金融商品取引法 第16条(違反行為者の賠償責任)
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前条の規定に違反して有価証券を取得させた者は、これを取得した者に対し当該違反行為に因り生じた損害を賠償する責に任ずる。
この条文の基本情報
違反行為者の賠償責任とは何ですか?
定義違反行為者の賠償責任とは、金融商品取引法第16条に定められた規定で、「前条の規定に違反して有価証券を取得させた者は、これを取得した者に対し当該違反行為に因り生じた損害を賠償する責に任ずる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第16条(違反行為者の賠償責任)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第16条の条文原文は「前条の規定に違反して有価証券を取得させた者は、これを取得した者に対し当該違反行為に因り生じた損害を賠償する責に任ずる。」で始まります。
- 金融商品取引法第16条は第二章 企業内容等の開示に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第16条の前の条は金融商品取引法第15条です。
- 金融商品取引法第16条の次の条は金融商品取引法第17条です。
- 金融商品取引法第16条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第16条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第16条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/16
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法16条は、目論見書の交付義務を定める15条に違反して有価証券を取得させた者に、取得者への損害賠償責任を負わせる。故意・過失の立証は不要である。
Q · 目論見書をもらわずに投資商品を買わされたら、損害賠償を請求できますか?
請求できる。相手の過失の立証は不要
金融商品取引法16条により、15条の目論見書交付義務等に違反して有価証券を取得させた者は、取得者に対し当該違反行為により生じた損害を賠償する責任を負います。取得者側が証明するのは15条違反の事実と損害であり、相手方の故意・過失を立証する必要はありません。ただし賠償範囲は違反行為と因果関係のある損害に限られ、市場全体の下落による損失部分は含まれません。請求権には20条準用の期間制限があります。
解説
目論見書を渡されないまま株式や社債、投資信託を買わされた。あるいは渡された書類の中身が実際と違っていた。そのとき金融商品取引法16条が、あなたの手の中で静かに起動する。この条文は15条(目論見書の交付義務、届出前の勧誘禁止)に違反して有価証券を取得させた者に、取得者に対する損害賠償責任を負わせる。ポイントは二つある。第一に、責任を負うのは「取得させた者」であり、発行会社だけでなく販売した証券会社そのものが直接の相手になる。第二に、あなたが証明すべきは相手の悪意でも過失でもなく、15条違反の事実と、それによって生じた損害だけだ。民法709条で証券会社の「過失」を立証しようとすれば、内部の説明体制や担当者の認識まで踏み込む必要があり、個人投資家には極めて重い。16条はその立証の山を、書類が交付されたか否かという一点に置き換える。あなたが持っている武器は、失われた金額ではなく、手元に目論見書が残っていないという事実の方である。
法的な位置づけ
金融商品取引法16条は、目論見書の交付義務等を定める同法15条に違反して有価証券を取得させた者の民事賠償責任を定める規定である。責任主体は「取得させた者」であり、発行者に限らず販売業者を含む。賠償範囲は当該違反行為に因り生じた損害に限定され、取得者に故意・過失の立証責任は課されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.目論見書の受領有無と日時を確定する 郵便物、メール、アプリの閲覧履歴、営業担当とのやり取りを時系列に並べ、約定日と交付日の前後関係を特定する。「読んだか」ではなく「交付されたか・いつか」が争点になる
- 2.証券会社へ書面で交付記録の開示を請求する 電話ではなく書面で「目論見書の交付記録および交付日時」の開示を求め、送信控えを保存する。記録が出てこない、または日付が約定後であれば交渉の主導権が反転する
- 3.15条違反の成否と損害の範囲を切り分ける 届出の効力発生時期と交付時期を照合して15条違反の成否を判断し、損失のうち市場全体の下落に起因する部分と違反行為に結び付く部分を分けて整理する
- 4.FINMAC のあっせんを申し立てる 申立書に金融商品取引法16条を明示し、故意・過失の立証が不要な条文であることを示す。案件が本部のコンプライアンス部門に移り、解決権限の枠が一段上がる
- 5.期間制限の残り時間を確認して次の手を決める 違反を知った時から1年、取得時から5年の期間制限を確認する。残り時間が短い場合はあっせんと並行して訴訟提起の準備に入り、弁護士へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1金融商品取引法16条とは何ですか?
目論見書の交付義務等を定める15条に違反して有価証券を取得させた者に、取得者への損害賠償責任を負わせる規定です。相手方の故意・過失を立証する必要がありません。
Q2目論見書をもらっていない場合どうすればいい?
