土地収用法 第103条(危険負担)
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権利取得裁決又は明渡裁決があつた後に、収用し、若しくは使用すべき土地又は収用すべき物件が土地所有者又は関係人の責に帰することができない事由に因つて滅失し、又はき損したときは、その滅失又はき損に因る損失は、起業者の負担とする。
この条文の基本情報
危険負担とは何ですか?
定義危険負担とは、土地収用法第103条に定められた規定で、「権利取得裁決又は明渡裁決があつた後に、収用し、若しくは使用すべき土地又は収用すべき物件が土地所有者又は関係人の責に帰することができない事由に因つて滅失し、又はき…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第103条(危険負担)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第103条の条文原文は「権利取得裁決又は明渡裁決があつた後に、収用し、若しくは使用すべき土地又は収用すべき物件が土地所有者又は関係人の責に帰することができない事由に因つて滅失し、又はき…」で始まります。
- 土地収用法第103条は第七章 収用又は使用の効果に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第103条の前の条は土地収用法第102条の2です。
- 土地収用法第103条の次の条は土地収用法第104条です。
- 土地収用法第103条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第103条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第103条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/103
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法103条は、権利取得裁決または明渡裁決の後に、土地所有者等の責めに帰さない事由で土地や物件が滅失・損傷した場合、その損失を起業者の負担とする規定である。
Q · 収用の裁決が出た後に台風で土地が崩れたら、補償金は減らされるの?
落ち度がなければ減らない。損失は起業者負担
土地収用法103条により、権利取得裁決または明渡裁決の後に、土地所有者や関係人の責めに帰することができない事由(天災、第三者の放火・延焼など)で土地や物件が滅失・き損した場合、その損失は起業者が負担します。所有権が移る権利取得時期の前でも、危険は裁決時点で起業者に移っています。ただし所有者自身の失火や管理放置など帰責事由がある場合は保護されません。
解説
収用委員会の裁決書が届いてから、実際に土地や建物を明け渡すまでには、数か月の空白期間がある。その間に台風で崖が崩れたり、隣家からのもらい火で収用対象の物件が焼けたりしたら、補償金は減らされるのか。答えは「減らされない」である。土地収用法103条は、権利取得裁決(土地の権利を起業者、つまり道路やダムを造る国・自治体・事業者に移すと決める収用委員会の判断)または明渡裁決(いつまでに引き渡すかを決める判断)があった後に、あなたの責任ではない理由で土地や物件が滅失・損傷した場合、その損失は起業者が負担すると定める。まだ所有者として住んでいても、天災や第三者の行為によるリスクは、裁決の時点で起業者に移っている。ただし、あなた自身に原因がある場合は別である。たとえば不注意による失火や勝手な造成工事である。ここで守られるかどうかの分かれ目は、帰責事由(責任を負うべき落ち度)の有無にある。被災した直後に記録を残すかどうかで、補償金の満額を受け取れるかが決まる。
法的な位置づけ
土地収用法103条は、収用における危険負担を定める規定である。権利取得裁決または明渡裁決の後、収用・使用の対象となる土地または収用対象物件が、土地所有者または関係人の責めに帰することができない事由により滅失またはき損した場合、その損失を起業者に帰属させる。危険の移転時期を所有権移転時ではなく裁決時に置く点に特色がある。
手順
- 1.被災直後に現況を記録する 片付けや修繕に手を付ける前に、日付が分かる写真・動画で被害の範囲を記録する。周辺の状況や原因箇所(崩れた法面、延焼元など)も撮影しておく
- 2.原因を客観的に示す資料を集める 気象庁の気象記録、消防の火災原因判定、警察の被害届受理番号など、所有者に帰責事由がないことを示す公的資料を取得する
- 3.起業者へ書面で通知する 被災の事実と、土地収用法103条に基づき損失は起業者の負担であることを明記した書面を起業者に送付する。到達の記録が残る方法を選ぶ
- 4.減額・再算定の申し出には書面で回答する 現況調査への立会いには応じつつ、補償金の減額には同意しない旨を書面で残す。争いが続く場合は損失補償に関する訴え(133条)の期限を確認し弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1収用の危険負担とは何ですか?
