保険業法 第53条の13(取締役の権限)
クイックジャンプ
- 次に掲げる取締役は、相互会社の業務を執行する。
- 一代表取締役
- 二代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって相互会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
- 2.前項各号に掲げる取締役は、三月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
この条文の基本情報
取締役の権限とは何ですか?
定義取締役の権限とは、保険業法第53条の13に定められた規定で、「次に掲げる取締役は、相互会社の業務を執行する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第53条の13(取締役の権限)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第53条の13の条文原文は「次に掲げる取締役は、相互会社の業務を執行する。」で始まります。
- 保険業法第53条の13は第四目 取締役及び取締役会に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第53条の13の前の条は保険業法第53条の12です。
- 保険業法第53条の13の次の条は保険業法第53条の14です。
- 保険業法第53条の13には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の13 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の13(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/53_13
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法53条の13は、相互会社の業務執行取締役を代表取締役と取締役会が選定した取締役に限定し、これらの取締役に三月に一回以上の職務執行報告を義務づける規定である。
Q · 相互会社の取締役会って、書面決議だけで一年回してもいいんですか?
できません。三月に一回以上の職務執行報告が必要です
保険業法53条の13第2項は、業務執行取締役に対し三月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告する義務を課します。取締役会の決議は全員の書面同意で省略できる仕組みがありますが、この職務執行報告は省略の対象外として扱われます。結果として、相互会社の取締役会は年4回は現実に開催する必要があります。なお第1項は、業務を執行できる取締役を代表取締役と取締役会の決議で選定された取締役に限定しており、社内の肩書だけでは業務執行権は生じません。
解説
日本生命、明治安田生命、住友生命、富国生命。日本に数社しか残っていない相互会社は、株主のいない会社である。ではそこで誰が業務を執行し、誰がそれを見張るのか。53条の13は答えを二段構えで置いている。第1項は、業務を執行できる取締役を「代表取締役」と「取締役会の決議で選定された取締役」の二種類に絞り込む。選定されていない取締役は、業務を執行する権限を持たない。あなたが平取締役として名を連ねているだけなら、あなたの職務は執行ではなく監督である。第2項がその監督に燃料を供給する。業務執行取締役は3か月に1回以上、自己の職務執行の状況を取締役会に報告しなければならない。ここが実務の急所だ。取締役会の決議は全員の書面同意で省略できても、この報告だけは省略できない扱いになっている。つまり相互会社の取締役会は、法律上、年4回は現実に開かざるを得ない。
法的な位置づけ
保険業法53条の13は、相互会社における業務執行取締役の範囲と報告義務を定める規定である。第1項は業務を執行する取締役を代表取締役および取締役会の決議によって選定された取締役に限定し、第2項はこれらの取締役に三月に一回以上の職務執行状況の報告義務を課す。株式会社における会社法363条に対応する規律である。
よくある質問 AI による整理
Q1相互会社の業務執行取締役とは何ですか?
保険業法53条の13第1項により、代表取締役と、取締役会の決議によって業務を執行する取締役として選定された取締役の二種類に限られます。肩書ではなく選定決議が基準です。
Q2職務執行報告は三月に一回とはいつから数えますか?
起算点は前回報告日です。前回報告から三月を超える前に次の報告を行う必要があるため、決算期などの繁忙期も日程を前倒しで確保するのが実務です。
Q3職務執行報告を書面で代えることはできますか?
できない扱いです。取締役会決議は全員の書面同意で省略できますが、職務執行報告は省略対象から外れており、現実の開催が必要とされます。
Q4相互会社の取締役会は年に何回開く必要がありますか?
三月に一回以上の職務執行報告が必要なため、最低で年4回の実開催が求められます。これが相互会社の取締役会運営の下限ラインです。
Q5ウェブ会議での取締役会でも職務執行報告は有効ですか?
出席者が相互に議論できる状態が確保されていれば実開催として扱う運用が定着しています。ただし議事録に開催方法と質疑を記録しておくことが重要です。
Q6職務執行報告を怠ったら罰則はありますか?
本項自体に直接の罰則は置かれていませんが、監督官庁の行政対応や、役員の善管注意義務違反を問う場面で不利な事実として機能します(最新の改正状況をご確認ください)。
Q7相互会社と株式会社の取締役規律はどう違いますか?
相互会社は保険業法が独自に機関規律を定め、必要な範囲で会社法を準用します。会社法をそのまま当てると準用されない部分や読み替えで誤ります。
Q8常務取締役は業務執行取締役に当たりますか?
当然には当たりません。取締役会の選定決議がなければ法律上の業務執行権は生じず、社内序列と法律上の権限には落差があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取締役会って、全員の同意があれば書面で済ませちゃダメなんですか?
決議は全員の書面同意で省略できる仕組みがあるが、53条の13第2項の職務執行報告は別枠である。会社法372条2項は363条2項の報告を省略の対象から明文で外しており、相互会社にも同旨の規律が及ぶ。結果として年4回は現実の開催が要る。実務のポイント:日程が詰まったときの正攻法はウェブ会議での開催である。相互に議論できる状態が確保されていれば実開催として扱われる運用が定着している。
Q2常務取締役という肩書があれば、業務執行取締役ということですか?
肩書と法律上の地位は別物である。53条の13第1項は業務を執行する取締役を、代表取締役と、取締役会の決議によって選定された取締役に限定している。社内の役職名が何であれ、選定決議がなければ法律上の業務執行取締役ではない。実務のポイント:役員異動のたびに選定決議を取り直しているかを議事録で追うと、抜けが見つかることが珍しくない。
Q3報告を怠ったら、罰則はあるんですか?
