保険業法 第61条の6(社債管理者の設置)
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相互会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社債の金額が一億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして内閣府令で定める場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
社債管理者の設置とは何ですか?
定義社債管理者の設置とは、保険業法第61条の6に定められた規定で、「相互会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第61条の6(社債管理者の設置)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第61条の6の条文原文は「相互会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社…」で始まります。
- 保険業法第61条の6は第七款 相互会社の社債を引き受ける者の募集に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第61条の6の前の条は保険業法第61条の5です。
- 保険業法第61条の6の次の条は保険業法第61条の7です。
- 保険業法第61条の6には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第61条の6 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第61条の6(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/61_6
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法61条の6は、相互会社が社債を発行する際に社債管理者の設置を義務づける。ただし各社債の金額が一億円以上なら、この設置義務は外れる。
Q · 相互会社の社債って、必ず社債管理者がついているんですか?
原則は設置義務あり。ただし一口一億円以上なら不要になる
保険業法61条の6により、相互会社が社債を発行する場合は社債管理者を定め、社債権者のために弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を委託しなければなりません。ただし各社債の金額が一億円以上である場合、その他内閣府令で定める場合は、この義務が外れます。不設置債では、期限の利益喪失の判断も破産手続での債権届出も社債権者が自力で行う前提になります。2021年施行の会社法改正で創設された社債管理補助者が置かれているかどうかも、あわせて確認する必要があります。
解説
相互会社が社債を出すとき、その社債を買った投資家一人ひとりが自分で会社と交渉するわけではない。保険業法61条の6は、相互会社に対して社債管理者(弁済の受領、債権の保全、その他の管理を代行する銀行や信託会社)を置くことを義務づけている。ここであなたが押さえるべきは但書のほうだ。各社債の金額が一億円以上なら、この義務は外れる。つまり一口一億円の社債には、あなたを守る番人が誰もいない。プロ同士の取引だから自力で守れという建付けである。相互会社の社債は株式会社の社債と違い、そもそも社員(保険契約者)でもない外部の債権者が会社の財務に入り込む構造で、優先順位も基金や責任準備金との関係で複雑になる。番人がいるかいないかは、発行条件の一行を見れば分かる。目論見書の「社債管理者」欄が「本社債には社債管理者を設置しない」と書かれていたら、デフォルト時に誰も代わりに動いてくれないという意味だ。
法的な位置づけ
保険業法61条の6は、相互会社の社債発行における社債管理者の設置義務を定める規定である。相互会社は社債を発行する場合、社債権者のために弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを社債管理者に委託しなければならない。各社債の金額が一億円以上である場合その他内閣府令で定める場合は、この義務を負わない。
手順
- 1.発行条件書で社債管理者と社債管理補助者の欄を先に見る 利回りや格付けより先に、目論見書・発行条件書の「社債管理者」欄と「社債管理補助者」欄を確認する。両方が不設置なら、デフォルト時に自力で動く前提の商品だと判断する
- 2.不設置の根拠が但書のどちらかを特定する 不設置の場合、各社債の金額が一億円以上であることによるのか、内閣府令が定める例外に該当するのかを発行書面で特定する。根拠が書面上で読み取れない設計は、その点自体を発行体に照会する
- 3.自力対応前提の期日管理表を作る 不設置債を保有するなら、利払日、償還期日、期限の利益喪失事由、時効期間(会社法701条:償還請求権10年、利息請求権5年)を一覧化し、社内で期日監視の担当を決める
- 4.信用悪化の初期段階で議決権10分の1を束ねる 格付け引下げなど悪化の兆候が出た時点で他の社債権者と連絡網を作り、会社法718条の招集請求要件である議決権10分の1以上を確保しておく。表面化後に名簿集めから始めると数か月を失う
- 5.管理者がいるのに動かない場合の責任追及を検討する 社債管理者が設置されているのに保全措置を取らない場合、会社法704条の公平誠実義務・善管注意義務違反として、同710条に基づく損害賠償を検討する。通知履歴と対応要請の記録を時系列で保全する
よくある質問 AI による整理
Q1社債管理者とは?
社債権者のために弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行う者です。会社法705条が権限を定め、実務では銀行や信託会社が就任します。
Q2社債管理者になれるのは誰ですか?
会社法703条により、銀行、信託会社、その他法務省令で定める者に限られます。発行会社が任意に選んだ一般法人を就任させることはできません。
Q3社債管理者と社債管理補助者の違いは?
