民法 第562条(買主の追完請求権)
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- 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
- 2.前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
この条文の基本情報
買主の追完請求権とは何ですか?
定義買主の追完請求権とは、民法第562条に定められた規定で、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第562条(買主の追完請求権)は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第562条の条文原文は「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履…」で始まります。
- 民法第562条は第二款に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民法第562条の前の条は民法第561条です。
- 民法第562条の次の条は民法第563条です。
- 民法第562条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第562条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第562条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/562
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法562条は、引き渡された物が契約の内容に適合しないとき、買主が売主に修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しを請求できると定める。請求方法は原則として買主が選べる。
Q · ネットや中古で買った商品が説明と違っていたら、返品しかできないの?
いいえ、修補・交換・不足分の追加を請求できます
民法562条により、引き渡された物が契約の内容に適合しないとき、買主は売主に対し、修補(修理)、代替物の引渡し(交換)、不足分の引渡しのいずれかによる履行の追完を請求できます。どの方法を選ぶかは原則として買主が決められます。ただし売主は、買主に不相当な負担を課さない範囲で別の方法に切り替えることができ(1項ただし書)、不適合が買主の責めに帰すべき事由による場合は請求できません(2項)。
解説
中古車を買ったらエンジンから異音、ネットで注文した家具に深い傷、購入した中古マンションの配管が契約書の説明と違っていた。こうしたとき、多くの人は「返品できますか」「返金してください」と店に頼み込む。だが民法562条を握っている人は、最初から要求の組み立て方が違う。引き渡された物が種類、品質、数量について契約の内容に適合しないとき、あなたが売主に対して持つのは「お願い」ではなく「請求権」だ。しかも選択肢は三つ。修理させる(修補)、別の良品と取り替えさせる(代替物の引渡し)、足りない分を追加させる(不足分の引渡し)。どれを選ぶかは原則あなたが決める。これが2020年4月から始まった「契約不適合責任」の核心で、それ以前の「瑕疵担保責任」とは要件も使える武器も変わった。ただし注意点が二つ。売主はあなたに過大な負担を与えない範囲で、あなたが選んだ方法とは別の方法に切り替えられる。そしてその不適合があなたのせいで生じたものなら、この請求権は使えない。
法的な位置づけ
民法562条は契約不適合責任における追完請求権を定める規定である。引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に、買主が売主に対して修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しを請求できる権利を規律する。2020年4月施行の債権法改正により、旧法の瑕疵担保責任に代えて新設された。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.不適合の証拠を確保する 商品の現状写真、契約書・注文画面・商品説明のスクリーンショット、店とのやり取りの記録を、日付が残る形で保存する。『契約の内容に適合しない』ことを後で立証できる状態を作る
- 2.書面・メールで不適合を通知する 知った時から速やかに、『これは契約不適合に当たるため、民法562条に基づき履行の追完を請求する』と明示して通知する。種類・品質の不適合は知った時から1年の通知期間(566条)があるため、この一手で権利を確保する
- 3.追完方法を選んで請求する 修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しのうち、自分のケースで最も実益のある方法を指定して請求する。取り替えのきかない物(不動産等)なら修補請求と同時に代金減額への切り替えを予告し、交渉の主導権を握る
- 4.応じなければ次の手段に進む 売主が追完に応じない、または追完が不能・不十分なら、代金減額(563条)または損害賠償・解除(564条・415条)へ進む。消費者契約で『返品不可』条項を盾にされたら、消費者契約法8条による無効を主張する
よくある質問 AI による整理
Q1契約不適合責任とは何ですか?
引き渡された物が契約の内容(種類・品質・数量)に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任です。民法562条の追完請求、563条の代金減額、564条の損害賠償・解除がその内容となります。
Q2追完請求権と代金減額請求権はどう違いますか?
追完請求(562条)はまず修補・交換・不足分の追加で契約通りの履行を求める権利、代金減額(563条)は追完が不能・拒絶された場合などに不適合の程度に応じて代金を減らす権利です。原則として追完が先行します。
Q3中古住宅にも契約不適合責任は適用されますか?
適用されます。ただし中古売買では契約で『契約不適合責任を負わない』特約が付くことが多く、その場合は救済が制限されます。新築は品確法による10年の特則があります。
Q4契約不適合責任を負わない特約は有効ですか?
当事者間の合意で制限できる場面はありますが、売主が不適合を知りながら告げなかった場合は責任を免れません。消費者契約では責任を全部免除する条項は消費者契約法8条で無効です。
Q5個人間の売買でも契約不適合責任は発生しますか?
発生します。事業者でなくても売買契約は成立し、562条の売主責任は個人にも及びます。フリマアプリの『ノークレーム・ノーリターン』も常に有効とは限りません。
Q6数量不足のときも追完を請求できますか?
