土地収用法 第83条(耕地の造成)
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- 土地所有者又は関係人は、前条第一項の規定による要求をする場合において、収用される土地が耕作を目的とするものであるときは、その要求にあわせて、収用される土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金に代る範囲内において、同条第七項の規定の趣旨により、替地となるべき土地について、起業者が耕地の造成を行うことを収用委員会に要求することができる。
- 2.収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、権利取得裁決において工事の内容及び工事を完了すべき時期を定めて、耕地の造成による損失の補償を替地による損失の補償にあわせて裁決することができる。
- 3.前項の場合において、起業者が国以外の者であるときは、収用委員会は、必要があると認めるときは、同時に起業者が耕地の造成のための担保を提供しなければならない旨の裁決をすることができる。
- 4.前項の規定による担保は、収用委員会が相当と認める金銭又は有価証券を供託することによつて、提供するものとする。
- 5.起業者が工事を完了すべき時期までに工事を完了しないときは、土地所有者又は関係人は、収用委員会の確認を得て前項の規定による担保の全部又は一部を取得する。この場合において、起業者は、収用委員会の確認を得て耕地の造成による損失の補償の義務を免かれるものとする。
- 6.起業者は、工事を完了したときは、収用委員会の確認を得て第四項の規定による担保を取りもどすことができる。
- 7.前二項の規定による担保の取得及び取りもどしに関する手続は、国土交通省令で定める。
この条文の基本情報
耕地の造成とは何ですか?
定義耕地の造成とは、土地収用法第83条に定められた規定で、「土地所有者又は関係人は、前条第一項の規定による要求をする場合において、収用される土地が耕作を目的とするものであるときは、その要求にあわせて、収用される土地又はそ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第83条(耕地の造成)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第83条の条文原文は「土地所有者又は関係人は、前条第一項の規定による要求をする場合において、収用される土地が耕作を目的とするものであるときは、その要求にあわせて、収用される土地又はそ…」で始まります。
- 土地収用法第83条は第一節 収用又は使用に因る損失の補償に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第83条の前の条は土地収用法第82条です。
- 土地収用法第83条の次の条は土地収用法第84条です。
- 土地収用法第83条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第83条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第83条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/83
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法83条は、耕作目的の土地が収用される場合、替地要求とあわせて、補償金に代わる範囲内で起業者に耕地の造成を行わせるよう収用委員会に要求できると定める。
Q · 田んぼを収用されるとき、お金じゃなくて耕せる畑を用意してもらえるの?
替地要求とあわせれば、補償金の範囲内で耕地造成を求められる
土地収用法83条により、収用される土地が耕作目的であれば、82条の替地要求とあわせて、起業者に替地を耕地として造成させるよう収用委員会に要求できます。造成は補償金に代わる範囲内に限られ、委員会が相当と認めれば権利取得裁決で工事内容と完了時期を定めます。起業者が国以外なら担保の供託を命じることができ、期限までに工事が終わらなければ委員会の確認を得て担保を取得できますが、その時点で起業者の造成義務は消えます。
解説
ダムや高速道路のために田畑を収用されるとき、受け取れるのは現金だけだと多くの農家は思い込んでいる。だが土地収用法には、お金の代わりに土地を受け取る「替地」(82条)という仕組みがある。本条はそこからさらに踏み込む。収用される土地が耕作用なら、替地の要求とあわせて、起業者(事業を行う国・自治体・電力会社など)にその替地を耕せる農地として造成させるよう、収用委員会(都道府県に置かれ、補償の内容を決める中立の機関)に求めることができるのだ。ただし、造成は本来の補償金に代わる範囲内に限られる。委員会が相当と認めれば、権利取得裁決(土地の権利が起業者に移る決定)の中で工事内容と完成期限まで決める。起業者が国以外なら、工事の担保として金銭や有価証券の供託を命じることもできる。期限までに工事が終わらなければ、あなたは委員会の確認を得て、その担保を受け取れる。何も言わなければ現金で終わる。要求すれば、来年も耕せる畑が残るかもしれない。
法的な位置づけ
土地収用法83条は耕地の造成による損失補償を定める規定であり、収用される土地が耕作を目的とするものである場合に、土地所有者又は関係人が82条の替地要求にあわせて、補償金に代わる範囲内で、替地となるべき土地について起業者が耕地の造成を行うことを収用委員会に要求できる旨を定める。金銭補償原則(70条)に対する現物補償の一類型である。
手順
- 1.耕作目的であることの資料をそろえる 収用される土地が耕作を目的とするものであることを示すため、耕作実績、水利権、営農計画、農地台帳の写しなどを準備する
- 2.替地要求と耕地造成要求をあわせて提出 82条による替地の要求と同時に、83条による耕地造成の要求を収用委員会へ提出する。造成要求は替地要求とあわせて行う必要があり、単独では出せない
- 3.造成の具体案を審理で示す 造成候補地、水利、土壌、工事内容、完了時期の希望を具体的に示し、補償金に代わる範囲内に収まることを説明して、委員会が相当と判断できる材料をそろえる
- 4.担保の供託と額を確認する 起業者が国以外の者であれば担保の供託を命じる裁決を求め、担保額が造成費用や物価上昇リスクを賄える水準かを審理で争点にする
よくある質問 AI による整理
Q1土地収用法の耕地の造成とは何ですか?