管理者は弁済受領や債権保全まで広く代行します。補助者(会社法714条の2以下)は債権届出や集会招集など最低限の事務に権限が絞られます。
Q4社債管理者を置かない社債は違法ですか?
違法ではありません。各社債の金額が一億円以上である場合その他内閣府令で定める場合は、保険業法61条の6但書により適法に不設置とできます。
Q5社債管理者の報酬は誰が払うのですか?
会社法741条により、原則として発行会社の負担です。契約に定めがない場合は裁判所の許可を得て社債発行会社の負担とする仕組みがあります。
Q6社債管理者は途中で辞任できますか?
会社法711条により、社債発行会社および社債権者集会の同意を得て辞任できます。やむを得ない事由があるときは裁判所の許可による辞任も可能です。
Q7相互会社の社債は保険契約者より優先されますか?
単純な優劣ではありません。責任準備金、基金、契約者保護機構の枠組みとの関係で順位が決まるため、回収シナリオは個別に確認する必要があります。
Q8社債権者集会はどうやって招集するのですか?
会社法717条が招集主体を定め、718条により議決権の10分の1以上を有する社債権者は招集を請求できます。決議は裁判所の認可で効力を得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社債管理者がいない社債って、そんなに危ないんですか?
平時は差がありません。差が出るのは発行会社が傾いたときです。管理者がいれば会社法705条に基づき弁済受領や債権保全を代行しますが、いなければ社債権者が自力で破産手続の債権届出まで行います。実務のポイント:不設置債でも、実務では「財務代理人(FA)」が事務を担っていることが多い。ただし FA は社債権者の代理人ではなく発行会社の代理人であり、あなたのために動く義務は負っていない。この違いを説明してくれる営業担当は少ない
Q2相互会社って株式会社じゃないのに、社債を出せるんですか?
出せます。保険業法は相互会社の社債発行を認め、会社法の社債規定を広く準用する構造になっています(保険業法61条以下)。ただし相互会社には株主がおらず、社員は保険契約者なので、社債権者は資本構造上まったく別の層に位置します。実務のポイント:相互会社が社債を出す局面は、多くが資本増強や基金償還の資金手当てのタイミング。発行目的の記載を読むと、その会社の財務戦略の現在地が透けて見える
Q3一億円未満の社債なら、必ず管理者がいると思っていいですか?
但書には「その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして内閣府令で定める場合」という第二の出口があります。金額基準だけが例外ではありません。実務のポイント:会社法側の同種規定(会社法702条ただし書、会社法施行規則169条)では、社債総額を各社債金額の最低額で除した数が50未満である場合も不設置が認められる。「口数が少なければ管理者不要」という発想で、金額だけを見ていると見落とす(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「社債管理者は投資家の味方」と思われがちだが、社債管理者になるのは発行会社と継続的な取引がある銀行であることが多い。会社法710条2項は、社債管理者が自らの債権回収を優先して社債権者に損害を与えた場合の責任を定めているが、これは裏を返せば、そういう利益相反が現実に起きうるからこそ条文が置かれているということだ。番人がいる安心と、その番人が誰の側に立つかは別問題である
- 「社債管理者がいなければ誰も守ってくれない」と考えるのは、問いの立て方が半分ずれている。管理者不設置の社債でも、2021年施行の会社法改正で社債管理補助者という制度が使える。これは管理者ほど強い権限を持たないが、破産手続での債権届出や社債権者集会の招集といった最低限の事務を担う。あなたが確認すべきは「管理者がいるか」ではなく「管理者も補助者もいないか」だ
- 相互会社の社債は株式会社の社債と同じだと思っている人が多いが、相互会社には株主がいない。保険契約者が社員であり、剰余金は契約者に分配される。社債権者は社員でも株主でもない純粋な外部債権者で、会社が経営難になったとき、基金・責任準備金・契約者保護機構との関係で自分の順位がどこかを理解していないと、回収シナリオの見積もりを誤る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 保険業法61条の6:相互会社の社債管理者の設置義務と但書の例外 | 保険業法61条:相互会社が社債を発行できる根拠規定 保険業法61条の7:社債管理者の資格・権限等に関する会社法の準用 |
| 発行実務での使い所 | 管理者を置くか、但書で外すかという設計判断の分水嶺 | 発行そのものの適法性・手続の出発点 置いた管理者に何ができるかを読み解く条文群への入口 |
| 投資家が確認すべき点 | 各社債の金額が一億円以上か、内閣府令の例外に該当するか | 発行決定の手続と発行目的の記載 会社法704条・710条の義務と責任がどこまで及ぶか |
