会社法 第892条(調査命令)
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- 裁判所は、調査命令(第五百二十二条第一項に規定する調査命令をいう。次項において同じ。)を変更し、又は取り消すことができる。
- 2.調査命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 3.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
- 4.第二項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
この条文の基本情報
調査命令とは何ですか?
定義調査命令とは、会社法第892条に定められた規定で、「裁判所は、調査命令(第五百二十二条第一項に規定する調査命令をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第892条(調査命令)は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第892条の条文原文は「裁判所は、調査命令(第五百二十二条第一項に規定する調査命令をいう。」で始まります。
- 会社法第892条は第三款 特別清算の実行の手続に関する特則に置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第892条の前の条は会社法第891条です。
- 会社法第892条の次の条は会社法第893条です。
- 会社法第892条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第892条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第892条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/892
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法892条は、特別清算の調査命令を裁判所が変更・取消でき、当事者は即時抗告できるが、その抗告に執行停止効はなく調査は止まらないと定める。
Q · 特別清算の調査命令に即時抗告したら、調査は止まりますか?
止まりません。892条3項が執行停止効を否定しています
会社法892条2項により調査命令や変更・取消決定には即時抗告ができますが、3項が「執行停止の効力を有しない」と定めているため、抗告審の結論が出るまでの間も調査委員は調査を継続します。会社非訟の即時抗告は873条で原則として執行停止効を持ちますが、調査命令はあえてその例外とされています。調査範囲を絞りたい場合は、抗告より1項の裁判所による変更・取消の上申が現実的な防御になります。
解説
会社が特別清算に入った。裁判所は清算人や債権者の申立て、または職権で「調査委員に会社の業務と財産を調べさせる」調査命令(522条1項)を出せる。この命令が出た瞬間、会社の帳簿も役員の過去の取引も、第三者の目で洗われ始める。892条はその調査命令をめぐる「裁判所の手の内」を定める。第一に、裁判所は一度出した調査命令を後から変更・取消できる(1項)。第二に、命令やその変更決定に不満があれば即時抗告できる(2項)。だが要注意、その即時抗告には執行停止の効力がない(3項)。つまりあなたが「調べられたくない」と抗告しても、抗告審の結論が出るまで調査は止まらず進む。第四に、これらの裁判書は当事者に必ず送達される(4項)。役員の責任査定(545条)の入口がこの調査命令であることを考えれば、3項の「抗告しても止まらない」という一行が、あなたの防御の時間軸を根本から規定している。
法的な位置づけ
会社法892条は、特別清算における調査命令(522条1項)に関する裁判所の権限と当事者の不服申立てを定める手続規定である。裁判所は調査命令を変更・取消でき、これらの決定に対し当事者は即時抗告できるが、その即時抗告は執行停止の効力を持たず、裁判及び抗告についての裁判書は当事者に送達される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.裁判書の送達日を記録し抗告期間の起算点を固定 調査命令や変更・取消決定の裁判書(892条4項)を受け取ったら、まず送達日を即座に記録する。この日が即時抗告の不変期間の起算点になるため、数日内に争う方針を決める必要がある
- 2.即時抗告か変更申立てかを判断 892条2項の即時抗告は執行停止効がない(3項)ため調査は止まらない。調査範囲が過大な場合は、抗告よりも1項の裁判所への変更・取消の上申で戦線を縮小できないかを先に検討する
- 3.執行停止効がない前提で証拠と主張を並行準備 抗告審の結論を待つ間も調査委員は動き続ける。抗告と並行して、調査対象となる取引の合理性を裏づける証拠と主張を早期に整える
- 4.役員等責任査定決定(545条)を見据えた防御を組む 調査命令は役員等責任査定決定や保全処分(540条)の前段階である。調査結果が個人責任追及の土台になることを前提に、在任中の経営判断の合理性を示す資料を確保する
よくある質問 AI による整理
Q1特別清算の調査命令とは何ですか?
裁判所が清算人・債権者の申立てまたは職権で、調査委員に会社の業務と財産を調べさせる命令です。会社法522条1項が根拠で、892条はその変更・抗告などの手続を定めます。
Q2会社法892条の即時抗告の期限はいつまでですか?
