保険業法 第330条(没収及び追徴)
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第三百二十八条第一項又は前条第一項の場合において、犯人の収受した利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
この条文の基本情報
没収及び追徴とは何ですか?
定義没収及び追徴とは、保険業法第330条に定められた規定で、「第三百二十八条第一項又は前条第一項の場合において、犯人の収受した利益は、没収する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第330条(没収及び追徴)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第330条の条文原文は「第三百二十八条第一項又は前条第一項の場合において、犯人の収受した利益は、没収する。」で始まります。
- 保険業法第330条は第六編に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第330条の前の条は保険業法第329条です。
- 保険業法第330条の次の条は保険業法第331条です。
- 保険業法第330条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第330条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第330条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/330
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法330条は、同法328条1項・329条1項の収賄で犯人が収受した利益を必要的に没収し、没収できないときはその価額を追徴すると定める規定である。
Q · 保険会社の社員が賄賂を受け取って使い切っていたら、もう取り上げられない?
使い切っていても価額が追徴される
保険業法330条は、同法328条1項・329条1項の収賄類型について、犯人が収受した利益を必要的に没収すると定めます。現金を費消していたり、受け取った物を転売していたりして没収できない場合は、その価額が金銭で追徴されます。追徴は罰金と法的性質が異なる利得剥奪であり、罰金と同時に科されても二重処罰にはなりません。判決確定後は財産に対する執行が進むため、納付原資の準備は判決前から必要です。
解説
保険業法328条1項(保険会社等の役職員に対する贈収賄のうち収賄側)や329条1項(保険計理人等をめぐる収賄類型)で有罪になったとき、刑務所行きや罰金だけでは話が終わらない。犯人が受け取った利益そのものが国に取り上げられる。これが没収だ。しかもあなたが受け取った現金をすでに使い切っていたり、もらった高級腕時計を転売していたりしても逃げ道はない。その場合は「価額」を金銭で追徴される。つまり、賄賂で得た経済的利得は、費消していようが形が変わっていようが、最終的にゼロに戻される設計になっている。ここで実務上重要なのは、この条文が「する」と書かれている点、つまり裁量的没収ではなく必要的没収である。裁判官が情状を酌んで刑を軽くしても、収受した利益部分だけは原則として手元に残らない。賄賂事件で「罰金を払えば済む」と考えて示談や弁済の計算をすると、追徴分がまるごと想定外の負債として乗ってくる。
法的な位置づけ
保険業法330条は、同法328条1項および329条1項の収賄類型における必要的没収・追徴を定める規定である。犯人が収受した利益を没収の対象とし、その全部または一部を没収できないときは価額の追徴によって利得の剥奪を完遂する構造をとる。刑法19条の任意的没収に対する特則にあたる。
手順
- 1.受領の事実と金額を時系列で確定する いつ、誰から、いくら、どの名目で受け取ったかを日付順に整理する。追徴額は認定された収受額に連動するため、記憶ではなく通帳・メール・スケジュールなど客観資料で裏付ける
- 2.取調べ前に弁護人へ正確に開示する 供述調書で金額が固定された後に追徴額だけを争うのは極めて難しい。取調べに臨む前に弁護人にのみ受領額と使途を正確に伝え、争点整理の方針を決める
- 3.返還の事実があれば客観証拠を揃える 返還したと記憶していても、手渡し現金では立証できず結局追徴される事案が少なくない。振込記録、受領書、返還時のやり取りを収集し、返還の時期と経路を特定できる形にする
- 4.利益が物や役務の場合は価額算定資料を取り寄せる 接待・旅行・物品の事案では価額の算定根拠自体が争点になる。店の請求書、旅行代理店の記録、購入時の価格資料を早期に確保し、過大な算定に反論できるようにする
- 5.判決前に納付原資を試算し執行に備える 追徴は労役場留置で消えず、確定後は財産への執行が進む。判決前の段階で納付原資を試算し、分納や執行方法について弁護人と協議しておく
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法330条の没収とは何ですか?
同法328条1項・329条1項の収賄類型で、犯人が収受した利益を国が強制的に取り上げる処分です。裁判所の裁量が認められない必要的没収である点が特徴です。
Q2没収と追徴の違いは何ですか?
