民法 第369条(抵当権の内容)
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- 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- 2.地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
この条文の基本情報
抵当権の内容とは何ですか?
定義抵当権の内容とは、民法第369条に定められた規定で、「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第369条(抵当権の内容)は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第369条の条文原文は「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」で始まります。
- 民法第369条は第一節に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民法第369条の前の条は民法第367〜368条です。
- 民法第369条の次の条は民法第370条です。
- 民法第369条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第369条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第369条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/369
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法369条は、抵当権者が占有を移転しないで担保に供された不動産から、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を定める。地上権・永小作権も目的にできる。
Q · 家を抵当に入れたら、もう住めなくなるの?
いいえ。占有は移転せず、所有者は住み続けられます。
民法369条により、抵当権を設定しても不動産の占有は移転せず、所有者は住み続け、使い続けられます。これが質権との決定的な違いです。抵当権者は、債務者が返済不能になったとき、その不動産を競売にかけ、他の債権者に先立って優先的に弁済を受けられます。占有を渡さずに担保を取れるこの仕組みが、住宅ローンや事業融資を成立させる土台になっています。
解説
住宅ローンを組んだとき、銀行はあなたの家に抵当権を設定する。だがあなたは今もその家に住んでいる。これは偶然ではない。民法369条が「占有を移転しないで」と定めているからだ。質屋に時計を預ければ時計は質屋の金庫に入る(質権)。だが抵当権は違う。担保に取られても、不動産はあなたの手元に残り、あなたは住み続け、使い続けられる。さらにこの条文は「他の債権者に先立って」弁済を受ける優先権を抵当権者に与える。つまり、あなたが返済不能で破産しても、抵当権を持つ銀行は他の一般債権者より先に競売代金から回収する。住宅ローンの低金利も、不動産担保融資が成り立つのも、すべてこの一条が土台だ。あなたが毎月返済している裏側で、占有を渡さない担保という発明が静かに効いている。
法的な位置づけ
民法369条は抵当権の内容を定める規定であり、抵当権者が、債務者又は第三者の占有を移転しないまま担保に供された不動産について、他の債権者に先立って優先弁済を受ける権利を有する旨を規定する。地上権及び永小作権も抵当権の目的とすることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.お金を貸す前に登記簿の乙区を確認する 担保不動産の登記事項証明書を取得し、乙区で先順位の抵当権と残債を確認する。自分が何番抵当になるか、競売になったとき回収余地があるかを把握してから貸す
- 2.抵当権設定契約を結んだら即日登記する 抵当権の優先順位は登記の前後で決まる(民法373条)。設定契約を結んだら司法書士に依頼し、その日のうちに設定登記を入れる。1日の遅れが全額回収とゼロ回収を分ける
- 3.返済が滞ったら担保不動産競売を申し立てる 債務者が返済を怠ったら、抵当権者として裁判所に担保不動産競売を申し立てる(民事執行法180条)。被担保債権の残額と遅延損害金を正確に整理してから手続に入る
- 4.競売前に任意売却を検討する 債務者・設定者の側は、競売開始決定が届いたら任意売却を検討する。競売相場より高く売れて残債を圧縮できることが多く、金融機関も応じやすい。第三取得者は代価弁済(民法378条)や抵当権消滅請求(379条)も使える
よくある質問 AI による整理
Q1抵当権とは何ですか?
債務の担保として不動産などに設定し、占有を移転しないまま、債務不履行時に他の債権者に先立って競売代金から優先弁済を受けられる権利です(民法369条)。
Q2抵当権と質権の違いは?
質権は担保物を債権者に引き渡しますが、抵当権は占有を移転しません。だから抵当に入れた家にも住み続けられ、工場も操業を続けられます。
Q3抵当権の順位はどう決まりますか?
設定契約の早さではなく、登記の前後で決まります(民法373条)。1番抵当が競売代金から先に回収し、2番抵当は残りからしか回収できません。
Q4抵当権を抹消するにはどうすればいい?
被担保債権を完済すると抵当権は消滅しますが、登記は自動では消えません。金融機関から受け取る書類で抵当権抹消登記を申請する必要があります。
Q5法定地上権とは何ですか?
土地と建物が同一所有者のとき一方に抵当権を設定し、競売で別人が落札した場合、建物のために自動的に成立する地上権です(民法388条)。
Q6抵当権付きの家は競売になりますか?
返済を続けていれば競売にはなりません。返済が滞ると抵当権者が担保不動産競売を申し立てます(民事執行法180条)。その前に任意売却へ切り替える選択肢もあります。
Q7永小作権に抵当権を設定できますか?
できます。民法369条2項により、地上権及び永小作権も抵当権の目的とすることができます。土地そのものを所有していなくても、その権利を担保に融資を受けられる場合があります。
Q8抵当権の被担保債権が時効になったらどうなりますか?
付従性により、被担保債権が時効消滅すれば抵当権も消滅します(民法396条、債務者・設定者との関係)。被担保債権の時効は原則5年(民法166条)です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1抵当権を設定されたら、家から出ていかないといけないんですか?
出ていく必要はありません。369条が「占有を移転しないで」と定めており、抵当権を設定しても所有も占有もあなたのまま、住み続けられます。明け渡しが問題になるのは、返済不能で競売にかけられ、買受人が所有権を得た後です。実務のポイント:競売が始まっても、買受人が代金を納付するまでは住めます。その期間を使って任意売却に切り替えれば、競売相場より高く売れて残債を減らせることが多く、銀行も応じやすい
Q2抵当権がついたままの家を、売ることはできますか?
