民法 第175条(物権の創設)
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物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
この条文の基本情報
物権の創設とは何ですか?
定義物権の創設とは、民法第175条に定められた規定で、「物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第175条(物権の創設)は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第175条の条文原文は「物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。」で始まります。
- 民法第175条は第一章に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民法第175条の前の条は民法第170〜174条です。
- 民法第175条の次の条は民法第176条です。
- 民法第175条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第175条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第175条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/175
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法175条は、物権は法律に定めるもののほか創設できないと定める(物権法定主義)。契約で新種の物権を作ることはできず、物権の種類と内容は法律で固定される。
Q · 契約書に「新しい担保権を設定する」と書けば、その権利は本当に成立するの?
法律に定めのない物権は作れず、無効です
民法175条の物権法定主義により、物権は民法その他の法律に定められた型しか創設できません。契約書に「新種の担保物権」「独自の利用権」と書いても、法律に定めがなければその物権は成立しません。物権は契約当事者だけでなく第三者全体を拘束する強い力(対世効)を持つため、法律がメニューを固定し、その外側を禁じています。ただし譲渡担保のように、判例が慣習法上の例外として認めてきた構成は存在します。
解説
契約の世界では、当事者が合意すればほとんど何でも決められる。値段も、納期も、違約金も自由だ。ところが物権、つまり土地や物に対する「誰に対しても主張できる権利」だけは話が別である。民法175条は、物権は民法やその他の法律に定めるものしか作れないと宣言する。あなたと相手が契約書に「これは新しい種類の担保物権だ」と書き込んでも、法律に定めがなければその物権は生まれない。なぜか。物権は契約の当事者だけでなく、世界中の第三者を拘束する力(対世効、つまり契約に関係ない他人にも効く力)を持つ。もし誰もが勝手に新種の物権を作れたら、土地を買おうとする第三者は、その土地にどんな見えない権利がぶら下がっているか調べようがなくなる。だから法律は「物権のメニュー」を固定し、その外側を禁じた。これが物権法定主義だ。あなたが不動産取引や担保設定でつかまされる「よく分からない権利」の正体を見抜く鍵が、この一条にある。
法的な位置づけ
物権法定主義とは、物権の種類と内容は法律の定めるところに限られ、契約によって新たな物権を創設することはできないとする原則をいう。民法175条がその根拠であり、物権が契約当事者を超えて第三者全体を拘束する対世効を持つことから、取引の安全を確保するために物権の型を法律で固定したものである。
よくある質問 AI による整理
Q1物権法定主義とは何ですか?
物権の種類と内容は法律で定めるものに限られ、契約で新しい物権を作れないとする原則です。民法175条が根拠で、取引の安全を守るために物権の型を固定しています。
Q2物権と債権の違いは何ですか?
物権は物に対する権利で第三者全体に主張できます(対世効)。債権は特定の人に対する権利で当事者間でしか主張できません。物権は法律の型に限られますが、債権は契約で自由に作れます。
Q3物権にはどんな種類がありますか?
所有権、地上権、永小作権、地役権、入会権などの用益物権と、留置権、先取特権、質権、抵当権の担保物権があります。これらは民法が定めた型で、これ以外を契約で創設できません。
Q4慣習上の物権にはどんなものがありますか?
温泉権(湯口権)や流水利用権など、民法施行前から続く慣習に基づく物権が例外的に認められています。民法175条の原則の例外として、判例や民法施行法が存続を認めています。
Q5物権は契約で自由に作れないのはなぜですか?
物権は契約に関係ない第三者まで拘束する力を持つため、誰もが勝手に新種の物権を作ると、取引相手が物に付着する見えない権利を調べられなくなるからです。取引の安全を守るための制限です。
Q6所有権留保は物権法定主義に反しないのですか?
所有権留保やリースは、既存の所有権を活用する契約構成として運用されており、判例で認められています。新種の物権を創設しているわけではないため、175条と折り合いがつくと解されています。
Q7物権法定主義に違反するとどうなりますか?
