金融商品取引法 第22条(虚偽記載等のある届出書の提出会社の役員等の賠償責任)
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- 有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、第二十一条第一項第一号及び第三号に掲げる者は、当該記載が虚偽であり、又は欠けていることを知らないで、当該有価証券届出書の届出者が発行者である有価証券を募集若しくは売出しによらないで取得した者又は処分した者に対し、記載が虚偽であり、又は欠けていることにより生じた損害を賠償する責めに任ずる。
- 2.第二十一条第二項第一号及び第二号の規定は、前項に規定する賠償の責めに任ずべき者について準用する。
この条文の基本情報
虚偽記載等のある届出書の提出会社の役員等の賠償責任とは何ですか?
定義虚偽記載等のある届出書の提出会社の役員等の賠償責任とは、金融商品取引法第22条に定められた規定で、「有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、第二…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第22条(虚偽記載等のある届出書の提出会社の役員等の賠償責任)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第22条の条文原文は「有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、第二…」で始まります。
- 金融商品取引法第22条は第二章 企業内容等の開示に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第22条の前の条は金融商品取引法第21条の3です。
- 金融商品取引法第22条の次の条は金融商品取引法第23条です。
- 金融商品取引法第22条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第22条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第22条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/22
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法22条は、有価証券届出書の虚偽記載について、届出者の役員と監査証明をした公認会計士・監査法人が、市場で取得又は処分した投資家に損害賠償責任を負うと定める。
Q · 粉飾決算で株価が暴落したとき、会社が倒産していたらもう誰にも請求できないの?
会社だけでなく役員個人と監査法人にも直接請求できます
金融商品取引法22条により、有価証券届出書に重要な虚偽記載等があった場合、同法21条1項1号・3号に掲げる者(届出者の役員、監査証明をした公認会計士・監査法人)は、募集又は売出しによらないで当該有価証券を取得し又は処分した投資家に対し、直接損害賠償責任を負います。2項が準用する21条2項により、記載が虚偽であることを知らず、かつ相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったことの立証責任は被告側にあります。発行会社が倒産していても、役員個人と監査法人は別個の責任主体として残ります。
解説
上場企業の株を証券取引所で買った。その後、粉飾決算が発覚して株価が暴落した。あなたは「発行会社を訴える」と考えるだろう。だが金融商品取引法22条が開くのは、それとは別の扉である。この条文は、有価証券届出書に虚偽記載があった場合、会社の役員(取締役、監査役、執行役)と監査証明をした公認会計士・監査法人に対して、あなたが直接損害賠償を請求できると定める。しかも対象は「募集又は売出しによらないで取得した者」、つまり新規発行や売出しに応じたのではなく、市場で普通に買った投資家である。さらに2項が準用する21条2項により、立証責任が逆転する。あなたが役員の過失を証明するのではなく、役員側が「相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかった」ことを証明しなければ責任を免れない。会社が倒産して財布が空でも、役員個人と監査法人という別の財布が残っている。それを開ける鍵が、この条文だ。
法的な位置づけ
金融商品取引法22条は、有価証券届出書の虚偽記載等に関する流通市場の投資家保護規定である。同法21条1項1号・3号に掲げる者、すなわち届出者の役員および監査証明を行った公認会計士・監査法人が、募集又は売出しによらないで当該有価証券を取得し又は処分した者に対して負う損害賠償責任を定め、免責事由については21条2項1号・2号を準用する。
手順
- 1.取得と処分の記録を日付単位で固める 証券口座の約定履歴を出力し、虚偽記載のあった届出書の提出時期と突き合わせる。いつ買い、いつ売ったかを日付単位で確定しないと、請求権者に該当するかどうかの判断自体ができない
- 2.虚偽記載の公式認定資料を集める 証券取引等監視委員会の課徴金勧告、訂正有価証券届出書・訂正報告書、第三者委員会報告書、取引所の処分公表を収集する。行政・刑事の認定は民事訴訟における立証負担を実質的に軽くする
- 3.被告候補を役員と監査法人まで広げる 発行会社だけを被告に据えず、当時の取締役・監査役・執行役と、監査証明をした公認会計士および監査法人を候補として一覧化する。あわせて D&O 保険の付保状況と填補限度額を調べ、実際の支払原資を見積もる
- 4.損害額の算定モデルを決めて弁護士に相談する 取得額と処分額の差を用いるか、公表前後の株価差を用いるかで認容額が変わる。証券訴訟の経験がある弁護士に早期に相談し、訴状を書く前に算定方針を固める
- 5.期間制限の起算点を記録し提訴時期を逆算する 虚偽記載を報道や公表で認識した日を記録しておく。金融商品取引法上の請求権には短期の期間制限があり、調べているうちに期限が経過する例が実際にある。起算点の証拠を残すこと自体が防御になる
よくある質問 AI による整理
Q1金融商品取引法22条とは?
