保険業法 第328条(取締役等の贈収賄罪)
クイックジャンプ
- 次に掲げる者が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。
- 一第三百二十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる者
- 二第三百二十三条に規定する者
- 三相互会社の会計監査人又は第五十三条の十二第四項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者
- 四保険会社の保険調査人
- 2.前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
取締役等の贈収賄罪とは何ですか?
定義取締役等の贈収賄罪とは、保険業法第328条に定められた規定で、「次に掲げる者が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第328条(取締役等の贈収賄罪)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第328条の条文原文は「次に掲げる者が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 保険業法第328条は第六編に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第328条の前の条は保険業法第327条です。
- 保険業法第328条の次の条は保険業法第329条です。
- 保険業法第328条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第328条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第328条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/328
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法328条は、相互会社の役員や保険調査人が職務に関し不正の請託を受けて利益を収受・要求・約束したときに五年以下の拘禁刑を定める。供与側も3年以下。
Q · 保険会社の役員が取引先から金品を受け取ったら、いくらから犯罪になるの?
金額基準はなく、不正の請託があれば成立する
保険業法328条1項は、相互会社の役員等・会計監査人・保険調査人が、その職務に関し「不正の請託」を受けて財産上の利益を収受し、または要求・約束したときに、五年以下の拘禁刑または五百万円以下の罰金を定めます。金額の多寡は要件ではなく、任務に反する行為の依頼と結び付いているかが分かれ目です。現金を受け取っていなくても、要求または約束の時点で既遂に達します。供与した側も同条2項により三年以下の拘禁刑または三百万円以下の罰金の対象となります。
解説
生命保険の大手には、株式会社ではなく相互会社という形の会社が並ぶ。契約者がそのまま社員(構成員)になる組織で、会社法の贈収賄罪がそのままは届かない。その空白を埋めているのが本条だ。相互会社の役員や支配人、一定の事項の委任を受けた使用人、相互会社の会計監査人、そして保険調査人。これらの立場にある者が、職務に関して「不正の請託」を受け、財産上の利益を収受し、要求し、または約束した時点で、五年以下の拘禁刑または五百万円以下の罰金。渡した側も三年以下の拘禁刑または三百万円以下の罰金である。握っておくべきは二点。第一に、公務員の収賄罪と違い、職務に関して金銭を受け取っただけでは足りず、任務に反する行為の依頼、すなわち不正の請託が必ず要る。第二に、その代わり現金が動く前の要求や約束の段階で犯罪は完成している。会食の席での一言が、送金記録より先に線を越える。
法的な位置づけ
保険業法328条は、相互会社の役員・支配人・一定の使用人、相互会社の会計監査人(一時会計監査人の職務を行うべき者を含む)および保険会社の保険調査人を主体とする贈収賄罪を定める規定である。職務に関する不正の請託を要件とし、財産上の利益の収受のほか、要求または約束の時点で既遂に達する。利益を供与した側も処罰される対向犯である。
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法328条とはどんな罪ですか?
相互会社の役員・使用人、会計監査人、保険調査人を主体とする贈収賄罪です。職務に関する不正の請託を受けて財産上の利益を収受・要求・約束すれば成立します。
Q2不正の請託とは何ですか?
職務上の任務に反する行為を依頼することです。単なる便宜の依頼や通常の営業要請では足りず、任務違背に及ぶ依頼であることが必要とされています。
Q3賄賂はいくらから違法ですか?
保険業法328条は金額基準を置いていません。一万円でも不正の請託と結び付けば成立し、社会通念上相当な儀礼なら請託と切れている限り本条の射程外です。
Q4お金を受け取っていなくても罪になりますか?
なります。328条1項は「収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき」と定め、要求または約束の時点で既遂です。現金の移動は成立要件ではありません。
Q5賄賂を渡した側はどうなりますか?
328条2項により、利益を供与し、または申込み・約束をした者は三年以下の拘禁刑または三百万円以下の罰金です。収受側より一段軽い対向犯の構造です。
Q6株式会社の保険会社にも328条は適用されますか?
