土地収用法 第84条(工事の代行による補償)
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- 第七十五条の場合において、起業者、土地所有者又は関係人は、補償金の全部又は一部に代えて、起業者が当該工事を行うことを収用委員会に要求することができる。
- 2.収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、明渡裁決において工事の内容及び工事を完了すべき時期を定めて、工事の代行による損失の補償の裁決をすることができる。
- 3.前条第三項から第七項までの規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項及び第五項中「耕地の造成」とあるのは、「工事の代行」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
工事の代行による補償とは何ですか?
定義工事の代行による補償とは、土地収用法第84条に定められた規定で、「第七十五条の場合において、起業者、土地所有者又は関係人は、補償金の全部又は一部に代えて、起業者が当該工事を行うことを収用委員会に要求することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第84条(工事の代行による補償)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第84条の条文原文は「第七十五条の場合において、起業者、土地所有者又は関係人は、補償金の全部又は一部に代えて、起業者が当該工事を行うことを収用委員会に要求することができる。」で始まります。
- 土地収用法第84条は第一節 収用又は使用に因る損失の補償に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第84条の前の条は土地収用法第83条です。
- 土地収用法第84条の次の条は土地収用法第85条です。
- 土地収用法第84条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第84条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第84条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/84
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法84条は、残地工事が必要なとき補償金に代えて起業者に工事をさせるよう収用委員会に要求できると定める。委員会が相当と認めれば裁決で工事内容と完了時期を定める。
Q · 土地収用で残った土地に擁壁が必要なとき、補償金ではなく役所に工事してもらえるの?
相当と認められれば、補償金の代わりに起業者に工事させられる
土地収用法84条により、残地に通路や擁壁などの工事が必要となる75条の場面では、補償金の全部又は一部に代えて、起業者自身が工事を行うよう収用委員会に要求できます。要求は土地所有者・関係人だけでなく起業者からも出せます。収用委員会が相当と認めた場合に限り、明渡裁決で工事の内容と完了時期を定めて工事代行の補償が裁決されます。完了しない場合の扱いは83条3項以下が準用されます。
解説
土地収用の補償は「金額をいくらにするか」の交渉だと思われがちだが、土地収用法84条には別の選択肢がある。道路拡幅で敷地の一部が削られ、残った土地に擁壁や通路、車庫の出入口を作り直す必要が出たとする。これは75条の残地工事費の補償の場面である。このとき、あなたは補償金の全部または一部の代わりに、起業者(事業を行う国・自治体・鉄道会社など)自身に工事をさせるよう、収用委員会に求めることができる。お金を受け取って自分で業者を探すと、見積もりの取り直し、工期の遅れ、工事中の資材高騰といったリスクをすべて自分で抱えることになる。工事代行の裁決なら、工事内容と完了時期が裁決書に書き込まれ、費用が膨らんでも負担するのは起業者側になる。ただし、収用委員会が「相当」と認めた場合に限られる。また、この要求は起業者の側から出すこともできる。どちらが言い出したかで、工事の中身を誰が主導するかが変わる。
法的な位置づけ
工事の代行とは、土地収用法84条に基づき、収用後の残地について通路・溝・垣その他の工作物の新築や盛土・切土等の工事が必要となる場合に、補償金の全部又は一部に代えて起業者自身が当該工事を施行する現物補償の一形態である。収用委員会が要求を相当と認めたとき、明渡裁決において工事の内容と完了時期を定めて裁決される。
手順
- 1.残地に必要な工事を洗い出す 収用後に残る土地で必要になる擁壁・通路・排水・出入口の段差解消などを列挙し、写真と簡易図面で現況を記録する
- 2.自分で発注した場合の見積もりを複数取る 地元業者から見積もりと工期を複数取り、起業者の補償額提示と比べる。不足額や工期の遅れが見込まれるかを確認する
- 3.収用委員会に工事代行を書面で要求する 審理中、明渡裁決前に、土地収用法84条に基づく工事代行を書面で要求する。施工の難しさや起業者の本体工事と一体で施工する必要性など、相当性の根拠を添える
- 4.工事仕様と完了時期の具体案を提出する 裁決書にそのまま書けるよう、工事の仕様と「令和○年○月○日まで」といった日付での完了時期を具体案として示す
- 5.裁決後の期限を管理する 裁決内容に不服がある場合は、裁決書正本の送達から6か月以内に損失補償に関する訴えを提起する。審査請求に時間を費やさない
よくある質問 AI による整理
Q1土地収用の工事代行とは?