収用される田畑の代わりに受け取る替地を、起業者の負担で耕作できる農地に整備させる補償方法です。土地収用法83条が根拠で、補償金に代わる範囲内に限られます。
Q2耕地の造成はどんな土地なら要求できる?
収用される土地が耕作を目的とするもの(田・畑など)である場合に限られます。宅地の場合は86条の宅地の造成という別の規定が用意されています。
Q3耕地の造成の要求は誰に出す?
起業者ではなく収用委員会に対して要求します。82条の替地要求とあわせて出す必要があり、委員会が相当と認めれば権利取得裁決の中で定められます。
Q4耕地の造成の要求はいつまでにする?
権利取得裁決で造成の内容が定められるため、収用委員会の審理が終わり裁決が出る前に要求する必要があります。具体的な時期は審理日程を確認してください。
Q5起業者が造成工事を終わらせなかったらどうなる?
完了時期までに工事が終わらない場合、収用委員会の確認を得て供託された担保の全部又は一部を取得できます。ただしその時点で起業者は造成による補償義務を免れます。
Q6国が起業者でも担保を出させられる?
出させられません。担保の提供を命じる裁決は、起業者が国以外の者である場合に限って認められています(83条3項)。自治体や電力会社などが対象です。
Q7耕地の造成を要求すると税金はどうなる?
替地による取得は交換処分等の特例、現金補償は5,000万円特別控除が問題となり、原則として併用できません。受け取り方で税額が変わりうるため税理士への事前確認が必要です。
Q8収用の補償額に不服があるときはどうする?
損失補償に関する不服は審査請求の理由にできず、裁決書の送達を受けた日から6か月以内に損失補償に関する訴えを起こす必要があります(133条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1替地はいらないけど、今持ってる別の土地を畑にしてほしい、っていうのはアリですか?
条文上、耕地の造成は替地となるべき土地について行うもので、82条の替地要求にあわせて出すことが前提である。手元の別の土地の整備を求めたい場合は、起業者に工事を代行させる84条などの別の仕組みを検討することになる。実務のポイント:用地交渉の現場では、裁決に頼らず任意買収の段階で代替地のあっせんや造成を条件に盛り込む交渉が行われることが多い。裁決前の任意交渉の方が柔軟に動ける
Q2工事が遅れて担保をもらったら、それで終わりなんですか?