53条の13第2項自体に直接の罰則が置かれているわけではないが、実効性は別ルートから来る。監督官庁による業務改善命令等の行政上の対応と、役員個人の善管注意義務違反(プロとして当然払うべき注意を欠いたこと)を問われる場面での不利な事実になる(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:責任追及で効くのは罰則規定ではなく、議事録の空白である。
Q4相互会社って株式会社と何が違うんですか。会社法をそのまま読めばいいのでは?
相互会社は保険業法に基づき設立された社団で、株主ではなく保険契約者が社員となる(保険業法2条5項)。機関の規律は保険業法が独自に定め、必要な範囲で会社法を準用する構造である。会社法をそのまま当てると、準用されていない部分や読み替え部分で判断を誤る。実務のポイント:条文を引く順番は、保険業法の準用規定と読み替えを先に開いてから会社法本体である。
間違えやすい点 AI による整理
- 「取締役会を3か月に1回開けばよい」というルールだと理解している人は多い。知られていないのはその先の深刻さだ。報告が途切れた期間があると、後日の役員責任追及や検査対応の場面で、その空白そのものが「監督していなかった」証拠として機能する。形式違反が実体責任に転化する経路がここにある。
- 「うちは役員全員が現場を回しているから第1項は関係ない」という前提自体が誤っている。第1項は執行できる者を数える規定ではなく、執行できる者を限定する規定である。問うべきは「誰が実際に執行しているか」ではなく「誰が選定決議を受けているか」だ。
- 代表取締役以外でも肩書が専務や常務なら当然に業務執行取締役だと思われがちだが、法律から見れば逆で、取締役会の選定決議がない限り業務執行権は生じない。社内序列と法律上の権限の落差に気付かないまま押印を重ねることが、後の紛争の種になる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 保険業法53条の13:相互会社の業務執行取締役の範囲と三月報告 | 保険業法2条:相互会社の定義(本条の適用対象を画定) 会社法363条:株式会社における同旨規定 |
| 業務執行権の根拠 | 代表取締役であること、または取締役会の選定決議 | 定義規定であり業務執行権を直接与えない 代表取締役または取締役会の選定決議(株式会社) |
| 報告の省略可否 | 職務執行報告は書面同意による省略ができない扱い | 該当なし 会社法372条2項が363条2項の報告を省略対象から除外 |
| 実務上の帰結 | 相互会社の取締役会は年4回以上の実開催が必要 | 社員=保険契約者という構成員構造の確認 株式会社の取締役会も年4回以上の実開催が必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は相互保険社の規律を保険法に置き、業務執行と監督の分配は公司法の董事会規律に依存する。三か月単位の報告義務を条文上明記する構造は採っていない
韓国も商法上の理事会の業務監督権と保険業法の相互会社規定を組み合わせる構造で、日本と近い機関設計をとる
ドイツは相互保険組合(VVG a.G.)を VAG が規律し、Vorstand の Berichtspflicht は株式法90条に定期報告として置かれる。監査役会への報告という二層構造が日本と異なる
米国は州ごとの保険法で相互保険会社を規律し、取締役の報告頻度は定款・内部規程に委ねられることが多い。連邦統一の三か月報告義務は存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし相互会社の取締役会を、書面決議だけで半年間まわしていたとしたら? 個々の決議は有効でも、職務執行報告が実施されていない期間が議事録に残る。監督官庁の検査で経営管理体制の項目に真っ先に印がつく種類の穴だ。
- あなたは常務執行役員から取締役に上がったばかりで、名刺には常務取締役と刷られた。だが取締役会の選定決議を経ていなければ、あなたは法律上の業務執行取締役ではない。それでも支店に業務指示を出し続けた場合、権限の所在を後から問われるのはあなた自身である。
- 四半期の報告を1回だけ飛ばした。理由は決算対応で日程が取れなかったから。その1回が、後の役員責任追及の場で「監督が途切れていた期間」として使われる。
- 前回の報告から2か月と3週間が過ぎた。残り10日以内に取締役会を実開催しなければ3か月の上限を割る。事務局からは書面決議で代替する案が上がっているが、この報告だけはその方法では消せない。
- 社外取締役として招かれたあなたに、事務局が「今回の職務執行報告は資料配布で代えます」と説明してきた。ここで黙って受け入れるか、実開催と質疑を求めるか。数年後に責任が問われたとき、あなたの発言が議事録に残っているかどうかが分岐点になる。
取るべき行動
被害を受けた側:社外取締役、監査役、総代など監督する側に立つなら、1. 直近2年分の取締役会議事録で、業務執行取締役の職務執行報告が3か月以内の間隔で記載されているかを確認する2. 空白の四半期があれば、その期間にどの重要決裁が走っていたかを突き合わせる3. 報告が資料配布だけで済まされていないか、質疑の記載の有無を見る4. 是正を求めた事実は必ず議事録か書面で残す。口頭の指摘は後に存在しなかったことになる
訴えられた側:業務執行取締役として報告漏れを指摘されたら、1. まず期間を確定する。前回報告日から次回までの実日数を洗い、3か月を超えた区間を特定2. 超過が日程調整によるものなら、招集記録、欠席状況、代替として行った情報提供の証跡を集める3. 直近の取締役会で遡及的に報告を実施し、経緯を議事録に明記4. 再発防止として四半期ごとの定例議題化を決議する。事後の是正記録は責任追及の場面で情状として機能する
時効(請求できる期限):本条固有の履行期限は「前回報告から3か月以内」であり、日程管理は前回報告日を起算点として行う。報告懈怠を理由とする役員の会社に対する損害賠償責任には、一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)会社法制定に伴う整備(要検証) 会社法の制定にあわせて相互会社の機関規律が全面的に再編された際に置かれた規定とみられ、条文構造は会社法363条と対応する。ただし新設か既存規定の移動・改番かは条文沿革の確認が必要
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める