環境基本法 第22条(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)
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- 国は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。)を行う者がその負荷活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため、その負荷活動を行う者にその者の経済的な状況等を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
- 2.国は、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すことによりその者が自らその負荷活動に係る環境への負荷の低減に努めることとなるように誘導することを目的とする施策が、環境の保全上の支障を防止するための有効性を期待され、国際的にも推奨されていることにかんがみ、その施策に関し、これに係る措置を講じた場合における環境の保全上の支障の防止に係る効果、我が国の経済に与える影響等を適切に調査し及び研究するとともに、その措置を講ずる必要がある場合には、その措置に係る施策を活用して環境の保全上の支障を防止することについて国民の理解と協力を得るように努めるものとする。この場合において、その措置が地球環境保全のための施策に係るものであるときは、その効果が適切に確保されるようにするため、国際的な連携に配慮するものとする。
この条文の基本情報
環境の保全上の支障を防止するための経済的措置とは何ですか?
定義環境の保全上の支障を防止するための経済的措置とは、環境基本法第22条に定められた規定で、「国は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 環境基本法第22条(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)は、日本の環境基本法に含まれる条文です。
- 環境基本法第22条の条文原文は「国は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。」で始まります。
- 環境基本法第22条は第五節 国が講ずる環境の保全のための施策等に置かれています。
- 環境基本法の公布日は平成5年11月19日です。
- 環境基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 環境基本法第22条の前の条は環境基本法第21条です。
- 環境基本法第22条の次の条は環境基本法第23条です。
- 環境基本法第22条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第22条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000091 - 本サイト収録
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第22条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/405AC0000000091/22
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点環境基本法22条は、環境負荷を減らす事業者への経済的助成と、負荷に応じた経済的負担による誘導を、国の努力義務として定める。個々の事業者に補助の請求権は生じない。
Q · 環境基本法22条があれば、国に環境設備の補助金を出してもらえるの?
国の努力義務なので、補助金の請求権は生まれない
環境基本法22条1項は、環境負荷を減らす設備を整備する事業者に対し、国がその経済状況を勘案して経済的な助成を行うよう「努めるものとする」と定めています。努力義務であるため、個々の事業者が本条を根拠に補助の交付を請求することはできません。実際に補助を受けられるかどうかは、各予算事業の交付要綱と、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づく交付決定によって決まります。
解説
ガソリンを1リットル入れるたび、あなたは約0.76円の「温暖化対策税」を払っている。レシートには載らない。2012年10月から石油石炭税に上乗せされ、原油や石炭を輸入する段階ですでに課されているからだ。その政策上の出発点が環境基本法22条である。1項は「アメ」にあたる。汚染や CO2を減らす設備を入れる事業者に対し、その経済状況を考えながら補助・融資・税制優遇を用意するよう、国は努める。2項は「ムチ」にあたる。環境負荷に応じた負担を課して自発的な削減を促す手法について、国は効果と経済への影響を調査研究し、国民の理解を得るよう努める。どちらも「努める」止まりなので、あなたが国に補助金を請求する権利は生まれない。ただし裏を返せば、国は負担を課す前に、経済への影響を調べて説明する責任を自ら負っている。補助金の公募要領を読むときも、炭素賦課金のニュースを見るときも、同じ一本の糸でつながって見えるようになる。
法的な位置づけ
環境基本法22条は、環境保全のための経済的措置を定める規定である。1項は負荷活動を行う者の負荷低減措置を助長するための経済的な助成を、2項は適正かつ公平な経済的負担を課して自主的な負荷低減を誘導する施策に関する効果・経済影響の調査研究と国民の理解の獲得を、いずれも国の努力義務として定める。
よくある質問 AI による整理
Q1環境基本法22条とは?
環境負荷を減らす事業者への経済的助成(1項)と、負担を課して自主的な削減を誘導する経済的措置(2項)を定めた条文です。いずれも国の努力義務です。
Q2地球温暖化対策税 いくら?
CO2 1トンあたり289円相当です。石油なら1キロリットルあたり760円(1リットル約0.76円)が石油石炭税に上乗せされています。
Q3地球温暖化対策税 いつから?
2012年10月に導入され、3段階で引き上げられて2016年4月に最終税率に達しました。それ以降、税率は据え置かれています。
Q4カーボンプライシングとは?
