医師法 第7条の3
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- 厚生労働大臣は、医師について第七条第一項の規定による処分をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、当該事案に関係する者若しくは参考人から意見若しくは報告を徴し、診療録その他の物件の所有者に対し、当該物件の提出を命じ、又は当該職員をして当該事案に関係のある病院その他の場所に立ち入り、診療録その他の物件を検査させることができる。
- 2.前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
- 3.第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医師法第7条の3は、日本の医師法に含まれる条文です。
- 医師法第7条の3の条文原文は「厚生労働大臣は、医師について第七条第一項の規定による処分をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、当該事案に関係する者若しくは参考人から意見若しくは報告…」で始まります。
- 医師法第7条の3は第二章 免許に置かれています。
- 医師法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医師法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 医師法第7条の3の前の条は医師法第7条の2です。
- 医師法第7条の3の次の条は医師法第8条です。
- 医師法第7条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第7条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201 - 本サイト収録
医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第7条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000201/7_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医師法7条の3は、医師の行政処分の要否を調べるため、厚生労働大臣に報告徴収、診療録等の提出命令、立入検査の権限を認める。犯罪捜査目的での行使は許されない。
Q · 医師の処分を決める前に、厚労省はカルテを強制的に調べられるの?
調べられる。令状は不要だが、犯罪捜査目的では使えない
医師法7条の3第1項により、厚生労働大臣は医師の行政処分をすべきか調査する必要があるとき、関係者や参考人から意見・報告を求め、診療録などの提出を命じ、職員に病院等へ立入検査させることができます。裁判官の令状は不要ですが、拒否や虚偽報告は罰則の対象です(最新の改正状況をご確認ください)。職員は身分証明書を携帯・提示する義務があり(2項)、この権限は犯罪捜査のためのものと解してはならないとされています(3項)。
解説
医師免許の取消しや医業停止は、刑事裁判の法廷ではなく、厚生労働省という別の場所で決まる。その手前で厚生労働大臣が使える調査の手段を定めたのが本条である。手段は三つある。関係者や参考人から意見や報告を求めること、診療録(カルテ)などの物件の提出を命じること、職員を病院などに立ち入らせて検査させることである。裁判官の令状は要らない。その代わり第2項により、職員は身分証明書を携帯し、求められれば示さなければならない。第3項は、この権限が犯罪捜査のためのものではないと明記している。あなたが医師なら、カルテは診療の記録であると同時に、処分調査で真っ先に開かれる記録でもあると知っておくべきだ。あなたが患者や遺族なら、警察が動かなくても、医道審議会(医師の処分について厚労大臣に意見を述べる審議会)へ向かう別の調査ルートが法律上用意されていると知っておけば、「警察が動かないから終わり」とは考えなくなる。
法的な位置づけ
医師法7条の3は、医師に対する行政処分(同法7条1項)の要否を判断するための行政調査権限を定める規定である。厚生労働大臣は、事案の関係者・参考人からの意見・報告の徴収、診療録その他の物件の提出命令、職員による病院等への立入検査を行うことができ、立入職員には身分証明書の携帯・提示義務が課され、犯罪捜査目的での権限行使は否定される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.届いた書面の根拠と期限を確認する 厚労省からの報告徴収・提出命令の書面について、根拠条文(医師法7条の3)、対象事案、回答期限、提出を求められた物件の範囲を確認し、受領日を記録する
- 2.弁護士に相談し回答方針を決める 行政処分に詳しい弁護士に相談し、刑事手続への影響も含めて回答方針を決める。刑事事件が係属中・終了直後なら、刑事弁護人とも情報を共有する
- 3.立入検査では身分証を確認し範囲を記録する 職員が来訪したら身分証明書の提示を求め(本条2項)、氏名・所属、検査対象の物件と範囲、閲覧・提出した資料を記録し、提出物の写しを手元に残す。カルテは絶対に書き換えない
- 4.改善策を具体的に示した回答書を提出する 事実関係に加え、反省の経緯、受講した・予定する研修、院内の再発防止策を日付と数字で示した回答書を期限内に提出する。虚偽の記載は罰則と不利な評価を招く
- 5.聴聞・弁明の機会に備える 処分が見込まれる場合、行政手続法上の聴聞・弁明の機会に向けて、回答書と整合する主張と証拠を準備する。処分後に争う場合は審査請求・取消訴訟の期限を管理する
よくある質問 AI による整理
Q1医道審議会とは何ですか?