残地に擁壁や通路などの工事が必要なとき、補償金の代わりに起業者自身に工事をさせる現物補償です。土地収用法84条が根拠で、収用委員会の裁決が必要です。
Q2工事代行は誰が要求できる?
土地所有者と関係人のほか、起業者も要求できます(土地収用法84条1項)。どちらが言い出したかで、工事仕様の主導権が変わりやすい点に注意が必要です。
Q3工事代行の要求はいつまでにすればいい?
収用委員会の審理中、明渡裁決が出るまでに行う必要があります。裁決は明渡裁決で工事内容を定めるため、審理の進み具合を委員会に確認してください。
Q4補償金の一部だけ工事代行にできる?
できます。条文は「補償金の全部又は一部に代えて」と定めており、擁壁は工事代行、その他は金銭といった組み合わせも可能です。
Q5工事代行の要求は必ず認められる?
認められるとは限りません。収用委員会が「相当である」と認めた場合に限られるため、金銭では損失が埋まらない理由を具体的に示す必要があります。
Q6残地の擁壁工事費は補償される?
土地収用法75条により、残地に通路・溝・垣などの工作物や盛土・切土が必要になる場合、その工事費が補償されます。84条はこれを現物で受ける道です。
Q7工事代行の裁決書には何が書かれる?
工事の内容と工事を完了すべき時期が定められます(84条2項)。日付や仕様を具体的に書かせることが、後の実効性を左右します。
Q8工事代行の内容に不服なら審査請求できる?
補償への不服は審査請求の理由にできません(土地収用法132条)。裁決書正本の送達から6か月以内に損失補償に関する訴えで争います(同133条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1補償金をもらって自分で工事した方が、余った分が手元に残って得じゃないですか?
安く工事できるならその通りです。ただし工事費が見積もりより膨らめば、不足分は自分の負担になります。工事代行(土地収用法84条)なら、費用が増えたときに負担するのは起業者です。実務のポイント:起業者が本体工事と一緒に施工すると、重機の運搬費や現場の管理費が重ならないため、個人が単独で発注するより安く早く済むことが多いです。差額をうまく取れると見込んで金銭を選ぶ前に、地元業者の実際の見積もりと工期を必ず確認してください
Q2工事代行を頼んだのに、約束の時期になっても工事が終わらなかったら?
84条3項で83条3項以下の規定が準用され、工事が完了しない場合の扱いもそこに置かれています。前提になるのは、裁決書に完了時期がはっきり書かれていることです(84条2項)。実務のポイント:完了時期が「本体工事完了後速やかに」のようなあいまいな書き方だと、遅れを問題にするのが難しくなります。審理の段階で「令和○年○月○日まで」と日付で書くよう求めておくことが、後の交渉材料になります
Q3裁決で決まった工事の内容に納得できない場合、どこで争えますか?