裁判書の送達(4項)を受けた日から起算する不変期間内に申し立てます。会社非訟では非訟事件手続法の準用により原則1週間とされますが、最新の手続規定をご確認ください。
Q3調査命令を裁判所が取り消すことはありますか?
あります。892条1項により裁判所は職権でも調査命令を変更・取消できます。清算の進行や財産状況に応じて調査の射程が調整される柔軟な処分です。
Q4調査委員は会社の何を調べるのですか?
会社の業務と財産が対象です。帳簿や役員の在任中の取引、関連会社との取引なども第三者の視点で精査され、保全処分や役員責任査定の要否判断の材料になります。
Q5特別清算と通常清算はどう違いますか?
通常清算は会社の自主的な手続ですが、特別清算は債務超過の疑いなどがある場合に裁判所の監督下で進む手続で、調査命令や役員等責任査定決定など強力な手段が用意されています。
Q6役員等責任査定決定とは何ですか?
特別清算で裁判所が、役員の会社に対する損害賠償責任を訴訟によらず簡易な決定手続で査定する制度です(545条)。調査命令で集まった事実がその土台になります。
Q7調査命令の裁判書はいつ送達されますか?
892条4項により、調査命令・変更取消決定および即時抗告についての裁判があった場合、その裁判書は当事者に送達されます。送達日が抗告期間の起算点になります。
Q8調査命令に不服がある場合どう争いますか?
即時抗告(2項)と、裁判所への変更・取消の上申(1項)の二つのルートがあります。抗告は調査を止めませんが、上申で調査範囲の縮小を狙う方が実効的な場合があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1調査命令に納得できません。抗告すれば調査は止められますか?
止められません。892条2項で即時抗告はできますが、3項が「執行停止の効力を有しない」と定めているため、抗告審の結論が出るまでの間も調査委員は調査を続けます。実務のポイント:会社非訟の即時抗告は873条で原則として執行停止効を持つのに、調査命令はあえてその例外とされています。実務では「抗告で時間を稼ぐ」発想は通用せず、むしろ1項の裁判所による変更・取消を上申して調査範囲を縮小させる方が現実的、と倒産処理に強い弁護士は動きます
Q2調査委員に調べられた結果、役員の私が賠償させられることはありますか?
あり得ます。522条1項の調査命令は、役員等責任査定決定(545条)や保全処分(540条)の要否を判断する前段階です。調査で在任中の不適切な取引が裏づけられれば、裁判所が査定決定という簡易な手続で役員個人に賠償を命じられます。実務のポイント:通常の取締役責任追及は別途訴訟が必要ですが、特別清算では査定決定で済むため、会社をたたむ場面が一気に個人責任の問題へ転化します。調査命令の送達を受けた時点が、実は個人の財産防衛の起点です
間違えやすい点 AI による整理
- 「即時抗告すれば調査命令の効力は止まる」と思い込みがちだが、3項が明確に執行停止効を否定している。会社非訟の即時抗告は原則として執行停止効を持つ(873条)のに、調査命令についてはあえてその例外を置いた。抗告しても調査委員は動き続ける、この落差を知らずに「抗告したから安心」と構えると、防御のタイミングを完全に失う
- 調査命令は一度出たら確定するまで動かないと誤解されやすいが、実は裁判所が職権で変更・取消できる柔軟な処分だ(1項)。確定判決のような剛性はなく、清算の進行や財産状況に応じて裁判所が調整弁を握り続けている。だからこそ、調査の縮小を求める働きかけは「抗告」だけでなく「裁判所への変更申立て・上申」という別ルートがある
- 「調査命令は単なる事実調べで、自分の責任とは別問題」と考える元役員が多いが、問いの立て方が逆だ。調査命令は役員等責任査定決定(545条)や保全処分(540条)の必要性を判断するための前段階であり、ここで集まった事実があなた個人への責任追及の土台になる。調査命令の段階は、すでにあなたの財産防衛が始まっている地点だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 892条:調査命令の変更・取消、即時抗告、送達 | 522条:調査命令そのものの発令 873条:会社非訟の即時抗告の一般原則 |