できます。562条は数量の不適合も対象とし、不足分の引渡しを請求できます。なお数量・権利の不適合には566条の1年通知期間の制限がなく、一般の消滅時効によります。
Q7契約不適合があった場合、損害賠償も請求できますか?
請求できます。追完請求(562条)や代金減額(563条)とは別に、564条が415条の損害賠償請求と解除権の行使を認めています。追完と損害賠償を組み合わせて設計できます。
Q8商品が説明と違う場合、まず何をすればいいですか?
不適合の証拠(写真・契約書・商品説明・やり取り)を保存し、知った時から速やかに『契約不適合に当たるため追完を請求する』と書面・メールで通知します。これで566条の期間を確実に押さえられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「ノークレーム・ノーリターン」って書いてあったら、もう何も言えないんですか?
そうとは限りません。契約不適合があれば562条の追完請求権は法律上の権利で、当事者の合意で制限できる場面はあるものの、消費者契約では事業者の責任を全部免除する条項は消費者契約法8条で無効になります。実務のポイント:個人間取引でも『ノークレーム・ノーリターン』が常に有効なわけではなく、売主が不適合を知りながら告げなかった場合(信義則違反)は、この特約の効力が及ばないと判断されることがある。まず免責条項の有効性自体を疑う
Q2修理してと言ったのに、店が「代わりの新品と交換します」と勝手に決めるのはアリ?
条件付きでアリです。562条1項ただし書で、売主は買主に不相当な負担を課さない範囲で、買主が請求した方法と異なる方法による追完ができます。あなたが修補を求めても、交換の方があなたに負担を与えないなら売主は交換を選べる。実務のポイント:逆に言えば、あなたにとって交換より修補の方が明らかに都合がよい事情(データ・愛着・設置コスト等)があれば、それを根拠に売主の切り替えを『不相当な負担』として拒める余地がある。なぜその方法が良いかを具体的に主張できるかが鍵
Q3不良品に気付いたの、買ってから半年も経ってたんですけど手遅れですか?
種類・品質の不適合なら、起算点は『買った時』ではなく『不適合を知った時』です。知った時から1年以内に通知すれば権利は残ります(566条)。半年前に買っていても、欠陥に気付いたのが最近なら間に合う可能性が高い。実務のポイント:『知った時』の立証が争点になりやすいので、気付いた瞬間にスクショや写真で日付の残る形で記録し、すぐ書面通知する。逆に数量不足や権利の不適合には1年の通知期間がなく、一般時効まで主張できる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「ノークレーム・ノーリターンと書いてあったから諦めるしかない」と思い込んでいる人が多い。だが立てている前提そのものが誤っている。契約不適合責任は法律が定めた買主の権利であって、売主が約款の一行で勝手に消せるものではない。特に消費者契約では、こうした免責条項は消費者契約法8条で無効になる場合がある。問うべきは『諦めるべきか』ではなく『この免責条項は有効か』だ
- 「契約不適合責任は、昔の瑕疵担保責任と名前が変わっただけ」と軽く考えている人がいる。深刻さの理解が足りない。2020年の改正で、買主は『隠れた瑕疵』の立証から解放され、『契約の内容に適合しているか』という契約基準で争えるようになった。さらに追完請求・代金減額という、旧法にはなかった具体的な武器が手に入った。名前だけでなく、戦い方そのものが買主有利に変わっている
- 「不良品なんだから当然タダで直してもらえる、いつでも言えばいい」と思っている人は二重に誤解している。第一に、追完方法は売主が別の方法に切り替えられる余地がある(1項ただし書)。第二に、種類・品質の不適合は知った時から1年の通知期間(566条)があり、放置すれば権利は消える。『いつでも』ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権利の内容 | 562条:修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し(追完請求) | 563条:不適合の程度に応じた代金減額請求 564条:損害賠償(415条)・契約の解除 |
| 行使の前提 | 契約内容への不適合があること(原則まず追完を求める) | 追完不能・追完拒絶・催告しても追完なし等 債務不履行の一般要件(損害・帰責事由等) |
| 期間制限 | 566条:種類・品質は知った時から1年の通知(数量・権利は適用なし) | 566条の通知 + 一般の消滅時効(166条) 566条の通知 + 一般の消滅時効(166条) |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は物の瑕疵担保責任を維持しつつ、第364条で買主の『無瑕疵物の改めての引渡し請求』を認める。追完に近い救済はあるが、日本の契約適合性基準への一元化は未導入
韓国は依然として『하자담보책임(瑕疵担保責任)』の枠組み。日本の2020年改正のような契約不適合・追完中心への転換は行っておらず、旧来型に近い
中国民法典は品質不適合の場合に第582条を準用し、修理・交換・代金減額・損害賠償等の違約責任を定める。追完中心の構造は日独と親和的
ドイツは2002年の債務法現代化で Nacherfüllung(追完)を売主の第一次的義務とし、日本の2020年改正が直接参照した立法モデル
米国統一商事法典は perfect tender rule を基礎に、売主の cure(追完)権(§2-508)と買主の損害賠償(§2-714)を定める。コモンロー系だが追完概念は共通
