保険業法 第308条の15(訴訟手続の中止)
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- 保険業務等関連紛争について当該保険業務等関連紛争の当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号のいずれかに掲げる事由があり、かつ、当該保険業務等関連紛争の当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨の決定をすることができる。
- 一当該保険業務等関連紛争について、当該保険業務等関連紛争の当事者間において紛争解決手続が実施されていること。
- 二前号の場合のほか、当該保険業務等関連紛争の当事者間に紛争解決手続によって当該保険業務等関連紛争の解決を図る旨の合意があること。
- 2.受訴裁判所は、いつでも前項の決定を取り消すことができる。
- 3.第一項の申立てを却下する決定及び前項の規定により第一項の決定を取り消す決定に対しては、不服を申し立てることができない。
この条文の基本情報
訴訟手続の中止とは何ですか?
定義訴訟手続の中止とは、保険業法第308条の15に定められた規定で、「保険業務等関連紛争について当該保険業務等関連紛争の当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号のいずれかに掲げる事由があり、かつ、当該保険業務等関連紛争の当事…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第308条の15(訴訟手続の中止)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第308条の15の条文原文は「保険業務等関連紛争について当該保険業務等関連紛争の当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号のいずれかに掲げる事由があり、かつ、当該保険業務等関連紛争の当事…」で始まります。
- 保険業法第308条の15は第二章に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第308条の15の前の条は保険業法第308条の14です。
- 保険業法第308条の15の次の条は保険業法第308条の16です。
- 保険業法第308条の15には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第308条の15 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第308条の15(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/308_15
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法第308条の15は、ADRの紛争解決手続が進行中で当事者の共同の申立てがあるとき、受訴裁判所が四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止できると定める。
Q · 保険会社と裁判になっているけれど、ADRで話し合うので裁判をいったん止めたい。できますか?
できる。ただし保険会社と共同で申し立てた場合に限られる
保険業法第308条の15により、保険業務等関連紛争について訴訟が係属している場合、指定紛争解決機関の紛争解決手続が実施されているか、そこで解決を図る旨の合意があり、かつ当事者双方が共同で申し立てたときは、受訴裁判所は四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止できます。一方当事者だけの申立ては要件を満たしません。中止決定は裁判所がいつでも取り消すことができ、却下決定および取消決定に対する不服申立ては認められていません(同条第2項・第3項)。
解説
保険金が出ない。納得できずに提訴したものの、期日のたびに半日つぶれ、弁護士費用だけが積み上がっていく。その局面で使えるのが、この訴訟の一時停止装置である。生命保険協会の生命保険相談所、日本損害保険協会のそんぽADRセンターなど、金融庁が指定した紛争解決機関(指定紛争解決機関)で手続が進んでいるか、そこで解決する合意がある。このどちらかがあり、かつ当事者が共同で申し立てれば、受訴裁判所は四月以内の期間を区切って訴訟手続を止められる。鍵は「共同の申立て」の四文字だ。あなた一人では一ミリも動かない。相手の保険会社を同じテーブルに引き込む交渉こそが、この条文の実質である。しかも申立てを却下されても、いったん出た中止決定を裁判所に取り消されても、不服申立ての道はない(第3項)。裁判所の裁量に委ねられた、一度きりの扉だと理解しておくべきだ。
法的な位置づけ
保険業法第308条の15は、保険業務等関連紛争に係る訴訟手続の中止を定める規定である。当事者間で紛争解決手続が実施されているか、これにより解決を図る旨の合意があり、かつ当事者の共同の申立てがある場合、受訴裁判所は四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止できる。中止決定はいつでも取り消すことができ、却下決定・取消決定に不服申立てはできない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.契約先の保険会社が加入する指定紛争解決機関を特定する 保険約款の末尾にある「指定紛争解決機関」欄、または金融庁が公表する指定紛争解決機関の一覧で、契約先の保険会社がどの機関と手続実施基本契約を結んでいるかを確認する。生命保険なら生命保険相談所、損害保険ならそんぽADRセンターが典型
- 2.訴訟係属中でもADRを先に申し立てる 訴訟が続いていてもADRへの申立ては別途できる。中止決定の要件である「紛争解決手続が実施されていること」を満たすため、先にADRを申し立てて受理通知を確保する。第一回期日は申立てから一か月以上先になることが多い
- 3.相手方代理人に共同申立てを打診し、進行予定まで合意する 本条の要件は当事者の共同の申立てであり、ここが作業の九割を占める。相手方代理人へ書面で意向を打診し、中止期間中のADR期日と進行予定表まで詰める。訴訟費用の見積りが社内決裁に回る時期は、保険会社がADRに最も傾く
- 4.共同申立書を受訴裁判所へ提出する 合意内容を添えた共同申立書を、次回期日が指定される前に受訴裁判所へ提出する。四月以内という期間の上限から逆算し、ADRの第一回期日が枠に収まるかを確認したうえで希望期間を記載する
- 5.中止期間中もADRの進行を可視化し、訴訟再開に備える 裁判所は第2項でいつでも中止を取り消せるため、ADRが空転していると見られない運用が要る。期日の実施状況を記録し、四月で終わらない前提で訴訟再開後の主張整理と立証計画を並行して準備しておく
よくある質問 AI による整理
Q1訴訟手続の中止とは何ですか?