| 即時抗告の執行停止効 | 892条3項:執行停止効なし(例外) | (発令規定のため対象外) 873条:原則として執行停止効あり |
| 発展先・接続する手続 | 545条の役員等責任査定決定、540条の保全処分へ接続 | 892条による変更・抗告の対象になる 会社非訟事件一般に妥当する原則 |
| 当事者の主な防御手段 | 即時抗告(2項)+裁判所への変更・取消の上申(1項) | 発令要件の不存在を主張 原則に基づく執行停止の主張 |
他国ではどう定めているか 1 か国
台湾も特別清算で財産状況に必要があるとき法院が会社の業務・財産の検査を命じうる。検査命令をめぐる不服申立ての効力の扱いは日本と細部が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが特別清算中の会社の元取締役で、ある日「調査委員があなたの在任中の関連会社取引を調べる」という調査命令の送達を受けた。納得できず即時抗告したが、3項により調査は止まらない。抗告で争っている間にも、調査委員はあなたの取引記録を集め、役員等責任査定決定(545条)の材料を積み上げていく
- 債権者として特別清算に参加しているあなたは、清算人が会社財産を不当に流出させた疑いを持っている。522条1項の申立てで調査命令を取りたいが、いったん出ても裁判所は事情変更で取り消せる(1項)。命令が取り消されたら即時抗告で争えるか、その期限はいつから起算するか、送達日(4項)が鍵になる
- もし、調査委員の調査が長引いて清算手続全体が停滞したらどうなる? 裁判所は調査命令そのものを変更・縮小・取消できる(1項)。調査対象が広すぎると判断されれば、当事者の申立てを待たず職権で命令の射程を絞ることもある
取るべき行動
被害を受けた側:調査を求める側(債権者・清算人)の動き:1. 会社財産の流出や役員の不正取引を疑う具体的事由を文書で整理し、522条1項の申立書に落とす2. 調査命令が出たら送達(4項)を確認、調査委員の調査対象が自分の狙う論点(保全処分・役員責任査定の要否)を含むか点検3. 命令が職権で取り消された場合は送達日から即時抗告期間内に抗告4. 調査結果は545条の役員等責任査定決定の申立てにつなげ、回収可能性を確保する
訴えられた側:調査される側(清算株式会社・元役員)の動き:1. 調査命令の裁判書送達日(4項)を即記録、抗告期間の起算点を固定2. 即時抗告は可能だが執行停止効がない(3項)ことを前提に、抗告と並行して証拠・主張を準備3. 調査範囲が過大なら、抗告よりも裁判所への変更・取消の上申(1項)で範囲縮小を狙う4. 役員等責任査定決定(545条)への発展を見据え、在任中の取引の合理性を裏づける資料を早期に確保する
時効(請求できる期限):即時抗告は、裁判書の送達(4項)を受けた日から起算する不変期間内に申し立てる必要がある(会社非訟では非訟事件手続法の準用により原則1週間。最新の手続規定および起算の取扱いをご確認ください)。3項により、抗告期間中も調査命令の執行は停止しない
学説
通説:892条3項が即時抗告に執行停止効を与えないのは、特別清算における財産散逸や証拠隠滅の防止という迅速性の要請を重視し、抗告を理由とした調査の引き延ばしを封じる趣旨と解されている。不服申立権は2項・4項で形式的に保障しつつ、その効力を絞ることで実効性を確保する設計である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:会社法の制定に伴い、旧商法の特別清算に関する規定を整理・再編して新設された。特別清算における調査命令の変更・取消、即時抗告とその執行停止効の不存在、裁判書の送達を一箇条にまとめた手続規定である。
- 会社法 第522条本条が対象とする調査命令の根拠規定
- 会社法 第540条調査命令の調査対象となる保全処分
- 会社法 第545条調査結果が結びつく役員等責任査定決定
- 会社法 第873条即時抗告の執行停止効の原則(本条3項はその例外)
- 会社法 第868条会社非訟事件の管轄(特別清算の手続的基盤)
- 非訟事件手続法 第66条会社非訟への準用、即時抗告期間の補充的根拠(現行効力を要確認)
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