保険業法 第331条(株主等の権利の行使に関する利益供与の罪)
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- 保険会社等の保険管理人又は第三百二十二条第一項第四号から第七号までに掲げる者若しくはその他の相互会社の使用人が、株主若しくは社員若しくは総代の権利又は当該保険会社等(株式会社に限る。)に係る適格旧株主(会社法第八百四十七条の二第九項(第九十六条の四の二において準用する場合を含む。)及び第九十六条の四において準用する同法第八百四十七条の四第二項に規定する適格旧株主をいう。第三項において同じ。)の権利の行使に関し、保険会社等又はその子会社(同法第二条第三号に規定する子会社(保険会社等が相互会社であるときは、その実質子会社)をいう。以下この項及び第三項において同じ。)の計算において財産上の利益を供与したときは、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。保険会社等(株式会社に限る。以下この項において同じ。)における同法第九百六十条第一項第三号から第六号までに掲げる者又はその他の当該保険会社等の使用人が、当該保険会社等に係る適格旧株主(第九十六条の四において準用する同法第八百四十七条の四第二項又は第九十六条の四の二において準用する同法第八百四十七条の二第九項に規定する適格旧株主をいう。)の権利の行使に関し、当該保険会社等又はその子会社の計算において財産上の利益を供与したときも、同様とする。
- 2.情を知って、前項の利益の供与を受け、又は第三者にこれを供与させた者も、同項と同様とする。
- 3.株主若しくは社員若しくは総代の権利又は保険会社等(株式会社に限る。)に係る適格旧株主の権利の行使に関し、保険会社等又はその子会社の計算において第一項の利益を自己又は第三者に供与することを同項に規定する者に要求した者も、同項と同様とする。
- 4.前二項の罪を犯した者が、その実行について第一項に規定する者に対し威迫の行為をしたときは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。
- 5.前三項の罪を犯した者には、情状により、拘禁刑及び罰金を併科することができる。
- 6.第一項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
この条文の基本情報
株主等の権利の行使に関する利益供与の罪とは何ですか?
定義株主等の権利の行使に関する利益供与の罪とは、保険業法第331条に定められた規定で、「保険会社等の保険管理人又は第三百二十二条第一項第四号から第七号までに掲げる者若しくはその他の相互会社の使用人が、株主若しくは社員若しくは総代の権利又は当該保険会…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第331条(株主等の権利の行使に関する利益供与の罪)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第331条の条文原文は「保険会社等の保険管理人又は第三百二十二条第一項第四号から第七号までに掲げる者若しくはその他の相互会社の使用人が、株主若しくは社員若しくは総代の権利又は当該保険会…」で始まります。
- 保険業法第331条は第六編に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第331条の前の条は保険業法第330条です。
- 保険業法第331条の次の条は保険業法第331条の2です。
- 保険業法第331条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第331条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第331条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/331
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法331条は、株主・社員・総代の権利行使に関し会社の計算で財産上の利益を供与する行為を、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金で処罰する。要求しただけでも同罪。
Q · 会社の株主や総代に「静かにしてもらう」ための支出って、実際どこから犯罪になるんですか?
要求しただけでも犯罪。三年以下の拘禁刑です
保険業法331条1項は、株主・社員・総代又は適格旧株主の権利行使に関し、保険会社等又はその子会社の計算において財産上の利益を供与した場合、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処すると定めます。決め手は「会社の計算において」であり、名目が広告費・顧問料・業務委託料でも実質が会社負担なら該当します。情を知って受け取った側(2項)、供与を要求しただけの側(3項)も同じ刑であり、威迫を伴えば五年以下・五百万円以下に加重されます(4項)。自首した場合は刑の減軽又は免除がありえます(6項)。
解説
総会屋という言葉を過去の遺物だと思っているなら、保険業法331条はあなたの認識を書き換える。この条文が禁じているのは「株主・社員・総代の権利行使に関して、会社の計算で財産上の利益を渡すこと」である。ここで効いてくるのが「会社の計算において」という一句だ。役員が自分のポケットマネーで払えば本条の対象外だが、会社の金、子会社の金、あるいは形式上は取引の対価に見える支出でも、実質が会社負担なら本条に落ちる。しかも罰せられるのは渡した側だけではない。事情を知って受け取った側(2項)、要求しただけの側(3項)も同じ3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。要求に際して威迫があれば5年以下・500万円以下に跳ね上がる(4項)。相互会社の総代も対象に含まれる点が保険業法固有であり、株式会社の株主総会だけを想定していると足元をすくわれる。そして6項、自首すれば刑の減軽または免除がありうる。この一項が、この条文の実務上の力学をすべて決めている。
法的な位置づけ
保険業法331条は利益供与罪を定める罰則規定であり、保険会社等の保険管理人・役員・使用人が、株主・社員・総代又は適格旧株主の権利行使に関し、保険会社等又はその子会社の計算において財産上の利益を供与する行為を処罰する。情を知って供与を受けた者、第三者に供与させた者、及び供与を要求した者も同一の法定刑に服し、威迫を伴う場合は法定刑が加重される。
よくある質問 AI による整理
Q1利益供与罪とは何ですか?