訴訟を取り下げずに、裁判所の決定で手続の進行を一時的に止める措置です。保険業法308条の15では四月以内の期間を定めて行われ、期間満了で当然に訴訟が再開します。
Q2指定紛争解決機関とはどこのことですか?
金融庁が保険業法に基づき指定した紛争解決機関です。生命保険協会の生命保険相談所、日本損害保険協会のそんぽADRセンターなどが該当し、金融庁の公表一覧で確認できます。
Q3訴訟中でもADRに申し立てできますか?
できます。訴訟係属とADR申立ては両立し、本条はむしろ両者が並行する場面を前提にしています。中止決定を得るには、ADR申立てに加えて当事者双方の共同の申立てが必要です。
Q4訴訟手続の中止の申立てはいつ出すべきですか?
期日直前ではなく期日間に出すのが実務的です。次回期日が指定される前に共同申立書を提出すれば、空転する期日を減らせます。ADR申立てと同時か直後が目安です。
Q5訴訟が中止されている間、期間の進行はどうなりますか?
訴訟手続の中止中は期間の進行が停止します(民事訴訟法132条)。控訴期間などの訴訟上の期間が中止期間中に満了してしまう心配はありません。
Q6裁判所が中止決定を取り消すのはどんなときですか?
受訴裁判所は第2項によりいつでも取り消せます。ADR手続が空転している、期日が入らない、当事者が実質的な交渉をしていないと見られる場面が典型です。四月を待たずに訴訟が再開します。
Q7訴訟手続の中止決定に不服申立てはできますか?
できません。第3項が、第1項の申立てを却下する決定と第2項による取消決定のいずれについても不服申立てを認めていません。抗告期間という概念自体がありません。
Q8ADRで和解できなかった場合、時効はどうなりますか?
紛争解決手続が和解不成立で終了した旨の通知を受けた日から一定期間内(原則一か月以内)に訴えを提起すれば、ADR申立て時に訴え提起があったものとみなす特則が保険業法308条の14に置かれています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手の保険会社が中止に同意してくれない場合、裁判所にお願いすればなんとかなりますか?
ならない。第1項は「当事者の共同の申立て」を要件としており、一方だけの申立ては却下される。しかも却下決定に不服申立てはできない(第3項)。実務のポイント:実務では申立て前に相手方代理人と中止期間中の進行予定表まで詰めておく。合意内容を添えた共同申立ては、裁判所がほぼそのまま通す
Q2四か月で話がまとまらなかったら、訴訟はどうなるんですか?
期間満了で中止は解け、訴訟手続が再開する。裁判所は第2項により期間中でもいつでも取り消せるので、ADRが空転していると見られれば四月を待たずに動き出す。再度の中止決定の可否は実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:ADRの第一回期日は申立てから一か月以上先になることが多い。逆算して、訴訟の中止申立てはADR申立てと同時か直後に出す
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判所にADRを理由として中止をお願いすればいい」という問いの立て方そのものが誤っている。第1項の要件は当事者の共同の申立てであり、相手の同意を取り付ける交渉が仕事の九割、裁判所への申立書は最後の事務手続にすぎない
- 中止できること自体は知っていても、その中止が第2項により裁判所の判断でいつでも取り消せること、そして却下決定も取消決定も不服申立てができないこと(第3項)まで押さえている人は少ない。中止が続く前提でADRの日程を組むと、取消決定一本で計画が崩れる
- 四月あれば十分だと考えがちだが、条文の側から見ればこれは上限を区切った一回分の期間にすぎない。ADRの申立てから第一回期日までに一か月以上かかることも珍しくなく、期間内に終わらない前提で訴訟再開後の進行を最初から織り込むべきである。なお、再度の中止決定の可否は実務上、解釈が分かれている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 何を守る規定か | 308条の15:訴訟の進行そのものを四月以内で止める | 308条の14:ADR利用者の時効上の地位を守る 308条の13:保険会社側にADR手続の実施義務を課す |
| 発動の要件 | 紛争解決手続の実施または解決合意 + 当事者の共同の申立て | 和解不成立の通知を受けた日から一定期間内の訴え提起 指定紛争解決機関との手続実施基本契約の締結 |
| 誰が主導するか | 当事者双方(片方だけでは動かない) | ADR申立人(保険契約者側が単独で享受できる) 保険会社(義務者は事業者側) |
| 争う余地 | 却下決定・取消決定に不服申立て不可(第3項) | 期間内の訴え提起の有無は訴訟で争える 監督上の措置の対象になりうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は第一審係属中に両当事者の合意で事件を調停に移付でき、その間は訴訟手続が停止する。両造合意を要件とする点が日本の共同申立てと同型。金融分野では金融消費評議中心の評議制度が受け皿となる
