会社法 第263条(新株予約権取得者からの承認の請求)
クイックジャンプ
- 譲渡制限新株予約権を取得した新株予約権取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限新株予約権を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
- 2.前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した新株予約権の新株予約権者として新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
この条文の基本情報
新株予約権取得者からの承認の請求とは何ですか?
定義新株予約権取得者からの承認の請求とは、会社法第263条に定められた規定で、「譲渡制限新株予約権を取得した新株予約権取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限新株予約権を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第263条(新株予約権取得者からの承認の請求)は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第263条の条文原文は「譲渡制限新株予約権を取得した新株予約権取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限新株予約権を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができ…」で始まります。
- 会社法第263条は第二款 新株予約権の譲渡の制限に置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第263条の前の条は会社法第262条です。
- 会社法第263条の次の条は会社法第264条です。
- 会社法第263条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第263条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第263条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/263
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法263条は、譲渡制限新株予約権の取得者が会社に取得の承認を請求できると定める。請求は原則として元の新株予約権者と共同で行う必要がある。
Q · ストックオプション(新株予約権)を譲り受けたら、すぐ自分のものとして会社に主張できる?
取得だけでは不十分、会社の承認と原簿書換えが必要です
会社法263条により、譲渡制限新株予約権を取得した者は、会社に取得の承認の可否決定を請求できます。承認を得て新株予約権原簿の名義が書き換わって初めて、会社に対し権利者として扱われます。さらに2項では、この承認請求は法務省令の例外(単独相続・競売など)を除き、元の名義人(相続なら他の相続人)と共同で行う必要があります。元の持ち主が協力を拒めば、取得自体が当事者間で有効でも、会社に対しては権利を主張できない宙吊り状態に陥ります。
解説
ストックオプション(新株予約権)の多くには「会社の承認なしに譲渡できない」という縛りがかかっている。これが譲渡制限新株予約権だ。親が遺したそれを相続した、あるいは知人から買い取った。あなたは確かに正当な取得者である。だが会社法263条が突きつける現実は、取得しただけでは会社に対して権利者として扱われないということ。会社に「私がこれを取得したことを承認してほしい」と請求し、会社が承認して初めて、新株予約権原簿の名義があなたに書き換わる。さらに残酷なのが第2項だ。この承認請求は、原則として元の名義人(相続なら他の相続人)と共同でしなければならない。元の持ち主が協力を拒んだら、あなたの請求は入口で止まる。単独で出せるのは、法務省令が定める例外(競売による取得や単独相続など)の場合だけ。一片の経済的価値が、人間関係のもつれで宙に浮く。
法的な位置づけ
会社法263条は、譲渡制限新株予約権の取得者による承認請求を定める規定である。取得者は株式会社に対し取得を承認するか否かの決定を請求でき、原則として元の新株予約権者またはその一般承継人と共同で請求しなければならない。会社の承認と新株予約権原簿への記載により、取得者は会社に対する対抗力を得る。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.新株予約権の内容と行使期間を確認 取得した新株予約権に譲渡制限が付いているか、行使期間がいつまでかを発行要項で確認する。行使期間の終期が事実上の手続締切になるため、最初に逆算スケジュールを組む
- 2.共同請求の例外に当たるか判定 競売による取得や単独相続など、法務省令が定める例外に該当すれば取得者が単独で承認請求できる。単独相続を主張するなら戸籍一式を早急に収集し、証明できる状態にする
- 3.元の名義人と共同で承認請求書を作成 例外に当たらない場合、元の新株予約権者(相続なら他の相続人全員)と共同で承認請求書を作成する。譲渡で取得したなら、譲渡契約と同じ日に共同承認請求書への署名も同時にもらうのが安全
- 4.会社へ承認請求し原簿書換えを確認 会社に承認請求を提出し、承認決定後に新株予約権原簿の名義が取得者へ書き換わったことを確認する。書換え完了をもって会社への対抗力が生じる。行使期間内に完了しているか必ず点検する
よくある質問 AI による整理
Q1譲渡制限新株予約権とは何ですか?
会社の承認がなければ譲渡できない縛りが付いた新株予約権です。望まない第三者への移転や、行使を通じた株主構成の乱れを会社が防ぐための制度です。
Q2承認請求はなぜ元の名義人と共同で行うのですか?
会社法263条2項が、虚偽の取得主張や名義の混乱から会社と利害関係人を守るため、原則として元の新株予約権者または一般承継人との共同請求を要求しているためです。
Q3単独で承認請求できるのはどんな場合ですか?
競売による取得や単独相続など、法務省令が定める「利害関係人の利益を害するおそれがない場合」に限り、取得者が単独で承認請求できます。
Q4会社が承認しなかったらどうなりますか?
取得者は会社に権利者として扱われませんが、会社法の関連規定により会社や指定買取人による買取りの仕組みへ移行する余地があります。発行要項の確認が必要です。
Q5承認を得る前でも新株予約権を行使できますか?
できません。承認と新株予約権原簿の名義書換えを経て初めて会社に権利を主張でき、行使も可能になります。原簿の名義が前提です。
Q6新株予約権原簿の名義書換えはどんな効果がありますか?
名義書換えにより、取得者は会社に対して新株予約権者であることを対抗できます。書換え前は当事者間で有効でも会社には主張できません。
Q7会社法263条と262条は何が違いますか?
262条は譲渡前の新株予約権者からの承認請求、263条は取得後の取得者からの承認請求です。請求する主体とタイミングが異なります。
Q8相続した新株予約権の承認請求に期限はありますか?
