保険業法 第53条の11(会社法の準用)
クイックジャンプ
会社法第三百四十二条の二第一項から第三項まで(監査等委員である取締役等の選任等についての意見の陳述)の規定は相互会社の監査等委員である取締役の選任若しくは解任又は辞任についての意見の陳述について、同条第四項の規定は相互会社の監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任についての意見の陳述について、同法第三百四十三条(第四項を除く。)(監査役の選任に関する監査役の同意等)の規定は相互会社の監査役の選任について、同法第三百四十四条(会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定)の規定は相互会社の会計監査人の選任について、同法第三百四十四条の二(第三項を除く。)(監査等委員である取締役の選任に関する監査等委員会の同意等)の規定は相互会社の監査等委員である取締役の選任について、同法第三百四十五条(会計参与等の選任等についての意見の陳述)の規定は相互会社の会計参与、監査役又は会計監査人の選任若しくは解任又は辞任についての意見の陳述について、それぞれ準用する。この場合において、同条第三項中「第二百九十八条第一項第一号」とあるのは「保険業法第四十一条第一項又は第四十九条第一項において準用する第二百九十八条第一項第一号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
会社法の準用とは何ですか?
定義会社法の準用とは、保険業法第53条の11に定められた規定で、「会社法第三百四十二条の二第一項から第三項まで(監査等委員である取締役等の選任等についての意見の陳述)の規定は相互会社の監査等委員である取締役の選任若しくは解任又…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第53条の11(会社法の準用)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第53条の11の条文原文は「会社法第三百四十二条の二第一項から第三項まで(監査等委員である取締役等の選任等についての意見の陳述)の規定は相互会社の監査等委員である取締役の選任若しくは解任又…」で始まります。
- 保険業法第53条の11は第三目 社員総会及び総代会以外の機関の設置等に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第53条の11の前の条は保険業法第53条の10です。
- 保険業法第53条の11の次の条は保険業法第53条の12です。
- 保険業法第53条の11には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の11 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の11(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/53_11
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法53条の11は、相互会社の役員選任に会社法343条・344条等を準用し、監査役の選任議案には監査役会の同意、会計監査人の選任議案には監査役会側による内容の決定を要求する規定である。
Q · 相互会社の監査役や会計監査人は、経営陣が自由に決められるのですか?
監査役会が同意しなければ、その議案は総代会に出せません
保険業法53条の11は、相互会社の役員選任等に会社法の規定を準用します。監査役の選任議案は監査役(監査役会があるときは監査役会)の同意がなければ総代会に提出できません(会社法343条準用)。会計監査人の選任議案は、内容そのものを監査役会側が決定します(同344条準用)。監査等委員である取締役の選任には監査等委員会の同意が必要です(同344条の2準用)。したがって経営陣は、監査する側の関門を通さずに人事議案を上程することができません。
解説
相互会社には株主がいない。株を持つ者の代わりに、保険料を払っているあなた自身が「社員」、つまり会社の構成員である。日本生命、明治安田生命、住友生命、富国生命、朝日生命、これらは株式会社ではなく相互会社だ。ではその会社の監査役や会計監査人は誰が決めるのか。本条が会社法の五本の条文を相互会社に持ち込み、三重の仕掛けを作っている。第一に、監査役の選任議案は監査役(監査役会があるときは監査役会)の同意がなければ総代会に出せない。第二に、会計監査人つまり監査法人の選任議案の中身は、取締役ではなく監査役会側が決める。第三に、解任された、あるいは自ら辞めた監査役は、辞任後最初の総代会に出席して理由を述べる権利を持つ。経営陣が監査する側の首をすげ替えて静かに幕引きする、その退路を塞ぐための構造である。
法的な位置づけ
保険業法53条の11は、相互会社の機関人事に関する会社法の準用規定である。監査役の選任議案には監査役会の同意を要し、会計監査人の選任議案の内容は監査役会側が決定する。監査等委員である取締役の選任等には監査等委員会の同意と意見陳述の機会が与えられ、辞任した監査役等は辞任後最初の総代会で意見を述べることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.議案の対象者ごとに根拠条文を仕分ける 総代会に出す役員選任議案を、監査役(会社法343条準用)、会計監査人(同344条準用)、監査等委員である取締役(同344条の2準用)に仕分ける。対象ごとに必要な手続が同意なのか内容決定なのかが変わるため、最初に必ず分類する
- 2.監査役会・監査等委員会の同意を先に取得する 監査役および監査等委員である取締役の選任議案は、監査役会(監査等委員会)の同意を取得してから取締役会で議案を確定する。順序を逆にすると手続の瑕疵になる。同意の求め方は口頭でなく書面とし、日付と議事録を残す
- 3.会計監査人の議案は監査役会側に内容を決定してもらう 会計監査人の選任議案は、同意ではなく内容の決定そのものが監査役会側の権限である(会社法344条準用)。取締役会が先に監査法人を内定して追認を求める運びにしない。決定の経緯を監査役会議事録に明記する
- 4.招集通知の発送前に取締役会決議を完了する 同意および内容決定をすべて取得したうえで取締役会決議を行い、総代会の招集通知を発送する。通知が発送された後に同意の不備が判明すると、争点は同意の有無から決議の効力へ移り、後戻りが難しくなる
- 5.意見陳述の機会を確保して記録に残す 監査等委員である取締役および辞任した監査役等には、選任・解任・辞任について意見を述べる権利がある(会社法342条の2、345条準用)。辞任者には総代会招集の通知を行い、議事録に陳述の有無と内容を残す
よくある質問 AI による整理
Q1相互会社とは何ですか?
