要点相続税法 14 条は、債務控除の対象を「確実と認められる債務」に限定する規定。団信付き住宅ローンや未確定の保証債務は控除できず、死亡時に確定した公租公課は 2 項により控除できる。
Q · 親が遺した借金って、相続税の計算で全部引けるんですか?
「確実と認められる債務」だけが控除できます
相続税法 14 条 1 項は、13 条で控除できる債務を「確実と認められるもの」に限定しています。団体信用生命保険で完済される住宅ローンや、主債務者が返済を続けている保証債務は確実な債務とはいえず、原則として控除できません。一方、死亡時に納税義務が確定していた固定資産税・住民税や、準確定申告で確定する被相続人の所得税は、同条 2 項の公租公課として控除できます。国外転出時課税の納税猶予分の所得税額は 3 項により原則除外されます。
親が遺した借金を財産から引けば相続税は安くなる、多くの人はそう単純に信じている。だが相続税法 14 条は、その入口に「確実と認められるものに限る」という関所を置いた。前条(13 条)が債務控除を認めても、この関所を通れない債務は一円も引けない。ここで多くの相続人がつまずく。あなたの親が誰かの連帯保証人になっていても、主債務者がちゃんと返している限り、その保証は「確実な債務」ではなく控除できない。団体信用生命保険付きの住宅ローンも同じで、死亡で保険金が完済するローンは、もはや相続人が負う確実な債務ではないため控除対象から外れる。逆に、死亡時までの未払の所得税や住民税、準確定申告で確定する税額は、公租公課として堂々と引ける。何が引けて何が引けないか、この線引きこそが、あなたが払う相続税額を静かに左右している。
相続税法 14 条は、同法 13 条により相続財産の価額から控除すべき債務の範囲を画する規定である。1 項は控除対象を確実と認められる債務に限定し、2 項は公租公課について死亡の際に確定している金額のほか所得税・消費税・登録免許税等を含める旨を定め、3 項は国外転出時課税に係る納税猶予分の所得税額を原則として控除対象から除外する。
相続財産の価額から被相続人の債務を差し引く仕組みです。相続税法 13 条が本体規定で、14 条がその対象を「確実と認められる債務」に限定しています。
相続の開始を知った日の翌日から 10 か月以内です(相続税法 27 条)。債務控除の資料集めもこの期間内に終える必要があり、実務上は前半 4 か月が勝負になります。
できません。債務控除は相続または遺贈で財産を取得した相続人・包括受遺者に適用される仕組みで、放棄した人は財産も債務も承継しないため控除の前提を欠きます。
原則できません。時効が完成し履行を強制されない債務は、14 条 1 項の「確実と認められる債務」に当たらないためです。帳簿に残高が残っていても控除対象外です。
全額ではありません。実務上、被相続人が負担すべき部分が明らかな金額に限って控除するのが原則です。他の連帯債務者が弁済不能で求償できない部分は別途検討されます。
相続の開始を知った日の翌日から 4 か月以内です(所得税法 125 条)。ここで確定した被相続人の所得税は、14 条 2 項の公租公課として債務控除に載せられます。
14 条 3 項により、納税猶予分の所得税額は原則として控除できる公租公課に含まれません。ただし相続人が納付義務を承継して納付することとなった部分等は例外です。
本税の追徴に加え、過少申告加算税や延滞税が課されます。争う場合は税務署への再調査の請求、国税不服審判所への審査請求、訴訟という順で不服申立てができます。
団体信用生命保険(団信)に加入していれば、死亡でローンは保険金で完済され、債務控除できません。14 条 1 項の「確実と認められる債務」に当たらないからです。団信なしのローンなら控除できます。業界裏話ヒント:団信付きローンを債務控除に入れる申告ミスは、慣れていない税理士でも見落とすことがある。逆に健康上の理由で団信に入れなかったケースは控除できる。まずローン契約書と金融機関で団信の加入有無を確認するのが第一歩
原則として引けません。保証債務は、主債務者が弁済できず、かつ保証人が求償しても回収不能なことが「確実」な場合に限って控除できます(14 条 1 項)。主債務者が普通に返済していれば控除不可です。業界裏話ヒント:確実性の認定は相続税で最も争いになる論点の一つ。主債務者の破産手続開始決定書のような客観的資料があるかどうかで結論が割れる。控除するなら、その根拠資料を申告時に必ず添える
できます。死亡時に納税義務が確定していた固定資産税や、被相続人が生前に受けた医療の未払分は、請求書が死亡後に届いても控除対象です(13 条・14 条)。業界裏話ヒント:見落としが多いのが被相続人の住民税と、死亡日までの所得に対する準確定申告の所得税。これらは公租公課として明確に控除できるのに、申告書に載せ忘れて相続税を余計に払うケースが後を絶たない。納付書・領収書は捨てずに全部残す
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 相続税法 14 条:控除できる債務を「確実と認められるもの」に絞る限定規定 | — |
| 判断のタイミング | 被相続人の死亡の時点で確定・確実だったかを判断 | — |
| つまずきやすい点 | 団信付きローン・未確定の保証債務・時効完成債務を控除に入れて否認される | — |
| 期限との関係 | 公租公課の確定は準確定申告(4 か月)に連動 | — |
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