相互会社の役員等については本条、株式会社の取締役等については会社法967条が適用されます。ただし保険調査人は保険会社全体を対象に本条が及びます。
Q7公務員の収賄罪と何が違いますか?
刑法197条の単純収賄罪は請託を要件としませんが、保険業法328条は不正の請託が必須です。民間職務の自由に配慮して可罰範囲を絞った構造です。
Q8保険業法328条の時効は何年ですか?
1項の収賄罪は上限が拘禁刑5年のため公訴時効5年、2項の贈賄罪は上限3年のため3年です(刑訴法250条2項)。起算点は犯罪行為の終了時です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1お中元とか接待とか、普通の営業までアウトになるんですか?
本条は金額の基準を置いていない。成立には不正の請託、つまり職務上の任務に反する行為の依頼が必要になる(328条1項)。社会通念上相当な儀礼であれば、通常は請託と結び付かない。実務のポイント:実務で勝負が決まるのは金額ではなく、その前後のやり取りに依頼の中身が残っているかどうか。接待伺いの稟議に「更改の件で」と一行書いてしまうのが最も危ない。
Q2要求しただけで捕まるって本当ですか。お金は結局受け取ってないんですが
本当である。328条1項は「財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき」と定めており、要求または約束の時点で既遂に達する。現金の移動は成立要件ではない。実務のポイント:だから捜査は通帳からではなくメッセージ履歴と同席者の供述から入る。削除したつもりのチャットも、相手方の端末とサーバー側には残っている。
Q3渡した側も罪になるんですか。断れる立場じゃなかったんですけど
同条2項で贈賄側も三年以下の拘禁刑または三百万円以下の罰金の対象になる。収賄側より一段軽いが、双方が処罰される対向犯の建て付けである。実務のポイント:捜査機関が先に事情を聞きに行くのは、多くの場合刑の軽い贈賄側だ。発覚前に自ら申告すれば刑法42条の自首として減軽の余地も残る。先に話した側が有利になりやすい構造を知っているかどうかで、初動が変わる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「いくらまでなら受け取っていいのか」という問いの立て方そのものが外れている。本条は金額の多寡を要件にしていない。分かれ目は不正の請託、つまり任務に反する行為の依頼と結び付いているかどうかだ。一万円でも請託に結び付けば成立しうるし、社会通念上相当な儀礼なら請託と切れている限り本条の射程外にある。
- 「受け取ったら犯罪」までは多くの人が知っている。知られていないのは深刻度のほうで、収受しなくても要求だけ、約束だけで既遂に達する(328条1項)。相手が最終的に断ったから未遂、という理屈は通らない。だから証拠として決め手になるのは通帳ではなく、会食の同席者の記憶とメッセージ履歴になる。
- あなたから見れば「取引先との関係維持」だが、法律から見れば「職務に関する財産上の利益の収受」になりうる。同じ一回の会食が、依頼の中身次第で交際費と犯罪に割れる。この落差を、社内で通した接待伺いの稟議書は吸収してくれない。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 主体 | 保険業法328条:相互会社の役員等・会計監査人・保険調査人 | 会社法967条:株式会社の取締役・監査役等 刑法197条:公務員 |
| 請託の要否 | 不正の請託(任務違背行為の依頼)が必須 | 不正の請託が必須 単純収賄罪は請託不要、受託収賄は請託が加重要素 |
| 既遂時期 | 収受のほか、要求または約束の時点で既遂 | 収受・要求・約束で既遂 収受・要求・約束で既遂 |
| 法定刑 | 収受側5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金/供与側3年以下または300万円以下 | 収受側5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金/供与側3年以下または300万円以下 単純収賄5年以下の拘禁刑、受託収賄7年以下、加重収賄1年以上の有期 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保険業負責人の背信行為を保険法で重く処罰するが、贈収賄そのものを独立の構成要件とせず背信罪の枠で捉える点が日本と異なる
