会社法 第765条(持分会社を設立する新設分割計画)
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- 一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割設立会社が持分会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一持分会社である新設分割設立会社(以下この編において「新設分割設立持分会社」という。)が合名会社、合資会社又は合同会社のいずれであるかの別
- 二新設分割設立持分会社の目的、商号及び本店の所在地
- 三新設分割設立持分会社の社員についての次に掲げる事項
- 一当該社員の名称及び住所
- 二当該社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
- 三当該社員の出資の価額
- 四前二号に掲げるもののほか、新設分割設立持分会社の定款で定める事項
- 五新設分割設立持分会社が新設分割により新設分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(新設分割株式会社の株式及び新株予約権に係る義務を除く。)に関する事項
- 六新設分割設立持分会社が新設分割に際して新設分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立持分会社の社債を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
- 七前号に規定する場合において、二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、新設分割会社に対する同号の社債の割当てに関する事項
- 八新設分割株式会社が新設分割設立持分会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨
- 一第百七十一条第一項の規定による株式の取得(同項第一号に規定する取得対価が新設分割設立持分会社の持分(これに準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)
- 二剰余金の配当(配当財産が新設分割設立持分会社の持分のみであるものに限る。)
- 2.新設分割設立持分会社が合名会社であるときは、前項第三号ロに掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を定めなければならない。
- 3.新設分割設立持分会社が合資会社であるときは、第一項第三号ロに掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を定めなければならない。
- 4.新設分割設立持分会社が合同会社であるときは、第一項第三号ロに掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を定めなければならない。
この条文の基本情報
持分会社を設立する新設分割計画とは何ですか?
定義持分会社を設立する新設分割計画とは、会社法第765条に定められた規定で、「一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割設立会社が持分会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならな…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第765条(持分会社を設立する新設分割計画)は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第765条の条文原文は「一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割設立会社が持分会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならな…」で始まります。
- 会社法第765条は第三款 持分会社を設立する新設分割に置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第765条の前の条は会社法第764条です。
- 会社法第765条の次の条は会社法第766条です。
- 会社法第765条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第765条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第765条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/765
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法765条は、新設分割の受け皿が持分会社である場合に、承継する資産・債務・雇用契約や社員の責任類型を新設分割計画へ定めるべきことを規定する。
Q · 会社が事業を切り出して新会社(持分会社)を作るとき、計画書には何を書かないといけないの?
承継する資産・債務・雇用契約と社員の責任類型を計画書に明記します
会社法765条は、新設分割の受け皿が持分会社である場合の新設分割計画の記載事項を定めます。会社の種類(合名・合資・合同)、商号・本店、社員に関する事項、そして承継する資産・債務・雇用契約その他の権利義務(5号)を明記しなければなりません。さらに2項から4項で、合名なら全社員無限責任、合資なら一部無限・一部有限、合同なら全社員有限責任と、社員の責任類型が会社形態ごとに確定します。計画書のこの一行が、誰の権利が新会社へ移り、誰が無限責任を負うかを決めます。
解説
会社が事業の一部を切り離し、それを受け皿にする新しい会社をゼロから作る。これが新設分割であり、765条はその受け皿が持分会社(合名・合資・合同会社、つまり出資者が直接経営に関わる会社形態)である場合の設計図を定める。なぜこの条文があなたに関係するのか。新設分割では、切り出される事業に紐づく資産だけでなく、債務も、そして雇用契約も、新会社へ承継される。あなたがその事業部門で働いていれば勤め先が変わり、あなたがその会社の取引先で売掛金を持っていれば債権の相手が変わる。765条5号が「資産、債務、雇用契約その他の権利義務」と明記している通り、計画書の一行に何を書くかで、誰の権利が新会社へ移り、誰が元の会社に残されるかが決まる。さらに2項から4項で、新会社の社員が無限責任を負うのか有限責任で済むのかが分岐する。出資者にとっては、財産を失うリスクの境界線そのものだ。
法的な位置づけ
会社法765条は、株式会社または合同会社が新設分割をする際、新設分割設立会社が持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)である場合に新設分割計画へ記載すべき事項を定める規定である。会社の種類、商号、本店所在地、社員に関する事項に加え、承継する資産・債務・雇用契約その他の権利義務の範囲を明示することを求め、社員の責任類型は会社形態に応じて確定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.新設分割計画と事前開示書面を確認する 勤務先や取引先が新設分割を行うと知ったら、まず新設分割計画と本店に備え置かれる事前開示書面(会社法803条)を確認する。承継対象の資産・債務・雇用契約がどう割り振られたかを765条各号に沿って読む
- 2.自分の権利が新旧どちらの会社に入るか特定する 765条5号の承継対象(資産・債務・雇用契約その他の権利義務)に、自分の債権や雇用契約が含まれるかを確認する。新会社へ移るのか元の会社に残るのかで、次に取る手続が変わる
- 3.債権者なら異議期間内に異議を述べる 債権者は、官報公告から原則1か月以上の債権者異議期間内(会社法810条)に異議を述べ、弁済または相当の担保提供を求める。個別催告を受けなかった場合は元の会社にも請求できる余地がある
- 4.従業員なら異議申出期間内に書面で異議を出す 労働契約承継法の通知を受けたら、自分が主として従事する事業か否かを確認し、扱いに不服があれば異議申出期間内に書面で異議を出す。期間満了後は承継先が確定し覆らない
- 5.詐害的分割の疑いがあれば残存債権者として直接請求を検討 優良資産を残し債務だけ新会社へ移す詐害的分割の疑いがあれば、残存債権者として承継先会社への直接履行請求(現行効力を要確認)や詐害行為取消権の行使を弁護士と検討する
よくある質問 AI による整理
Q1新設分割とは何ですか?