CO2の排出に価格をつけて削減を促す手法の総称です。炭素税、排出量取引、賦課金などがあり、22条2項がいう経済的負担による誘導の典型例です。
Q5省エネ補助金 発注前に申請しないとダメ?
多くの補助事業は、交付決定より前に契約・発注した経費を対象外としています。公募要領で着手可能日を確認してから発注するのが安全です。
Q6GX 推進法の化石燃料賦課金 いつから?
2028年度から、化石燃料の輸入事業者等に課される予定です。制度の細部は今後の政省令等で定まるため、最新の改正状況をご確認ください。
Q7環境税は憲法違反にならない?
租税には憲法84条により法律の根拠が必要です。地球温暖化対策税は租税特別措置法に基づいており、22条自体は政策の方向性を示す規定にとどまります。
Q8汚染者負担原則とは?
汚染の防止や回復の費用は原因者が負担すべきとする原則です。OECD が1972年に勧告し、環境基本法37条の原因者負担などに反映されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1環境税って、日本にもう本当にあるんですか?
ある。2012年10月から「地球温暖化対策のための税」が石油石炭税に上乗せされ、CO2 1トンあたり289円相当が課されている(租税特別措置法)。環境基本法22条2項がいう経済的誘導の代表例である。実務のポイント:税率は2016年4月に満額に達して以降据え置かれており、次の負担増は税ではなく GX 推進法の賦課金と排出量取引という別ルートでやって来る。見出しに「増税」の文字が出ない分、気付くのが遅れやすい
Q222条を根拠に、国に補助金を出せって言えますか?
言えない。22条1項は国の努力義務であり、個々の事業者に補助を請求する権利は与えていない。補助が受けられるかどうかは、各事業の交付要綱と、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づく交付決定で決まる。実務のポイント:交付決定より前に発注した経費は原則として補助の対象外である。制度を知っている会社は、見積を取った段階で公募スケジュールに合わせて発注日をずらしている
Q3レジ袋の有料化も、この法律が根拠なんですか?
直接の根拠は容器包装リサイクル法に基づく省令改正(2020年7月施行)であり、22条ではない。ただし、価格で行動を変えるという発想は22条2項の経済的措置と同じ系譜にある。実務のポイント:レジ袋の代金は国ではなく店の収入になる。「税」ではなく「有料化の義務付け」なので、価格も収益の使い道も店ごとに異なる
間違えやすい点 AI による整理
- 「環境設備への補助金は国の義務だ」と思われがちだが、条文は「努めるものとする」で終わる。努力義務なので、個々の事業者が補助の交付を請求する権利は22条からは生まれない。補助を受ける権利は、各予算事業の交付要綱と、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づく交付決定の中でしか発生しない
- 環境税は将来の話だと思っている人は多いが、2012年10月から地球温暖化対策のための税がすでに課されている。本当の問題は「あるかないか」ではなく規模である。CO2 1トンあたり289円と国際的には低い水準のまま据え置かれ、その上に GX 推進法の賦課金や排出量取引が積み重なる段階に入った。コストが段階的に上がる前提で設備計画を組まない企業ほど、後で痛い目を見る(最新の改正状況をご確認ください)
- 事業者から見れば2項は「増税の予告」に見える。だが法律から見れば、国自身にかけられたブレーキでもある。負担を課す前に、環境への効果と日本経済への影響を調査研究し、国民の理解と協力を得るよう努めよと書かれているからだ。パブリックコメントや審議会で「経済影響の検証が足りない」と意見を出す足場は、この文言の中にある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手法 | 22条:経済的助成と経済的負担による誘導 | 21条:基準・許可等による行為の規制 37条:公的な事業費用を原因者に負担させる |
| 条文上の拘束力 | 「努めるものとする」(国の努力義務) | 「講じなければならない」(国の義務) 「必要な措置を講ずるものとする」 |
| 事業者への効き方 | 価格シグナルにより自発的な削減を選ばせる | 違反すれば改善命令・罰則の対象 実施された公害防止事業の費用を負担 |
| 具体例 | 省エネ補助金、地球温暖化対策税、GX 賦課金 | 大気汚染防止法の排出基準 公害防止事業費事業者負担法 |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は2023年の法改正で碳費(炭素賦課金)制度を法律に明記した。日本の22条が調査研究と国民の理解を前提とする努力義務にとどまるのに対し、徴収そのものを法律で定めた点が異なる
