保険業法 第53条の12(役員等に欠員を生じた場合の措置)
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- 役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
- 2.前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
- 3.裁判所は、前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には、相互会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
- 4.会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
- 5.第五十三条の七において準用する会社法第三百三十七条の規定及び第五十三条の九の規定は、前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
- 6.監査役会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査役会」とする。
- 7.監査等委員会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査等委員会」とする。
- 8.指名委員会等設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査委員会」とする。
- 9.会社法第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百七十条第一項(第一号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十一条(理由の付記)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十四条(第一号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)、第八百七十六条(最高裁判所規則)及び第九百三十七条第一項(第二号イ及びハに係る部分に限る。)(裁判による登記の嘱託)の規定は、第二項及び第三項の場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
役員等に欠員を生じた場合の措置とは何ですか?
定義役員等に欠員を生じた場合の措置とは、保険業法第53条の12に定められた規定で、「役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第53条の12(役員等に欠員を生じた場合の措置)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第53条の12の条文原文は「役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。」で始まります。
- 保険業法第53条の12は第三目 社員総会及び総代会以外の機関の設置等に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第53条の12の前の条は保険業法第53条の11です。
- 保険業法第53条の12の次の条は保険業法第53条の13です。
- 保険業法第53条の12には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の12 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の12(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/53_12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法53条の12は、相互会社で役員の員数が欠けたとき、退任役員が後任就任まで権利義務を有すると定める。後任が選任されなければ、裁判所が申立てにより一時役員を選任できる。
Q · 相互会社の役員を辞任したのに、まだ責任を負うことがあるんですか?
後任が就任するまで、辞任しても役員の権利義務は続きます
保険業法53条の12第1項により、役員が欠けた場合または法律・定款で定めた員数が欠けた場合、任期満了または辞任で退任した役員は、新たに選任された役員(一時役員を含む)が就任するまで役員としての権利義務を有します。辞任届の提出だけでは地位を離れられません。会社が後任を選任しないときは、同条2項により利害関係人が裁判所に一時役員の職務を行うべき者の選任を申し立てることができ、3項で裁判所がその報酬額を定めることもできます。会計監査人が欠けた場合は4項により監査役(機関設計に応じて監査役会・監査等委員会・監査委員会)が一時会計監査人を選任する義務を負います。
解説
相互会社の取締役が辞表を出した。あなたはその会社の契約者で、翌日から「もう役員じゃないから知らない」と言われると思うだろうか。保険業法53条の12第1項は、その逃げ道を塞いでいる。任期満了または辞任で退任した役員は、法律や定款で定めた員数が欠けている限り、後任が就任するまで役員としての権利義務を持ち続ける。つまり辞任届を出しても、後任が決まらなければ責任だけは残る。ここが最も誤解される点だ。逆に、会社が意図的に後任を選ばず前任者を縛り続ける場合、第2項が効く。利害関係人(あなたが社員=契約者であれば該当しうる)が裁判所に申し立てれば、裁判所が一時役員を選任する。会計監査人が欠けたときは第4項で監査役に選任義務が課され、こちらは裁判所を通さない。誰が空席を埋めるかで、手続の入口が全く違う。
法的な位置づけ
保険業法53条の12は、相互会社の機関の欠缺を補充する規定である。1項は退任役員に後任就任までの権利義務を残し、2項および3項は裁判所による一時役員の職務を行うべき者の選任とその報酬額の決定を定め、4項は会計監査人が欠けた場合に監査役へ一時会計監査人の選任義務を課す。手続の入口は欠けた機関の種類によって分岐する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.定款の員数規定と現員数を照合して欠員を確定 定款が定める役員の員数と、登記事項証明書上の現員数を突き合わせ、法律または定款が要求する人数を下回っている事実を客観的に固める。退任の原因が任期満了・辞任であることも議事録と登記で確認する
- 2.自分が利害関係人に当たる根拠を書面で整理 相互会社の社員(保険契約者)、債権者、取引先、あるいは辞任した役員本人など、どの立場で2項の利害関係人に該当するかを、契約書・債権証書・辞任届の控えなどで裏づける書面にまとめる
- 3.本店所在地の地方裁判所に一時役員選任を申し立てる 会社法868条1項の準用により、相互会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に非訟事件として申し立てる。候補者の適格性資料と就任承諾書を添えると審理が早く進む
- 4.陳述の聴取に対応し、報酬額の資料を提出 会社法870条1項の準用により裁判所は陳述の聴取を行う。会社規模や正規役員の報酬水準を示す資料を提出しておくと、3項の報酬額決定がスムーズになり候補者の受諾も得やすい
- 5.選任後の登記と権利義務役員の地位終了を確認 一時役員が就任すると1項の権利義務役員の地位は終了する。会社法937条1項の準用により裁判所書記官が職権で登記を嘱託するため、登記簿を取得して反映を確認する
よくある質問 AI による整理
Q1権利義務役員とは何ですか?