株主・社員・総代などの権利行使に関し、会社又は子会社の計算で財産上の利益を渡す犯罪です。保険業法331条1項が根拠で、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金が科されます。
Q2保険業法331条の罰則はどれくらい重いですか?
1項から3項は三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金。威迫を伴えば4項で五年以下・五百万円以下に加重され、情状により拘禁刑と罰金の併科も可能です(5項)。
Q3総会屋対策の法律は今も生きていますか?
生きています。331条は相手が総会屋かどうかを要件にしておらず、株主・社員・総代の権利行使に関する会社計算の利益供与であれば、相手が誰でも成立します。
Q4利益供与罪の時効は何年ですか?
法定刑の上限が拘禁刑三年(4項は五年)のため、公訴時効はいずれも5年です(刑事訴訟法250条2項5号)。起算点は犯罪行為の終了時です。
Q5適格旧株主とは誰のことですか?
株式交換や株式移転などで株主の地位を失ったものの、一定の要件のもとで責任追及の訴えを提起できる者です。331条はこの者の権利行使も保護対象に含めています。
Q6「会社の計算において」とはどういう意味ですか?
最終的な経済的負担が会社又は子会社に帰属することを指します。役員個人のポケットマネーは対象外ですが、迂回した取引でも実質が会社負担なら該当します。
Q7利益を受け取った側も処罰されますか?
処罰されます。2項は「情を知って」利益の供与を受けた者、第三者に供与させた者を1項と同じ刑に処します。明確な合意の証拠がなくても認識が推認されれば足ります。
Q8自首すると罪はどうなりますか?
6項により刑の減軽又は免除がありえます。ただし必要的ではなく裁量的減免で、捜査機関が端緒を得る前の申告であることが実質的な前提になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1株主から「うちの商品を買ってくれ」と言われて普通に取引しただけでも、利益供与になるんですか?
対価が相当で、株主の権利行使との関連性がなければ通常は成立しない。問題は相場を超える対価や実体のない役務であり、そこに権利行使との関連が認められると1項に落ちる。実務のポイント:捜査で最初に見られるのは契約書ではなく、同種取引の他社との単価比較である。社内に相見積もりの記録があるかどうかが、通常取引か利益供与かの分水嶺になることが多い
Q2自首したら本当に刑が免除されるんですか?それとも減るだけ?
6項は「その刑を減軽し、又は免除することができる」と定めており、免除まで可能である。ただし必要的減免ではなく裁量的減免であり、免除されるかは供述の価値や関与の程度による。実務のポイント:同じ事案に複数の関与者がいる場合、実務上は先に申告した者ほど厚く扱われる傾向がある。社内で「誰が最初に言い出すか」を様子見している間に、相手方が先に動いているという展開は珍しくない
Q3相互会社の総代って、株主総会の株主と同じ扱いなんですか?
本条においては同列に扱われる。1項は「株主若しくは社員若しくは総代の権利」と並列に書いており、相互会社の社員(保険契約者)や総代の権利行使に関する利益供与も同じ法定刑である。実務のポイント:相互会社には株式市場の監視がない分、総代会の運営実態が外部から見えにくい。だからこそ当局は総代選任プロセスと会社側の便宜供与に敏感であり、株式会社より厳しく見られる場面がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「総会屋対策の条文だから、今の時代には関係ない」という理解は、条文の射程を三分の一しか見ていない。331条は総会屋という属性を要件にしていない。株主・社員・総代の権利行使に関する会社計算の利益供与であれば、相手が誰であっても成立する。取引先、元役員、あるいは正当な問題意識を持つ株主に対する「静かにしてもらうための」支出も、構造は同じである
- 利益供与の危険性を知っている人でも、その及ぶ範囲を過小評価していることが多い。現金の授受だけを警戒しがちだが、条文は「財産上の利益」と書いている。相場を超える顧問料、実体のない業務委託、機関誌の高額購読、不動産の有利な条件での賃貸、これらすべてが該当しうる。摘発された事例の多くは、封筒の現金ではなく契約書の形をとっていた
- 「自分は要求されただけの被害者だ」という立場の立て方そのものが、この条文の下では成り立たない場面がある。会社の計算で払った時点で1項の行為者になる。脅されていたなら4項で相手の刑は重くなるが、それは相手の話であって、あなたの1項該当を消すものではない。守るべきは「払わない」という一線であり、「払わされた経緯」ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制裁の性質 | 保険業法331条:刑事罰(拘禁刑・罰金) | 保険業法333条:行政上の秩序罰(過料) 会社法970条:刑事罰(株式会社の利益供与罪) |
| 保護される権利主体 | 株主・社員(保険契約者)・総代・適格旧株主 | 保険会社等の業務運営秩序一般 株主・適格旧株主(相互会社の社員・総代は含まない) |