有価証券届出書の虚偽記載について、届出者の役員と監査証明をした公認会計士・監査法人が、募集・売出しによらずに取得又は処分した投資家に損害賠償責任を負うと定める規定です。
Q2有価証券届出書の虚偽記載で責任を負うのは誰ですか?
22条は21条1項1号・3号に掲げる者を指定します。届出書提出時の取締役・監査役・執行役などの役員と、監査証明をした公認会計士および監査法人です。発行会社自身の責任は18条が別に定めます。
Q3監査証明をした公認会計士個人も被告になりますか?
条文は監査証明をした公認会計士・監査法人を責任主体として掲げており、所属法人だけでなく証明をした個人も対象となりうる構造です。実務では法人と個人を並べて被告とする例があります。
Q4金商法22条の損害賠償請求に期限はありますか?
金融商品取引法には短期の期間制限があり、20条を基礎とする枠組み(知った時から3年、効力発生時から7年)が置かれています。22条への準用関係と最新の改正内容は条文で必ず確認してください。
Q5社外取締役でも22条の責任を負いますか?
役員である以上、対象から外れません。「経理を見ていない」では免責されず、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったことを、自ら立証する必要があります。
Q6有価証券報告書の虚偽記載でも22条は使えますか?
22条は有価証券届出書を対象とする規定ですが、継続開示書類については24条の4による準用や21条の2による発行者の責任が用意されています。どの条文で構成するかで被告と要件が変わります。
Q7粉飾決算の株主訴訟は集団で起こせますか?
日本には米国型のクラスアクションはありませんが、同一の虚偽記載について多数の投資家が共同原告となる形で提訴する実務が定着しています。被告に誰を並べるかで回収見込みが大きく変わります。
Q8D&O 保険は虚偽記載の賠償金をカバーしますか?
会社役員賠償責任保険は一般に第三者からの損害賠償請求を填補対象としますが、故意の不正行為は免責される設計が通常です。付保内容と通知義務の期限は個別の約款で確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社がもう倒産してるんですけど、それでも取締役個人を訴える意味はありますか?
むしろ倒産しているからこそ意味がある。22条1項は21条1項1号・3号に掲げる者、すなわち届出書提出時の役員と監査証明をした公認会計士・監査法人を被告とするので、会社の破産手続とは別系統で請求できる。実務のポイント:上場企業の多くは D&O 保険に加入しており、実際の支払原資は役員の個人資産ではなく保険金であることが多い。弁護士は受任前にこれを確認しているが、依頼者から聞かれるまで説明しないことがある
Q2市場で普通に買っただけの株主でも請求できるんですか?新株を買ったわけじゃないんですけど
むしろそれが22条の主たる対象である。条文は「募集若しくは売出しによらないで取得した者又は処分した者」と明示しており、証券取引所での通常売買で取得した投資家を正面から捕捉する。発行市場の投資家を対象とする21条との役割分担だ。実務のポイント:処分した者、つまり虚偽記載を知らずに安く売ってしまった元株主も対象に含まれる。売り抜けたから関係ないと諦める人が多いが、条文上は請求権者である
Q3取締役が「自分は経理を見ていない」と言ったら、それで逃げ切れるんですか?
逃げ切れない。22条2項が準用する21条2項1号により、記載が虚偽であることを知らず、かつ相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったことを、役員側が証明しなければ責任を免れない。立証責任が被告側にある構造だ。実務のポイント:実務では、取締役会で疑問を呈し議事録に残した記録の有無が分水嶺になる。異議を述べたのに議事録に残さなかった役員が、後に自分を守る材料を失うケースは珍しくない
Q4株価が下がった分、全部払ってもらえるんですか?
