民法 第899条
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各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第899条は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第899条の条文原文は「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」で始まります。
- 民法第899条は第一節に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民法第899条の前の条は民法第898条です。
- 民法第899条の次の条は民法第899条の2です。
- 民法第899条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第899条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第899条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/899
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法899条は、各共同相続人が相続分に応じて被相続人の権利義務を承継すると定める。借金などの可分債務は遺産分割を待たず相続開始時に相続分どおり各相続人へ分割される。
Q · 親が亡くなったら、借金も自動で自分のものになるの?
相続分に応じて財産も借金も自動承継されます
民法899条により、各共同相続人はその相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します。プラスの財産だけを選ぶことはできず、借金などの可分債務は遺産分割の話し合いを待たず、相続開始の瞬間に相続分どおり各相続人の個人債務になります(最判昭和34.6.19)。「受け取っていない」と思っていても債権者はあなたの相続分だけ直接請求できます。これを止める唯一の方法が、3か月以内の相続放棄(民法915条)です。
解説
親が亡くなった。あなたは「遺産はいらない、兄が全部やればいい」と思って、葬儀のあと何もしなかった。半年後、消費者金融からあなた宛てに督促状が届く。「お父様の借入金の、あなたの相続分相当額をお支払いください」。民法899条が動いた瞬間だ。本条は、複数の相続人がいるとき、各人が「相続分に応じて」被相続人の権利も義務も承継すると定める。プラスの財産だけ選んで受け取ることはできない。重要なのは、借金のような可分債務は、遺産分割の話し合いを待たず、相続が開始した瞬間に相続分どおり自動的に各相続人の個人債務になるという点だ。判例(最判昭和34.6.19)がこれを確定させている。あなたが「受け取っていない」と思っていても、債権者はあなた個人に、あなたの相続分だけ直接請求できる。逃げ道は一つ、3か月以内の相続放棄(民法915条)だけだ。
法的な位置づけ
民法899条は共同相続における権利義務の承継を定める規定であり、複数の相続人がある場合に各共同相続人がその相続分に応じて被相続人の財産上の権利および義務を承継する旨を規律する。可分債務は相続開始時に相続分どおり当然に分割され、各相続人の個人債務として帰属する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.親族の死を知ったら「3か月の時計」を意識する 相続放棄・限定承認の熟慮期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から起算される(民法915条)。悲しみの最中でも「期限が動き始めた」と認識し、日付を記録する
- 2.信用情報機関へ被相続人の借入・保証を照会 JICC・CIC・全国銀行協会(KSC)へ被相続人の信用情報開示を請求し、借入や連帯保証の有無を洗い出す。プラスの財産より先に「借金の有無」を確定させる
- 3.承認・放棄・限定承認のいずれかを判断する 財産より債務が多い、または不明なら相続放棄(民法939条)または限定承認(民法922条以下)を選ぶ。財産が明らかに多ければ単純承認でよい。判断は集めた情報に基づいて行う
- 4.家庭裁判所へ相続放棄または限定承認を申述 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ、相続放棄申述書または限定承認の申述書を提出する。限定承認は相続人全員で行う必要がある
- 5.3か月で調査が終わらないなら期間伸長を申し立てる 財産・債務の調査が熟慮期間内に終わらないときは、期限内に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる。何もせず期限を過ぎると単純承認とみなされる
よくある質問 AI による整理
Q1相続分とは何ですか?
各相続人が遺産を承継する割合のことです。民法900条以下の法定相続分や、遺言による指定相続分があり、899条の「相続分に応じて」の基準になります。
Q2可分債務は相続でどうなりますか?
金銭債務などの可分債務は、遺産分割を待たず相続開始時に相続分どおり当然に分割され、各相続人の個人債務になります(最判昭和34.6.19)。
Q3相続放棄の期限はいつまでですか?
自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。この熟慮期間を過ぎると単純承認とみなされます。
Q4単純承認とはどういう意味ですか?
被相続人の権利義務を無限に承継することです。3か月以内に放棄も限定承認もしないと単純承認とみなされ、借金も全部背負います(民法921条)。
Q5限定承認と相続放棄の違いは何ですか?