まず受領の有無と日時を記録で固め、証券会社へ書面で交付記録の開示を請求します。約定日より交付が後であれば15条違反を主張できます。
Q3目論見書の交付義務違反の時効はいつまで?
20条の準用により、違反を知った時から1年、有価証券の取得時から5年で請求権が消滅します(24条の5第5項・20条)。
Q4証券会社を訴えるには過失の証明が必要?
16条では不要です。15条違反の事実と当該違反により生じた損害を示せば足り、民法709条のように過失を立証する必要はありません。
Q5損失の全額を賠償してもらえますか?
全額ではありません。条文は「当該違反行為に因り生じた損害」に限定しており、市場全体の下落に起因する部分は賠償範囲から外れます。
Q6電子交付でも目論見書を受け取ったことになりますか?
適法な同意取得と閲覧可能状態の提供があれば交付として扱われます。争点になるのは同意取得の手続が適法だったかです。
Q7亡くなった親の投資について請求できますか?
損害賠償請求権は相続の対象となるため、相続人が行使できます。ただし期間制限が進行しているため、早期に記録を確認してください。
Q8裁判せずに解決する方法はありますか?
FINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)のあっせんが利用できます。費用が低く、金融商品取引業者は原則として手続に応じる義務を負います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1目論見書って、あの分厚い冊子ですよね。あれ読まないで捨てちゃったんですけど、意味あるんですか
捨てたこと自体は違反ではない。問題は「交付されたか」であり「読んだか」ではない(金融商品取引法15条2項)。交付があれば16条の請求は成り立たない。実務のポイント:紛争になったとき争点化するのは交付の有無ではなく交付の時期である。約定が先で書類が後という順序は現場で起こりやすく、記録上の日付が勝負を分ける
Q2ネット証券で自分でポチって買った場合でも、この条文って使えるんですか
電子交付は15条の交付として有効に扱われるため、同意取得と閲覧可能状態の提供が適法に行われていれば違反にならない(金融商品取引法27条の30の9等の電子開示関連規定を参照)。実務のポイント:争点になるのは電子交付への同意が適法に取得されていたかである。同意の取り方が形式的に不備なケースは実務上存在し、専門家はまず同意取得のフローから確認する
Q3証券会社に文句を言っても「自己責任です」と返されました。もう終わりですか
自己責任原則は投資判断の結果に関する原則であり、業者側の法定義務違反を免責するものではない。16条は違反行為があれば責任を発生させる構造で、投資判断の巧拙とは別軌道である。実務のポイント:窓口の担当者は自己責任で押し返す訓練を受けているが、FINMAC に申立てが入ると案件は本部のコンプライアンス部門に移る。話す相手を変えることが実質的な交渉手段になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「目論見書を受け取っていないくらい、たいした問題ではない」と考える人が多い。だが深刻さの尺度が逆である。交付義務違反は単なる手続ミスではなく、それ自体が損害賠償請求権の発生事由になる。つまり手元に書類がないという事実は、あなたの不利ではなく、相手の不利として法的に作動する
- あなたから見れば「損をしたから返してほしい」という話だが、法律から見れば「15条違反と損害の因果関係があるか」という話である。この落差が請求を潰す。値下がりの原因が市場全体の下落であれば、違反があっても賠償額は削られる。主張すべきは損失額ではなく、違反行為と結び付いた損害の部分である
- 「証券会社を訴えるには相手の悪質さを立証しなければならない」という前提そのものが誤っている。16条は違反行為と損害があれば責任を発生させる構造で、故意・過失の立証を取得者に要求していない。問うべき問いは「相手は悪質か」ではなく「15条の要件に違反した事実があるか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任の対象となる行為 | 16条:15条違反(目論見書の不交付等)で取得させた行為 | 17条:虚偽記載のある目論見書等を使用して取得させた行為 18条:虚偽記載のある届出書を提出した発行者の行為 |
| 責任主体 | 取得させた者(発行者・販売業者の双方を含み得る) | 虚偽記載目論見書等の使用者 届出書を提出した発行会社 |
| 取得者の立証負担 | 15条違反の事実 + 当該違反により生じた損害(故意・過失の立証不要) | 虚偽記載の存在 + 損害(相手方に免責立証の余地) 虚偽記載の存在 + 損害(発行会社は無過失責任) |
| 賠償範囲と期間制限 | 当該違反行為に因り生じた損害に限定、20条準用の期間制限 | 記載の虚偽と因果関係のある損害、20条の期間制限 19条による賠償額の算定規定あり、20条の期間制限 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も公開説明書の交付義務違反について、募集有価証券を取得した者に対する損害賠償責任を定める。日本法と同じく交付の有無という外形事実を責任発生要件とする構造。