全額とは限らない。22条は「記載が虚偽であり、又は欠けていることにより生じた損害」の賠償と定めており、虚偽記載と因果関係のある部分に限られる。同時期の市況全体の下落分は控除されうるし、裁判所が相当な損害額を認定する枠組みも用意されている。実務のポイント:損害額の算定モデル(公表前後の株価差を使うか、取得額と処分額の差を使うか)の選択で認容額が数倍変わる。訴状を書く段階での方針決定が、判決額を事実上決めている
間違えやすい点 AI による整理
- 「粉飾決算の被害に遭ったら会社を訴える」という発想そのものが、回収という観点では出発点を誤っている。粉飾企業は発覚時点で財務が崩壊しており、勝訴判決を取っても紙切れになる確率が高い。問うべきは「誰を訴えるか」ではなく「誰なら払えるか」であり、22条はその問いに対する答えを用意している
- 22条は21条と同じものだと思われがちだが、対象となる投資家が違う。21条は募集・売出しに応じて取得した者(発行市場の投資家)、22条は募集・売出しによらずに取得または処分した者(流通市場の投資家)。証券会社の画面から普通に買った人は22条の側である。この区別を誤ると、条文の適用自体が外れる
- 「立証責任が逆転しているのだから勝てる」と楽観する人がいるが、逆転しているのは役員の注意義務の部分だけだ。虚偽記載の存在、あなたの取得または処分の事実、そして損害と虚偽記載の因果関係は、依然としてあなたが主張立証する。とりわけ損害額の算定は実務上の主戦場で、株価下落のどこまでが虚偽記載によるもので、どこからが市況によるものかで争われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる投資家 | 22条:募集又は売出しによらないで取得又は処分した者(流通市場) | 21条:募集又は売出しに応じて取得した者(発行市場) 18条:届出書に基づき取得した者(発行者に対する請求) |
| 責任を負う者 | 22条:届出者の役員、監査証明をした公認会計士・監査法人 | 21条:役員、売出人、監査証明者、引受人等 18条:届出者である発行会社自身 |
| 過失の扱い | 22条:21条2項準用により相当な注意の立証責任が被告側 | 21条:同じく免責事由の立証責任が被告側 18条:発行者の無過失責任として構成 |
| 主戦場になる争点 | 22条:損害と虚偽記載の因果関係、損害額の算定モデル | 21条:取得と届出書の結び付き、免責の成否 18条:19条の算定枠組みによる賠償額 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾も公開説明書の不実記載について発行人・負責人・会計師の賠償責任を定め、会計師には過失責任と免責事由を置く。日本の21条・22条と同型の限定列挙+抗弁構造
韓国も証券申告書の虚偽記載について発行人・役員・公認会計士等を責任主体とし、相当な注意を尽くしたことの立証責任を被告側に負わせる点で日本と極めて近い
中国は情報開示の虚偽記載について発行人の無過失責任を定めつつ、董事・監事・高級管理職・保荐人・証券サービス機構に過失推定に基づく連帯責任を課す。責任主体の範囲は日本より広い
ドイツは目論見書責任と、インサイダー情報の不開示・不実開示に基づく損害賠償を分けて規定する。責任主体は発行者中心で、役員個人への直接請求は日本ほど正面から制度化されていない
米国は発行市場を § 11、流通市場を § 10(b)/Rule 10b-5で扱う。§ 11は due diligence 抗弁を被告に負わせる点で本条と同型だが、10b-5は原告に scienter の立証を求める点で日本より原告の負担が重い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保有していた銘柄が有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止。会社は民事再生に入り、株主への配当はほぼゼロ。ここで22条を知っている投資家は、当時の取締役と監査法人に矛先を向ける。知らない投資家は、会社の残余財産を待って何も得られない
- あなたが中堅企業の社外取締役に就任した。取締役会に出席し、提出される資料に目を通すだけの月2回の仕事だと思っていた。届出書の数字が虚偽だった場合、あなたの立場は「知らなかった」では守られない。相当な注意を尽くしたことを、あなたの側が証明する