263条自体に固有の請求期間はありませんが、新株予約権には行使期間があり、承認と書換えが行使期間内に間に合わなければ権利が失効します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ストックオプションを相続したら、勝手に行使できないんですか?
できません。譲渡制限新株予約権の場合、会社法263条により取得の承認を請求し、承認を得て新株予約権原簿の名義を書き換えて初めて会社に権利を主張できます。さらに2項で原則として他の相続人との共同請求が要ります。実務のポイント:単独相続であることを証明できれば、法務省令の例外で単独請求が可能になる。相続人が一人かどうかで手続の難易度が激変するので、戸籍の確認を最優先に動くべきです
Q2元の持ち主が協力してくれない場合、もう諦めるしかないですか?
263条2項の共同請求が原則ですが、法務省令が定める例外(競売による取得など、利害関係人の利益を害するおそれがない場合)に該当すれば単独で請求できます。該当しなければ、譲渡契約上の協力義務を根拠に元名義人へ協力を求める手段を検討します。実務のポイント:譲渡契約書に「承認手続への協力義務」を一文入れておくと、後から協力を拒まれても契約違反として履行を請求できる。契約段階の一行が、後の交渉力を決めます
間違えやすい点 AI による整理
- 「契約で譲り受けたのだから、もう自分が新株予約権者だ」という前提そのものが、会社法上は成り立っていない。取得は当事者間で有効でも、会社との関係では承認と原簿書換えがなければ権利者として扱われない。問いの立て方を「いつ自分が権利者か」から「会社がいつ承認するか」へ変える必要がある
- 「承認請求は取得した自分が一人で出せる」と思いがちだが、263条2項は原則として元の名義人との共同請求を要求する。単独で出せるのは、法務省令が定める例外(競売・単独相続など)に該当する場合だけだ
- 共同請求が要ることは知っていても、その深刻さを軽く見ている人が多い。元名義人が死亡して相続人が多数いる、行方不明、または感情的にこじれて非協力。この一点だけで行使期間内に手続が完了せず、経済的価値がまるごと失われる事例は実在する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 請求する主体 | 263条:取得後の新株予約権取得者 | 262条:譲渡前の新株予約権者 137条:株式の取得者(株式版のパラレル規定) |
| 請求のタイミング | 新株予約権を取得した後 | 譲渡しようとする前 譲渡制限株式を取得した後 |
| 共同請求の要否 | 原則として元の名義人と共同(法務省令の例外を除く) | 現名義人が単独で請求 原則として元の株主と共同(法務省令の例外を除く) |
| 効果 | 承認 + 原簿書換えで会社への対抗力 | 譲渡先を確定してから移転 承認 + 株主名簿書換えで会社への対抗力 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も閉鎖性会社では定款による譲渡制限を認める。承認手続の構造は会社ごとの定款設計に委ねられる点が日本と異なる
韓国は定款で株式譲渡に取締役会の承認を要する旨を定められる。承認手続を通じて株主構成をコントロールする発想は日本と共通
ドイツの記名株式譲渡制限(Vinkulierung)は会社の同意を移転の効力要件とする。日本の譲渡制限制度の発想的源流に近い
米国は証券の譲渡制限を定款・付随合意で広く認めるが、合理性と善意の取得者への通知が有効性の鍵となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相続したストックオプション、行使期限まであと2か月。他の相続人と連絡が取れなかったら、あなたの承認請求はどうなる? 263条2項の共同請求要件を満たせないまま期限が過ぎれば、数百万円相当の権利がそのまま消える。戸籍を集めて単独相続の例外に当たらないか、今夜から動く必要がある
- あなたが発行会社の総務担当だとして、見知らぬ人物から「故人の新株予約権を相続したので承認してほしい」と単独で請求が来た。法務省令の例外を証明する書類がない限り、その請求は不適法だ。安易に承認すると、他の相続人や元名義人とのトラブルに巻き込まれる
- 知人から譲り受けた新株予約権、相手が「もう自分には関係ない」と協力を渋ったらどうなる? 第2項の共同請求ができず、あなたは取得者として原簿に載れない。譲渡契約自体は当事者間で有効でも、会社に対しては権利を主張できない宙吊り状態に陥る
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず新株予約権の内容を確認、譲渡制限が付いているか、行使期間はいつまでか2. 元名義人(相続なら他の相続人全員)に共同承認請求への協力を要請、譲渡時に同時取得が理想3. 法務省令の例外(単独相続・競売など)に該当するなら単独請求が可能なので、証明書類(戸籍一式など)を準備4. 会社へ承認請求し、承認後に新株予約権原簿の名義書換えを確認。行使期間の終期から逆算してスケジュールを組む
訴えられた側:1. 発行会社側なら、請求が共同請求要件(263条2項)を満たすか、例外該当を証明する書類があるかを確認2. 要件を満たさない請求は不適法として処理、安易な承認は他の利害関係人とのトラブルの種になる3. 元名義人として協力を求められた側は、譲渡契約上の協力義務の有無を確認、正当な理由なく拒めば契約違反を問われうる
時効(請求できる期限):263条自体に固有の請求期間はない。ただし新株予約権には行使期間(会社法236条1項4号で定める)があり、承認と原簿書換えが行使期間内に間に合わなければ権利は失効する。実務上は行使期間の終期が事実上の締切となる(最新の発行要項をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:会社法制定により、商法・有限会社法の規律を再編。譲渡制限新株予約権の取得者による承認請求(263条)と共同請求要件を整理して明文化
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める