没収は収受した利益そのものを取り上げる処分、追徴は没収できないときにその価額を金銭で取り立てる処分です。330条は両者を段階的に規定しています。
Q3追徴金は罰金と別に払うのですか?
別枠です。罰金は財産刑という制裁、追徴は犯罪利得の剥奪で法的性質が異なります。罰金と追徴が同一判決で並んでも二重処罰にはなりません。
Q4賄賂が現金でなく接待だった場合も追徴されますか?
対象になりえます。利益が役務や饗応でも経済的価値を算定し「その価額」として追徴する構造です。物が残っていないことは免れる理由になりません。
Q5追徴金を払えないとどうなりますか?
追徴には罰金のような労役場留置の換刑処分が予定されていません。納付がなければ預金や給与などの財産に対して執行が進みます。
Q6保険業法330条は誰に適用されますか?
328条1項・329条1項が処罰する収賄側、すなわち利益を収受した犯人です。利益を渡した贈賄側が渡した金銭を取り戻せる規定ではありません。
Q7没収は裁判官の判断で免除できますか?
330条は「没収する」と規定する必要的没収であり、原則として裁量的な免除は想定されていません。情状は本刑の量刑で考慮される構造です。
Q8保険業法330条と刑法197条の5は何が違いますか?
刑法197条の5は公務員の収賄を対象とする原型規定、保険業法330条は保険会社等の役職員の収賄を対象とする特別法上の同型規定です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1賄賂を受け取ったあと、事件になる前に全部返したら没収されないんですか?
収受した利益が犯人の手元に現存しない以上、没収の対象物がないという整理はあり得るが、収賄罪の成立自体は消えない。返還の時期・経路の証拠が決定的になる。実務のポイント:弁護人が最初に確認するのは「返した」という記憶ではなく、振込記録や受領書があるかどうか。現金を手渡しで返した事案は、返還の事実自体を立証できず、結局は追徴される結末が少なくない
Q2追徴金を払えないときは、罰金みたいに労役場に入って働けば消えますか?
追徴は罰金と法的性質が異なり、換刑処分としての労役場留置は予定されていない。納付がなければ財産に対する執行が進む。実務のポイント:判決確定後の追徴金は、刑期を終えても消えずに残る。出所後に働いて得た収入や退職金が執行対象になりうるため、弁護人は判決前の段階から納付原資の準備を勧めることが多い。この助言を受けているかどうかで、その後の生活再建の速度が変わる
Q3受け取ったのが現金じゃなくて接待や旅行招待だった場合も対象ですか?
対象になりうる。328条1項・329条1項が処罰するのは利益の収受であり、金銭に限られない。物や役務であれば、その経済的価値を算定して「価額」を追徴する構造になっている。実務のポイント:接待型の事案では、追徴額の算定根拠自体が争点になる。店の請求書や旅行代理店の記録がどこまで残っているかで金額が数倍変わる。弁護人が真っ先に取り寄せを検討するのはそこだ
間違えやすい点 AI による整理
- 「罰金と没収は同じようなもの、二重に取られるはずがない」と考える人が多い。だが法的性質が違う。罰金は財産刑という制裁、没収・追徴は犯罪による利得の剥奪である。目的が異なる以上、両方が同時に科されても二重処罰にはならない。罰金300万円と追徴500万円が並ぶ判決は、制度上まったく矛盾していない
- 没収という言葉は知っていても、その射程の広さを見誤っている人がいる。賄賂が現金でなく物品・役務・利益であっても、「その価額」という一語によって金銭で取り立てられる。使ってしまえば消えるという直感は、この条文の前ではまったく機能しない
- 「返せばチャラだろう」という発想は、問いの立て方がずれている。本当の争点は返したかどうかではなく、いつ、誰に、どういう証拠を残して返したかである。事件発覚後に慌てて返金しても、収受の事実は既に成立している。返還の時期と記録の有無が、追徴の有無ではなく量刑の情状を左右する局面に変わる
- 贈賄側も没収されると思われがちだが、本条が対象にするのは「犯人の収受した利益」である。つまり利益を受け取った側の剥奪を定めるもので、渡した側が渡した金を取り戻せるという話ではない。渡した金は戻ってこない、これが贈賄側にとっての現実だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 保険業法330条:328条1項・329条1項の犯人が収受した利益の剥奪 | 保険業法328条:保険会社等の役職員の収賄行為そのものの処罰 保険業法329条:保険計理人等をめぐる収賄類型の処罰 |