限定承認は相続財産の範囲内でのみ債務を弁済する手続、相続放棄は最初から相続人でなかったとみなされる手続です。いずれも3か月以内に家裁へ申述します。
Q6相続人の相続分はどう決まりますか?
遺言による指定があればそれが優先し、なければ民法900条の法定相続分(配偶者と子なら2分の1ずつ等)で決まります。
Q7親の借金を相続したくない場合どうすればいいですか?
相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄を申述します。財産より借金が多い、または不明なら放棄か限定承認を検討します。
Q8相続した借金に時効はありますか?
被相続人が負っていた債務の消滅時効は相続によって引き継がれます。残存期間が進行するため、借入時期や最終取引日を確認することが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1遺産分割で『借金は兄が全部引き受ける』と決めたのに、なぜ私に請求が来るんですか?
相続人どうしの取り決めは内部的なもので、債権者には対抗できないからです。可分債務は相続開始時に相続分どおり当然に分割され(民法899条、最判昭和34.6.19)、債権者はあなたの相続分相当額をあなた個人に直接請求できます。実務のポイント:債権者の同意があれば、特定の相続人に債務を集約する『免責的債務引受』が成立し、他の相続人は解放されます。分割協議書に『兄が引き受ける』と書くだけでは足りず、債権者から書面で免責の同意を取り付けて初めて、あなたは請求から外れます
Q2親の預金、自分の相続分だけなら銀行ですぐ下ろせますよね?
原則できません。預貯金債権はかつて当然分割とされましたが、最高裁が判例を変更し(最大決平成28.12.19)、遺産分割の対象に含めました。今は相続人全員の同意か家裁の手続が必要です。実務のポイント:葬儀費用などで急ぎ現金が要る場合のために『預貯金の払戻し制度』があり、一定額(口座ごとの残高×法定相続分×3分の1、上限あり)までは単独で引き出せます。窓口で『相続預金の仮払い』と言えば案内されますが、自分から聞かないと教えてもらえないことが多い
Q3親が誰かの連帯保証人だったなんて、死んでから初めて知りました。これも継ぐんですか?
継ぎます。保証債務も可分債務として相続分どおり承継されます(民法899条)。主債務者が払えなくなれば、保証人の地位を継いだあなたに請求が来ます。実務のポイント:保証債務の存在を相続放棄の3か月を過ぎてから知ったケースでは、『債務の存在を知り得なかった特段の事情』があれば、知った時点から放棄を認めた判例があります(最判昭和59.4.27)。あきらめる前に、保証の存在をいつ・どうやって知ったかを記録し、すぐ専門家に相談することが分かれ目になります(最新の運用をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「相続放棄すれば借金から逃げられる」とは知っていても、その3か月の期限の重さを知らない人が多い。期限は『自己のために相続の開始があったことを知った時』から起算され(民法915条)、財産調査が間に合わなくても原則延びない。借金の存在を後から知っても、期限を過ぎていれば手遅れになりうる(債務の存在を知り得なかった事情があれば例外あり、最新の運用をご確認ください)
- 「遺産分割で『借金は長男が引き受ける』と決めれば、自分は払わなくていい」と思っている人が多いが、これは前提が誤っている。相続人どうしの取り決めは内部の話で、債権者には対抗できない。債権者はあなたの相続分どおりあなた個人に請求でき、あなたが払った後で長男に求償するしかない
- 「預金は相続分どおりすぐ自分の取り分を下ろせる」という理解は古い。かつて可分債権は当然分割とされたが、預貯金債権については最高裁が判例を変更し(最大決平成28.12.19)、遺産分割の対象に含めた。今は相続人全員の合意か家裁の手続なしには動かせない(一定額の仮払い制度は別途あり)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 899条:各相続人が相続分に応じて権利義務を承継 | 896条:相続人による包括承継の一般原則(一身専属権を除く) 900条:法定相続分の割合そのものを定める |
| 借金(可分債務)の扱い | 相続開始時に相続分どおり当然分割、各人の個人債務 | 債務を含む一切を当然に承継(分割の割合は定めない) 債務の割合計算の基礎となる比率を提供 |
| 離脱・否定の手段 | 承継を止めるには939条の相続放棄・922条の限定承認 | 915条の熟慮期間内の選択で承継範囲を限定 遺言による指定相続分(902条)で割合を変更可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も包括承継を採るが、共同相続人は被相続人の債務について原則として連帯責任を負う点(1153条)が、相続分どおり当然分割される日本とは異なる