| 違反・不備のリスク | 但書に該当しないのに不設置とすれば違法な発行設計になる | 発行手続の瑕疵 準用の射程を誤読して管理者の権限を過大評価する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公司債の受託人を金融または信託事業に限定し、受託人に発行会社の財産の査核権を与える。設置義務の免除を金額基準で切り出す日本型の但書構造とは設計思想が異なる
韓国は2011年改正で사채관리회사を制度化し、日本の社債管理者に近い枠組みを採用。利益相反規制を置く点も共通する
ドイツは共同代理人(gemeinsamer Vertreter)を社債権者集会の決議で選任する設計が中心で、発行時に発行会社が委託する日本型とは選任主体が逆になる
米国は公募社債に indenture trustee の設置を要求し、信託契約(indenture)で権限を詳細に定める。契約自由を前提に trustee の利益相反を制限する構造
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の証券会社から相互会社形態の生命保険会社の社債を勧められた。利回りは魅力的だが、資料の隅に「社債管理者不設置」とある。一口一億円だから合法だが、その一行は、発行会社が経営難に陥ったとき、期限の利益喪失の判断も、担保の実行も、破産手続での届出も、すべてあなた自身が期日管理してやることを意味する
- もし相互会社の社債を保有していて、発行会社の格付けが突然二段階下がったらどうなる? 社債管理者がいれば、その者が社債権者集会の招集や債権保全のための行動を取る義務を負う。いなければ、社債権者が自力で集まり、集会招集の請求要件を満たすところから始めなければならない。動き出しの速度が数か月違う
- 相互会社の財務担当としてあなたが社債発行を企画する側に立った。コスト削減のため社債管理者を置かない設計を検討する。一口一億円以上にするか、内閣府令が定める例外に該当させるか、この二択しかない。中途半端に「一口五千万円で管理者なし」は違法設計で、そもそも発行できない
- 社債権者集会が招集されたが、あなたは通知を見落として議決に参加しなかった。決議は裁判所の認可を得れば、出席しなかった社債権者も含めて全員を拘束する。あと数日で認可申立の期限。異議を述べる機会は集会の場にしかなかった
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保有する社債の発行条件書で社債管理者の有無、いる場合はその名称と権限範囲を確認2. 不設置なら社債管理補助者の有無を確認、両方なければ自力対応の前提で期日管理表を作る3. 発行会社の信用悪化の兆候があれば、他の社債権者との連絡網を構築し、議決権10分の1以上を確保(会社法718条の集会招集請求要件) 4. 社債管理者がいるのに動かない場合、会社法704条の公平誠実義務・善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル)違反として、同710条に基づく損害賠償を検討
訴えられた側:1. 相互会社側として不設置の適法性を問われた場合、各社債の金額が一億円以上であること、または内閣府令が定める例外要件を満たすことを発行時の書面で立証2. 社債管理者として責任を問われた場合、会社法704条の義務履行の記録(社債権者への通知、債権保全措置の検討経緯)を時系列で整理3. 利益相反が疑われる局面では、自己の債権回収行為と社債権者への配慮を分離して記録していたかが分水嶺4. 発行時の目論見書の記載が実態と乖離していないか、金融商品取引法上の開示責任も同時に点検
時効(請求できる期限):社債の元利金請求権は、社債の償還請求権が10年、利息請求権が5年で時効消滅する(会社法701条)。社債管理者への損害賠償請求(会社法710条)には特定の時効規定がないため、一般消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 改正:会社法制定に伴う関係法律の整備により、相互会社の社債に関する規定が整理され、旧商法の社債管理会社から会社法上の社債管理者へ用語と制度が移行した(改正法の条番号は要確認)
- 2.令和元年(2019年) 改正:会社法改正(令和元年法律第70号、2021年3月施行)により社債管理補助者制度が創設され、関係法律の整備を通じて、管理者不設置の社債にも最低限の管理事務を担う者を置ける構造となった
- 保険業法 第61条相互会社の社債発行の根拠規定
- 保険業法 第61条の5社債原簿等に関する会社法準用
- 保険業法 第61条の7社債管理者の資格・権限等の準用規定
- 会社法 第702条株式会社における同趣旨の設置義務と但書
- 会社法 第704条社債管理者の公平誠実義務・善管注意義務
- 会社法 第710条社債管理者の損害賠償責任と利益相反規制
- 金融商品取引法 第5条社債募集時の有価証券届出書による開示義務
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