法律に定めのない物権を契約で創設しても、その物権は成立せず無効です。第三者に対抗できないだけでなく、当事者間でも物権としての効力を生じません。せいぜい債権的効力にとどまります。
Q8温泉権は物権として認められますか?
温泉を利用する慣習上の権利(湯口権)は、慣習上の物権として例外的に認められた歴史があります。民法のリストにはありませんが、民法施行前からの慣習として存続が認められています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1契約書に書いてある権利なら、全部守られるんじゃないんですか?
守られ方が違います。契約上の権利(債権)は当事者の間でしか主張できませんが、物権は第三者を含む全世界に主張できます。175条はこの強力な物権を法律の定める型に限定しています。契約書に「新種の物権」と書いても、その効力は契約相手にしか及びません。実務のポイント:実務では「物権か債権か」が勝負を分けます。相手が倒産したとき、物権(担保権)を持つ人は他の債権者を出し抜いて回収できますが、ただの契約上の権利だと配当の列に並ぶだけ。契約書の文言より、その権利が物権として成立しているかを先に確かめる
Q2譲渡担保って法律に書いてないのに、なんで使えるんですか?
175条は「この法律その他の法律に定めるもののほか」物権を創設できないと言いますが、判例が慣習法上の担保手段として譲渡担保を認めてきました。明文の根拠はなく、最高裁判例の積み重ねで運用されています。実務のポイント:明文がない分、譲渡担保は抵当権ほど安定していません。清算義務の範囲や倒産時の扱いで判例が揺れた歴史があり、近年は担保法制の見直しで立法化の議論が進んでいる。譲渡担保を使う取引では、最新の判例と立法動向を確認しておかないと足元をすくわれる(最新の改正状況をご確認ください)
Q3NFT やデジタルデータを「所有」してるって言えますか?
法律上の「所有権」という物権は主張できません。物権の対象は有体物(民法85条)に限られ、データは有体物ではないからです。175条の壁により、データに対する新種の物権も作れません。実務のポイント:あなたが守れるのは物権ではなく、契約上の利用権、著作権、不正競争防止法上の利益などです。「NFT を買った=その画像を所有した」ではなく、実態はプラットフォーム上の記録と契約に紐づく地位にすぎない。トラブル時にどの権利で戦うかを見極めないと、存在しない「所有権」を主張して空振りする
間違えやすい点 AI による整理
- 「契約は自由だから、当事者が合意すればどんな権利でも作れる」と思われているが、債権ならその通り、物権は違う。物権は契約に関係ない第三者まで拘束する力を持つため、法律が用意した型以外は作れない。契約の自由は物権の入口で止まる
- 譲渡担保や所有権留保が「法律に書いていないのに使われている」ことは知っていても、それが175条の例外として綱渡り的に認められている不安定な存在だと知らない人が多い。判例の蓄積で運用されているだけで、明文の裏付けがある抵当権ほど盤石ではない。だから担保実行や倒産の場面で予想外の制約が出ることがある
- 「自分はデジタルデータを所有している」という問いの立て方そのものが、法律から見ると成立しない。物権の対象は有体物(民法85条)に限られ、データへの「所有権」という物権は存在しない。あなたが本当に守りたいのは物権ではなく、契約上の利用権や著作権など別の権利だと気づかないと、守り方そのものを間違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 民法175条:物権の創設制限(型は法律のみ) | 民法176条:物権変動は意思表示で効力発生 民法85条:物権の客体は有体物に限定 |
| 当事者の自由 | 法定の型は選べるが新種の物権は作れない | 意思表示のみで物権を移転・設定できる データ等の無体物には物権が成立しない |
| 違反・不充足の効果 | 法律にない新種物権は無効 | 対抗要件を欠くと第三者に対抗不可(177・178条) 有体物でない対象に所有権は認められない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も日本と同じく物権法定主義を明文化。2009年改正で『慣習』により認められる物権も創設しうると緩和した点が日本との違い
韓国は条文上『法律または慣習法によらなければ』と明記し、慣習法上の物権を明文で正面から認める。日本が判例で補う部分を立法で取り込んでいる