本条5項によると、所有者等が担保を取得すると、起業者は耕地の造成による損失補償の義務を免れる。つまり担保が事実上の最終清算になる。実務のポイント:担保の額は収用委員会が相当と認める額で決まるため、審理の段階で造成費用の見積りや物価上昇リスクを示し、担保額を十分な水準にしておくことが後々の損失を防ぐ。国が起業者の場合は、そもそも担保の規定がない(3項)
間違えやすい点 AI による整理
- 「収用されたら補償は現金のみ」と思われがちだが、補償は金銭が原則でありつつも、82条から86条までの裁決があればその例外が認められる(70条ただし書)。替地も耕地の造成も、法律が正式に用意したメニューである
- 担保があれば安心だと思うのは早い。工事が完成しなかったとき、所有者は担保を取得できるが、同時に起業者は造成による補償の義務を免れる(5項)。担保の額がそのまま最終的な取り分の上限になりうるため、担保額をいくらに設定するかこそが本当の勝負どころになる
- 「どんな土地でも造成を頼める」という問い方自体が誤っている。対象は収用される土地が耕作目的である場合に限られ、宅地には別に86条(宅地の造成)がある。さらに造成は補償金に代わる範囲内に限られるため、補償額を超える立派な農地を要求することはできない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 補償の形 | 83条:替地を耕作できる農地として造成させる | 82条:金銭の代わりに替地を受け取る 86条:替地を宅地として造成させる |
| 要求できる前提 | 収用される土地が耕作目的で、82条の替地要求とあわせて行う | 土地所有者又は関係人が収用委員会に替地を要求する 宅地として利用される土地の収用に関する要求 |
| 金銭補償との関係 | 補償金に代わる範囲内に限られる | 70条の金銭補償原則の例外として認められる 70条の金銭補償原則の例外として認められる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では区段徴収において、現金補償の代わりに整備後の土地(抵價地)を受け取る仕組みがあり、土地による補償という発想が日本の替地と近い
韓国は現金補償を原則としつつ、一定の要件で事業区域内の土地で補償する代土補償を認めている
ドイツ建設法典は、農業経営の維持に土地が必要な場合などに土地による補償(Entschädigung in Land)を認めており、営農継続への配慮という点で本条と目的が重なる
米国は金銭補償が中心で、移転支援によって生活再建を図る。造成した農地を現物で提供する制度は一般的でない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 県道の拡幅で、祖父の代から続く水田の半分が収用対象になった。用地担当者は補償金額の説明しかしない。替地も耕地の造成も、あなたが自分から要求しなければ議題にすらならない
- 収用委員会の審理が来月に迫っている。替地の要求と耕地造成の要求は「あわせて」出すものであり、造成だけを後から単独で持ち出すことはできない。意見書をまとめる時間は、あと数週間しか残っていない
- もし起業者が工事の完成期限を過ぎても造成を終えなかったら、どうなる? 委員会の確認を得て供託された担保を取得できる。ただしその瞬間、起業者は造成義務から解放される。担保の額が造成費用に届いていなければ、差額はあなたが被ることになりかねない
- あなたは電力会社の用地部門にいる。地権者が耕地の造成を要求してきた。国ではない起業者として、担保の供託を命じられる可能性を見込んだ資金計画と工程表を、裁決前に用意しておく必要がある
- 隣の集落の人から「現金でもらった方が楽だよ」と言われた。だが近所で同じ条件の農地は、もう売りに出ていない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 収用される土地が耕作目的であることを示す資料(耕作実績、水利権、営農計画)をそろえる2. 82条による替地の要求と同時に、本条による耕地造成の要求を収用委員会へ出す。単独では出せない3. 造成候補地、工事内容、完成時期の希望を具体的に示す4. 起業者が国以外なら担保の供託を求め、造成費用を賄える額かを確認する5. 税務上の影響を税理士に事前確認する
訴えられた側:起業者側の対応:1. 造成要求が補償金に代わる範囲内に収まっているか、費用を積算して検証する2. 適地の有無、農地としての造成の可否を技術的に評価し、相当性について意見を述べる3. 担保の供託を命じられる可能性を見込み、資金と工程を準備する4. 完成後は委員会の確認を得て担保を取り戻す(6項)。期限を守れないと担保を失い、地権者との関係も悪化する
時効(請求できる期限):要求は収用委員会の審理を経て権利取得裁決が出る前に出す必要がある(具体的な提出期限は事案の審理日程を要確認)。裁決への審査請求は裁決書正本の送達を受けた日の翌日から30日以内(130条)、ただし損失補償に関する不服は審査請求の理由にできない(132条2項)。損失補償に関する訴えは送達日から6か月以内、取消訴訟は3か月以内(133条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
完全補償説:憲法29条3項の正当な補償は、収用される財産の客観的価値を全額補償するものと解する立場。土地収用法上の補償については最高裁もこの考え方を示しており、替地や耕地造成はその実現手段となる
相当補償説:正当な補償は、その時代の社会通念に照らして合理的に算出された相当な額であれば足りるとする立場。農地改革をめぐる議論で示されたが、個別の公共事業による収用では完全補償が基本とされる
改正沿革 AI による整理
- 昭和26年(1951年) 現行土地収用法の制定時に、替地・工事代行・宅地造成と並ぶ現物補償の一類型として設けられたとみられる(要確認)
- 平成11年(1999年)公布、平成13年(2001年)施行の中央省庁等改革関係の改正 第7項の委任先が「建設省令」から「国土交通省令」へ改められたとみられる(改正の経緯は人的検証が必要)
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:現行土地収用法(昭和26年法律第219号)の制定。替地・工事代行・宅地造成などと並ぶ現物補償の規定群が整備された
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