保険業法 第342条(刑事補償の特例)
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第三百十七条の二第二号の罪に関し没収すべき債権等の没収の執行に対する刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)による補償の内容については、同法第四条第六項(補償の内容)の規定を準用する。
この条文の基本情報
刑事補償の特例とは何ですか?
定義刑事補償の特例とは、保険業法第342条に定められた規定で、「第三百十七条の二第二号の罪に関し没収すべき債権等の没収の執行に対する刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)による補償の内容については、同法第四条第六項(補償の内容…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第342条(刑事補償の特例)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第342条の条文原文は「第三百十七条の二第二号の罪に関し没収すべき債権等の没収の執行に対する刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)による補償の内容については、同法第四条第六項(補償の内容…」で始まります。
- 保険業法第342条は第七編に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第342条の前の条は保険業法第341条です。
- 保険業法第342条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第342条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第342条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/342
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法342条は、317条の2第2号の罪に関する債権等の没収執行について、刑事補償法4条6項を準用し、無罪が確定した者に対する補償の内容を定める規定である。
Q · 無罪になったら、没収された債権はどうやって戻ってくるんですか?
自動では戻らず、刑事補償法に基づく請求が必要です
保険業法342条は、同法317条の2第2号の罪に関して没収すべき債権等の没収執行について、補償の内容を刑事補償法4条6項に従わせる準用規定です。無罪が確定しても補償は自動で支払われず、無罪の裁判をした裁判所に自ら請求する必要があり、請求期間は確定した日から3年です(刑事補償法7条)。補償の内容は、没収物がまだ処分されていなければ返付、既に処分されていれば時価に等しい額の交付という枠組みによります。補償で埋まらない損害については、国家賠償法1条による別ルートの検討対象になります。
解説
保険会社の経営者が粉飾決算まがいの虚偽記載をして摘発され、犯罪収益として債権が没収された。ところが裁判が進み、最終的に無罪になった。すでに執行された没収はどう戻すのか。ここで動くのが保険業法342条である。本条は、317条の2第2号の罪について債権等が没収された場合、その執行に対する補償の中身を刑事補償法4条6項に従わせると定める。ポイントは「準用」という一語だ。刑事補償法は本来、身柄拘束や通常の没収物を想定して作られている。株式や貸付債権のような目に見えない財産が没収されたとき、その補償額をどう算定するかは条文の隙間になる。本条はその隙間を塞ぎ、無罪となった者が「補償の規定がないから返らない」と言われる事態を防いでいる。刑事司法で最も見落とされる領域、つまり国家が誤ったあとの後始末の設計図が、保険業法の末尾に一行だけ置かれている。
法的な位置づけ
保険業法342条は、同法317条の2第2号の罪に関し没収すべき債権等について、その没収の執行に対する刑事補償法上の補償の内容を定める準用規定である。補償の内容は刑事補償法4条6項によるものとされ、没収物が未処分であれば返付、処分済みであれば時価に等しい額の交付という枠組みが、債権等の没収の場面にも及ぶことになる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.無罪の裁判の確定日を押さえ、3年の期限を管理する 判決言渡し日ではなく確定日を起点に、刑事補償法7条の3年の請求期間を計算してカレンダーに登録する。上訴期間の経過や上訴取下げによる確定日を、弁護人と書面で確認しておく
- 2.没収・没収保全された債権等を一覧化し、評価資料を集める 対象となった債権等の種類、額面、債務者、執行の開始日と終了日を一覧にする。あわせて、処分の有無、処分されている場合の処分時期、債務者の信用状態の変動を示す資料を収集する
- 3.無罪の裁判をした裁判所に補償請求書を提出する 刑事補償の請求先は、無罪の裁判をした裁判所である。保険業法342条により刑事補償法4条6項が準用される旨を明示し、未処分なら返付、処分済みなら時価に等しい額の交付を求める構成で主張する
- 4.補償決定の内容を検証し、不服があれば争う 決定された補償の内容が、執行によって現実に失われた価値と乖離していないかを検証する。評価の基準時や時価の算定方法に争いがある場合は、刑事補償法所定の不服申立ての手続を検討する
- 5.補償で埋まらない損害は国家賠償請求を検討する 事業機会の喪失や信用毀損など、法定の補償枠に収まらない損害が残る場合、国家賠償法1条による請求を別途検討する。公務員の故意過失という要件と立証責任が刑事補償とは全く異なる点に注意する
よくある質問 AI による整理
Q1刑事補償法4条6項とは何ですか?
