会社法 第643条(解散した持分会社の合併等の制限)
クイックジャンプ
- 持分会社が解散した場合には、当該持分会社は、次に掲げる行為をすることができない。
- 一合併(合併により当該持分会社が存続する場合に限る。)
- 二吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
この条文の基本情報
解散した持分会社の合併等の制限とは何ですか?
定義解散した持分会社の合併等の制限とは、会社法第643条に定められた規定で、「持分会社が解散した場合には、当該持分会社は、次に掲げる行為をすることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第643条(解散した持分会社の合併等の制限)は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第643条の条文原文は「持分会社が解散した場合には、当該持分会社は、次に掲げる行為をすることができない。」で始まります。
- 会社法第643条は第七章 解散に置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第643条の前の条は会社法第642条です。
- 会社法第643条の次の条は会社法第644条です。
- 会社法第643条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第643条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第643条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/643
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法643条は、解散した持分会社が合併で存続会社となることと、吸収分割で他社事業を承継することを禁止する。消える側の合併や事業を渡す分割は可能。
Q · 解散した合同会社でも、合併で生き残る側(存続会社)になれますか?
なれません。ただし消える側の合併は可能です
会社法643条により、解散した持分会社は合併で存続会社になることも、吸収分割で他社の事業を承継することもできません。解散会社は清算の目的の範囲でのみ存続するためです(645条)。ただし、自社が消える側として合併されることや、事業を切り出して渡す吸収分割の分割会社になることは可能です。さらに清算結了前であれば、642条の継続により解散状態を解き、この制限を外すこともできます。
解説
あなたが代表を務める合同会社をたたむと決めて解散の登記を済ませた。その矢先、取引先から「うちの事業を御社に吸収してくれないか」という打診が来る。あるいは同業他社から「合併して、御社を存続会社にしたい」と持ちかけられる。ここで会社法643条が立ちはだかる。解散した持分会社は、合併で生き残る側(存続会社)になることも、吸収分割で他社の事業を引き継ぐ側(承継会社)になることもできない。理由はシンプルで、解散した会社は清算という「店じまい」のためだけに存在を許されているからだ(645条)。膨らむことは許されない。だが見落としてはいけない裏側がある。あなたの会社が「消える側」として合併されることや、自社の事業を切り出して他社に渡す吸収分割の分割会社になることは、ここでは禁じられていない。さらに、清算が終わる前なら会社を「継続」して解散をなかったことにし(642条)、この制限を丸ごと外す道もある。
法的な位置づけ
会社法643条は、解散した持分会社の組織再編能力を制限する規定であり、合併により当該会社が存続会社となること、および吸収分割による他社事業の権利義務の承継を禁止する。解散会社は清算の目的の範囲でのみ存続するという原理(645条)の具体的帰結であり、膨張方向の再編のみを封じる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手・自社の登記簿で解散事由を最優先で確認 組織再編の交渉に入る前に、対象会社と自社の登記事項証明書を取得し、解散事由の記載がないかを真っ先に確認する。デューデリの初日にここを見落とすと、後の合併契約が登記で通らず空振りになる
- 2.解散の有無に応じて再編スキームの向きを判定 解散済みなら、その会社を存続会社・承継会社とする合併・吸収分割は組めないと判断する。逆に消える側の合併、事業を渡す分割の分割会社になる設計なら解散後でも進められるため、向きを組み替える
- 3.存続側に残したいなら642条の継続を先に通す 解散会社を存続会社・承継会社にしたい場合は、清算結了前に642条の継続手続を完了させ、解散状態を解いてから再編に入る。継続には社員全員の同意(または定款所定の要件)が必要なため、社員間の合意形成を先に固める
- 4.清算結了が迫る場合は時間軸を逆算して動く 清算結了の登記が完了すると会社は消滅し、継続も合併もできなくなる。統合話があるなら清算結了前に継続または再編の手続を完了できるよう、清算人とスケジュールを逆算して調整する
よくある質問 AI による整理
Q1持分会社とは何ですか?