医師の行政処分について厚生労働大臣に意見を述べる審議会です。医業停止や免許取消しは、この審議会の意見を聴いたうえで大臣が決定します。
Q2医師の行政処分はどんな場合に受けますか?
罰金以上の刑に処せられた場合や、医事に関する犯罪・不正、医師としての品位を損する行為があった場合などです(医師法4条・7条)。
Q3医師 罰金刑 免許取り消し されますか?
罰金刑でも医師法7条の処分対象になりえます。取消しか医業停止か戒告かは、事案の内容や反省の状況を踏まえて個別に判断されます。
Q4厚労省の立入検査は拒否できますか?
物理的に押し入られることはありませんが、検査の拒否・妨害は医師法の罰則で罰金の対象となります(最新の改正状況をご確認ください)。
Q5厚労省の立入検査に令状は必要ですか?
不要です。本条は行政調査であり、裁判官の令状なしに行えます。その代わり職員は身分証明書を携帯し、求めがあれば提示しなければなりません。
Q6医師の行政処分調査はいつまで続きますか?
本条の調査にも医師法7条の処分にも特定の時効期間はありません。刑事判決の確定から数年後に処分された例もあります。
Q7医師の行政処分に不服があるときはどうすれば?
審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内に行う必要があります。
Q8患者が医師の処分を求めて通報できますか?
厚生労働省医政局への情報提供は可能で、調査の端緒になりえます。ただし調査開始は大臣の判断で、結果の通知を受ける権利はありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1厚労省から報告を出せって書面が来たんですけど、無視したらどうなるんですか?
本条1項による報告の求めに応じない場合や虚偽の報告をした場合は、医師法の罰則で罰金の対象となる(最新の改正状況をご確認ください)。しかも、調査に協力しなかったという事実が処分の判断で不利に評価されうる。実務のポイント:この回答書は医道審議会の審議資料の一部になりうる。弁解だけを書くより、再教育研修の受講予定や院内体制の具体的な改善を数字と日付で示す方が、処分の重さに効いてくる
Q2立入検査で見られたカルテの中身、そのまま警察に渡されちゃうんですか?
本条3項は、この権限を犯罪捜査のためのものと解してはならないと定めており、刑事事件の捜査の代わりに使うことはできない。ただし、法人税法の同じ文言について最高裁は、取得資料が後に刑事手続で使われうるとしても、それだけで違法にはならないとした(最決平成16.1.20)。実務のポイント:公務員には、職務上犯罪があると考えたときに告発する義務がある(刑事訴訟法239条2項)。行政調査への回答も、最終的には刑事事件の目に触れうる前提で書く
間違えやすい点 AI による整理
- 「刑事で不起訴になれば免許は安泰だ」という考えは、問いの立て方そのものがずれている。医師法7条の処分理由には、刑事罰を受けたことのほかに「医師としての品位を損するような行為」も含まれ、行政処分は刑事手続から独立して判断されうる。実務で処分の大半を占めるのは刑事判決を端緒とする事案だが、刑事の結論が行政の結論を自動的に決めるわけではない
- 立入検査には令状がないので、断っても構わないと思われがちだ。確かに職員が力ずくで押し入ることはできない。しかし報告の拒否や虚偽報告、物件の不提出、検査の拒否は医師法の罰則で罰金の対象となる(最新の改正状況をご確認ください)。罰則で応じるよう促す「間接強制」であり、任意の調査とは重みが違う
- 医師から見れば、第3項は「行政調査の資料は刑事事件に流れない」という盾に見える。法律の側から見ると、第3項が禁じているのは、犯罪捜査を目的としてこの権限を使うことである。最高裁は法人税法の同じ文言について、取得資料が後に犯則事件で使われうると想定できても、それだけで直ちに違法にはならないとした(最決平成16.1.20)。医師法への当てはめは実務上、解釈が分かれうる。行政調査に出した書面が刑事事件と完全に切り離されるとは考えない方がよい
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 調査の目的 | 医師法7条の3:医師個人の行政処分(戒告・医業停止・免許取消し)の要否 | 医療法25条:病院等の施設・人員・管理体制が法令に適合しているか 健康保険法78条:保険医療機関の診療・請求の適正性 |
| 調査の主体 | 厚生労働大臣(職員) | 都道府県知事等(厚生労働大臣も一定の場合) 厚生労働大臣(地方厚生局) |
| 行きつく先 | 医師免許の処分(医道審議会の意見を聴いて決定) | 施設への改善命令・使用制限等 保険医療機関の指定取消し・保険医登録取消し |