会社が事業の一部または全部を切り出し、新たに設立する会社に承継させる組織再編です。既存会社に承継させる吸収分割と対になります。会社法762条以下が規律します。
Q2新設分割と吸収分割の違いは?
新設分割は分割と同時に新会社を設立して承継させ、吸収分割は既存の別会社に承継させます。受け皿が新設か既存かが分岐点で、手続書面の名称も計画書か契約書かで異なります。
Q3持分会社とは何ですか?
合名会社・合資会社・合同会社の総称で、出資者である社員が原則として直接経営に関わる会社形態です。株式会社と異なり内部自治の自由度が高い点が特徴です。
Q4新設分割で従業員の同意は必要ですか?
分割対象事業に主として従事する従業員は原則として個別同意なく承継されます。ただし労働契約承継法により会社は事前通知義務を負い、一定の場合に異議を申し立てられます。
Q5合名会社・合資会社・合同会社の違いは?
合名は全社員が無限責任、合資は無限責任社員と有限責任社員が混在、合同は全社員が有限責任です。会社法765条2〜4項が新設分割設立持分会社の責任類型を定めます。
Q6詐害的会社分割とは何ですか?
優良資産を元の会社に残し、債務だけを資力の乏しい新会社へ移して債権者を害する分割です。残存債権者は新会社へ直接履行請求できる保護規定があります。
Q7新設分割の無効はいつまで訴えられますか?
新設分割無効の訴えは、効力発生日(新会社成立の日)から6か月以内に提起する必要があります(会社法828条1項10号)。
Q8新設分割計画には何を書きますか?
設立会社の種類・商号・本店、社員に関する事項、承継する資産・債務・雇用契約その他の権利義務などです。持分会社の場合の記載事項を会社法765条が定めます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が分割されると、そこで働いている自分は問答無用で新会社に移されるんですか?
分割対象の事業に主として従事していた従業員は、原則としてそのまま新会社へ承継されます(労働契約承継法3条、会社法765条5号)。ただし会社は事前に書面で通知する義務があり、主従事でない事業に割り当てられた人などは異議を申し立てられます。実務のポイント:通知書には、あなたが主として従事する事業か否かが書かれているはずで、ここが争点になる。主従事なのに承継対象から外された、あるいは逆のケースは、異議申出期間内なら覆せる余地がある。期間を過ぎると確定するので、通知を受けたら真っ先に日付を確認する
Q2取引先が事業を新会社に分けたら、うちの売掛金は誰に請求すればいいんですか?
新設分割計画でその債務が新会社へ承継されると定められていれば新会社へ、定められていなければ元の会社へ請求します(会社法765条5号)。ただし債権者異議手続で個別催告を受けなかった債権者は、元の会社にも請求できる場合があります。実務のポイント:優良事業だけ新会社に移し、借金を元の会社に残す逆さ分割もある。プレスリリースだけでなく、登記と事前開示書面で資産と債務の振り分けを確認するのが鉄則。詐害的と判断できれば、移った先の会社へも直接請求できる残存債権者保護の規定がある(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が分割されるなら、株主総会で反対すれば止められる」と考える人がいる。だが従業員や下請けのあなたにとって、止める力があるかという問いそのものがずれている。新設分割で本当に効くのは、自分の権利が新旧どちらの会社に割り振られたかを計画書で確認し、債権者異議や労働者の異議という個別の手続を使うことだ
- 新設分割で新会社に債務が移ること自体は知られている。だが見落とされるのは、その深刻度だ。元の会社が優良資産を抱えたまま、あなたへの債務だけを資力の乏しい新会社へ移せば、判決を取っても回収できない空箱を相手にすることになる
- 「持分会社は小規模で自分には関係ない」と思われがちだが、合同会社は出資者の有限責任を保ちつつ内部自治が自由なため、事業切り出しの受け皿として実務で多用される。あなたの取引先が合同会社へ分割されるのは珍しくない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 設立会社の形態 | 765条:新設分割設立会社が持分会社(合名・合資・合同)の場合 | 763条:新設分割設立会社が株式会社の場合 762条:新設分割計画の作成義務(総則) |
| 計画書の特徴的記載 | 社員の責任類型(無限/有限)を会社形態ごとに明記(2〜4項) | 発行株式・資本金・株主への割当てを記載 新設分割計画を作成すべき旨の包括的義務 |
| 承継対象の規律 | 765条5号:資産・債務・雇用契約その他の権利義務 | 763条1項各号:同種の承継対象を株式会社向けに規律 個別の承継対象は763・765条へ委ねる |
| 効力発生・債権者保護 | 766条で効力発生・権利義務承継、810条で債権者異議手続 | 764条で効力発生、810条で債権者異議手続 効力発生規定は持たない(計画作成段階の規律) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は企業併購法で分割を規律し、分割は株主総会特別決議を要する。承継対象の明示と債権者保護の構造は日本と類似する
