会社法 第809条(新株予約権の価格の決定等)
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- 新株予約権買取請求があった場合において、新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、当該新株予約権付社債についての社債の買取りの請求があったときは、当該社債を含む。以下この条において同じ。)の価格の決定について、新株予約権者と消滅株式会社等(新設合併をする場合における新設合併設立会社の成立の日後にあっては、新設合併設立会社。以下この条において同じ。)との間に協議が調ったときは、消滅株式会社等は、設立会社の成立の日から六十日以内にその支払をしなければならない。
- 2.新株予約権の価格の決定について、設立会社の成立の日から三十日以内に協議が調わないときは、新株予約権者又は消滅株式会社等は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
- 3.前条第八項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、設立会社の成立の日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、新株予約権者は、いつでも、新株予約権買取請求を撤回することができる。
- 4.消滅株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
- 5.消滅株式会社等は、新株予約権の価格の決定があるまでは、新株予約権者に対し、当該消滅株式会社等が公正な価格と認める額を支払うことができる。
- 6.新株予約権買取請求に係る新株予約権の買取りは、設立会社の成立の日に、その効力を生ずる。
- 7.消滅株式会社等は、新株予約権証券が発行されている新株予約権について新株予約権買取請求があったときは、新株予約権証券と引換えに、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の代金を支払わなければならない。
- 8.消滅株式会社等は、新株予約権付社債券が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権について新株予約権買取請求があったときは、新株予約権付社債券と引換えに、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の代金を支払わなければならない。
この条文の基本情報
新株予約権の価格の決定等とは何ですか?
定義新株予約権の価格の決定等とは、会社法第809条に定められた規定で、「新株予約権買取請求があった場合において、新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、当該新株予約権付社債についての社債の買取り…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第809条(新株予約権の価格の決定等)は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第809条の条文原文は「新株予約権買取請求があった場合において、新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、当該新株予約権付社債についての社債の買取り…」で始まります。
- 会社法第809条は第一目 株式会社の手続に置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第809条の前の条は会社法第808条です。
- 会社法第809条の次の条は会社法第810条です。
- 会社法第809条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第809条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第809条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/809
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法809条は、新設合併等で消滅する会社の新株予約権の買取価格について、協議が調わなければ裁判所への価格決定申立てを認め、決定価格に法定利率の利息を付すと定める。
Q · 経営統合で会社が消える場合、持っているストックオプション(新株予約権)の買取価格は会社の言い値で決まるの?
いいえ、協議が調わなければ裁判所で価格を争えます
会社法809条により、買取請求後の価格は当事者の協議で決まりますが、協議が調えば設立会社の成立日から60日以内に支払われます。成立日から30日以内に協議が調わないときは、その満了後30日以内に新株予約権者または会社が裁判所へ価格決定を申し立てられます(2項)。決定価格には成立日後の法定利率の利息が付き(4項)、会社は決定前でも公正と認める額を先払いできます(5項)。会社の提示額をのむしかない、というのは誤解です。
解説
勤め先のストックオプション(新株予約権)を持っていて、ある日「当社は他社と経営統合し、新会社を設立します」と通知されたとする。あなたのオプションはどうなるのか。会社法809条は、その新株予約権を「公正な価格で買い取れ」と請求した後の、お金の流れと締切を定めている。鍵は二つの期限だ。新会社の成立日から30日以内に価格の協議が調わなければ、あなたも会社も、その満了後30日以内に裁判所へ価格決定を申し立てられる。そして成立日から60日以内に誰も裁判所に申し立てなければ、あなたはいつでも買取請求を撤回できる。さらに会社が決定価格を払うときは法定利率の利息も付き、決定を待つ間も会社は公正と認める額を先払いできる。多くの人はオプションが消えると思って会社の提示額に泣き寝入りするが、この条文はあなたに「裁判所で価格を争う」という第二の道を残している。
法的な位置づけ
会社法809条は、新設合併・新設分割・株式移転に際して消滅・分割・完全子会社となる会社の新株予約権者がした買取請求について、価格の協議・裁判所による価格決定の申立て・支払期限・法定利率の利息・先払い・撤回・証券との引換給付を定める手続規定である。買取りの効力は設立会社の成立日に生ずる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.成立日を起点に「30日」「60日」をカレンダー化する 買取請求をしたら、新設合併設立会社の成立日を確認し、成立日+30日(協議期間)と成立日+60日(申立期限)の二本線をすぐカレンダーに記入する。期限を一日でも過ぎると価格を争えなくなる
- 2.公正な価格を自分側で試算する 会社の提示額を鵜呑みにせず、DCF評価や類似会社比較で新株予約権の公正な価格を試算する。専門家の評価書があると交渉と裁判の両方で武器になる
- 3.協議が調わなければ裁判所へ価格決定を申し立てる 成立日から30日以内に協議が調わなければ、その満了後30日以内(=成立日から60日以内)に裁判所へ価格決定を申し立てる。これが価格を争う唯一の入口であり、自分から先に申し立てて主導権を握ることもできる(809条2項)
- 4.先払いを請求して資金繰りを確保する 申立て後も会社が5項に基づき公正と認める額を先払いできるため、資金が必要なら「公正と認める額を先に払ってほしい」と明示的に求める。決定価格との差額は決定後に精算される
よくある質問 AI による整理
Q1新株予約権買取請求とは何ですか?
