽、というイメージで安易に配当を出すと、株式会社の剰余金分配規制に近い縛りに足をすくわれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「有限責任なのだから出資額を超えて払うことはない」と信じている人が多いが、623条はその前提を一部覆す。利益額を超えて受け取った配当は、出資の枠とは別に返還義務を生む。守られているのは適正に分配された利益を受け取った場合に限られる
- 返還義務があること自体は知っていても、その深刻さを取り違えている人が多い。623条2項は580条2項を読み替え、有限責任社員が本来負う「出資未履行分を限度とする責任」の枠に、超過配当分を上乗せする。返すべきは自分が受け取った額にとどまらず、連帯責任として他の社員の超過分まで及びうる
- 「自分はただ配当を受け取っただけで、計算を間違えたのは会社の側だ」という捉え方そのものがずれている。あなたから見れば受動的な受領でも、法から見れば会社財産の社外流出であり、債権者の引当てを削った行為だ。この視点の落差が、善意でも返還を免れないという結論を生む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 623条:利益額を超える配当を受けた有限責任社員の返還義務 | 580条:社員の対債権者責任の原則(本条2項が読み替え) 629条:合同会社の利益配当に関する社員責任の特則 |
| 発生要件 | 配当額 > 配当日の利益額(善意・悪意を問わない) | 出資未履行分の存在 配当可能額を超える配当(合同会社) |
| 責任の性質 | 会社に対する連帯返還義務 | 債権者に対する出資未履行分を限度とする責任 業務執行社員にも及ぶ厳格な責任 |
| 適用される会社類型 | 持分会社(合名・合資・合同)の有限責任社員 | 持分会社の社員一般 合同会社のみ |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は無限公司について利益なき盈餘分派を禁じ、兩合公司に準用する構成。違法分派分の返還・填補という債権者保護の発想は日本と共通する。
ドイツは Kommanditist が出資の払戻しを受けると対債権者責任が払戻し相当額だけ復活する。利益なき社外流出を債権者保護のため巻き戻す思想が日本623条と通底する。
米国 ULPA は limited partner が wrongful distribution(債務超過を招く違法分配)を受領した場合に返還責任を課す。受領時の認識を要件とする点で日本より主観要件が重い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 合資会社の有限責任社員として5年間、毎年配当を受け取ってきた。ところが会社が倒産し、破産管財人から「過去の配当のうち利益額を超えた分を連帯して返還せよ」という通知が届く。あなた一人の受取額ではなく、他の有限責任社員と連帯で会社全体の超過額を背負わされる構図に気付く
- もし会社が粉飾で利益が出ているように見せかけ、あなたがそれを信じて配当を受け取っていたとしたら、どうなるか。623条の返還義務は受領者の善意・悪意を問わない。だまされた側であっても、超過配当の返還義務だけは先に発生する。だました経営陣への損害賠償請求は、それとは別軌道で起こすことになる
- 仲間と合同会社を立ち上げた。利益が積み上がる前に、運転資金の余裕からとりあえず配当を出した。後で全員が連帯して返還を求められた
- 会社が債務超過寸前。あと数週間で破産申立てが予想される。直近2期に受け取った配当が、その期の利益額を超えていないか今すぐ確認しないと、管財人や債権者の最初の回収ターゲットがあなたになる
取るべき行動
被害を受けた側:会社や債権者・破産管財人の側で超過配当を取り戻したい場合、1. 各配当日における利益額(会社法623条1項、会社計算規則の算定方法)を期ごとに確定する2. 有限責任社員ごとの配当額が利益額を超えた部分を特定、超過分が返還請求の対象3. 623条は連帯責任なので、資力のある社員を選んで全額請求し、社員間の求償は社員側に委ねられる4. 合同会社なら629条の特則がより広い責任を課す場合があるため、どちらで攻めるか先に整理する
訴えられた側:返還を求められた有限責任社員の側では、1. その配当日の利益額を会社計算規則の算定方法で再計算し、本当に超過があるか、超過額はいくらかを精査する2. 自分の受領額を超える連帯責任を負わされていないか、580条2項の読み替え後の責任枠を確認3. 超過配当の原因が経営陣の虚偽説明にあるなら、返還とは別に経営者への損害賠償・求償を組み立てる4. 善意であっても返還義務自体は免れないため、争点は「超過の有無と金額」に絞り、早期の和解で連帯責任の拡大を止める
時効(請求できる期限):623条の返還義務に固有の時効規定はない。会社の社員に対する金銭支払請求権として、一般の消滅時効(民法166条、権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される。起算点は各配当が利益額を超過した時点が基準となる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:623条の超過配当返還義務は、利益額を超える配当による会社財産の社外流出を巻き戻し債権者を保護する規定であり、受領者の善意・悪意を問わず客観的な超過の事実によって発生すると解されている。2項の580条2項読み替えにより、責任枠そのものが超過配当分だけ拡張される。
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)会社法制定 会社法の制定により、従来商法に置かれていた合資会社の有限責任社員に関する規律を整理・統合し、持分会社の有限責任社員の超過配当責任として新設された。制定後の個別改正の有無は要人的検証
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:会社法の制定により、従来商法に置かれていた合資会社の有限責任社員に関する規律を整理・統合し、持分会社の有限責任社員の超過配当責任として623条に新設された。制定後の個別改正の有無は要人的検証。
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