没収の執行による補償の内容を定める規定です。没収物がまだ処分されていないときは返付、既に処分されているときは時価に等しい額の金銭を交付するという枠組みを置いています。
Q2没収された債権はいくら補償されますか?
原物が残っていれば返付、処分済みであれば時価に等しい額の交付です。額面がそのまま保証されるわけではなく、債務者の信用状態など評価が争点になります。
Q3刑事補償はどこに請求するのですか?
無罪の裁判をした裁判所に対して請求します。検察庁や法務省ではありません。請求書と、没収された債権等の内容・評価を示す資料を添えて提出します。
Q4没収保全とはどんな制度ですか?
判決確定前の捜査・公判段階で、没収の対象となり得る財産の処分を禁じる仕組みです。推定無罪の段階でも資産が事実上凍結される点に特徴があります。
Q5刑事補償と国家賠償はどう違いますか?
刑事補償は公務員の故意過失を問わず法定の枠内で支払われる無過失型の制度、国家賠償は違法行為と故意過失を立証して損害全体を請求する制度です。両者は併存し得ます。
Q6補償請求の期限を過ぎたらどうなりますか?
無罪の裁判が確定した日から3年を過ぎると請求権は消滅します(刑事補償法7条)。起算点は判決言渡し日ではなく確定日である点に注意が必要です。
Q7刑事補償の請求に弁護士は必要ですか?
本人請求も可能ですが、債権等の没収では評価資料の収集と時価の主張立証が中心になるため、刑事弁護人が確定直後から関与しているかで回収額が変わります。
Q8準用規定があるとなぜ違うのですか?
準用は、別の法律の規定を読み替えて適用させる立法技術です。準用先が書かれていなければ、補償額の算定根拠そのものが存在しないことになり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1そもそも保険業法に、なんで刑事補償の話が出てくるんですか?
保険業法317条の2は同法違反の罪と没収について定めており、そこで没収されるものに債権等が含まれるからです。刑事補償法は本来、身柄拘束や有体物の没収を主に想定しており、債権の没収執行に対する補償の内容は当然には決まりません。そこで本条が同法4条6項を準用して隙間を埋めています。実務のポイント:この種の準用規定は、組織犯罪処罰法など没収の対象を債権等に拡張した立法群と同じ設計思想で置かれています。似た条文構造を他法で探すと、実務上の運用例が見つかることがある
Q2無罪になったら、国は自動で補償してくれるんですか?
しません。刑事補償は請求主義であり、無罪の裁判をした裁判所に対して自分から請求しなければ1円も出ません。期間は無罪の裁判が確定した日から3年(刑事補償法7条)。放置すれば権利は消滅します。実務のポイント:無罪判決の直後は当事者も弁護人も脱力していて、この手続が抜け落ちることが実際にあります。判決確定の連絡を受けた日に、補償請求のスケジュールを先に押さえておくのが実務の作法である
間違えやすい点 AI による整理
- 「無罪になれば没収された財産は当然そのまま戻ってくる」と考えられているが、問いの立て方自体がずれている。債権のように換価・処分が進んでいる場合、原物返還ができないことがあり、そこでは金銭による補償の内容が争点になる。返るか返らないかではなく、いくらでどう清算されるかが実際の勝負どころである
- 刑事補償法の存在は知っていても、その深刻な限界を知る人は少ない。補償はあくまで法定の枠内であり、失われた事業機会や信用の毀損まで全額を回復させるものではない。足りない部分は国家賠償法1条による別ルートの請求を検討することになり、要件も立証責任も全く異なる
- 本条のような準用規定を「形式的な条文整理」と見る向きがあるが、法律から見れば準用の有無が請求権の有無を分ける。準用先が書かれていなければ、無罪になった当事者は補償の算定根拠を失う。読み飛ばされる一行が、実際の金額を左右する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 保険業法342条:没収執行に対する補償の内容を刑事補償法4条6項に接続する準用規定 | 保険業法317条の2:本条が対象とする罪と債権等の没収の根拠 保険業法333条:役員等に対する過料等の制裁を定める規定 |
