会社法 第653条(清算人の第三者に対する損害賠償責任)
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清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
この条文の基本情報
清算人の第三者に対する損害賠償責任とは何ですか?
定義清算人の第三者に対する損害賠償責任とは、会社法第653条に定められた規定で、「清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第653条(清算人の第三者に対する損害賠償責任)は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第653条の条文原文は「清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」で始まります。
- 会社法第653条は第二節 清算人に置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第653条の前の条は会社法第652条です。
- 会社法第653条の次の条は会社法第654条です。
- 会社法第653条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第653条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第653条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/653
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法653条は、持分会社の清算人が職務につき悪意または重大な過失で第三者に損害を与えたとき、連帯して賠償責任を負うと定める。社員の有限責任の例外として清算人個人を追える。
Q · 合同会社が潰れたら、有限責任だからもう清算人個人からは取れないの?
原則は会社からのみだが、清算人の悪意・重過失なら個人を追える
会社法653条により、持分会社の清算人が職務遂行につき悪意または重大な過失があり、それで第三者に損害が生じたときは、清算人個人が連帯して賠償責任を負います。社員の有限責任とは別ルートの責任です。ただし会社債務の肩代わりではなく、清算人自身の任務懈怠と相当因果関係のある損害だけが対象で、立証には「重大な過失(ほとんど故意に近い著しい落ち度)」が要求されます。
解説
合同会社を畳むとき、最後に舞台へ上がるのが清算人だ。残った財産を換金し、債権者に支払い、余りを社員に分配する。この清算人がわざと(悪意)または著しい不注意(重大な過失、ほとんど故意に近い落ち度)で職務を投げ出し、その結果あなたが取引先として貸した代金を回収できなくなったとする。会社法653条は、その清算人個人へ直接賠償を請求できる道を開く。肝心なのはここだ。合同会社の社員は本来「有限責任」で、会社が潰れても個人の財布まで追えない。ところが清算人が悪意・重過失で動いたときに限り、653条がその壁に穴を開ける。しかも清算人が複数いれば連帯責任、あなたは資力のある一人に全額を請求できる。畳む会社の裏で何が起きているか、債権者のあなたが見ているかどうかで、最終的に取れる額が変わる。
法的な位置づけ
会社法653条は、持分会社の清算人の第三者に対する損害賠償責任を定める規定である。清算人が職務遂行につき悪意または重大な過失により第三者に損害を与えた場合、清算人は連帯してその損害を賠償する責任を負う。社員の有限責任原則に対し、清算手続における債権者保護の観点から設けられた例外的責任である。
手順
- 1.解散の動きを察知したら商業登記を取得 取引先の解散の兆候を察知したら、まず商業登記を取得し、誰が清算人か、清算結了登記が入っていないかを確認する。清算結了前なら回収の実益が大きく残る
- 2.未回収債権の証拠を保全 契約書、請求書、納品記録、メールや LINE のやり取りなど、債権の発生と未回収を示す証拠を保全する。後の重過失立証と損害額の算定に直結する
- 3.清算人個人宛に内容証明で653条請求 清算人個人に対し内容証明郵便で会社法653条に基づく損害賠償請求を行い、悪意または重大な過失に当たる具体的事実を明示する。分配を止めさせ対応を促す効果がある
- 4.清算結了の前後で訴訟・異議を検討し弁護士に査定依頼 清算結了前なら清算手続への異議、結了後でも清算人個人への損害賠償訴訟を検討する。弁護士に「重大な過失」の立証見込みと相当因果関係を早期に査定してもらう
よくある質問 AI による整理
Q1清算人の責任とは何ですか?
清算人が職務遂行で悪意または重大な過失により第三者に損害を与えた場合、連帯して賠償する責任です。会社法653条が根拠で、社員の有限責任とは別の個人責任です。
Q2合同会社の解散後に債権を回収する方法はありますか?
まず商業登記で清算人を確認し、清算人に悪意・重過失があれば会社法653条で個人へ請求します。清算結了登記が入る前に内容証明を打つのが実務上の鍵です。
Q3清算人個人に損害賠償を請求できますか?
清算人が職務につき悪意または重大な過失で損害を与えた場合に限り、会社法653条で個人へ直接請求できます。会社財産が空でも個人を追える余地があります。
Q4清算結了の登記後でも清算人を訴えられますか?