収用対象の土地や物件が偶然の事由で失われた場合に、その損失を誰が負うかの問題です。土地収用法103条は、裁決後については起業者の負担と定めています。
Q2土地収用法103条はいつから適用されますか?
権利取得裁決または明渡裁決があった時点からです。所有権が移る権利取得時期(101条)を待たずに、危険が起業者側に移ります。
Q3収用予定の建物が放火されたら補償はどうなる?
第三者による放火は通常、所有者の責めに帰することができない事由にあたり、裁決後であれば損失は起業者負担です。被害届や消防の記録を確保しておくことが重要です。
Q4収用裁決後に起業者から補償額の再算定を求められたら応じるべき?
帰責事由のない滅失・損傷であれば、103条により損失は起業者負担のため、減額に応じる義務は原則ありません。回答は口頭ではなく書面で行いましょう。
Q5収用対象地の管理を放置していたら補償は減る?
管理の放置が滅失・損傷の原因と認定されると、帰責事由ありとして103条の保護を受けられない可能性があります。遠方の所有者は定期的な見回りや記録を残すと安心です。
Q6収用で抵当権が付いた土地が被災したら銀行はどうなる?
担保権は補償金の上に移ります(土地収用法104条)。103条で補償金の満額が維持されれば、抵当権者の回収額も守られることになります。
Q7収用補償金が払われないまま期限を過ぎたらどうなる?
起業者が権利取得時期までに補償金を払い渡さないと、裁決は失効します(土地収用法100条)。災害を理由に支払いを遅らせることは起業者にとってもリスクです。
Q8収用裁決に不服がある場合はどうすればいい?
裁決への審査請求は送達翌日から30日以内(130条)、損失補償に関する訴えは送達日から6か月以内(133条)が目安です。最新の条文を確認のうえ弁護士に相談しましょう。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁決が出た後の地震で家の塀が崩れました。補償金は減らされますか?
あなたに落ち度がなければ、減らされない。土地収用法103条により、裁決後に帰責事由なく生じた滅失・損傷の損失は起業者の負担になる。実務のポイント:起業者側が「現況調査をやり直したい」と持ちかけてくることがあるが、調査に応じることと減額に同意することは別の話である。調査には立ち会いながら、減額には同意しないという線引きを書面で残しておくと、後で揉めない
Q2自分で起こした小さな火事でも、起業者が負担してくれるんですか?
自分の責任による滅失・損傷は103条の対象外になり、その損失はあなたが負担する可能性が高い。どの程度の不注意が「責に帰すべき事由」にあたるかは、実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:失火責任法の「重過失がなければ責任なし」という基準は他人に対する賠償の場面の話であり、ここにそのまま持ち込めるとは限らない。原因調査の記録が決め手になるので、消防の判定書は必ず取得しておく
Q3裁決の前に壊れた場合はどうなりますか?
103条は裁決後の滅失・損傷についての規定であり、裁決前の被害には適用されない。裁決前であれば、損失補償は裁決時の現況を基準に算定されるのが原則である(71条の価格固定の仕組みとの関係にも注意が必要)。実務のポイント:審理中に被災した場合は、すぐに収用委員会へ現況の変化を意見書として出しておく。後から「最初からこの状態だった」と扱われるのを防ぐことができる
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の名義のうちに燃えたのだから、自分の損になる」と考えて、減額の打診にそのまま応じてしまう所有者がいる。しかし103条は、名義ではなく裁決の有無を基準にして危険の帰属を決めている。裁決後であれば、帰責事由のない滅失や損傷による損失は起業者の負担である
- 103条があるから何が起きても安全だと思うのは危うい。条文の保護は「責に帰することができない事由」に限られる。管理の放置、許可のない形質変更(事業認定告示後は土地収用法28条の3により知事の許可が必要)、自分の失火などが原因だと認定されれば、保護の外に出る。立証が弱ければ、事実上不利な立場に置かれる
- 所有者から見れば「裁決から明渡しまではまだ自分の土地」である。しかし法律から見れば、その期間は起業者のリスクで保管している状態に近い。このずれに気付かないまま、損傷を自分で直して費用を負担したり、被害の記録を残さずに放置したりする人が多い。条文の文言上、対象は「収用し、若しくは使用すべき土地又は収用すべき物件」であり、移転対象の建物(77条)にまで及ぶかどうかは要検討で、実務上の扱いも一様ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 103条:裁決後の滅失・き損による損失の帰属(危険負担) | 101条:権利取得時期における権利の取得・消滅 102条:明渡期限までの土地・物件の引渡し・移転義務 |
| 基準となる時点 | 権利取得裁決または明渡裁決があった時 | 裁決で定めた権利取得時期 裁決で定めた明渡しの期限 |
| 所有者側の立場 | 帰責事由がなければ偶然の損失を負わない | 権利取得時期に所有権を失う 期限までに引き渡す義務を負う |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾では補償費の発給完了をもって被徴収者の権利義務が終止する構成をとり、日本のように裁決時に危険を移す明文規定とは構造が異なる
韓国は土地収用委員会の裁決後、所有者・関係人の故意・過失なく滅失・毀損した損失を事業施行者負担とする規定を置き、日本の103条と同型である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 裁決から2か月後、明渡期限の前に豪雨で裏山が崩れ、収用予定の宅地の一部が土砂に埋まった。起業者の担当者から「現況が変わったので補償額を再算定したい」と連絡が来た。この申し出に応じる必要はあるのか?
