刑法
明治四十年法律第四十五号
公布日:1907-04-24
この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
②日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。
この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。
この法律は、日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に適用する。
この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国の公務員に適用する。
第二条から前条までに規定するもののほか、この法律は、日本国外において、第二編の罪であって条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされているものを犯したすべての者に適用する。
外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。
ただし、犯人が既に外国において言い渡された刑の全部又は一部の執行を受けたときは、刑の執行を減軽し、又は免除する。
犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。
この法律において「公務員」とは、国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。
②この法律において「公務所」とは、官公庁その他公務員が職務を行う所をいう。
この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。
この編の規定は、他の法令の罪についても、適用する。
ただし、その法令に特別の規定があるときは、この限りでない。
死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
主刑の軽重は、前条に規定する順序による。
②同種の刑は、長期の長いもの又は多額の多いものを重い刑とし、長期又は多額が同じであるときは、短期の長いもの又は寡額の多いものを重い刑とする。
③二個以上の死刑又は長期若しくは多額及び短期若しくは寡額が同じである同種の刑は、犯情によってその軽重を定める。
死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する。
②死刑の言渡しを受けた者は、その執行に至るまで刑事施設に拘置する。
拘禁刑は、無期及び有期とし、有期拘禁刑は、一月以上二十年以下とする。
②拘禁刑は、刑事施設に拘置する。
③拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。
削除
死刑又は無期拘禁刑を減軽して有期拘禁刑とする場合においては、その長期を三十年とする。
②有期拘禁刑を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。
罰金は、一万円以上とする。
ただし、これを減軽する場合においては、一万円未満に下げることができる。
拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。
②拘留に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。
科料は、千円以上一万円未満とする。
罰金を完納することができない者は、一日以上二年以下の期間、労役場に留置する。
②科料を完納することができない者は、一日以上三十日以下の期間、労役場に留置する。
③罰金を併科した場合又は罰金と科料とを併科した場合における留置の期間は、三年を超えることができない。科料を併科した場合における留置の期間は、六十日を超えることができない。
④罰金又は科料の言渡しをするときは、その言渡しとともに、罰金又は科料を完納することができない場合における留置の期間を定めて言い渡さなければならない。
⑤罰金については裁判が確定した後三十日以内、科料については裁判が確定した後十日以内は、本人の承諾がなければ留置の執行をすることができない。
⑥罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置一日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に一日未満の端数を生じるときは、これを一日とする。)とする。
次に掲げる物は、没収することができる。
②没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。
ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは、これを没収することができる。
前条第一項第三号又は第四号に掲げる物の全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。
拘留又は科料のみに当たる罪については、特別の規定がなければ、没収を科することができない。
ただし、第十九条第一項第一号に掲げる物の没収については、この限りでない。
勾
月又は年によって期間を定めたときは、暦に従って計算する。
刑期は、裁判が確定した日から起算する。
②拘禁されていない日数は、裁判が確定した後であっても、刑期に算入しない。
受刑の初日は、時間にかかわらず、一日として計算する。時効期間の初日についても、同様とする。
②刑期が終了した場合における釈放は、その終了の日の翌日に行う。
次に掲げる者が三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
②前に拘禁刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が二年以下の拘禁刑の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。
ただし、この項本文の規定により刑の全部の執行を猶予されて、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。
前条第一項の場合においては猶予の期間中保護観察に付することができ、同条第二項の場合においては猶予の期間中保護観察に付する。
②前項の規定により付せられた保護観察は、行政官庁の処分によって仮に解除することができる。
③前項の規定により保護観察を仮に解除されたときは、前条第二項ただし書及び第二十六条の二第二号の規定の適用については、その処分を取り消されるまでの間は、保護観察に付せられなかったものとみなす。
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
前二条の規定により拘禁刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消したときは、執行猶予中の他の拘禁刑(次条第二項後段又は第二十七条の七第二項後段の規定によりその執行を猶予されているものを除く。次条第六項、第二十七条の六及び第二十七条の七第六項において同じ。)についても、その猶予の言渡しを取り消さなければならない。
刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