韓国民法はほぼ同一の文言で「共同相続人は各自の相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」と定め、日本法を継受した構造
ドイツは包括承継(Gesamtrechtsnachfolge)を採るが、共同相続人は相続債務について連帯責任(gesamtschuldnerische Haftung)を負う点で日本と異なる
米国は大陸法的な包括承継ではなく、遺産管理人によるプロベイト手続を通じて債務弁済後の残余財産が承継される。相続人が個人的に債務を直接承継する構造ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 疎遠だった父が亡くなり、相続人は自分と弟の二人。父にカードローンが400万円あった。遺産分割で「弟が事業を継ぐから債務も弟が引き受ける」と二人で合意した。それでも貸金業者はあなたに200万円を請求できる。相続人間の合意は債権者を拘束しないからだ
- もし、母が連帯保証人になっていた契約があり、その事実を誰も知らなかったら? 保証債務も相続分に応じて承継される。後から保証債務が発覚しても、相続放棄の3か月の期間が過ぎていれば原則として承継を免れない
- 亡くなった祖父名義の預金が500万円。あなたは「自分の相続分はすぐ引き出せる」と思った。引き出せない。預貯金債権は遺産分割が終わるまで全員の合意なしには動かせない(最大決平成28.12.19)
- 兄が亡くなり、あなたが相続人。兄には未回収の売掛金(他人への貸金)があった。これは可分債権として相続分どおり各相続人に分かれる。あなたは自分の相続分だけ、債務者に直接取り立てられる
- 親の死を知ってから残り3週間。財産より借金が多いかもしれない。相続放棄か、限定承認か、単純承認か。この期限を1日でも過ぎて何もしなければ、自動的に借金ごと全部背負う単純承認とみなされる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 親族の死を知ったら、悲しみの最中でも『3か月の時計が動き始めた』と認識する2. 信用情報機関(JICC・CIC・全国銀行協会)へ被相続人の信用情報開示を請求し、借入・保証の有無を洗い出す3. 財産より債務が多い、または不明なら、家庭裁判所へ相続放棄または限定承認(民法922条以下)を申述する4. 3か月で調査が終わらないときは、期限内に家裁へ熟慮期間の伸長を申し立てる
訴えられた側:1. あなたが債権者で相続人に請求する側なら、相続人全員を特定し、各人の相続分(民法900条等)を確定する2. 可分債務は相続分どおり各相続人へ請求でき、相続人間の『誰が引き受ける』という合意はあなたを拘束しない3. ただし一人の相続人へ全額は請求できないので、各人へ相続分相当額を分けて請求する4. 相続放棄した者には請求できないため、家裁の相続放棄申述受理の有無を確認する
時効(請求できる期限):相続の承認・放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(民法915条1項)。この熟慮期間内に放棄も限定承認もしなければ単純承認とみなされ(民法921条2号)、借金を含め全部を承継する。期間の伸長は家裁への申立てで可能(最新の運用をご確認ください)
学説
通説:899条の承継のうち、金銭債務などの可分債務は相続開始時に相続分どおり当然分割され各相続人の個人債務になるとするのが判例・通説。相続人間の遺産分割協議で誰が引き受けるかを定めても、それは内部的効力にとどまり債権者には対抗できないと解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 民法現代語化に伴う改正。条文の文言を文語体から口語体へ改めたもので、各共同相続人が相続分に応じて権利義務を承継するという規範内容自体は変更されていない。なお平成30年(2018年)相続法改正では本条の隣に899条の2(権利承継の対抗要件)が新設されたが、これは別条の追加であり899条本体の改正ではない
改正の年表
- 1.明治31年(1898年) 新設:民法第五編(相続編)の制定により、共同相続人が相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する旨が定められた
- 2.平成16年(2004年) 改正:民法現代語化に伴い文語体から口語体へ文言を改めた。各共同相続人が相続分に応じて権利義務を承継するという規範内容自体は変更されていない
- 3.平成30年(2018年) 新設:相続法改正により隣接する899条の2(相続分を超える権利承継の対抗要件)が新設されたが、これは別条の追加であり899条本体の改正ではない
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