組織再編に反対する新株予約権者が、会社に自分の新株予約権を公正な価格で買い取るよう求める権利です。会社法808条が要件を、809条が買取後の価格決定と支払を定めています。
Q2新株予約権の買取価格はいつ支払われますか?
価格について協議が調えば、設立会社の成立日から60日以内に支払われます(809条1項)。協議が調わない場合は裁判所の価格決定を経て支払われます。
Q3新株予約権買取請求はいつまでに裁判所へ申し立てますか?
成立日から30日以内に協議が調わないとき、その満了後30日以内に申し立てます。実質的に成立日から60日が期限で、過ぎると価格を争えません(809条2項)。
Q4新株予約権買取請求は撤回できますか?
成立日から60日以内に誰も価格決定を申し立てなければ、その満了後はいつでも撤回できます(809条3項)。ただし誰か一人でも申し立てると撤回はできません。
Q5新株予約権付社債の場合も買取りの対象になりますか?
なります。新株予約権付社債に付された新株予約権の買取請求とともに社債の買取請求があったときは、その社債も買取対象に含まれます(809条1項括弧書き)。
Q6新株予約権買取の価格決定に利息は付きますか?
付きます。会社は裁判所が決定した価格に対し、成立日から60日の満了日後の法定利率による利息を支払う必要があります(809条4項)。
Q7価格決定の前にお金を受け取れますか?
受け取れます。会社は価格決定前でも、自社が公正と認める額を先払いできます(809条5項)。資金が必要なら会社に先払いを求めるのが有効です。
Q8新株予約権買取の効力はいつ生じますか?
買取りの効力は設立会社の成立日に生じます(809条6項)。新株予約権証券が発行されている場合は証券と引換えに代金が支払われます(7項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が出してきた買取価格、正直安すぎると思うんですが、のむしかないんですか?
のむ必要はありません。協議が調わなければ、成立日から30日経過後の30日以内に裁判所へ価格決定を申し立てられます(809条2項)。裁判所は会社の提示額に拘束されず、独自に公正な価格を決めます。実務のポイント:実務では会社側も裁判所に持ち込まれるのを嫌い、申立て期限が近づくと上乗せ提示してくることが多い。だから締切ギリギリまで安易に合意せず、専門家の評価書を盾に粘るのが交渉の定石です(最新の手続をご確認ください)
Q2裁判所に申し立てたら、お金が入るのは何年も先になりますか?