できます。所有権はあなたにあるので売買は自由です。ただし抵当権は不動産に付いて回る(追及効)ため、買主は抵当権付きの家を取得し、競売されるリスクを負います。実務では売買代金で残債を返して抵当権を抹消し、決済と同時に登記を入れ替えます。実務のポイント:第三取得者には代価弁済(民法378条)や抵当権消滅請求(379条)で抵当権を消せる制度がある。売主に丸投げせず、この制度を知っているかどうかで買主の安全度が変わる
Q3借りている土地に建てた自分の家を担保に、お金を借りられますか?
建物はあなたの所有なので、建物に抵当権を設定できます。土地は他人のものなので土地には設定できませんが、あなたの土地利用権が地上権なら、その地上権自体を抵当権の目的にできます(369条2項)。賃借権だと原則できません。実務のポイント:借地上の建物に抵当権を設定するときは、地主の承諾や法定地上権(388条)の成否が担保価値を大きく左右する。金融機関はここを必ず確認する
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「まだ自分の家」だが、登記簿から見れば、その不動産には既に他人の優先権が刻み込まれている。売るときも相続のときも、この優先権は不動産に付いて回る。あなたの主観的な所有感と、法的な担保負担は別の次元で動いている
- 抵当権を設定されると家を明け渡さねばならない、と思われているが369条は逆を定めている。占有は移転しない。明け渡しが問題になるのは、競売で買受人が現れて所有権が移った後の話で、設定の段階では何も失わない
- 抵当権の順位が「登記の先後で決まる」ことは知っていても、その深刻さまで実感している人は少ない。同じ債権額でも、登記が1日遅れて2番抵当になっただけで、競売では全額回収とゼロ回収に分かれることがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 占有の移転 | 抵当権(民法369条):占有を移転しない、所有者が使い続けられる | 質権(民法342条):担保物を債権者に引き渡す、債務者は使えない |
| 目的物 | 不動産、地上権・永小作権(369条1項・2項) | 動産・不動産・権利(342条以下) |
| 優先弁済の根拠 | 他の債権者に先立って弁済を受ける権利、順位は登記の前後(373条) | 占有による留置的効力 + 優先弁済 |
| 実務での主用途 | 住宅ローン・事業融資など、使いながら担保化する場面 | 質屋・有価証券担保など、引き渡せる物の担保化 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も占有を移転しない不動産担保として普通抵押權を定め、日本の抵当権とほぼ対応する。順位は登記による点も共通
韓国も非占有担保たる저당권を定め、構造は日本とほぼ同一。日本法を経由してドイツ法の影響を受けた
母法たるドイツは、被担保債権に付従する Hypothek と、独立性の高い Grundschuld を併存させる。実務では Grundschuld が広く用いられる点が日本と異なる
米国の mortgage はコモンロー由来で州ごとに lien theory / title theory が分かれる。非占有担保で優先順位は記録(recording)による点は日本の登記と機能的に類似
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 住宅ローンの返済を半年滞納したら、銀行はどう動く? 抵当権者として担保不動産競売を申し立てる(民事執行法180条)。あなたが住み続けられるのは、買受人に所有権が移り引渡命令が出るまでの間。その期間に任意売却へ切り替えれば、競売相場より高く売れて残債を圧縮できることが多い
- 友人に金を貸し、担保として相手の家に2番抵当を設定した。だが1番抵当(銀行)の残債が家の価値を上回っていたら、競売になってもあなたの取り分はゼロ。設定した順序ではなく、登記の順位が回収の全てを決める
- 競売開始決定の通知が届いた。配当要求の終期までの時間は限られている。動かなければ、あなたの債権は競売代金の分配から完全に外れる
- あなたが工場を担保に運転資金を借りる。占有を移転しないから、抵当権を設定したまま機械を回し操業を続けられる。質権で工場を引き渡していたら、その瞬間に事業は止まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 金を貸す前に担保不動産の登記簿(乙区)を取得し、先順位の抵当権と残債を確認、自分が何番抵当になるかを把握する2. 抵当権設定契約を結んだら即日登記、順位は登記の先後で決まる(民法373条) 3. 債務者が返済を怠ったら、担保不動産競売を申し立てる(民事執行法180条) 4. 競売前に任意売却を持ちかければ、高値で売れて回収額が増えることが多い
訴えられた側:1. 競売開始決定が届いたら、まず被担保債権の残額と遅延損害金を正確に確認、過大計上がないか精査する2. 任意売却を検討、競売より高く売れれば残債を圧縮できる、銀行と早期に交渉する3. あなたが第三取得者なら、代価弁済(民法378条)や抵当権消滅請求(379条)で抵当権を消せる4. 弁護士・司法書士に執行手続の停止可能性(執行異議等)を相談する
時効(請求できる期限):抵当権そのものに固有の消滅時効はないが、被担保債権が時効消滅すれば付従性により抵当権も消滅する(民法396条、債務者および設定者との関係)。被担保債権の消滅時効は弁済期から原則5年(民法166条)。競売の申立ては、被担保債権が存続する限りいつでも可能(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:抵当権は、目的物の占有を抵当権者に移転しないまま、その交換価値を把握して優先弁済を確保する非占有担保物権であると理解される。使用価値は設定者に残し担保価値のみを債権者に与えるこの分離構造が、近代不動産金融の基礎をなすと説明される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 民法現代語化に伴う改正。カタカナ文語体からひらがな口語体へ表記を改めた。非占有担保性・優先弁済権・地上権永小作権を目的としうる点という実質的内容に変更はない
改正の年表
- 1.明治29年(1896年) 新設:民法(明治29年法律第89号)として制定。占有を移転しない優先弁済権、地上権・永小作権を目的としうる点を定める
- 2.平成16年(2004年) 改正:民法現代語化に伴う改正。カタカナ文語体からひらがな口語体へ表記を改めた。非占有担保性・優先弁済権・地上権永小作権を目的としうる点という実質的内容に変更はない
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