| 働く場面 | 無罪確定後、誤って執行された没収の後始末 | 捜査・公判から有罪確定に至る財産剥奪の局面 刑罰に至らない義務違反に対する行政的・秩序的制裁の局面 |
| 当事者にとっての意味 | 返付か時価相当額かという清算方法の算定根拠になる | 財産を失うリスクそのものの発生源になる 金銭的負担は生じるが刑事罰ではない |
| 発動の主体 | 無罪となった本人が裁判所に請求して初めて動く | 検察官の請求と裁判所の判断により国家側から動く 監督官庁・裁判所の手続により国家側から動く |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は個別業法に準用規定を置くのではなく、刑事補償法という単一の一般法で無罪確定後の執行分の補償をまとめて扱う設計。業法側に一行を置く日本型とは立法技術が異なる
韓国は補償に加えて名誉回復(無罪判決の公示)を同一法律に組み込んでいる点が特徴。財産的補償と社会的回復を一体で設計する
ドイツは押収・差押えを含む「刑事訴追措置」全般を一本の法律で補償対象とする。没収の種別ごとに個別法へ準用を振る必要が生じにくい
米国は不当有罪判決に対する補償と、没収手続で勝訴した当事者への費用・利息の償還が別系統。没収は民事没収の比重が大きく、制度の出発点が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保険会社の役員として、虚偽の届出をめぐる事件で起訴された。捜査段階で会社に対する貸付債権が没収保全され、事実上動かせなくなる。最終的に無罪判決が確定したとき、その債権は誰がどう評価して返すのか。物ではなく債権であるがゆえに、返還ではなく金銭補償になる場面がある。そのときの計算根拠が本条経由の刑事補償法4条6項である
- 没収された債権の債務者が、没収執行の期間中に倒産した。無罪になっても、もはや回収できない債権が返ってくるだけでは補償にならない。補償の内容をどう定めるかという問題が、抽象論ではなく現実の損失額として立ち上がる
- もしあなたが刑事事件で無罪になったとして、押収・没収されていた財産の補償を国に請求する期間は、いつまでだと思うか。刑事補償の請求は無罪裁判が確定した日から3年以内(刑事補償法7条)。無罪の喜びで手続を忘れているうちに、権利が消える
- 弁護士として保険業法違反事件を受任した。無罪の見通しが立った段階で、依頼者から「没収された資産はどうなるのか」と聞かれる。手続の入口が刑事補償法にあり、その適用の橋渡しをするのが本条であると、その場で説明できるかどうかで信頼が決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 無罪裁判が確定したら、確定日を起点に3年の請求期間を手帳に記入する(刑事補償法7条) 2. 没収・没収保全の対象となった債権等の一覧、執行時点の評価資料、執行期間中の価値変動を示す資料を弁護人と整理する3. 補償請求は無罪の裁判をした裁判所に対して行う4. 補償で回復されない事業上の損害については、国家賠償法1条による請求を別途検討する。要件(公務員の故意過失)が全く異なる点に注意
訴えられた側:1. 捜査段階で没収保全命令が出たら、その対象範囲と評価方法を必ず記録に残す。無罪になった場合の補償額算定の出発点になる2. 保全命令に対しては不服申立ての手続があるため、争える段階で争っておく3. 公判中も、没収対象債権の価値変動(債務者の信用状態など)を継続的に記録しておく4. 弁護人には有罪無罪の争いと並行して、財産の出口戦略も検討させる
時効(請求できる期限):刑事補償の請求は、無罪の裁判が確定した日から3年以内(刑事補償法7条)。起算点は判決言渡し日ではなく確定日である点に注意。国家賠償請求は民法724条の消滅時効(損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
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