清算結了登記で会社は法律上消滅し残余財産も分配済みですが、清算人個人への653条の損害賠償請求は別途可能です。ただし回収の実益は急減します。
Q5清算人の悪意・重過失とはどういう状態ですか?
債権者通知を意図的に飛ばす、帳簿未確認で財産を社員へ分配するなど、著しい注意義務違反を指します。単なるうっかりや軽い不注意では足りません。
Q6会社法653条の連帯責任とは何ですか?
清算人が複数いる場合、全員が損害全額の賠償義務を連帯して負い、債権者は最も資力のある一人に全額を請求できる制度です。負担割合は清算人間の内部問題です。
Q7清算人への損害賠償請求に時効はありますか?
固有の時効規定はなく民法166条の一般消滅時効が適用され、知った時から5年・行使できる時から10年が目安です。起算点は実務上解釈が分かれます。
Q8合同会社の清算人には誰がなりますか?
原則として業務執行社員が清算人になります(会社法647条)。定款の定めや社員の選任により別の者が就任することもあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1合同会社が潰れたら、もう一円も取れないんですよね?
会社自体に財産がなければ会社からは取れません。ただし清算人が悪意または重大な過失で職務を行い、それであなたが損害を受けたなら、会社法653条で清算人個人に請求できます。会社の借金の肩代わりではなく、清算人自身の落ち度に対する賠償です。実務のポイント:合同会社の社員は有限責任ですが、清算人になった瞬間その人は653条という別ルートの個人責任を背負います。多くの債権者は『有限責任』の四文字で諦めますが、清算人の動き方次第で個人を追える穴が空いている
Q2「重大な過失」って、どのくらいの不注意なら認められるんですか?
単なるうっかりでは足りません。著しい注意義務違反、ほとんど故意に近い落ち度が必要です。債権者への通知を意図的に飛ばす、帳簿を確認せず財産を社員へ分配する、といった行為が典型で、会社法653条の立証ハードルはここにあります。実務のポイント:株式会社の役員責任(会社法429条)について最高裁は『法定責任』と位置づけ、第三者は役員の自分への直接の不法行為まで立証しなくてよいとしました(最大判昭和44.11.26)。653条も同様に解釈するのが実務の主流ですが、最高裁が653条そのものを判断した射程には議論があり、実務上解釈が分かれています
Q3清算人が複数いる場合、誰を訴えればいいんですか?
条文が『連帯して』と定めるので、複数の清算人がいれば全員が連帯して責任を負います(会社法653条)。あなたは最も資力のある一人に全額を請求できます。回収後の清算人同士の負担割合は彼らの内部問題で、あなたが気にする必要はありません。実務のポイント:実務では『誰が一番取りやすいか』を最初に見極めるのが鉄則です。連帯責任は債権者にとって最大の武器で、名義だけの清算人ではなく、実際に財産を動かした人物や資産家を狙い撃ちできる
間違えやすい点 AI による整理
- 「合同会社は有限責任だから、倒産したら個人を追えない」と思い込んでいる人が多い。だが清算人が悪意または重大な過失で職務を行い、それで損害が生じたなら、653条で清算人個人の責任を追える。有限責任の原則には、清算段階で開く例外の穴がある
- 清算人に責任があることは知っていても、その立証ハードルが『重大な過失』である深刻さを見落としがちだ。単なるうっかりや軽い不注意では足りず、著しい注意義務違反、ほとんど故意に近い落ち度の立証が要る。ここを軽く見ると、勝てたはずの事件を落とす
- 「清算人を訴えれば会社の借金をそのまま肩代わりさせられる」と問いを立てる人がいるが、その前提が誤っている。653条は会社債務の連帯保証ではない。清算人自身の任務懈怠が生んだ損害、つまり清算人の落ち度と相当因果関係のある損害だけが賠償の対象であって、会社が払えなかった額そのものが自動的に取れるわけではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任の相手方 | 653条:第三者(債権者等)への責任 | 652条:会社への責任 429条:第三者(債権者等)への責任 |
| 適用される主体・会社 | 持分会社の清算人 | 持分会社の清算人 株式会社の役員等(取締役・監査役等) |
| 成立要件 | 職務遂行につき悪意または重大な過失 | 清算人の任務懈怠 職務につき悪意または重大な過失 |
| 責任の性質 | 連帯・対第三者の法定責任 | 対会社の責任(過失で足りる) 連帯・対第三者の法定責任(解釈論の母型) |
他国ではどう定めているか 4 か国
清算人が善管注意義務を怠り会社に損害を与えれば連帯賠償、故意または重大な過失があれば第三者にも連帯賠償責任を負うとし、日本653条と要件構造が極めて近い。