- 監査法人の担当パートナーとして、クライアントの売上計上に違和感があった。だが繁忙期で確認を先送りした。その期の届出書が虚偽記載と認定されれば、監査証明をした者として直接投資家から訴えられる。所属法人だけでなく、証明をした個人も対象になりうる
- 粉飾の公表から何日経ったか、数えたことはあるか。金融商品取引法上の請求権には短期の期間制限があり、請求権者が虚偽記載を知った時から3年、届出書の効力発生時から7年(金融商品取引法20条準用の枠組み、最新の改正状況をご確認ください)。気付いて調べているうちに期限が過ぎる投資家が実際にいる
- 友人が「あの会社の不正、集団訴訟が始まるらしいから参加しないか」と声をかけてきた。参加費用と回収見込みを判断するには、被告に誰を並べるかを見る必要がある。会社単独なら回収は絶望的、役員と監査法人が並んでいるなら、賠償責任保険と個人資産という原資が見えてくる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取得と処分の記録を確定。証券口座の約定履歴を虚偽記載の期間と突き合わせ、いつ買っていつ売ったかを日付単位で固める2. 虚偽記載の公式認定を探す。証券取引等監視委員会の勧告、訂正届出書、第三者委員会報告書は、いずれも重要な立証資料になる3. 被告候補を会社だけに限定せず、当時の取締役・監査役・監査証明をした公認会計士および監査法人を並べる4. 損害額の算定方法(取得額と処分額の差か、公表前後の株価差か)について、証券訴訟の経験がある弁護士に早期相談。ここで方針が分かれる
訴えられた側:1. 「知らなかった」では足りない。相当な注意を用いたことを自ら立証する必要があるため、取締役会議事録、質問の記録、報告を求めたメール、監査法人とのやり取りを直ちに保全する2. D&O 保険の付保内容と通知義務の期限を確認。通知が遅れると填補されなくなる条項がある3. 会社の顧問弁護士は会社の代理人であり、あなた個人の利益と衝突しうる。個人の代理人を別に立てるべきかを早期に判断4. 自身が就任した時期と、虚偽記載のある届出書の提出時期の前後関係を整理。就任前の書類であれば責任の射程外になりうる
時効(請求できる期限):請求権者が虚偽記載等を知った時または相当な注意をもって知ることができる時から3年、当該有価証券届出書の効力発生時から7年(金融商品取引法20条の期間制限の枠組み。除斥期間か消滅時効かは実務上、解釈が分かれている。最新の改正状況をご確認ください)。公表報道を見た日が起算点になりうるため、報道を認識した時点で日付を記録しておくこと
学説
通説:22条は21条の責任主体を流通市場に拡張した規定であり、免責事由の準用により相当な注意を尽くしたことの主張立証責任は役員・監査証明者の側が負う。投資家側は虚偽記載の存在、取得又は処分の事実、損害および因果関係を主張立証する。
有力説:因果関係について、投資家が個別に開示書類を閲読したことまでは要せず、虚偽記載が市場価格の形成を歪めたことを通じた間接的な因果関係で足りるとする。個別閲読を要求すれば流通市場の投資家救済が空文化するという理由による。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:証券取引法として制定。米国1933年証券法・1934年証券取引所法の開示規制と民事責任制度を範とし、届出書の虚偽記載に係る責任規定が置かれた
- 2.平成16年(2004年) 改正:継続開示書類の虚偽記載に係る発行者の賠償責任規定(21条の2)が整備され、流通市場の投資家救済の枠組みが拡充された
- 3.平成18年(2006年) 改正:証券取引法が金融商品取引法へ改称・再編され、開示規制と民事責任規定の体系が現行の形に整理された
- 金融商品取引法 第21条責任主体の定義元、免責事由の準用元
- 金融商品取引法 第18条発行者自身の無過失責任、役員責任との併走
- 金融商品取引法 第20条賠償請求権の期間制限
- 金融商品取引法 第24条の4有価証券報告書の虚偽記載への準用
- 金融商品取引法 第21条の2継続開示書類の虚偽記載に係る発行者の責任
- 会社法 第429条役員の第三者に対する責任の一般規定
- 民法 第709条不法行為責任との請求権競合
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