相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産については、特定贈与者ごとにその年中において贈与により取得した財産の価額を合計し、それぞれの合計額をもつて、贈与税の課税価格とする。
要点相続税法21条の10は、相続時精算課税で取得した財産を特定贈与者ごとに合計し、それぞれの合計額を贈与税の課税価格とすると定める。父と母からの贈与は合算されず別々に計算される。
Q · 父と母の両方から相続時精算課税で贈与を受けたら、贈与税はまとめて計算されるの?
贈与者ごとに別々に合計して課税価格を出します
相続税法21条の10により、相続時精算課税で受け取った財産は特定贈与者ごとにその年中の価額を合計し、それぞれの合計額が贈与税の課税価格になります。父からの贈与と母からの贈与は合算されず、別々に計算されます。したがって特別控除2500万円(21条の12)も、2024年以降の年110万円の基礎控除(21条の11の2)も贈与者ごとに管理され、父には精算課税、母には暦年課税という使い分けが可能です。ただし一度精算課税を選んだ贈与者については、以後その贈与者からの贈与を暦年課税に戻せません(21条の9)。
親から住宅資金を援助してもらう、事業の元手をもらう、値上がりしそうな株を生前に譲り受ける。まとまった額を親や祖父母から受け取るとき、あなたには二つの道がある。毎年110万円まで非課税の暦年課税か、累計2500万円まで贈与税がかからない相続時精算課税か。21条の10が定めるのは、この精算課税を選んだあとの計算の骨格だ。核心は「特定贈与者ごと」という一句にある。父からの贈与と母からの贈与は別々に合算され、別々に課税価格が決まる。だから父には精算課税、母には暦年課税、と使い分けられる。ただし落とし穴がある。ある親について一度精算課税を選ぶと、その親からの贈与は一生暦年課税に戻せない(21条の9)。しかも渡した財産は最終的に相続財産へ足し戻される。目先の2500万円非課税に飛びつく前に、この片道切符の重さを知っておくべきだ。
相続税法21条の10は、相続時精算課税における贈与税の課税価格の計算単位を定める規定である。相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産は、贈与者ごとにその年中の価額を合計し、各合計額がそれぞれ贈与税の課税価格となる。受贈者を単位として一本で計算する暦年課税とは異なり、贈与者ごとに課税関係が分離する点に特徴がある。
原則60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2500万円まで贈与税がかからず、超過分に一律20%が課される制度です。渡した財産は相続時に贈与時の価額で相続財産へ足し戻されます。
相続時精算課税の適用を受ける旨の届出をした、その贈与者本人を指します。父について届出をすれば父が特定贈与者となり、21条の10の課税価格はこの特定贈与者ごとに切り分けて計算されます。
最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、贈与税申告書とともに相続時精算課税選択届出書を提出します(21条の9第2項)。期限を過ぎるとその年の贈与は暦年課税で課税されます。
使えます。祖父母から18歳以上の孫への贈与も対象です。ただし孫が相続時に相続財産へ足し戻される場合、相続税の2割加算の対象となるかを事前に確認しておく必要があります。
特別控除2500万円を超えた部分に一律20%です(21条の13)。暦年課税のような累進税率ではないため、高額贈与ほど暦年課税との差が大きくなります。税率も贈与者ごとに適用されます。
その特定贈与者からの以後の贈与は、基礎控除110万円を超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。特別控除の残枠は贈与者ごとに管理され、他の贈与者の枠とは共有できません。
特別控除は申告書に記載してはじめて適用されるため、無申告だと控除が受けられず、20%課税に加えて無申告加算税・延滞税が生じる恐れがあります。控除枠内でも申告は必要です。
贈与時の価額で相続税の課税価格に加算されます(21条の15)。値上がりした資産は低い贈与時価額のまま足し戻され、値下がりした資産は高い贈与時価額のまま足し戻されます。
いいえ。相続時精算課税は特定贈与者ごとに計算するので(21条の10)、2024年以降の年110万円基礎控除も贈与者ごとに使えます。父から110万円、母から110万円で計220万円まで基礎控除が使える設計です。業界裏話ヒント:ただし暦年課税の110万円は『もらう人ごとに1本』なので、父を精算課税、母を暦年課税にすると枠の数え方が別ルールになる。ここを取り違えると計算そのものが狂うため、混在させるときは特に注意が要る(最新の改正状況をご確認ください)
戻れません。その特定贈与者からの贈与は、以後すべて精算課税で計算されます(21条の9第6項、届出の撤回不可)。ただし『その親』限定なので、別の親や祖父からの贈与は暦年課税のまま使えます。業界裏話ヒント:この不可逆性を逆手に取り、値上がりしそうな資産を持つ親だけ精算課税にし、現金を毎年くれる親は暦年課税に残す使い分けが実務の定石。制度を『どちらか一つ』と思い込む人ほど、この分離設計を取りこぼす
目的が違います。精算課税の狙いは非課税ではなく、贈与時の評価額を固定すること(21条の15、相続時に贈与時の価額で足し戻す)。将来値上がりする資産なら、低い今の評価で相続財産に組み込め、値上がり益への課税を避けられます。業界裏話ヒント:逆に値下がりする資産を精算課税で渡すと、下がる前の高い評価額で足し戻されて損をする。『値上がり資産は精算課税、値下がりリスクのある資産は避ける』が鉄則。これを知らずに古い不動産を精算課税で渡し後悔する例が後を絶たない(最新の改正状況をご確認ください)
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| 条文の役割 | 21条の10:課税価格を特定贈与者ごとに合計して決める計算単位のルール | — |
| 適用される単位 | 特定贈与者ごとに課税価格が別々に成立する | — |
| 控除・税率との関係 | この課税価格を土台に、基礎控除110万円(21条の11の2)と特別控除2500万円(21条の12)が当てはめられる | — |
| 誤りやすい点 | 「今年もらった総額」でまとめて計算してしまい、贈与者ごとの控除枠を取りこぼす | — |
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