清算人に取締役の第三者責任規定(401条)を準用する形をとる。悪意または重大な過失による任務懈怠を要件とする点で日本と共通する。
清算人(Liquidatoren)に業務執行者の注意義務(§43)を準用し、注意義務違反による責任を負わせる。第三者責任は不法行為法(BGB §823等)と組み合わせて構成されることが多い。
LLC の解散・清算(winding up)の枠組みで、清算事務の善管注意義務違反に対する責任を規律。州法ごとに扱いが分かれ、統一的な対第三者責任条文は持たない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが材料を納品した合同会社が「資金繰りが厳しい」と解散した。清算人になった元代表は、本来あなたに払うべき売掛金を後回しにして、自分が会社に貸していた金を先に回収し、会社を空にした。これは清算人の悪意による任務懈怠であり、653条であなたは清算人個人を追える。会社からは取れなくても、個人からは取れる
- もし、解散の登記から数か月後に「清算結了」の登記まで入ってしまったら? その瞬間に会社は法律上消滅し、残余財産も社員へ分配された後だ。あなたに残された時間は、登記の動きを察知してどれだけ早く動けるかにかかっている。気付くのが遅れれば、追える相手も金も消える
- あなたが頼まれて知人の合同会社の清算人を引き受けた。面倒で帳簿確認も債権者への通知も飛ばしたその不作為が重過失と認定されれば、あなた個人が賠償を負う。善意の名義貸しのつもりが、個人責任の入口になる
- 友人が「取引先の合同会社が潰れて金が取れない」と相談してきた。あなたは『清算人が誰か、その人の動きに悪意や重過失がなかったか』を確認するよう助言できる。会社が無理でも個人を追える可能性があると知っているかどうかで、友人の回収の行方が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先の解散の動きを察知したら、まず商業登記を取得し、誰が清算人か、清算結了登記が入っていないかを確認2. 未回収債権の証拠(契約書、請求書、納品記録、メールやLINEのやり取り)を保全3. 清算人個人宛に内容証明郵便で653条に基づく請求と、悪意または重過失の具体的事実を明示4. 清算結了前なら清算手続への異議、結了後でも清算人個人への損害賠償訴訟を検討し、弁護士に『重過失』の立証見込みを早期査定してもらう
訴えられた側:1. 自分の職務遂行に悪意も重過失もないことを記録で示す準備をする。債権者通知の控え、財産目録、配当の根拠資料を整える2. 単なる判断ミスや軽い不注意は653条の『重大な過失』には当たらないと反論3. 損害と自分の行為との相当因果関係を争う。会社が払えなかった額がそのまま自分の責任額になるわけではない4. 名義だけで実際の清算事務に関与していないなら、その事実を立証。ただし『何もしなかった』不作為も重過失になりうる点に注意
時効(請求できる期限):653条の損害賠償請求権に固有の時効規定はなく、一般消滅時効(民法166条)が適用される。主観的起算点(権利を行使できることを知った時)から5年、客観的起算点(権利を行使できる時)から10年。どこを起算点と見るかは実務上解釈が分かれているため、早めに請求権を行使するのが安全(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(法定責任説):653条の清算人の第三者責任は、不法行為の特則ではなく法定の特別責任と解する。第三者は清算人の任務懈怠(悪意・重過失)と損害との相当因果関係を立証すれば足り、清算人個人に対する不法行為要件の立証までは要しないとするのが多数説である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:会社法制定。旧商法の持分会社(合名・合資会社)清算規定および有限会社法を整理・統合し、新たに合同会社を加えた持分会社の清算人責任を653条として規定した。
- 会社法 第651条清算人と持分会社の関係、委任に基づく善管注意義務の根拠
- 会社法 第652条清算人の会社に対する損害賠償責任、対会社責任との対比
- 会社法 第597条業務執行社員の第三者責任、継続中の会社における同型責任
- 会社法 第647条清算人の就任、責任主体の確定
- 会社法 第429条株式会社の役員等の第三者責任、解釈論の母型
- 民法 第709条一般不法行為責任、653条が特則として加重・補充する関係
- 民法 第644条受任者の善管注意義務、職務遂行の基準(現行効力を要確認)
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