工事代行による補償も損失補償の一種なので、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内に、損失の補償に関する訴えを提起して争います(土地収用法133条)。審査請求では補償への不服を理由にできない点に注意が必要です(同132条)。実務のポイント:争い方を誤って審査請求に時間を使い、訴えの期限を過ぎてしまうケースがあります。補償に関する不服は訴訟で争う、と最初に整理しておくことが大切です
間違えやすい点 AI による整理
- 「補償はお金で受け取るもの」と思い込んでいる人は多い。法律は金銭補償を原則としつつ(土地収用法70条)、替地、耕地の造成、工事の代行、移転の代行、宅地の造成という現物補償の道を例外として用意している。問題は金額の多い少ないだけではない。どの形で受け取るかという問いを持たずに交渉すること自体が、出発点の誤りである
- 工事代行を求めれば必ず認められると思われがちだが、条文は「相当であると認めるとき」に限っている。要求するだけでは足りない。補償金では損失を埋められない理由として、施工の難しさ、起業者の工事と一体で施工する必要性、工期の問題などを示して、収用委員会を納得させる必要がある
- 裁決で工事代行が認められても、まだ安心はできない。完了時期の定めがあいまいなら、工事が後回しにされても打つ手が乏しい。裁決には工事の内容と完了時期を必ず定めるよう条文自体が求めている(84条2項)。その記載をどこまで具体的にできるかで、のちの実効性が決まる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 補償の形 | 84条:起業者が残地の工事を代行(現物補償) | 70条:金銭補償が原則 83条:耕地の造成(現物補償) |
| 対象となる場面 | 75条の残地工事費の補償が問題となる場合 | 収用・使用による損失全般 収用される土地が耕地である場合 |
| 裁決の要件 | 要求+収用委員会が相当と認めること、工事内容と完了時期を定める | 補償額を算定して裁決 要求+相当性、造成工事の内容と完了時期を定める |
| 未完了時の扱い | 83条3項から7項を準用(読替え:工事の代行) | 支払・供託の問題として処理 83条3項以下が直接適用 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は徵收補償を原則として金銭で行い、残余地については面積過小などの場合に一併徵收を請求できる仕組みを持つ。起業者による工事代行を正面から定める制度は日本ほど明確ではない
韓国も残地の損失と工事費の補償を規定し、現金補償を原則とする点で日本と近い構造を持つ
ドイツは金銭補償を原則としつつ、土地による補償(Entschädigung in Land)を認める。現物補償の発想は日本と共通する
米国は just compensation を金銭で支払うのが基本で、移転支援は連邦の Uniform Relocation Act が別途規律する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 県道の拡幅で自宅前の土地が2メートル削られ、残った敷地と道路の間に1メートルの段差ができる。補償金の提示は擁壁工事費として300万円だった。ところが地元の工務店に見積もりを頼むと半年待ちで、金額は380万円。差額の80万円と半年の不便を自分でかぶるか、県に工事させるかで迷っている
- もし起業者の側から「補償金の代わりにこちらで工事をします」と申し出てきたら、どうなる? 断れないわけではない。ただ、工事の内容や仕様を起業者が決めることになりやすい。あなたが希望する仕様を、裁決で定める工事内容に盛り込ませられるかどうかが勝負になる
- 田んぼの真ん中を新しいバイパスが横切り、用水路が分断された。自分で水路を付け替えようにも、道路の下をくぐらせる工事は個人では手配できない。起業者が道路工事と一緒に施工するのが現実的な唯一の道である
- 収用委員会の審理が来月で終わる。明渡裁決が出てしまえば、補償の形を金銭から工事代行に切り替えるのは難しくなる。要求を出すなら今週中である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 収用で残る土地に必要な工事(擁壁、通路、排水、出入口の段差解消など)を洗い出し、写真と図面で記録する2. 自分で発注した場合の見積もりを複数取り、補償額の提示と比べる3. 自分で発注するのが難しい、または不利だと分かったら、収用委員会の審理中に84条に基づく工事代行を書面で要求する4. 工事の仕様と完了時期の具体案を添え、裁決にそのまま書かれるよう求める5. 一部を金銭、一部を工事代行とする組み合わせも検討する。税務上の扱いが金銭補償と異なることがあるため、税理士にも確認する
訴えられた側:起業者の立場では、1. 土地所有者からの要求があったら、本体工事と一体で施工できるか、費用の見通しはどうかを早めに検討する2. 相当性を争うなら、金銭補償で十分に損失を埋められる根拠を見積もりで示す3. 工事代行の裁決が出た場合、定められた完了時期を守れる工程を組む。遅れた場合の扱いには83条3項以下が準用されるため、事前に確認しておく4. 起業者の側から工事代行を要求し、施工の主導権を握る選択肢もある
時効(請求できる期限):工事代行の要求は、収用委員会の審理中、明渡裁決が出るまでに行う必要がある(具体的な期限は審理の進み具合によるため、収用委員会に確認すること)。裁決の補償内容に不服がある場合は、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内に損失の補償に関する訴えを提起する(土地収用法133条。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:土地収用法の補償は金銭補償が原則(70条)だが、金銭では実質的に損失を回復できない場面に備え、替地・耕地造成・工事代行などの現物補償が例外として認められている。工事代行は残地工事費補償(75条)を現物で給付するものと理解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:現行土地収用法の制定とともに、現物補償の一類型として工事の代行が規定された
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