韓国は2015年から全国規模の排出権取引制度を運用しており、日本より早く義務的なカーボンプライシングに踏み出した
中国は2018年に排汚費を環境保護税へ移行させ、汚染物質の排出量に応じて課税する仕組みを法律で整備した
ドイツは EU 排出量取引の対象外である熱・交通部門にも、2021年から国内の燃料排出量取引で CO2価格を導入した
フランスは汚染者負担原則を環境法典の一般原則として明文化し、エネルギー課税に炭素比例部分を組み込んでいる
米国は連邦炭素税を持たないが、1990年改正で導入した SO2排出権取引が経済的手法の先駆例として知られる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 国が2028年度から化石燃料の輸入事業者に賦課金を課したら、あなたの会社の電気代と物流費はどう動くのか? GX 推進法に基づく化石燃料賦課金は輸入段階で課され、価格転嫁を通じて取引先や消費者に広がりうる。22条2項が国に経済影響の調査を求めているのは、まさにこの波及を見越してのことだ(最新の改正状況をご確認ください)
- あなたは町工場の経営者で、古いボイラーの更新を何年も先延ばしにしてきた。排出基準に引っかかる前に自分から更新するなら、日本政策金融公庫の環境・エネルギー対策資金や省エネ補助金の対象になりうる。違反が見つかって改善命令を受けてからの更新では、同じ設備でも支援を受けられず全額自己負担になりかねない
- 省エネ補助金の公募締切まで残り10日。見積書と省エネ効果の計算書がそろわなければ、同じ設備投資で数百万円の差がつく。
- EU に鋼材を輸出している取引先から、製品1トンあたりの CO2排出量データを出すよう求められた。EU の炭素国境調整措置(CBAM)への対応である。国際的な連携への配慮を求める22条2項後段が想定した世界が、サプライチェーンの末端まで降りてきている
- 近所の工場の煙に悩む住民が「国が補助金を出して設備を直させるべきだ」と役所に訴えた。しかし22条は国の努力義務なので、住民が補助の実施を求める法的な請求権はない。実際に動かすべきなのは、大気汚染防止法による都道府県の規制権限と、公害紛争処理法の調停である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 22条は国の努力義務なので、これを根拠に補助や課税を直接求めることはできないと割り切る2. 公害の被害は、大気汚染防止法・水質汚濁防止法の規制権限を持つ都道府県に通報し、公害紛争処理法の調停も検討する3. 取引先から炭素コストの転嫁を一方的に求められた中小事業者は、2026年1月施行の改正下請法(いわゆる取適法)の価格協議ルールを確認する(最新の改正状況をご確認ください)
訴えられた側:1. 自社の CO2排出量を把握し、地球温暖化対策の推進に関する法律の算定・報告・公表制度の対象になるかを確認する2. 設備更新計画を立て、発注前に補助金・公庫融資・税制優遇を洗い出す3. 炭素価格の上昇を前提に投資回収期間を計算し直す4. 制度設計の段階で、業界団体経由でパブリックコメントや審議会に経済影響についての意見を出す
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。実務上の時間軸は、補助金の公募期間と「交付決定前の着手は原則対象外」というルールで決まり、公募締切と発注日の前後関係が結果を左右する。GX 推進法の化石燃料賦課金は2028年度に導入予定(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は国の施策の方向性を示すプログラム規定的な努力義務規定であり、事業者や国民に具体的な請求権を与えるものではない。具体的な助成や負担の内容は、個別の法律と予算措置によって定まると解される。
制定時の議論:2項は経済界の懸念を受けて、負担措置を直ちに導入するのではなく、効果と経済影響の調査研究および国民の理解を前提とする慎重な書きぶりになったと説明されることが多い。
改正沿革 AI による整理
- 平成5年(1993年)制定 公害対策基本法に代わる環境基本法の制定時に新設。助成(1項)と経済的負担による誘導(2項)を国の施策として位置付けたが、2項は負担を課す前の調査研究と国民の理解を前提とする慎重な書きぶりとなった
改正の年表
- 1.平成5年(1993年) 新設:公害対策基本法に代わる環境基本法の制定時に新設。規制的措置(21条)と並ぶ手法として、経済的助成(1項)と経済的負担による誘導(2項)を位置付けた
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