任期満了・辞任で退任しても、定款や法律上の員数が欠けている間は後任就任まで役員の権利義務を負い続ける者です。根拠は保険業法53条の12第1項で、会社法346条1項と同趣旨です。
Q2相互会社の役員が全員辞任したらどうなりますか?
全員が辞任しても機関が空席になるわけではなく、1項により退任役員が後任就任まで権利義務を負います。会社が後任を選ばない場合、利害関係人が裁判所に一時役員の選任を申し立てられます。
Q3権利義務役員はいつまで続きますか?
期限はありません。新たに選任された役員、または裁判所が選任した一時役員が就任した時点で終了します。会社が後任を選任しない限り状態は続くため、自ら申立てをするのが離脱の道です。
Q4一時役員選任の申立てはどこの裁判所にしますか?
保険業法53条の12第9項が会社法868条1項を準用するため、相互会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます。通常の訴訟ではなく非訟事件として扱われます。
Q5役員の員数が欠けたとはどういう状態ですか?
全員が退任した状態だけを指すのではなく、法律または定款が要求する人数を下回った時点を指します。定款が取締役10人と定めていれば、1人の辞任でも欠員となり本条が発動します。
Q6一時役員は登記されますか?
されます。53条の12第9項が会社法937条1項を準用し、裁判所書記官が職権で本店所在地の登記所に登記を嘱託します。会社が申請しなくても選任の事実は登記簿に現れます。
Q7一時役員の選任決定に不服を申し立てられますか?
選任の裁判そのものには不服申立てができません(会社法874条1号の準用)。一方、3項の報酬額の決定については、会社法872条4号の準用により即時抗告の余地があります。
Q8監査等委員会設置会社では一時会計監査人を誰が選任しますか?
4項の「監査役」は7項により「監査等委員会」と読み替えられます。監査役会設置会社なら監査役会(6項)、指名委員会等設置会社なら監査委員会(8項)です。機関設計の確認が先です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1辞任届を出したのに、まだ役員扱いされるのは納得できません。どうすれば完全に抜けられますか?
後任が就任するまで権利義務は続きます(1項)。会社が動かないなら、自分で第2項の一時役員選任を裁判所に申し立てるのが最短です。辞任した本人も利害関係人に含まれると解されています。実務のポイント:会社が後任選任を意図的に引き延ばすケースは実在します。辞任時に「後任選任を◯月◯日までに行うこと」を書面で求め、その記録を残しておくと、後の責任追及で任務懈怠の主張を弱められる
Q2会計監査人が辞めたとき、なぜ裁判所ではなく監査役が選ぶんですか?
会計監査人は業務執行機関ではなく、監査の担い手だからです。4項は監査役(監査役会・監査等委員会・監査委員会に読み替え、6項から8項)に一時会計監査人の選任義務を課し、決算監査の空白を防いでいます。資格要件は53条の7が準用する会社法337条で担保されます。実務のポイント:「遅滞なく」の解釈が実務上分かれており、決算期が近いほど許される猶予は短くなる。決算期直前の辞任は、監査法人側が交代を促すシグナルであることも多い
Q3裁判所が選んだ一時役員の報酬は誰が決めるんですか。会社が拒否したら?
3項により裁判所が報酬額を定めることができ、会社は相互会社としてその者に支払う義務を負います。会社の同意は要件ではありません。実務のポイント:裁判所が定める報酬は、当該会社の規模や正規役員の報酬水準を参考にしつつ、実務では申立人が資料を提出して相場を示すことが多い。申立段階で報酬の見込みを示しておくと、選任候補者の受諾が得やすくなる
間違えやすい点 AI による整理
- 「辞任届を出した日から役員ではない」と信じている人が多いが、法律から見れば、員数が欠けている限りあなたは依然として役員としての権利義務を負う。この落差が致命的なのは、あなたが「もう関係ない」と思って取締役会に出席せず情報から遮断されている間も、責任だけは走り続けるという点だ
- 1項の適用場面を「役員が全員いなくなったとき」と理解している人がいるが、条文が定めるのは員数が欠けた場合、つまり法律または定款が要求する人数を下回った時点である。10人中1人辞めただけでも、定款が10人と定めていれば発動する
- 「一時役員は裁判所が勝手に決めた形だけの人」と軽く見られがちだが、権限は正規の役員と同じ。しかも3項で報酬額まで裁判所が決められる。会社側は人選にも報酬にも口を出せない。この深刻度を理解していない経営陣が、申立てを甘く見て外部から人を送り込まれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 保険業法53条の12:員数が欠けた後の空白を埋める非常時の規定 | 保険業法53条:平時における役員の選任手続 保険業法53条の2:役員の任期、退任時期の起点 |
| 誰が動くか | 退任役員(権利義務の残留)、利害関係人と裁判所、会計監査人欠員では監査役等 | 社員総会(総代会)による決議 定款と任期規定により自動的に効果発生 |
| 外部機関の介入 | 裁判所が一時役員を選任し報酬額まで決定(2項・3項、非訟事件) | なし(会社内部で完結) なし(期間の経過のみ) |
| 生じる効果 | 機関の空白がゼロになる一方、退任者に責任が残り続ける | 正規の役員が就任し権利義務役員の地位が終了 退任の時点が確定し53条の12の発動時期を決める |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の保険業は株式会社または合作社に限られ日本型の相互会社は存在しない。欠員は公司法201条の補選、機能不全は208条の1の臨時管理人選任で処理し、裁判所が介入する構造は日本と共通する
