弁護士法
昭和二十四年法律第二百五号
公布日:1949-06-10
弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
②弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
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弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
②弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
司法修習生の修習を終えた者は、弁護士となる資格を有する。
法務大臣が、次の各号のいずれかに該当し、その後に弁護士業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了したと認定した者は、前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有する。
前条の規定により弁護士となる資格を得ようとする者は、氏名、司法修習生となる資格を取得し、又は検察庁法第十八条第三項の考試を経た年月日、前条第一号若しくは第三号の職に在つた期間又は同条第二号の職務に従事した期間及び同号の職務の内容その他の法務省令で定める事項を記載した認定申請書を法務大臣に提出しなければならない。
②前項の認定申請書には、司法修習生となる資格を取得し、又は検察庁法第十八条第三項の考試を経たことを証する書類、前条第一号若しくは第三号の職に在つた期間又は同条第二号の職務に従事した期間及び同号の職務の内容を証する書類その他の法務省令で定める書類を添付しなければならない。
③第一項の規定による申請をする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
法務大臣は、前条第一項の規定による申請をした者(以下この章において「申請者」という。)が第五条各号のいずれかに該当すると認めるときは、申請者に対し、その受けるべき同条の研修(以下この条において単に「研修」という。)を定めて書面で通知しなければならない。
②研修を実施する法人は、申請者がその研修の課程を終えたときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、当該申請者の研修の履修の状況(当該研修の課程を修了したと法務大臣が認めてよいかどうかの意見を含む。)を書面で法務大臣に報告しなければならない。
③法務大臣は、前項の規定による報告に基づき、申請者が研修の課程を修了したと認めるときは、当該申請者について第五条の認定(以下この章において単に「認定」という。)を行わなければならない。
④法務大臣は、前条第一項の規定による申請につき認定又は却下の処分をするときは、申請者に対し、書面によりその旨を通知しなければならない。
⑤前条第一項の規定による申請に係る処分(申請者が第五条各号のいずれにも該当しないことを理由とする却下の処分を除く。)又はその不作為についての審査請求については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章第四節の規定は、適用しない。
法務大臣は、研修の内容が、弁護士業務を行うのに必要な能力の習得に適切かつ十分なものと認めるときでなければ、第五条の規定による研修の指定をしてはならない。
②研修を実施する法人は、前項の研修の指定に関して法務大臣に対して意見を述べることができる。
③法務大臣は、第五条の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な意見を述べることができる。
法務大臣は、認定に関する事務の処理に関し必要があると認めるときは、申請者に対し必要な資料の提出を求め、又は公務所、公私の団体その他の関係者に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
この法律に定めるもののほか、認定の手続に関し必要な事項は、法務省令で定める。
最高裁判所の裁判官の職に在つた者は、第四条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有する。
次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。
弁護士となるには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録されなければならない。
弁護士となるには、入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録の請求をしなければならない。
弁護士は、所属弁護士会を変更するには、新たに入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録換の請求をしなければならない。
②弁護士は、登録換の請求をする場合には、所属弁護士会にその旨を届け出なければならない。
弁護士がその業務をやめようとするときは、所属弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録取消の請求をしなければならない。
弁護士会は、弁護士会の秩序若しくは信用を害するおそれがある者又は次に掲げる場合に該当し弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者について、資格審査会の議決に基づき、登録又は登録換えの請求の進達を拒絶することができる。
②登録又は登録換えの請求前一年以内に当該弁護士会の地域内において常時勤務を要する公務員であつた者で、その地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠くおそれがあるものについてもまた前項と同様とする。
③弁護士会は、前二項の規定により請求の進達を拒絶する場合には、登録又は登録換えを請求した者に、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。
