要点相続税法 13 条は、被相続人の債務で相続開始の際現に存するものと葬式費用を、負担者の課税価格から控除できると定める。団信で完済されたローンは控除できない。
Q · 親の借金や葬儀代って、相続税を計算するとき遺産から引けるんですか?
相続開始時に現に存する債務と葬式費用だけが引けます
相続税法 13 条により、被相続人の債務で相続開始の際に現に存するもの(住民税・固定資産税などの公租公課を含む)と葬式費用を、相続人が負担する部分に限り財産の価額から控除できます。ただし団体信用生命保険で完済された住宅ローンは相続開始時に存在しないため控除できず、香典返しや初七日・四十九日の法要費用も葬式費用には含まれません。制限納税義務者(同条 2 項)は国内財産に紐づく債務のみ控除でき、葬式費用は一切控除できません。
親が亡くなり、残された借金や葬式代。これらは相続税を計算するとき、遺産総額から差し引ける。相続税法13条が定める「債務控除」だ。だが多くの人が二つの落とし穴にはまる。一つ目、被相続人の住宅ローン。団体信用生命保険(団信、ローン契約者が死ぬと保険金でローンが完済される保険)付きなら、死亡と同時に残債は消える。つまり相続開始時に「現に存する債務」は存在せず、控除できる借金はゼロ。それでいて完済された自宅は満額で課税対象に残る。二つ目、葬式費用は控除できるが、香典返しや初七日・四十九日の法要費用は控除できない。線引きは通達で決まっている。さらに海外に住む相続人(制限納税義務者)は、そもそも葬式費用を一切控除できず、日本国内にある財産に紐づく債務しか引けない。同じ死、同じ遺産でも、あなたが日本に住んでいるか否かで、引ける範囲が変わる。
相続税法 13 条は債務控除を定める規定であり、相続又は遺贈により財産を取得した者の課税価格の計算において、被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む)および葬式費用を、その者の負担に属する部分の金額に限り財産の価額から控除する旨を規定する。制限納税義務者については、控除できる債務の範囲が国内財産に係るものに限定される。
相続税の課税価格を計算するとき、被相続人の債務と葬式費用を遺産の価額から差し引く仕組みです。相続税法 13 条が根拠で、実際に負担した人の分だけ控除できます。
引けます。被相続人の死亡時点で未払いの入院費・治療費は「相続開始の際現に存する債務」に当たります。領収書と請求書を保管し、支払った人を明確にしておいてください。
相続を放棄した人は債務控除を受けられませんが、遺贈で財産を取得し葬式費用を実際に負担した場合は、その葬式費用を控除できる取扱いです(相続税法基本通達 13-1)。
相続開始時に未決済のカード利用分は被相続人の債務として控除できます。利用明細と引落口座の記録で金額と発生時期を証明できるよう、解約前に明細を確保してください。
納期未到来でも、相続開始時に被相続人に納税義務が確定している公租公課は控除対象です。住民税・固定資産税・国民健康保険料の督促状や納税通知書が証拠になります。
できません。墓地・墓石・仏壇は相続税の非課税財産であり、その取得のために生じた債務は控除金額に算入されません(相続税法 13 条 3 項、12 条)。
債務控除の対象は相続人と包括受遺者です。特定遺贈だけを受けた人は原則として債務控除を使えません。同条の適用対象かどうかを最初に確認してください。
控除しきれないマイナス分は他の相続人の課税価格に振り替えられず、その人の課税価格がゼロになるだけです。債務超過なら相続放棄や限定承認の検討が先になります。
団体信用生命保険(団信)が付いていれば、被相続人の死亡で保険金がローンを完済し、相続開始時に債務は残りません。よって債務控除できず、完済された自宅は満額課税されます(相続税法13条1項)。業界裏話ヒント:逆に団信なしのローンなら残債を丸ごと控除できる。銀行の残高証明ではなく団信契約の有無を確認することが要点で、これ一つで相続税の見込みが数百万円変わる
通夜・告別式・火葬・埋葬・お布施・戒名料は控除できますが、香典返し・初七日や四十九日の法要・墓石や仏壇の購入費は控除できません(相続税法基本通達13-4、13-5)。業界裏話ヒント:お布施や戒名料は領収書が出ないことが多いが、支払った相手・日付・金額をメモしておけば控除は認められる。逆に香典返しを葬式費用に紛れ込ませて申告すると、税務調査で否認され加算税まで取られる
保証債務は原則として控除できません。保証は他人の債務の肩代わりで、主債務者が返せる限りあなたの負担にならないからです。ただし主債務者が弁済不能で、あなたが履行せざるを得ず求償もできない部分は、確実な債務として控除できます(相続税法14条の確実性要件)。業界裏話ヒント:保証債務の控除は税務署が最も厳しく見る項目。主債務者の破産・行方不明を示す客観資料がないと、まず通らない
2019年施行の特別寄与料制度で、相続人でない親族も無償の療養看護等の貢献に応じて金銭を請求できます(民法1050条)。受け取った特別寄与料は相続税の課税対象ですが、それを支払った相続人は自己の課税価格から控除できます(相続税法13条4項)。業界裏話ヒント:特別寄与料の請求には期限があり、相続の開始と相続人を知った時から6ヶ月、または相続開始から1年で権利が消える。介護の貢献があっても黙っていれば消滅する
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|---|---|---|
| 条文の役割 | 相続税法 13 条:課税価格から債務・葬式費用を控除する根拠 | — |
| 対象 | 被相続人の債務(公租公課を含む)と葬式費用 | — |
| 働き方 | 遺産の価額を減らす(マイナス方向) | — |
| 典型的な落とし穴 | 団信で消えたローン、香典返し・法要費用を控除してしまう | — |
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