韓国商法386条は、退任理事の権利義務継続と法院による一時理事の選任をほぼ同一の順序で定める。日本商法を経由した継受関係が最も明瞭に現れる条文である
相互保険会社(VVaG)は保険監督法で組織され、取締役の欠員は AktG 85条により登記所の申立てを受けて裁判所が選任する。監督官庁の関与が日本より強く、裁判所と監督庁の二重の手当てがある
米国は連邦法ではなく州保険法が相互保険会社を規律する。役員の空席自体を埋める一般規定より、支払能力の危機に着目した receiver / conservator の裁判所選任が中心で、発動の閾値が日本より高い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが相互会社の取締役で、経営陣と衝突して辞任届を叩きつけた。ところが後任が選任されないまま数か月。その間に会社が起こした損害について、あなたは「権利義務を有する役員」として責任追及の対象になりうる。辞任=責任からの離脱ではない
- 取締役が一斉に辞任し、経営が事実上空転している相互会社。社員(契約者)や債権者は、第2項の利害関係人として裁判所に一時役員選任の申立てができる。会社の内部が動かないなら、外から裁判所を動かす道がある
- 会計監査人が突然辞任した。決算期は目前。監査役は「遅滞なく」後任が選任されないとき、一時会計監査人を自ら選任しなければならない(4項)。これは権限ではなく義務であり、放置すれば監査役自身の善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル)違反が問われる
- もし、裁判所が選任した一時役員に会社が報酬を払いたくないと言い出したら? 3項で裁判所が報酬額を定めることができる。会社の同意は要らない
- 監査等委員会設置会社に移行したばかりの相互会社。「監査役」という機関はもう存在しない。4項の読替えを知らずに手続を進めると、選任主体を間違えた無効な選任になる。移行から決算まであと2か月、機関設計の確認は今週中に
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相互会社の社員(契約者)や債権者として、経営陣の欠員で不利益を受けているなら、まず定款上の役員員数と現員数を確認、欠員状態を客観的に固める2. 自分が「利害関係人」に当たる根拠(保険契約、債権、取引関係)を書面で整理3. 会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に、第2項の一時役員選任の申立てを行う(非訟事件、会社法868条1項準用) 4. 申立てには候補者の適格性資料を添えると審理が早い。裁判所は陳述の聴取(会社法870条1項準用)を経て判断する
訴えられた側:1. 退任後の行為について責任を問われた場合、まず「員数が欠けていたか」「後任が就任していたか」を登記簿と議事録で確認、欠員がなければ1項は適用されず責任は及ばない2. 権利義務役員だった期間中も、実際に業務執行から排除されていた事実があれば、任務懈怠の程度を争う材料になる3. 自分から第2項の申立てをして一時役員を選任してもらい、権利義務役員の地位から離脱する道がある。これは辞任者側の防御手段として使える4. 会社に対し後任選任の懈怠を書面で催告した記録を残す
時効(請求できる期限):権利義務役員の地位に特定の期限はなく、後任役員または一時役員が就任するまで継続する。役員の任務懈怠に基づく損害賠償請求権については、特定の時効規定はないが一般消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される。第2項の裁判に対する即時抗告は、会社法872条4号の準用により裁判の告知を受けた日から1週間(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:1項の権利義務役員は、正規の役員と同一の権限と義務を有し、善管注意義務も負う。員数が欠けている間は重ねて辞任しても地位を離れられず、離脱するには後任の選任または2項の一時役員の選任が必要と解される。
実務上の理解:2項の利害関係人には、相互会社の社員(保険契約者)、債権者、取引関係者のほか、権利義務役員として残された退任者自身も含まれると解される。退任者側の防御手段として申立てを用いる余地がある点が実務上重要とされる。
実務上の理解:4項の「遅滞なく」は固定的な日数ではなく、決算期との距離によって許容される猶予が変動すると解される。決算監査の空白を生じさせない範囲が限界であり、放置すれば監査役等の善管注意義務違反が問題となる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 改正:保険業法の全部改正。相互会社の機関に関する規定が整備され、役員の欠員時の措置が現在の条建てに置かれた
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う関係法律の整備により、本条の手続部分が会社法の非訟事件規定(868条、870条、871条、872条、874条から876条、937条)を準用する構造に改められた
- 3.平成26年(2014年) 改正:会社法改正による監査等委員会設置会社の導入に伴い、1項の役員の定義に監査等委員である取締役等が加えられ、7項の読替え規定が整備された
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