| 犯罪捜査との関係 | 3項で犯罪捜査目的と解してはならないと明記 | 同旨の規定あり(医療法の立入検査) 同旨の規定あり(健康保険法の検査) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では主管機関が医療機関に報告・検査を求められ、医師の懲戒は醫師懲戒委員會が審議する。医師個人の処分調査を独立条文で定める日本とは構造が異なる
韓国では保健福祉部長官等が医療機関に報告を命じ、関係公務員に業務検査させることができる。身分証の提示義務を置く点は日本と類似
ドイツではアプロバツィオン(医師免許)の取消・停止は州の官庁が行い、職業倫理違反は州医師会の職業裁判手続で扱われる二元構造
米国では州医事委員会が調査権限(召喚状による記録提出命令を含む)を持ち、免許の停止・取消しを判断する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 略式命令で罰金を払い、刑事事件は終わったと思っていた。半年後、厚生労働省から事案について報告を求める書面が届く。回答期限まであと14日。何をどこまで書くかで、医道審議会に上がる資料の中身が変わる
- もし、勤務先のクリニックに厚労省の職員が来て、院長が不在のまま受付スタッフが「カルテを見せてください」と言われたら、どうなる? まず身分証明書の提示を求める権利がある(本条2項)。そのうえで院長と顧問弁護士に連絡し、検査の対象と範囲を記録しておく
- 美容医療の施術後に重い後遺症が残った。警察は「事件性なし」と動かない。遺族や患者が厚労省に情報提供すれば、それが調査の端緒になりうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 患者や遺族の立場なら、診療経過、説明の内容、日時を時系列で記録し、カルテの開示を請求して写しを確保する2. 医療行為に問題があったと考えるなら、厚生労働省医政局(医師の行政処分を担当する部局)への情報提供を検討する。調査の端緒になりうるが、調査を始めるかどうかは大臣の判断であり、結果の通知を受ける権利はない3. 損害の回復は行政処分とは別の手続である。民事の損害賠償(民法709条、415条)を医療事件に強い弁護士と並行して検討する
訴えられた側:1. 報告の求めや提出命令を無視しない。拒否や虚偽報告は罰則の対象になり、処分判断でも不利になりうる2. 立入検査では職員の身分証明書を確認し(本条2項)、検査の対象物件と範囲を記録し、提出物の写しを保管する3. カルテを後から書き換えることは絶対にしない。改ざんが発覚すれば、それ自体が新たな処分理由や証拠隠滅の疑いにつながる4. 回答書を出す前に、行政処分に詳しい弁護士と、刑事手続への影響も含めて内容を詰める
時効(請求できる期限):本条の調査にも医師法7条の処分にも、特定の時効期間はない。刑事判決の確定から数年後に処分された例もある。処分を争う場合、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)に行う。診療録の保存義務は5年である(医師法24条2項)
学説
通説:行政調査にも憲法35条・38条の趣旨は及びうるが、刑事責任追及を直接の目的とせず、罰則による間接強制にとどまる調査は令状なしでも許容される。ただし調査の必要性と比例性を欠く権限行使は違法となりうる
有力説:行政調査で得た資料が刑事手続に流用されれば実質的に令状主義・黙秘権が潜脱されるため、犯罪捜査目的否定条項は資料の刑事利用の場面でも厳格に解すべきとする
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)改正(平成19年施行) 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律により、再教育研修(7条の2)とあわせて新設されたとみられる。処分の前提となる事実調査の権限を明文化したもの。改正年と、その後の改正の有無は人による確認が必要
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:医師法(昭和23年法律第201号)制定。この時点では本条は存在しない
- 2.平成18年(2006年) 新設:良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律により、再教育研修(7条の2)とあわせて本条が新設されたとみられる(平成19年施行)。施行日と以後の改正の有無は要確認
- 医師法 第7条調査の目的となる戒告・医業停止・免許取消
- 医師法 第7条の2処分後の再教育研修命令
- 医師法 第4条罰金以上の刑等の相対的欠格事由
- 医師法 第24条提出対象となる診療録の記載・保存義務
- 行政手続法 第13条不利益処分前の聴聞・弁明の機会
- 健康保険法 第78条保険医療機関への別系統の検査権限
- 医療法 第25条病院等への施設面の立入検査権限
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