韓国は証券届出書・投資説明書に関する賠償責任を一括して規定し、責任主体を列挙する方式を採る。立証責任を取得者に重く課さない点は日本と共通。
ドイツは目論見書の不交付よりも、記載の不備・誤りに対する Prospekthaftung を中心に制度を組む。EU 目論見書規則(Verordnung (EU) 2017/1129)が上位規範として作用する点が日本と異なる。
米国は目論見書等による勧誘の重要事項の不実表示・不記載について、売主に対する取消権(rescission)ないし損害賠償を認める。取得者の立証負担を軽減し売主に抗弁立証を求める構造は本条の母法的発想にあたる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 証券会社の営業担当から電話で新規公開株を勧められ、その場で申込みを決めた。目論見書は「後で郵送します」と言われたきりで、届いたのは約定後。株価は公開直後に半値になった。交付時期の前後関係だけで、15条違反の成否が決まる
- あなたが金融機関の営業側だったとしたら、どうなるか。電子交付の同意を口頭で取っただけで PDF のリンクをメールに貼り、顧客が開いたかどうか確認しなかった。顧客が損失を出して苦情を申し立てたとき、交付の記録を出せるのは会社側の義務になる
- 親が高齢者向けの窓口で毎月分配型の投資信託を購入していた。遺品を整理すると契約書類はあるが目論見書だけがない。相続人であるあなたが、親の損害賠償請求権を相続して行使できる
- あと数週間で除斥期間が来る。あなたが違反に気付いてから何か月も「証券会社に言っても無駄だ」と放置していた案件が、期間の壁で消滅する。24条の5第5項・20条による期間制限は、あなたの怒りの熟成を待ってくれない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 目論見書の受領有無と受領日時を確定させる。郵便物、メール、アプリの閲覧履歴、営業担当とのやり取りを時系列で並べる2. 証券会社に書面で交付記録の開示を求める。電話ではなく書面、送信控えを残す3. 約定日と交付日の前後関係、および届出の効力発生時期を照合する4. FINMAC のあっせんを申し立てる。費用が低く、証券会社側は原則応諾義務を負う5. 賠償額は損失全額ではなく違反と結び付く部分になるため、市場全体の下落分との切り分けを最初に想定しておく
訴えられた側:1. 交付の事実と日時を示す客観的記録を直ちに保全する。電子交付の場合は同意取得の記録とアクセスログ2. 15条の要件に該当しない類型(適用除外、プロ向け取引など)に当たらないか条文と照合する3. 損害額について、市場全体の変動や取得者自身の判断による下落部分が含まれていないかを分析し、因果関係の範囲を争う4. 期間制限(24条の5第5項・20条)の経過を確認する。既に経過していれば、それ自体が決定的な抗弁になる
時効(請求できる期限):20条の準用により、請求権者が違反を知った時または相当な注意をもって知ることができる時から1年、有価証券の取得の時から5年で消滅する(金融商品取引法24条の5第5項、20条。最新の改正状況をご確認ください)。なお16条によらず民法709条で構成する場合は民法724条の時効が適用され、期間が異なる
学説
通説:16条は15条の交付義務に民事賠償を接続することで、行政監督や刑事罰だけでは徹底しない開示規制の実効性を、投資家自身による権利行使によって担保する仕組みと解されている。
賠償範囲限定説(一般的理解):「当該違反行為に因り生じた損害」の文言から、取得価格と処分価格の差額が当然に賠償額となるのではなく、違反行為と相当因果関係のある部分に限定される。市場全体の変動に起因する下落は控除される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:証券取引法の制定に伴い、目論見書の交付義務違反に対する民事賠償責任規定として設けられた。米国1933年証券法の開示規制を母法とする。
- 2.平成18年(2006年) 改正:証券取引法が金融商品取引法へ改称・再編された際、本条は条文番号を維持したまま引き継がれた。
- 金融商品取引法 第15条本条が違反を前提とする交付義務規定
- 金融商品取引法 第13条目論見書の作成義務と記載事項
- 金融商品取引法 第17条虚偽記載目論見書使用者の賠償責任
- 金融商品取引法 第18条虚偽記載届出書提出会社の無過失責任
- 金融商品取引法 第20条本条の請求権の期間制限を定める
- 民法 第709条一般不法行為責任との請求権競合
- 金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律 第6条説明義務違反による無過失賠償責任の並行経路
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