④弁護士会が登録又は登録換えの請求の進達を求められた後三箇月を経てもなお日本弁護士連合会にその進達をしないときは、その登録又は登録換えの請求をした者は、その登録又は登録換えの請求の進達を拒絶されたものとみなし、審査請求をすることができる。
日本弁護士連合会は、前条の規定による登録又は登録換えの進達の拒絶についての審査請求(同条第四項の規定による審査請求を含む。)に対して裁決をする場合には、資格審査会の議決に基づかなければならない。
②日本弁護士連合会は、前項の審査請求に理由があると認めるときは、弁護士会に対し登録又は登録換えの請求の進達を命じなければならない。
③第一項の審査請求については、行政不服審査法第九条、第十七条、第二章第三節及び第五十条第二項の規定は、適用しない。
④第一項の審査請求に関する行政不服審査法の規定の適用については、同法第十一条第二項中「第九条第一項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)」とあるのは「日本弁護士連合会の資格審査会」と、同法第十三条第一項及び第二項中「審理員」とあるのは「第十一条第二項の資格審査会」と、同法第四十四条中「行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号又は第三号に規定する議を経たとき)」とあるのは「弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第十二条の二第一項の議決があったとき」とする。
弁護士会は、弁護士が第十二条第一項第一号、第二号及び第二項に掲げる事項について虚偽の申告をしていたとき、又は心身の故障により弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがあるときは、資格審査会の議決に基き、日本弁護士連合会に登録取消しの請求をすることができる。
②弁護士会は、前項の請求をした場合には、その弁護士に、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。
前条の規定により登録取消しの請求をされた者は、その通知を受けた日の翌日から起算して三箇月以内に日本弁護士連合会に異議を申し出ることができる。
②日本弁護士連合会は、前項の申出を受けた場合においては、資格審査会の議決に基き、その申出に理由があると認めるときは、弁護士会に登録取消の請求を差し戻し、その申出に理由がないと認めるときは、これを棄却しなければならない。
③日本弁護士連合会は、前項の処分をした場合には、異議の申出をした者に、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。
日本弁護士連合会は、弁護士会から登録及び登録換の請求の進達を受けた場合において、第十二条第一項又は第二項に掲げる事由があつて登録又は登録換を拒絶することを相当と認めるときは、資格審査会の議決に基き、その登録又は登録換を拒絶することができる。
②日本弁護士連合会は、前項の規定により登録又は登録換えを拒絶する場合には、登録又は登録換えを請求した者及びこれを進達した弁護士会に、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。
第十二条の規定による登録若しくは登録換えの請求の進達の拒絶についての審査請求を却下され若しくは棄却され、第十四条第一項の規定による異議の申出を棄却され、又は前条の規定により登録若しくは登録換えを拒絶された者は、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができる。
②日本弁護士連合会が第十二条の規定による登録若しくは登録換えの請求の進達の拒絶についての審査請求若しくは第十四条第一項の規定による異議の申出を受けた後三箇月を経てもなお裁決若しくは第十四条第二項の処分をせず、又は登録若しくは登録換えの請求の進達を受けた後三箇月を経てもなお弁護士名簿に登録若しくは登録換えをしないときは、審査請求若しくは異議の申出をし、又は登録若しくは登録換えの請求をした者は、その審査請求若しくは異議の申出を棄却され、又は登録若しくは登録換えを拒絶されたものとみなし、前項の訴えを提起することができる。
③登録又は登録換えの請求の進達の拒絶に関しては、これについての日本弁護士連合会の裁決に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる。
日本弁護士連合会は、次に掲げる場合においては、弁護士名簿の登録を取り消さなければならない。
弁護士会は、所属の弁護士に弁護士名簿の登録取消の事由があると認めるときは、日本弁護士連合会に、すみやかに、その旨を報告しなければならない。
弁護士名簿の登録、登録換及び登録取消は、すみやかに、日本弁護士連合会から当該弁護士の所属弁護士会に通知し、且つ、官報をもつて公告しなければならない。
弁護士の事務所は、法律事務所と称する。
②法律事務所は、その弁護士の所属弁護士会の地域内に設けなければならない。
③弁護士は、いかなる名義をもつてしても、二箇以上の法律事務所を設けることができない。
但し、他の弁護士の法律事務所において執務することを妨げない。
弁護士が法律事務所を設け、又はこれを移転したときは、直ちに、所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。
弁護士は、所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則を守らなければならない。
弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。
但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
②弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
弁護士は、正当の理由がなければ、法令により官公署の委嘱した事項及び会則の定めるところにより所属弁護士会又は日本弁護士連合会の指定した事項を行うことを辞することができない。
弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。
ただし、第三号及び第九号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
弁護士は、受任している事件に関し相手方から利益を受け、又はこれを要求し、若しくは約束してはならない。
弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
弁護士は、係争権利を譲り受けることができない。
弁護士は、事件の依頼を承諾しないときは、依頼者に、すみやかに、その旨を通知しなければならない。
弁護士は、次の各号に掲げる場合には、あらかじめ、当該各号に定める事項を所属弁護士会に届け出なければならない。
②弁護士会は、前項の規定による届出をした者について、同項各号に定める事項を記載した営利業務従事弁護士名簿を作成し、弁護士会の事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。
③第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項に変更を生じたときは、遅滞なく、その旨を所属弁護士会に届け出なければならない。届出に係る業務を廃止し、又は届出に係る取締役等若しくは使用人でなくなつたときも、同様とする。
④弁護士会は、前項の規定による届出があつたときは、直ちに、営利業務従事弁護士名簿の記載を訂正し、又はこれを抹消しなければならない。
弁護士は、この章の定めるところにより、第三条に規定する業務を行うことを目的とする法人(以下「弁護士法人」という。)を設立することができる。
②第一条の規定は、弁護士法人について準用する。
弁護士法人は、その名称中に弁護士法人という文字を使用しなければならない。
弁護士法人の社員は、弁護士でなければならない。
②次に掲げる者は、社員となることができない。
弁護士法人は、第三条に規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる。
弁護士法人は、次に掲げる事務については、依頼者からその社員又は使用人である弁護士(以下この条において「社員等弁護士」という。)に行わせる事務の委託を受けるものとする。この場合において、当該弁護士法人は、依頼者に、当該弁護士法人の社員等弁護士のうちからその代理人、弁護人、付添人又は補佐人を選任させなければならない。
②弁護士法人は、前項に規定する事務についても、社員等弁護士がその業務の執行に関し注意を怠らなかつたことを証明しなければ、依頼者に対する損害賠償の責めを免れることはできない。
弁護士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
②前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
弁護士法人を設立するには、その社員になろうとする弁護士が、定款を定めなければならない。
②会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項の規定は、弁護士法人の定款について準用する。
③定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。
弁護士法人は、その主たる法律事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
弁護士法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。
弁護士法人は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によつて、定款の変更をすることができる。
②弁護士法人は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。
弁護士法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う。
弁護士法人の業務を執行する社員は、各自弁護士法人を代表する。
②前項の規定は、定款又は総社員の同意によつて、業務を執行する社員中特に弁護士法人を代表すべき社員を定めることを妨げない。
③弁護士法人を代表する社員は、弁護士法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
④前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
⑤弁護士法人を代表する社員は、定款によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
弁護士法人は、特定の事件について、業務を担当する社員を指定することができる。
②前項の規定による指定がされた事件(以下「指定事件」という。)については、指定を受けた社員(以下「指定社員」という。)のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。
③指定事件については、前条の規定にかかわらず、指定社員のみが弁護士法人を代表する。
④弁護士法人は、第一項の規定による指定をしたときは、指定事件の依頼者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
⑤依頼者は、その依頼に係る事件について、弁護士法人に対して、相当の期間を定め、その期間内に第一項の規定による指定をするかどうかを明らかにすることを求めることができる。この場合において、弁護士法人が、その期間内に前項の通知をしないときは、弁護士法人は、その後において、指定をすることができない。
ただし、依頼者の同意を得て指定をすることを妨げない。
⑥指定事件について、委任事務の結了前に指定社員が欠けたときは、弁護士法人は、新たな指定をしなければならない。その指定がされなかつたときは、全社員を指定したものとみなす。
⑦社員が一人の弁護士法人が、事件の依頼を受けたときは、その社員を指定したものとみなす。