合名会社・合資会社・合同会社の総称で、社員が原則として会社の経営に直接関与する人的会社です。Amazon や Google の日本法人など合同会社が代表例です。
Q2解散会社が存続会社になれないのはなぜですか?
解散会社は清算の目的の範囲でのみ存続を許されるためです(645条)。事業を膨らませる存続会社化は清算手続を複雑にし、債権者保護に反するため643条で禁止されています。
Q3吸収分割の承継会社と分割会社の違いは何ですか?
承継会社は他社の事業を受け取る側、分割会社は事業を切り出して渡す側です。解散会社は承継会社になれませんが、分割会社にはなれます。
Q4清算結了後に会社を継続できますか?
できません。継続(642条)が使えるのは清算が結了するまでです。清算結了の登記後は会社が消滅し、継続も合併等もできなくなります。
Q5合同会社を解散する手続きはどうしますか?
総社員の同意など解散事由の発生後(641条)、解散登記を行い清算人が清算事務を進めます。清算結了の登記で会社が消滅します。
Q6解散会社でもできる組織再編はありますか?
あります。自社が消える側となる合併、自社の事業を切り出して渡す吸収分割の分割会社になることは、解散後でも可能です。
Q7会社法643条と474条の関係は何ですか?
643条は持分会社、474条は株式会社についての同趣旨の制限規定です。解散会社が存続会社・承継会社になれない点は会社形態を問いません。
Q8持分会社の継続にはどんな同意が必要ですか?
原則として社員全員の同意、または定款で定めた要件を満たす必要があります(642条)。社員が散逸していると同意が取れず継続できないことがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社を解散したら、もう合併は一切できなくなるんですか?
いいえ。できなくなるのは『存続会社になる合併』と『他社事業を引き継ぐ吸収分割』だけです(会社法643条)。自社が消える側として合併されることや、自社の事業を切り出して他社に渡す吸収分割の分割会社になることは、解散後でもできます。実務のポイント:実務では『たたむための合併』として、解散した会社を消滅会社にして親会社へ吸収させるスキームがよく使われる。解散したから何もできないと諦める前に、どの向きの再編なら通るかを確認する
Q2解散した合同会社を、もう一度生き返らせて合併に使うことはできますか?
できます。清算が結了する前であれば、会社法642条の『継続』により解散をなかったことにできます。継続後は解散状態が解けるので643条の制限も外れ、存続会社にも承継会社にもなれます。実務のポイント:継続には社員全員の同意(または定款で定めた要件)が必要で、すでに社員が散り散りになっていると同意が取れず継続できないことがある。解散後に統合話が出る可能性が少しでもあるなら、社員との連絡線を切らないことが効く
Q3株式会社と持分会社で、このルールは違うんですか?
実質は同じです。持分会社は643条、株式会社は474条で、解散した会社が存続会社、承継会社になれない点は共通しています。会社形態が違っても、解散した会社は清算目的の範囲でしか動けないという原理(持分会社は645条)は変わりません。実務のポイント:グループ内に株式会社と合同会社が混在する再編では、どちらを存続会社にするかでこの制限の当たり方が変わる。解散予定の会社を存続側に置く設計は最初から避けるのが定石
間違えやすい点 AI による整理
- 「解散した会社は組織再編なんて一切できない」という前提で諦める人がいる。だが問いの立て方が違う。できないのは『存続会社になる』『他社事業を承継する』という膨らむ方向だけ。消える側、渡す側の再編は今もできる。何ができないかではなく、どの向きならできるかを問うのが正解だ
- 「解散登記をしたら、もう後戻りはできない」と思われがちだが、清算が結了するまでなら642条で会社を継続でき、解散そのものをなかったことにできる。継続すれば643条の制限は丸ごと消える
- 持分会社にだけ特殊なルールだと軽く見られるが、株式会社にも全く同じ制限が474条に置かれている。解散した会社が存続会社、承継会社になれないのは会社形態を問わない清算法の共通原理であり、一社の問題ではなく再編の設計全体に効く前提だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される会社形態 | 643条:持分会社(合名・合資・合同) | 474条:株式会社(同趣旨の並行規定) 642条:持分会社(解散の巻き戻し=継続) |