韓国も金融紛争の調停が申し立てられた事件について、裁判所が訴訟手続を中止できる仕組みを置く。詳細な条文番号と要件は要検証
ドイツは裁判所が調停その他の裁判外紛争解決を提案でき、当事者がこれに応じた場合に手続の休止(Ruhen des Verfahrens)を命じる。休止も当事者の対応を前提とする点で共通
米国は仲裁合意の対象となる争点について、申立てがあれば裁判所が訴訟を stay しなければならない。裁量ではなく義務的である点と、対象が仲裁である点が日本の中止制度と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 火災保険の保険金支払を拒まれ、すでに提訴して三回の期日をこなした。ここで損保のADRセンターに持ち込んだ方が早いと気付いたら、訴えを取り下げるしかないのか? 答えは否である。相手方代理人に共同申立てを打診し、次回期日前に書面を出せば、訴訟を生かしたまま四月の猶予が取れる。取り下げてしまえば、そこまで積み上げた主張整理と証拠調べの成果はゼロに戻る
- 保険会社側の担当者として、社内では長引く訴訟の引当金を問題視されている。ADRの和解案なら決裁は通るが、判決は前例として残るので避けたい。その場合、中止の共同申立てはあなたの側から切り出す方が早い
- 団体信用生命保険の支払をめぐり、遺族として提訴中。介護と相続手続が重なり、出頭が難しい時期があと二か月続く。ADR手続を並行して申し立て、共同申立てで訴訟を止めれば、非公開の場で条件交渉ができる。ただし裁判所は第2項でいつでも中止を取り消せるため、ADRが空転していると見られれば、止まっていた訴訟が予告なく動き出す
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約先の保険会社がどの指定紛争解決機関と手続実施基本契約を結んでいるかを、約款末尾か金融庁の公表一覧で確認する2. 訴訟係属中でもADRへの申立ては別途できるので先に申し立てる3. 相手方代理人へ共同申立ての意向を書面で打診し、中止期間中の進行予定まで合意してから共同申立書を受訴裁判所へ提出4. 中止は四月以内なので、ADRの第一回期日がその枠に収まるか逆算する
訴えられた側:1. 中止に応じるかは、判決が前例化するリスクと訴訟コストを並べて判断する2. 応じるなら期日が積み上がる前に共同申立てへ動く方が費用対効果は高い3. ADRが進展しないと判断したら、第2項に基づく中止取消しを裁判所へ上申する4. 金融ADRの枠組みでは事業者側が特別調停案について原則受諾義務を負う場面があるため、同意前に社内で拘束の範囲を確認する
時効(請求できる期限):中止は一回につき四月以内の期間を定めて行われ、期間満了で当然に訴訟が再開する。第1項の申立てを却下する決定と第2項による取消決定には不服申立てができないため(第3項)、そもそも抗告期間という概念がない。時効については、紛争解決手続が和解不成立で終了した旨の通知を受けた日から一定期間内(原則一か月以内)に訴えを提起すればADR申立て時に訴え提起があったものとみなす特則が別に置かれている(保険業法308条の14。最新の改正状況をご確認ください)
学説
実務上の議論:一度四月以内の中止決定がなされた後、さらに再度の中止決定ができるかについては解釈が分かれている。条文が期間の上限のみを定め回数を明示しないことから、ADRの進行状況によっては許容されるとの理解と、上限の潜脱になるとの理解が併存する
改正沿革 AI による整理
- 平成21年(2009年)金融ADR制度の創設 指定紛争解決機関の制度とともに新設された条文であり、平成22年(2010年)10月1日施行。ADRを利用する当事者が訴訟との二重負担を負わないよう、訴訟手続の中止を可能にした。その後の改正の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成21年(2009年) 新設:金融ADR制度の創設に伴い、指定紛争解決機関の制度とともに新設。平成22年(2010年)10月1日施行。ADRを利用する当事者が訴訟との二重負担を負わないよう、訴訟手続の中止を可能にした。その後の改正の有無は要検証
- 保険業法 第308条の13苦情処理手続及び紛争解決手続の実施義務
- 保険業法 第308条の14紛争解決手続における時効の完成猶予
- 保険業法 第308条の16調停の前置に関する特則
- 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律 第26条認証ADRにおける訴訟手続中止の一般規定
- 民事訴訟法 第132条訴訟手続の中止中は期間の進行が停止する
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