ドイツは単一条文ではなく物権法全体に内在する原則として numerus clausus(Typenzwang・Typenfixierung)を採る。日本の物権法定主義の母法にあたる
コモンローでも estates in land の類型は限定列挙され、当事者が新種の物権を創設できない。大陸法とは別系統ながら同趣旨の標準化原理が働く
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが資金繰りのために工場の機械を担保に金を借りたいが、機械は手放さず使い続けたいとしたら? 民法の担保物権で占有を移さずに済むものは限られ、不便だ。そこで実務は「譲渡担保」を発明した。175条が新種の物権を禁じているのに、なぜ判例はこれを認めるのか。答えは、この壁をどう回避するかの工夫の歴史にある
- あなたが土地を買おうとしたら、売主が「この土地には昔から続く慣習上の利用権がある」と言ってきた。温泉権や流水利用権かもしれない。175条の原則では認められないはずだが、民法施行前から続く慣習上の物権は別枠で生き残っている。買う前に正体を確かめないと、買った後に見ず知らずの第三者の権利に縛られる
- NFT を買って「デジタル資産を所有した」と思っている。だが日本の物権法は有体物(民法85条)にしか物権を認めない。データに対する「所有権」という物権は、175条の壁の前で存在しない。
- あと数日で契約締結。相手の契約書に「占有改定により特殊な担保権を設定する」と書かれている。この「特殊な担保権」が法律に定めのある物権か、それとも創作物かを今夜のうちに確認しないと、いざ実行段階で「そんな物権は存在しない」と裁判所に切られる
- あなたが事業者として、納入先から「リース物件の所有権はこちらにある」と主張された。所有権留保やリースは物権法定主義とどう折り合うのか。契約構成次第で、相手が倒産したとき物を取り戻せるかどうかが分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手が主張する「権利」が、民法や特別法に定めのある物権(所有権、地上権、抵当権、質権など)かをまず確認、なければ債権か慣習上の物権かを切り分ける2. 物権なら登記・登録の有無を調べる、対抗要件を備えていなければあなたに対抗できない場合がある3.「法律にない新種の物権だ」という主張は175条で原則無効、慣習上の物権の例外に当たるかを争点化する4. 不動産が絡むなら登記簿、動産担保なら動産譲渡登記を確認し、専門家に権利の性質を診断してもらう
訴えられた側:1. あなたの権利が法律上の物権に当たるなら、根拠条文(地上権なら民法265条など)を明示して対抗2. 譲渡担保・所有権留保など判例上認められた構成なら、判例法理と公示(占有改定、動産譲渡登記)の充足を立証3. 単なる契約上の約束(債権)なら、第三者には対抗できないと割り切り、契約当事者間の責任追及に切り替える4. 慣習上の物権を主張するなら、その慣習の存在と内容を具体的な証拠で示す必要がある
時効(請求できる期限):175条自体に特定の期限や時効はない。ただし物権に基づく請求(返還請求、妨害排除請求など)の可否や、関連する債権の消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が個別に問題となる。所有権に基づく物権的請求権は時効では消滅しないと解されている(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:物権法定主義は、物権の種類(法定の型以外を創設できない)と内容(既存の型の内容を任意に変更できない)の双方を含むと解される。趣旨は物権の対世効に伴う取引の安全確保にあり、慣習上の物権や譲渡担保などの例外を判例が補ってきた。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 民法現代語化に伴う改正。片仮名文語体の条文を平仮名口語体に改めた。物権法定主義の内容自体は明治29年の制定時から維持されており、実質的変更はない
改正の年表
- 1.明治29年(1896年) 新設:民法制定時に物権法定主義を明文化。ドイツ・パンデクテン法学の numerus clausus 原則を継受し、物権編の基本原則として置かれた。
- 2.平成16年(2004年) 改正:民法現代語化に伴う改正。片仮名文語体を平仮名口語体に改めた。物権法定主義の内容自体に実質的変更はない。
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