韓国は民間贈収賄を刑法の背任収財罪で一般的に処罰し、業法に個別の罰則を置かない。「부정한 청탁」を要件とする点は日本の不正の請託と同趣旨
ドイツは民間贈収賄を刑法典に一本化し、業種を問わず事業活動における贈収賄として規律する。競争秩序の保護を法益とする点で保険業法固有の立法とは発想が異なる
米国は保険業に従事する者の不正行為を連邦法で個別に規律し、保険業という業種に着目した立法という点で日本の保険業法罰則と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、取引先のシステムベンダーから「来期の更改であの条件を通していただければ」と海外視察の費用を持ちかけられたら? その場で断らず「考えておきます」と返した一言が、約束と評価されれば既遂に届く。稟議は来週、断りの記録を文面で残せるのは今日しかない。
- あなたは代理店の営業責任者だ。支払査定を通してほしくて、担当部長にゴルフ会員権の名義を融通した。渡した側も本条2項で三年以下の拘禁刑または三百万円以下の罰金の対象になる。
- 同僚が、再保険の条件を有利に運ぶ見返りに、相手方から講演料の名目で相場を大きく超える金額を受け取っていると知ってしまった。社内のコンプライアンス窓口に上げるか黙るかを、あなたは今夜決めることになる。通報が遅れるほど、知っていて放置した側に回る。
- 行政の関与のもとで選任された保険調査人が、調査対象の会社側から「報告書の表現を穏当に」と頼まれ、顧問料名目の入金を受けた。本条1項4号は保険調査人を正面から主体に列挙している。民間人の立場でも、職務の中身が公的であれば逃げ場はない。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 持ちかけられた日時・場所・同席者・依頼の具体的文言を、その日のうちに書き残す2. 断った旨をメールまたはチャットで相手に返信し、文面として保全する3. 社内のコンプライアンス窓口へ報告し、公益通報者保護法の保護対象になるか確認する4. 会社が動かない場合は金融庁や捜査機関への申告を検討。すでに物やサービスを受け取ってしまっているなら、返還と経緯の書面化を同時に進める
訴えられた側:1. 弁解の前に争点を確定する。鍵は金額ではなく、不正の請託の有無と、要求・約束がいつ成立したとされているか2. 依頼内容が任務違背に及ばない純然たる営業要請であれば、請託の不正性を正面から争う3. 会食や贈答が社内規程に沿って処理された記録を集める4. 対向犯である以上、供述は相手方のそれと突き合わされる。記憶で語らず記録に基づいて話し、弁護人は金融・企業犯罪の経験者を選ぶ
時効(請求できる期限):1項の収賄罪は法定刑の上限が拘禁刑5年のため公訴時効5年、2項の贈賄罪は上限3年のため公訴時効3年(刑事訴訟法250条2項)。起算点は犯罪行為が終わった時(同253条1項)で、利益の授受が継続した場合は最後の授受時から、要求や約束のみで終わった場合はその時点から数える(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説:民間贈収賄罪における「不正の請託」は、職務上の任務に違背する行為の依頼を指し、可罰範囲を限定する機能を担う。社会通念上相当な範囲の儀礼的贈答は、請託との結び付きを欠く限り構成要件に該当しないと解される
立法趣旨説:相互会社は株式会社ではないため会社法967条の適用がなく、保険調査人のような公的色彩を帯びた民間職務も刑法の収賄罪の主体に当たらない。保険業法が自前の罰則を置くことでこの処罰の空白を塞いでいる
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法の懲役・禁錮の統合に伴い、本条の法定刑が「懲役」から「拘禁刑」へ改められた。刑期の上限(1項5年、2項3年)と罰金額自体に変更はない
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法全部改正の際、相互会社の役員等および保険調査人を主体とする贈収賄罪として整備された
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年)6月1日施行 改正:刑法の懲役・禁錮一元化に伴い、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた。刑期の上限(1項5年、2項3年)および罰金額に変更はない
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める