必ずしもそうではありません。会社は価格決定前でも、自社が公正と認める額をあなたに先払いできます(809条5項)。さらに最終的な決定価格には成立日後の法定利率による利息が付きます(4項)ので、待つこと自体が一方的な損にはなりにくい設計です。実務のポイント:先払いは会社の任意なので、向こうから言ってこないことも多い。資金が必要なら「5項で公正と認める額を先に払ってほしい」とこちらから明示的に求めるのがコツです
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が一方的に決めた買取価格をのむしかない」と思われているが、協議が調わなければ裁判所へ価格決定を申し立てられる(2項)。裁判所は会社の提示額に拘束されず、独立に公正な価格を算定する
- 買取請求できることは知っていても、その締切が二段構えになっている深刻さを見落とす人が多い。成立日から30日(協議期間)、さらに30日(申立期間)、合計60日。この60日を一日でも過ぎれば、価格に不満でも裁判所の扉は永久に閉じる
- 「裁判所に申し立てたら決着まで一円も入らない」と心配する人がいるが、問いの立て方がずれている。会社は価格決定前でも、自社が公正と認める額を先払いできる(5項)。さらに最終的な決定価格には成立日後の法定利率の利息が付く(4項)。待つこと自体が一方的な損になりにくい設計だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる再編の型 | 809条:新設型(新設合併・新設分割・株式移転)の新株予約権 | 788条:吸収型(吸収合併・吸収分割・株式交換)の新株予約権 807条:新設型における反対株主の株式の価格決定 |
| 支払期限の起点 | 設立会社の成立日から60日以内(協議成立時) | 効力発生日から60日以内(協議成立時) 設立会社の成立日から60日以内(協議成立時) |
| 裁判所への申立期間 | 成立日から30日経過後の30日以内(809条2項) | 効力発生日から30日経過後の30日以内(788条2項) 成立日から30日経過後の30日以内(807条2項) |
| 買取りの効力発生時 | 設立会社の成立日(809条6項) | 効力発生日(788条6項) 設立会社の成立日 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も組織再編に異議のある株主・新株権利人に収買請求権と裁判所による価格決定を認める。算定基準として公正価格の考え方を採る点で日本と類似する。
韓国は合併反対株主の株式買取請求を商法で定める。新株予約権そのものに特化した規定構成は異なるが、反対者の投資回収を保障する点で機能的に対応する。
ドイツは組織変更法で再編に伴う現金補償(Abfindung)と裁判所手続(Spruchverfahren)による価格審査を定める。適正補償を裁判所が審査する構造が日本の価格決定に近い。
米国デラウェア州は株主の appraisal rights(鑑定請求権)を定め裁判所が公正価値を決定する。新株予約権(warrant/option)はこの制度の対象外で契約条項に従う点が日本と異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 経営統合で新会社ができ、あなたは買取請求をしたが、会社の提示額が安すぎる。協議が調わないまま成立日から30日が過ぎた。残された時間はあと30日。この期間内に裁判所へ価格決定を申し立てなければ、価格を争う土俵そのものが消える
- もし買取請求した後で、やはり手放したくない、あるいは別の条件で交渉し直したくなったら? 成立日から60日以内に誰も裁判所へ申し立てていなければ、あなたはいつでも請求を撤回できる。ただし誰か一人でも先に申し立てれば、その撤回ルートは閉じる
- あなたが消滅会社の財務担当だとする。新株予約権者から買取請求が相次ぎ、価格交渉が長引けば法定利率の利息がかさむ。5項を使えば、価格決定を待たずに自社が公正と認める額を先払いし、利息の累積を止められる。残額は裁判所の決定後に精算する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 買取請求をしたら、新会社の成立日を起点に「30日」「60日」を即カレンダー化する2. 会社の提示額を鵜呑みにせず、DCF・類似会社比較などで公正価格を自分側で試算する3. 成立日から30日で協議が調わなければ、その満了後30日以内(=成立日から60日以内)に裁判所へ価格決定を申し立てる。これが価格を争う唯一の入口(2項) 4. 申立て後も、会社が5項に基づき先払いする額は受け取れる。資金繰りに余裕がなければ「公正と認める額を先払いしてほしい」と明示的に求める
訴えられた側:1. 買取請求を受けたら、協議成立時は成立日から60日以内に支払う義務(1項)を逆算してスケジュール管理する2. 価格で揉めそうなら5項を使い、自社が公正と認める額を先払いして法定利率の利息(4項)の累積を抑える3. 新株予約権証券・新株予約権付社債券が発行されている場合は、証券との引換給付(7項・8項)を徹底し二重払いリスクを排除する4. 価格が折り合わなければ自社から裁判所へ申し立てる選択肢もある。長期化による利息の膨張を断ち切る
時効(請求できる期限):価格の協議が調えば、設立会社の成立日から60日以内に支払(1項)。協議が成立日から30日以内に調わないときは、その満了日後30日以内に裁判所へ価格決定の申立て(2項)。成立日から60日以内に申立てがなければ、以後はいつでも買取請求を撤回できる(3項)。決定価格には1項の期間(成立日から60日)の満了日後の法定利率による利息が付く(4項、最新の法定利率をご確認ください)
学説
通説(公正な価格の解釈):裁判所が定める「公正な価格」は、組織再編がなければ有していたであろう価格(ナカリセバ価格)を基礎に、再編により生じたシナジーを適切に分配した価格として算定するのが通説・判例の立場である。会社の提示額には拘束されない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:会社法制定時に、旧商法に分散していた組織再編と反対者の買取制度を整理し、新設合併等における新株予約権買取請求の価格決定・支払・利息・撤回を定める規定として新設された。
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