要点相続税法 32 条は、遺産分割の確定や遺留分侵害額の確定など後発的事由で相続税・贈与税が過大となった場合、事由を知った日の翌日から四月以内に更正の請求ができると定める。
Q · 相続税を申告して納めた後に遺産分割がまとまったら、払いすぎた税は戻ってきますか?
四月以内に更正の請求をすれば戻る。過ぎると原則戻らない
相続税法 32 条により、遺産分割の確定、相続人の異動、遺留分侵害額の確定、遺言書の発見などの後発的事由で相続税・贈与税が過大となったときは、その事由を知った日の翌日から四月以内に限り、納税地の所轄税務署長へ更正の請求ができます。通常の更正の請求は国税通則法 23 条により法定申告期限から五年ですが、これら相続特有の事由については四月の専用期間が先に閉じます。期限を過ぎると、過大納付が明らかでも原則として還付されません。
相続税の申告書を出して大金を納めた。それで一件落着だと思っていないだろうか。相続の世界では、申告した後に前提そのものがひっくり返ることが珍しくない。もめ続けた遺産分割がようやくまとまった、他の相続人から遺留分侵害額を請求された、隠れていた遺言書が仏壇の裏から出てきた。こうした後発の事由で、あなたが納めた相続税や贈与税が「払いすぎ」に変わったとき、32条はその過大な税を取り戻す特別な道を開く。通常の更正の請求(国税通則法23条、払いすぎた税の是正を求める手続)は5年だが、これら相続特有の事由については、事由を知った日の翌日から4か月という短い専用の窓が用意されている。逆に言えば、この4か月を逃すと、いくら払いすぎが明白でも税務署は一円も返さない。そして税務署は、あなたに「払いすぎですよ」とは決して教えてくれない。
相続税法 32 条は、相続税及び贈与税の更正の請求に関する特則を定める規定である。申告書を提出した者又は決定を受けた者について、遺産分割の確定、相続人の異動、遺留分侵害額の確定、遺贈に係る遺言書の発見等の後発的事由により課税価格又は税額が過大となった場合に、当該事由を知った日の翌日から四月以内に限り更正の請求を認める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
納めた税額が過大だったときに、納税者の側から税務署長へ減額の是正を求める手続です。国税通則法 23 条が一般規定で、相続税法 32 条はその特則にあたります。
通常は法定申告期限から五年ですが、32 条各号の後発的事由については事由を知った日の翌日から四月以内です。短い方の期間が先に閉じる点に注意が必要です。
更正の請求書のほか、遺産分割協議書、和解調書や判決書、発見された遺言書など、事由の発生と確定した日を客観的に示す資料を添付します。
税務署長が調査し、更正すべき理由があると認めた場合に減額更正されます。認められない場合は理由がない旨が通知され、これに対する不服申立ての道があります。
相続税法 32 条 2 項により、贈与税については国税通則法 23 条の「五年」が「六年」に読み替えられます。贈与税特有の期間制限に対応した特則です。
32 条 1 項 2 号の「相続人に異動を生じたこと」にあたります。既に申告した相続人の税額が過大となる場合、裁判の確定を知った日の翌日から四月以内に請求できます。
減額更正が行われた後に過納金が還付され、法定の還付加算金が加算されます。還付までの期間は審査の状況により異なるため、資金繰りは余裕をみて計画します。
納税者本人でも提出できます。ただし分割確定後の課税価格の再計算や配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例の判定は複雑なため、金額が大きい場合は税理士への依頼が安全です。
取り戻せます。法定相続分で未分割のまま申告する際、「申告期限後3年以内の分割見込書」を必ず添付しておくのが鍵です。分割が確定したら、その翌日から4か月以内に32条の更正の請求をすれば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で払いすぎが戻ります。業界裏話ヒント:この見込書を出し忘れると、後で分割しても特例が一切使えなくなる。税務署は添付を促してくれないので、未分割申告の時点で自分から付ける。
減ります。遺留分侵害額として支払う金銭の額が確定すると課税価格が下がるので、確定を知った翌日から4か月以内に32条3号の更正の請求ができます。逆に受け取った側は取得額が増えるため、31条の修正申告が必要です。業界裏話ヒント:2019年の相続法改正で遺留分は「物を取り戻す」請求から「お金を払う」請求に変わり、それに合わせて32条も書き換わった。古い解説書のままだと手続の前提を間違える。
原則として返りません。32条の特則は事由を知った翌日から4か月という短い期間で、これを過ぎると更正の請求はできなくなります。ただし「いつ知ったか」の起算点は事案によって動くので、諦める前に確認する価値はあります。業界裏話ヒント:更正の請求ができなくても、税務署長の職権による更正を促す「嘆願」という非公式ルートが残る場合がある。法的な権利ではないが、明白な過大納付では実務上救済されることもあるので、まず税理士に相談を。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 動く方向 | 相続税法 32 条:税額が過大になった場合の減額(更正の請求) | — |
| 期間 | 事由を知った日の翌日から四月以内(贈与税の一般期間は 2 項で六年に読替え) | — |
| 対象事由 | 分割の確定、相続人の異動、遺留分侵害額の確定、遺言書の発見・遺贈の放棄、物納許可の条件に係る事由など各号の限定列挙 | — |
| 起こす主体 | 納税者が自ら期限内に請求(税務署は是正を促さない) | — |
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