②前項の規定にかかわらず、刑の全部の執行猶予の期間内に更に犯した罪(罰金以上の刑に当たるものに限る。)について公訴の提起がされているときは、同項の刑の言渡しは、当該期間が経過した日から第四項又は第五項の規定によりこの項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しが取り消されることがなくなるまでの間(以下この項及び次項において「効力継続期間」という。)、引き続きその効力を有するものとする。この場合においては、当該刑については、当該効力継続期間はその全部の執行猶予の言渡しがされているものとみなす。
③前項前段の規定にかかわらず、効力継続期間における次に掲げる規定の適用については、同項の刑の言渡しは、効力を失っているものとみなす。
④第二項前段の場合において、当該罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないときは、同項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、当該罪が同項前段の猶予の期間の経過後に犯した罪と併合罪として処断された場合において、犯情その他の情状を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
⑤第二項前段の場合において、当該罪について罰金に処せられたときは、同項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
⑥前二項の規定により刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消したときは、執行猶予中の他の拘禁刑についても、その猶予の言渡しを取り消さなければならない。
次に掲げる者が三年以下の拘禁刑の言渡しを受けた場合において、犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるときは、一年以上五年以下の期間、その刑の一部の執行を猶予することができる。
②前項の規定によりその一部の執行を猶予された刑については、そのうち執行が猶予されなかった部分の期間を執行し、当該部分の期間の執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から、その猶予の期間を起算する。
③前項の規定にかかわらず、その刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった時において他に執行すべき拘禁刑があるときは、第一項の規定による猶予の期間は、その執行すべき拘禁刑の執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から起算する。
前条第一項の場合においては、猶予の期間中保護観察に付することができる。
②前項の規定により付せられた保護観察は、行政官庁の処分によって仮に解除することができる。
③前項の規定により保護観察を仮に解除されたときは、第二十七条の五第二号の規定の適用については、その処分を取り消されるまでの間は、保護観察に付せられなかったものとみなす。
次に掲げる場合においては、刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十七条の二第一項第三号に掲げる者であるときは、この限りでない。
次に掲げる場合においては、刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
前二条の規定により刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消したときは、執行猶予中の他の拘禁刑についても、その猶予の言渡しを取り消さなければならない。
刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、その拘禁刑を執行が猶予されなかった部分の期間を刑期とする拘禁刑に減軽する。この場合においては、当該部分の期間の執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日において、刑の執行を受け終わったものとする。
②前項の規定にかかわらず、刑の一部の執行猶予の言渡し後その猶予の期間を経過するまでに更に犯した罪(罰金以上の刑に当たるものに限る。)について公訴の提起がされているときは、当該期間が経過した日から第四項又は第五項の規定によりこの項後段の規定による刑の一部の執行猶予の言渡しが取り消されることがなくなるまでの間(以下この項及び次項において「効力継続期間」という。)、前項前段の規定による減軽は、されないものとする。この場合においては、同項の刑については、当該効力継続期間は当該猶予された部分の刑の執行猶予の言渡しがされているものとみなす。
③前項前段の規定にかかわらず、効力継続期間における次に掲げる規定の適用については、同項の刑は、第一項前段の規定による減軽がされ、同項後段に規定する日にその執行を受け終わったものとみなす。
④第二項前段の場合において、当該罪について拘禁刑以上の刑に処せられたときは、同項後段の規定による刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、当該罪が同項前段の猶予の期間の経過後に犯した罪と併合罪として処断された場合において、犯情その他の情状を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
⑤第二項前段の場合において、当該罪について罰金に処せられたときは、同項後段の規定による刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
⑥前二項の規定により刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消したときは、執行猶予中の他の拘禁刑についても、その猶予の言渡しを取り消さなければならない。
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次に掲げる場合においては、仮釈放の処分を取り消すことができる。
②刑の一部の執行猶予の言渡しを受け、その刑について仮釈放の処分を受けた場合において、当該仮釈放中に当該執行猶予の言渡しを取り消されたときは、その処分は、効力を失う。
③仮釈放の処分を取り消したとき、又は前項の規定により仮釈放の処分が効力を失ったときは、釈放中の日数は、刑期に算入しない。
拘留に処せられた者は、情状により、いつでも、行政官庁の処分によって仮に出場を許すことができる。
②罰金又は科料を完納することができないため留置された者も、前項と同様とする。
刑(死刑を除く。)の言渡しを受けた者は、時効によりその執行の免除を得る。
時効は、刑の言渡しが確定した後、次の期間その執行を受けないことによって完成する。
時効は、法令により執行を猶予し、又は停止した期間内は、進行しない。
②拘禁刑、罰金、拘留及び科料の時効は、刑の言渡しを受けた者が国外にいる場合には、その国外にいる期間は、進行しない。
拘禁刑及び拘留の時効は、刑の言渡しを受けた者をその執行のために拘束することによって中断する。
②罰金、科料及び没収の時効は、執行行為をすることによって中断する。
拘禁刑以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
②刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
②防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。