保険業に固有の会社形態で、株主が存在せず保険契約者が「社員」として構成員になる社団です。日本生命、明治安田生命、住友生命などが相互会社です。
Q2保険業法53条の11は何を定めていますか?
相互会社の監査等委員である取締役・監査役・会計監査人・会計参与の選任、解任、辞任に関し、会社法342条の2、343条、344条、344条の2、345条を準用することを定めています。
Q3相互会社に会社法は適用されますか?
当然には適用されません。保険業法が本条のように条文を個別に指定して準用したときにだけ効力が及びます。指定のない会社法の規定は相互会社では使えません。
Q4総代会とは何ですか?
相互会社で社員総会に代えて置かれる意思決定機関です。社員から選ばれた総代が出席し、役員選任議案などを決議します。保険業法42条以下が定めています。
Q5監査役の選任に同意が必要なのはなぜですか?
監査される側の取締役が監査役の人事を握ると監査が形骸化するためです。会社法343条の準用により、監査役会の同意がない議案は総代会に提出できません。
Q6会計監査人の選任議案は誰が決めますか?
会社法344条の準用により、監査役(監査役会設置会社では監査役会)が議案の内容を決定します。取締役会は決まった内容を上程する立場になります。
Q7監査等委員である取締役とは何ですか?
監査等委員会を構成する取締役で、取締役でありながら監査を担います。相互会社では本条により会社法342条の2、344条の2が準用され、選任に同意権と意見陳述権が及びます。
Q8相互会社の生命保険会社にはどこがありますか?
日本生命、明治安田生命、住友生命、富国生命、朝日生命などが相互会社形態です。株式会社形態の生命保険会社とは機関設計と適用条文が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険会社から「社員」って呼ばれたんですけど、私そこで働いてないですよ?
働いている人という意味ではない。相互会社の保険契約者は、その社団の構成員という意味で社員である(保険業法2条5項)。剰余金の分配を受け、総代を通じて総代会の意思決定につながる立場だ。実務のポイント:総代の候補は会社側の選考委員会が実質的に主導するため、社員が外から人事に切り込む経路は細い。だからこそ本条が用意した監査役会の同意権のような内部の歯止めが、実質的な意味を持つ
Q2監査役が辞めるとき、辞めた理由を公の場で言えるって本当ですか?
本当だ。本条が準用する会社法345条により、辞任した監査役は辞任後最初に招集される総代会に出席し、辞任した旨と理由を述べることができる。会社側はその者に総代会招集の通知をする義務も負う(同条3項、保険業法41条1項または49条1項による読替えあり)。実務のポイント:実務では「一身上の都合」と書かせて辞任届を受理し、この経路を静かに閉じるのが定石だ。辞任届の文面に具体的な理由を書いて控えを残すかどうかで、後の証拠価値がまるで変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「相互会社にも当然に会社法が適用される」という前提そのものが誤っている。会社法は相互会社に自動適用されない。保険業法が本条のように一本ずつ「この条文を、この場面に、この読替えで」と指定して初めて効力が及ぶ。指定されていない会社法の条文は、どれだけ有名な規定でも相互会社では使えない。ここを取り違えると、根拠条文のない主張を組み立てることになる
- 監査役に同意権があることは多くの実務家が知っている。だがそれが「意見を言える」ではなく「議案を止められる」拒否権であることの重さは共有されていない。同意がなければ議案は総代会に提出できず、経営陣は人事案そのものを引っ込めるか、監査役会と交渉するかの二択に追い込まれる。しかも2014年(平成26年)改正で、会計監査人については同意権を超えて議案内容の決定権が監査する側に移っている
- あなたから見れば、生命保険は毎月引き落とされる支出であり、自分は「お客様」である。法律から見れば、相互会社の保険契約者は「社員」、すなわち会社の構成員だ(保険業法2条5項)。この落差があるために、総代会の招集通知が届いても中身を読まず、自分の会社の監査体制が誰の手で決まっているかを一生知らないまま終わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律している場面 | 保険業法53条の11:役員等の選任・解任・辞任と意見陳述 | 保険業法41条:社員総会に関する会社法の準用 保険業法49条:総代会に関する会社法の準用 |
| 準用される会社法の条文 | 342条の2、343条、344条、344条の2、345条 | 株主総会に関する規定群(298条等) 株主総会に関する規定群を総代会へ読替え |