| 処分の性質 | 刑罰ではなく犯罪利得の剥奪(必要的没収・追徴) | 自由刑・罰金という制裁 自由刑・罰金という制裁 |
| 裁判所の裁量 | 「没収する」=必要的、情状による免除は原則想定されない | 法定刑の範囲内で量刑裁量あり 法定刑の範囲内で量刑裁量あり |
| 利益が現存しない場合 | 価額を追徴し、金銭で取り立てる | 犯罪の成否には影響せず、情状として考慮されうる 犯罪の成否には影響せず、情状として考慮されうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も犯罪所得の没収を原則化し、全部または一部を没収できないときは価額追徴とする構造を採る。日本の必要的没収規定と発想が近い
韓国刑法も収賄により収受した賄賂を必要的に没収し、没収不能なら価額を追徴する構造で、日本法と極めて類似する
ドイツは2017年改正で Einziehung von Taterträgen を再編し、対象物を押収できないときは価額の没収(Wertersatzeinziehung)を行う
米国は犯罪収益について刑事没収と民事没収の二本立てをとり、対象財産が散逸した場合は代替資産(substitute assets)に及ぶ場合がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保険会社の検査対応を担当していたあなたが、取引先から「今後もよろしく」と現金200万円入りの封筒を受け取り、その場で断りきれずに持ち帰ってしまった。数年後に事件化したとき、あなたが返そうとしても既に消費していれば、判決で200万円の追徴が言い渡される。罰金とは別枠だ
- もし、受け取った賄賂が現金ではなく、海外旅行の招待や接待ゴルフだったらどうなる? 形の残らない利益でも、その経済的価値が算定され追徴の対象になりうる。「物をもらっていないから大丈夫」という発想自体が成り立たない
- 被告人側の立場で考えてみてほしい。公判で争点は「収受したかどうか」だけではない。いくら受け取ったか、そのうち自分の取り分はいくらかという金額の認定が、そのまま追徴額になる。弁護人が金額を1円単位で争うのは、量刑のためだけではなく、判決確定後に財布から出ていく額を決める戦いだからだ
- 同僚から「あの件で少し受け取ったかもしれない」と相談された。あなたが伝えるべきは、返却したかどうかが結論を左右しうるという一点。事件化前に返還されていれば、そもそも「収受した利益」が犯人の手元に存在しないという構成があり得る。ただし返還の事実と時期の証拠が残っていなければ意味がない
- 判決確定から数週間。追徴金の納付告知が届いたが手元に現金がない。この時点で残された時間はわずかで、納付しなければ労役場留置ではなく、財産に対する強制執行(刑事訴訟法上の裁判の執行)が進む。分納の交渉余地はあるが、動くのが遅れるほど選択肢は減る
取るべき行動
被害を受けた側:本条は利得剥奪の規定であり、被害者が直接に権利行使する条文ではない。保険会社側が役職員の収賄で損害を被った立場であれば、刑事手続とは別に、その役職員に対する損害賠償請求(民法709条)や会社法上の責任追及を組み立てる。没収・追徴された金銭は国庫に入るため、被害回復とは別トラックであることを最初に理解しておく。社内では証拠保全と再発防止の内部統制整備を並行させる
訴えられた側:1. 取調べ前に弁護人を確保し、受領額・時期・使途を弁護人にのみ正確に開示する2. 追徴額は認定された収受額に連動するため、金額の争点整理を量刑と切り離して行う3. 返還の事実があれば、振込記録・受領書など客観証拠を時系列で整理4. 判決後の納付原資を早期に試算し、分納や執行方法の相談を弁護人と進める。資金計画を後回しにすると、確定後に強制執行で一気に持っていかれる
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。公訴時効は328条・329条の法定刑に応じて刑事訴訟法250条により決まる(最新の改正状況をご確認ください)。没収・追徴の言渡しは有罪判決と同時に行われ、確定後の執行については刑の時効・執行に関する一般規定が及ぶ
学説
通説:本条の没収・追徴は刑罰としての制裁ではなく、犯罪によって得た利得を犯人の手元に残さないための剥奪処分と解される。この性質理解により、罰金と併科されても二重処罰の禁止に反しないと説明される。
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