| 規律の方向 | 解散会社が存続会社・承継会社になることを禁止 | 解散株式会社が存続会社・承継会社になることを禁止 解散状態を解き643条の制限自体を外す |
| 解散後にできること | 消える側の合併・事業を渡す分割は可能 | 消える側の合併・事業を渡す分割は可能 清算結了前なら継続して全制限を解除 |
| 時間的な分水嶺 | 清算結了で制限が確定(会社消滅) | 清算結了で制限が確定(会社消滅) 清算結了前のみ継続可能 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も解散した会社は清算の範囲内でのみ存続するとみなされ(25条)、清算と現務了結の目的を超える業務はできない(26条)。膨張方向の再編が制限される点で日本と共通する
韓国も清算中の会社の権利能力は清算の目的の範囲に限定される。解散会社が存続会社として膨張する再編が制限される構造は日本と類似する
ドイツは解散した法主体(aufgelöste Rechtsträger)でも、財産分配が開始されていなければ合併に参加できるとし、継続可能性を基準に柔軟に扱う
米国は解散後の会社の活動を清算(winding up)の目的の範囲に限定する。州法ごとに合併への参加可否の扱いが分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし買収を持ちかけた相手の合同会社が、実はすでに解散登記を済ませていたら? あなたがその会社を存続会社にする合併契約を結んでも登記は通らず、契約は実現しない。デューデリの初日に登記簿の解散事由欄を見落とすと、数か月かけた交渉が振り出しに戻る
- あなたが解散した合資会社のオーナーで、他社から「うちを吸収して事業を統合しよう」と頼まれた。心情的には引き受けたいが、承継会社にはなれない。先に642条で会社を継続させ、解散状態を解いてからでないと、その吸収分割は組めない
- 解散済みの会社でも、自社をまるごと別会社に合併で吸収してもらうことはできる。消える側に回るのは制限されていない。たたむ手段としての合併は、解散後も生きている
- 清算結了の登記まであと少し。その前に舞い込んだ統合話で自社を存続会社にしたいなら、清算が終わる前に継続の手続きを完了させなければならない。清算結了後は会社が消滅し、継続も合併もできなくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手会社の登記簿謄本を取り、解散事由の記載がないか真っ先に確認する2. 解散済みなら、その会社を存続会社、承継会社とする合併、吸収分割は組めないと判断しスキームを組み替える3. それでもその会社を残したいなら、相手に642条の継続手続を先に求める(社員全員または定款所定の同意が必要) 4. 清算が結了していれば会社は消滅しており打つ手はない。事業譲渡など別の枠組みに切り替える
訴えられた側:1. 解散後でも『消える側』の合併、事業を切り出す吸収分割の分割会社にはなれることを確認、たたむ手段としての再編は使える2. 存続会社、承継会社になりたいなら清算結了前に642条で会社を継続させてから再編に入る3. 継続には社員の同意要件があるため社員間の合意形成を先に固める4. 清算人がいる場合、再編行為が清算の目的(645条)を超えないか専門家に確認する
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はない。ただし時間的な分水嶺は『清算結了』。解散後でも清算が結了する前なら642条で継続でき制限を外せるが、清算結了の登記後は会社が消滅し継続も合併等もできなくなる。継続の起算点ではなく『清算結了前に動く』ことが決定的
学説
通説:解散した会社は清算の目的の範囲でのみ存続し(645条)、その範囲を超える膨張方向の組織再編(存続会社・承継会社になること)はできない。643条はこの清算法理の具体的帰結であり、株式会社の474条と同一の趣旨に立つ。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:会社法の制定により、従来の旧商法の規律を再編し「持分会社」という会社類型を創設。解散した持分会社が存続会社・承継会社になれない旨を643条として明文化した。
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