- 隣家からの延焼で、収用対象の物置と庭木が焼けた。あなたに落ち度はない。損失は起業者の負担になる
- あなたは公共事業を担当する自治体職員だ。明渡裁決の後、対象地の擁壁が地震でひび割れた。所有者は「修繕もしないし、補償も満額で」と主張している。103条を読み違えると、議会への説明で詰まることになる
- 権利取得時期まであと10日という時点で、収用対象の建物に何者かが放火した。補償金の払渡し期限も迫っている。被害届、写真、消防の火災原因の記録を今週中に揃えておかないと、「所有者の管理不備」という反論に対抗できない
- 相続した山林が収用されることになった。遠方に住むあなたは現地をほとんど見ていない。裁決後に不法投棄で土地が荒らされた場合、管理を怠ったことが帰責事由にあたるかどうかが争点になりうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず被害の現況を、日付が分かる写真・動画で記録する。片付けや修繕は記録を取った後にする2. 原因を客観的に示す資料を集める(気象記録、消防の火災原因判定、警察の被害届受理番号) 3. 起業者に書面で被災を通知し、103条に基づいて損失は起業者負担であることを明記する4. 減額や再算定の申し出には口頭で同意せず、書面で回答する5. 争いになったら、損失補償に関する訴え(133条)を視野に入れて弁護士に相談する
訴えられた側:起業者側の場合:1. 裁決日と被災日の先後を確認する。裁決前であれば103条は適用されない2. 所有者・関係人の帰責事由(管理放置、無許可の形質変更、失火)を示す資料が客観的に存在するかを検証する3. 帰責事由がなければ、満額払渡しを前提に予算を組み直す。補償金の払渡しが権利取得時期までに間に合わなければ、裁決が失効する(100条)ため、払渡しを遅らせて争うのは得策ではない
時効(請求できる期限):103条自体に時効はない。ただし起業者は権利取得時期までに補償金を払い渡す必要があり(95条)、払い渡さなければ裁決は失効する(100条)。裁決への審査請求は裁決書正本の送達を受けた日の翌日から30日以内(130条)、損失補償に関する訴えは送達を受けた日から6か月以内(133条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:103条は民法の危険負担法理の特則であり、強制的に権利を奪われる所有者に裁決後の偶然の損失を負わせないことで、憲法29条3項の正当な補償を実質的に確保する趣旨と解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:現行土地収用法(昭和26年法律第219号)の制定により、裁決後の滅失・き損による損失を起業者負担とする規定が置かれた
- 土地収用法 第95条権利取得時期までの補償金払渡義務
- 土地収用法 第100条補償金不払いによる裁決の失効
- 土地収用法 第101条権利取得時期の所有権移転
- 土地収用法 第102条明渡期限までの引渡し義務
- 土地収用法 第104条担保物権の補償金への物上代位
- 民法 第567条売買の危険移転、任意買収時の基準
- 民法 第536条危険負担の一般原則、履行拒絶権
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