| 処罰される者の範囲 | 供与者(1項)・受供与者(2項)・要求者(3項)の三者 | 義務違反をした役員等 同じく供与者・受供与者・要求者の三者 |
| 自首の効果 | 6項により刑の減軽又は免除がありうる | 自首に関する特則なし 会社法970条6項に同旨の減免規定あり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の公司法には利益供与罪に直接対応する明文がなく、株主に対する不正な利益提供は背信・特別背任や会計処理の適正性の問題として処理される。日本のように受供与者・要求者を同一刑で捕捉する構造は存在しない
韓国商法は日本の規律をほぼそのまま継受し、利益供与の民事的禁止と刑事罰をセットで置く。保険業に固有の規定ではなく商法で一元的に処理される点が日本と異なる
ドイツは議決権の買収を主として秩序違反(過料)として扱い、日本のような拘禁刑を伴う独立犯罪類型は置いていない。監視機能の保護は監査役会・企業統治規範によって担われる比重が大きい
米国は vote-buying を刑事罰ではなく衡平法上の効力問題として扱い、他の株主に対する詐害があるかで有効性を判断する。刑事規制ではなく取引の無効化と信認義務違反による民事責任が中心となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保険会社の総務部にいるあなたのもとに、ある社員(相互会社の構成員)から「総代会で質問しないでやるから、うちの会社と広告契約を結べ」という電話が入る。相場より高い広告費は、実質的な利益供与になりうる。ここで担当者判断で契約を進めれば、あなた自身が1項の行為者になる
- 要求しただけで犯罪が成立する、という事実を知っているか。金を受け取っていなくても、渡すよう求めた時点で3項により3年以下の拘禁刑の射程に入る。「断られたから未遂だ」という発想は通用しない
- 子会社を経由すれば足がつかない、と考えた経理担当者がいたとする。1項は明文で「保険会社等又はその子会社の計算において」と書いており、相互会社の場合は実質子会社まで含む。迂回ルートは最初から塞がれている
- あと数日で当局の立入検査が入る。過去の支出に利益供与の疑いがあると気付いた役員は、二つの選択肢の間で眠れない。黙って検査を迎えるか、6項の自首に賭けるか。この判断は検査開始前にしか意味を持たない
- 受け取る側の立場で考えてみる。会社から金銭やサービスを提示され、なんとなく察しながら受け取った。2項の「情を知って」は、明確な合意の証拠がなくても、状況から認識が推認されれば足りる。「はっきり言われていない」は防御にならないことが多い
取るべき行動
被害を受けた側:会社側で不当な要求を受けた場合、まず接触の日時・相手・要求内容を書面化し録音があれば保全する。次に社内のコンプライアンス部門と顧問弁護士へ即日エスカレーション、担当者単独で回答しない。相手が反社会的勢力の疑いがあれば所轄警察の組織犯罪対策部門と暴力追放運動推進センターへ相談する。要求を拒否した記録そのものが、後に会社を守る最大の証拠になる。既に支払っていた事実が判明した場合は6項の自首を含めた選択肢を弁護士と即座に検討する
訴えられた側:捜査対象になった段階で、まず自分の関与が1項(供与)・2項(受供与)・3項(要求)のどれに当たるかを弁護人と整理する。支出が会社の計算によるものか個人負担かは決定的な分岐点であり、資金の出所を示す帳簿・稟議書を確保する。威迫の有無(4項)は法定刑を3年から5年へ引き上げるため、事実関係を早期に固める。6項の自首は捜査機関が端緒を得る前でなければ実質的な効果を失うため、判断は時間との勝負になる
時効(請求できる期限):法定刑の上限が拘禁刑3年(4項は5年)であるため、公訴時効はいずれも5年(刑事訴訟法250条2項5号)。起算点は犯罪行為の終了時。継続的に支出していた場合は最後の供与時から数える。6項の自首は捜査機関に発覚する前に申告することが要件であり、公訴時効とは別の、はるかに短い実質的な期限として動いている
学説
通説:本条の保護法益は、株主総会・総代会という会社機関の意思決定の公正と、会社財産の健全性の双方にあると解される。供与者だけでなく受供与者・要求者を同一の法定刑で処罰する構造は、利益供与を双方向の合意犯罪として把握する立法態度の表れとされる。
実務的理解:6項の自首減免は、独占禁止法の課徴金減免制度と同じく、秘匿されやすい合意型犯罪の内部に申告の誘因を作る装置と理解されている。減免は裁量的であり、申告の時期と供述の価値が評価を左右する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正に伴い、相互会社の社員・総代を含む利益供与罪として新設。商法上の株主に関する利益供与罪(当時の商法294条ノ2系統)の規律を、相互会社形態にも及ぼした
- 2.平成26年(2014年) 改正:会社法改正により適格旧株主・多重代表訴訟の制度が導入されたことに伴い、適格旧株主の権利行使に関する利益供与も処罰対象に追加された
- 3.令和4年(2022年) 改正:刑法改正による懲役・禁錮の拘禁刑への一本化に伴い、法定刑の表記が「懲役」から「拘禁刑」に改められた
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