| 誰の権限を守る規定か | 監査役会・監査等委員会の独立性(議案を止める力) | 社員の総会参加と決議手続 総代の総会参加と決議手続 |
| 実務上の使いどころ | 役員人事議案の組成順序と同意取得のタイミング | 社員総会設置会社での招集・決議設計 総代会設置会社での招集通知と読替えの根拠 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保険業の組織を株式会社または合作社に限り、相互会社形態を持たない。監察人の選任は公司法の一般規定によるため、日本のような準用の仕分けが生じない
韓国も保険業法に相互会社の章を置き、商法の機関規定を取り込む構造をとる。日本と同様、会社法一般規定の自動適用ではなく個別の取込みが前提となる
ドイツの相互保険組合(VVaG)は保険監督法に独自の機関規律を置き、株式法の規定を必要な範囲で援用する。相互会社を株式会社と同視しない点は日本と共通
連邦統一法がなく州ごとに機関規律が異なる。監査委員会の独立性は州保険法と NAIC のモデル規則、取引所上場基準の組合せで担保され、単一の準用条文という形をとらない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 総代会まであと3週間、経営陣が監査役候補を突然差し替えてきたら、監査する側は何ができるのか? 答えは同意しないこと、それだけで議案は上程できない(会社法343条1項準用)。ただし招集通知が発送される前に腹を決める必要がある。通知が出てしまえば、争点は「同意の有無」から「決議の効力」という後戻りしにくい土俵へ移る
- あなたが保険会社の事務局で総代会の議案を組む側だとする。会計監査人の再任を取締役会決議だけで固めた瞬間、手続の瑕疵が生まれる。議案の内容を決める権限は、そこにはない(会社法344条準用)
- 監査役として在任中、支払査定の不透明な処理に気づいた。改善を求めたが経営陣は動かない。任期満了まで待って静かに去るか、辞任という形式を選んで辞任後最初の総代会で理由を述べるか。この二択が、あなたの発言が公式の記録に残るかどうかを分ける
取るべき行動
被害を受けた側:監査役・監査等委員として人事上の圧力を受けている場合。1. 同意を求められた文書と日付を必ず保存する、口頭での同意要請には書面での提示を求める2. 同意しない判断をするなら、招集通知の発送前に監査役会(監査等委員会)の決議として記録に残す3. 会計監査人については同意ではなく議案内容の決定権が自分側にあることを明示的に主張する4. 辞任を選ぶ場合、辞任届に理由を明記し、辞任後最初の総代会での意見陳述権を行使する意思を書面で会社へ通知する
訴えられた側:会社側で議案を組成する立場の場合。1. 監査役の選任議案は監査役会の同意取得が先、取締役会決議が先ではない、順序を逆にすると瑕疵になる2. 会計監査人の選任・解任・不再任の議案は、内容そのものを監査役会側に決定してもらう建付けにする3. 監査等委員である取締役の選任には監査等委員会の同意が必要(会社法344条の2準用) 4. 監査等委員会は監査等委員以外の取締役の人事にも意見を述べられる(同342条の2第4項準用)、意見が出る前提で招集通知の記載を設計する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。効くのは手続上の期限である。同意・決定は議案を総代会に提出する前まで、実務上は招集通知発送前の取締役会決議までに完了させる必要がある。辞任者の意見陳述は「辞任後最初に招集される総代会」の一回限りで、その機会を逃せば復活しない。決議に瑕疵があった場合の決議取消しの訴えは決議の日から3か月以内(会社法831条が相互会社にも準用される。準用の根拠となる保険業法の条番号は個別に確認すること)
学説
通説:会社法は相互会社に当然適用されるものではなく、保険業法が個別に準用を指定した範囲でのみ効力が及ぶ。したがって本条に列挙されていない会社法の規定を相互会社の機関人事の根拠とすることはできず、準用の有無が実務判断の出発点になる。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)会社法改正整備法(要人的検証) 監査等委員会設置会社制度の創設に伴い、会社法342条の2および344条の2の準用が本条に組み込まれたと考えられる。同時に会社法344条が会計監査人選任議案の同意権から内容決定権へ強化された影響が相互会社にも及ぶ。改正年および新設か改正かの区別は原典での確認が必要
- 平成17年(2005年)会社法制定整備法(要人的検証) 旧商法から会社法への移行に伴い、相互会社の機関に関する準用規定群が再編された際の位置づけ変更が推定されるが、本条の条番号の由来については原典での確認が必要
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める