韓国商法も分割・分割合併を体系的に規律し、分割計画書の記載と債権者保護手続を要求する点で日本に近い
ドイツ組織再編法は Aufspaltung(完全分割)・Abspaltung(部分分割)・Ausgliederung(子会社化)を区別し、部分的包括承継の母法的位置にある
米国は包括承継型の会社分割制度を持たず、株式分配を伴うスピンオフや事業譲渡の組合せで実現し、課税繰延要件が実務の中心になる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 勤務先から「来月、部門ごと新会社に移ってもらう」と通知された。これが新設分割なら、あなたの雇用契約は新会社へ承継される。ただし労働契約承継法に基づき、主に従事していない事業に割り当てられた場合などは異議を申し立てられる。通知から異議申出までの期間は法定で限られている、今すぐ自分がどちらの扱いかを確認しないと選択権を失う
- もし取引先が「不採算事業だけを新会社に切り出した」と聞いたら、何を疑うべきか。優良資産は元の会社に残し、借金とあなたへの債務を新設会社に押し込む詐害的会社分割かもしれない。765条5号の「債務」がどう割り振られたかが、あなたの売掛金の回収可能性を左右する
- あなたが家業を分けて、弟に一部門を持たせたい。新設分割で合資会社を作れば、弟を無限責任社員、他を有限責任社員に設計できる。765条3項がその器を用意している
取るべき行動
被害を受けた側:1. 分割対象事業に自分の債権・雇用が含まれるか、新設分割計画と事前開示書面(会社法803条、本店備置)で確認する2. 債権者なら、官報公告から原則1か月以上の債権者異議期間内に異議を述べ、弁済や担保提供を求める3. 従業員なら、労働契約承継法の通知を受けたら主従事の事業か否かを確認し、異議申出期間内に書面で異議を出す4. 詐害的分割の疑いがあれば、残存債権者として承継先会社への直接履行請求(詐害的会社分割の保護規定、会社法764条4項等、現行効力を要確認)を検討する
訴えられた側:1. 計画書に承継する資産・債務・雇用契約を765条各号通り漏れなく記載、特に債務の割り振りを明確にする2. 詐害目的と疑われないよう、新会社へ承継させる債務と資産のバランスを合理的に設計し、対価の相当性を記録に残す3. 債権者異議手続(官報公告+知れている債権者への個別催告)を法定通り履践、催告漏れは後の責任追及リスク4. 社員の責任類型(2項から4項)を事業実態に合わせて選択し、無限責任を負う社員には事前に十分な説明を尽くす
時効(請求できる期限):新設分割計画の作成・承認自体に特定の時効はないが、関連する期限が複数走る。債権者異議の公告期間は原則1か月以上(会社法810条)、従業員の異議申出は労働契約承継法の定める期間内。新設分割の無効を争う訴えは、効力発生日(新会社成立の日)から6か月以内(会社法828条1項10号)
学説
通説:会社分割による承継は、特定事業に関する権利義務を一体として移転する『部分的包括承継』と解される。個別の債権者・契約相手の同意を要しない反面、債権者異議手続や労働契約承継法による個別保護が制度的均衡を担う。
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)会社法制定 従前は商法に置かれていた会社分割の規定が会社法に整理・統合され、持分会社を設立する新設分割計画の記載事項として本条が設けられた。その後の改正履歴(特に平成26年改正の詐害的会社分割関連が本条に及ぶか)は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成12年(2000年) 新設:商法改正により会社分割制度を導入。新設分割・吸収分割の枠組みが整備され、持分会社を含む承継のルールが置かれた
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法制定に伴い商法の会社分割規定を整理・統合。持分会社を設立する新設分割の記載事項として765条が設けられた
- 3.平成26年(2014年) 改正:詐害的会社分割への対応として残存債権者の直接履行請求権等の保護規定が整備された(759条4項・764条4項等)。本条の解釈・実務にも波及(人的検証が望ましい)
- 会社法 第762条新設分割計画の作成義務の総則
- 会社法 第763条新設分割設立会社が株式会社である場合の対応規定
- 会社法 第766条本条の計画に基づく効力発生と権利義務承継
- 会社法 第576条新設分割設立持分会社の社員・責任類型の定款規律
- 会社法 第810条新設分割における承継債務の債権者異議手続
- 会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律 第3条分割に伴う労働契約の承継と従業員異議権の特則
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