要点労働者災害補償保険法 14 条の 2 は、刑事施設や少年院などに拘禁・収容された場合、厚生労働省令で定めるときに限り休業補償給付を行わないと定める。療養補償給付(治療費)は止まらない。
Q · 労災で休業補償をもらっている人が逮捕・収監されたら、補償は全部止まるの?
止まるのは休業補償だけ、治療費は続く
労働者災害補償保険法 14 条の 2 により、刑事施設・労役場・少年院などに拘禁・収容されると、厚生労働省令で定める場合に限り休業補償給付(賃金の約 8 割を補う給付)が止まります。ただし療養補償給付(治療費)は制限対象外で、拘禁中も支給され続けます。出所後に怪我が治っていなければ、休業補償は再開を申し出ることで再び支給対象になりえます。
仕事中の事故で大怪我をして、労災の休業補償給付(働けない間、賃金の約 8 割を埋める金)を受け取っている。その最中に、まったく別の事件で逮捕され、刑務所に収容されたとする。すると、その期間の休業補償は止まる。理由はシンプルだ。休業補償給付は「怪我のせいで働けず収入が途絶えた」ことを埋めるための金だが、拘禁されている間はそもそも働けないうえ、衣食住は国がまかなう。怪我が原因で失った収入、という前提そのものが崩れるからだ。ここに、知っておくべき分かれ目がある。止まるのは休業補償だけ。療養補償給付(治療費)は拘禁中も止まらない。つまり刑務所の中でも労災の治療は受けられる。さらにこの制限は「厚生労働省令で定める場合に限る」とされ、適用範囲は省令で絞られている。一律にすべての身柄拘束で止まるわけではない。
労働者災害補償保険法 14 条の 2 は、被災労働者が刑事施設・労役場・少年院その他これらに準ずる施設に拘禁または収容されている場合に、厚生労働省令で定めるときに限り休業補償給付を行わない旨を定める支給制限規定である。療養補償給付など他の保険給付には及ばない。
業務上の負傷・疾病の療養のため働けず賃金を受けられない場合に、給付基礎日額の約 8 割が支給される労災保険給付です。生活費を補うための給付という性格を持ちます。
休業 4 日目から支給されます。最初の 3 日間(待期期間)は労働基準法 76 条により原則として使用者が休業補償を行います。
止まる場合があります。14 条の 2 第二号は少年院その他これに準ずる施設への収容を挙げており、省令で定める場合に該当すれば休業補償は行われません。
一律ではありません。制限は「厚生労働省令で定める場合に限る」とされ、どの拘禁が対象かは省令で絞られます。自分のケースは思い込みでなく条文と省令で確認すべきです。
療養補償給付は治療そのものを目的とする給付(治療費)、休業補償給付は働けない間の賃金を補う給付です。14 条の 2 で止まるのは後者だけです。
給付基礎日額のおおむね 8 割(休業補償給付 6 割+休業特別支給金 2 割)が休業日数分支給されます。長期になれば総額は大きくなります。
労働者災害補償保険審査官へ審査請求できます。決定を知った日の翌日から 3 か月以内が原則で、費用はかかりません。
あります。休業補償給付の請求権は、支給事由が生じた日の翌日から 2 年で時効消滅します(労災法 42 条)。日ごとに進行する点に注意が必要です。
いいえ、止まるのは休業補償給付(賃金の補填)だけです。療養補償給付(治療費)は労働者災害補償保険法 14 条の 2 の制限対象外で、拘禁中も支給され続けます。刑事施設の中でも、必要な労災の治療は受けられます。業界裏話ヒント:「刑務所に入ったら労災は全部終わり」という思い込みで、本来受けられる治療給付まで請求をやめてしまう人がいる。賃金補填と治療費は別動だと知っているだけで、回復のための医療を手放さずに済む。
怪我がまだ治っておらず働けない状態が続いていれば、拘禁が解けた後は再び支給対象になりえます。14 条の 2 は「拘禁されている場合」の制限なので、その状態が消えれば前提も消えます。業界裏話ヒント:自動では戻りません。出所後に改めて休業補償給付の請求手続きが要る。出所日を起点に動かないと、本来もらえたはずの空白期間が伸びるだけ。労基署への再開申出は早いほどいい。
止まることがあります。14 条の 2 第一号は「労役場」を明記しており、罰金不納付による労役場留置も対象に含まれます。ただし「厚生労働省令で定める場合に限る」ため、具体的な該当性は省令での確認が必要です。業界裏話ヒント:数万円の罰金を払えなかったことが、月数十万円の休業補償を止める引き金になることがある。罰金の分割納付・納付猶予を先に相談した方が、結果的に得をするケースがある。(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制限の事由 | 拘禁・収容(刑事施設・労役場・少年院等) | — |
| 対象となる給付 | 休業補償給付のみ | — |
| 治療費(療養補償給付)への影響 | 止まらない(制限対象外) | — |
| 省令の関与 | 厚生労働省令で定める場合に限る | — |
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