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、ネット通販で届いた商品が説明と違っていたのに、店から「ノークレーム・ノーリターンと書いてあったでしょう」と突き返されたら、どうなる? 結論から言えば、契約不適合があれば562条の追完請求権は原則として消えない。約款の一行で買主の法的権利を一方的に奪う条項は、消費者契約であれば消費者契約法8条で無効になりうる
- あなたが個人で中古品をメルカリで売った側だとする。買い手から「届いた時計が動かない、新品同様と書いてあったのに」と修理か返金を迫られた。これは他人事ではない、562条はあなたを売主として直撃する。だが反論材料もある、不適合が買主の使い方で生じたなら2項であなたは追完を拒める
- リフォーム済みと聞いて買った中古マンション、入居後に雨漏りが発覚。あなたは修補を求めるか、それとも代金減額(563条)に切り替えるか。物件は取り替えがきかないので、修補請求と並行して損害賠償(564条、415条)の組み立てを最初に設計するかどうかで、回収額が数十万円から数百万円違う
- 商品の不適合に気付いてから、あなたに残された時間は実質的に限られている。種類・品質の不適合は、知った時から1年以内に売主へ通知しないと、原則として権利を失う(566条)。気付いた瞬間にメールや書面で「不適合を通知する」一文を送れるかどうか、その一手が分水嶺になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 不適合の証拠を確保:商品の現状写真、契約書・注文画面・商品説明のスクショ、やり取りの記録を保存2. 知った時から速やかに、書面かメールで『契約不適合に当たるため履行の追完を請求する』と通知(566条の1年期間を確実に押さえる) 3. 修補・代替物・不足分の引渡しのうち、自分のケースで最も実益のある方法を指定して請求4. 売主が応じない、または追完が不能・不十分なら、代金減額(563条)または損害賠償・解除(564条)へ進む。消費者契約で『返品不可』条項を盾にされたら、消費者契約法8条による無効を主張
訴えられた側:1. まず本当に『契約の内容に不適合』か検証:契約書・商品説明と現物を照合、合意した品質水準を確認2. 不適合が買主の使用方法・保管方法で生じたものなら、562条2項で追完請求を拒める、その証拠を確保3. 追完に応じる場合でも、買主指定の方法が過大な負担なら、ただし書により別の合理的な方法へ切り替えを提案4. 商人間売買なら、買主が受領後遅滞なく検査・通知したか(商法526条)を確認、通知を怠っていれば買主は権利を失っている可能性
時効(請求できる期限):種類または品質に関する不適合は、買主がその不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければ、原則として追完請求等の権利を失う(民法566条)。ただし売主が引渡し時に不適合を知り、または重過失で知らなかった場合はこの期間制限は適用されない。数量の不適合・権利の不適合にはこの1年制限はなく、一般の消滅時効(民法166条、知った時から5年または権利行使可能時から10年)による。商人間売買は受領後遅滞ない検査・通知義務あり(商法526条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:契約不適合の有無は、当事者が契約で合意した品質・性能・数量という契約規範を基準に判断される(契約適合性基準)。旧法の『隠れた瑕疵』のような客観的瑕疵概念ではなく、契約の趣旨に照らした適合性が問われる点に改正の核心があるとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成29年(2017年)債権法改正、令和2年(2020年4月1日)施行 本条は債権法改正で新設された条文。旧法の『瑕疵担保責任』(旧570条等)を廃し、『契約不適合責任』へ転換。買主は隠れた瑕疵の立証から解放され、契約適合性を基準に、修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しという追完請求権を明文で取得した。代金減額請求権(563条)と併せ、買主の救済手段が体系的に整備された
改正の年表
- 1.平成29年(2017年) 新設:債権法改正(平成29年法律第44号)により本条を新設。旧法の瑕疵担保責任(旧570条等)を廃し、契約不適合責任へ転換。追完請求権を明文化
- 2.令和2年(2020年4月1日) 改正:改正民法が施行され本条が適用開始。買主は隠れた瑕疵の立証から解放され、修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しという具体的な追完手段を取得
- 民法 第563条追完不能・追完拒絶時の代金減額請求権
- 民法 第564条不適合における損害賠償請求及び解除権の行使
- 民法 第565条移転した権利が契約に適合しない場合への準用
- 民法 第566条種類・品質不適合における1年の通知期間制限
- 民法 第559条売買の規定の有償契約への準用
- 民法 第415条債務不履行による損害賠償の一般規定
- 商法 第526条商人間売買における買主の検査・通知義務の特則
- 消費者契約法 第8条事業者の不適合責任を全部免除する条項の無効
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律 第95条新築住宅における10年瑕疵担保責任の特則
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