要点相続税法 21 条の 9 は、贈与年 1 月 1 日に贈与者 60 歳以上・受贈者 18 歳以上の直系卑属であれば、届出書の提出により相続時精算課税を選択できると定める。
Q · 親から 2500 万円もらえる相続時精算課税って、選んで大丈夫なの?
要件を満たせば選べるが、届出は一生撤回できない
相続税法 21 条の 9 により、贈与年の 1 月 1 日に贈与者が 60 歳以上、受贈者がその直系卑属で 18 歳以上の推定相続人であれば、相続時精算課税を選択できます。適用には贈与税の申告期間内(翌年 2 月 1 日から 3 月 15 日)に届出書を納税地の所轄税務署長へ提出することが必要で、提出した年分以後、その特定贈与者からの贈与には自動的に精算課税が続きます。6 項は届出の撤回を認めていないため、提出前が唯一の判断機会です。
親から 2500 万円を無税で受け取れる。相続税法 21 条の 9 が用意した「相続時精算課税」を選べば、そう見える。だが数字のマジックに飛びつく前に、6 項の一文を読んでほしい。「届出書を撤回することができない」。一度この制度を選ぶと、その親からの贈与について、暦年課税の毎年 110 万円コースには一生戻れない。選択の条件も厳しい。贈与を受けるあなたは 1 月 1 日時点で 18 歳以上の直系卑属(子や孫)、贈与する親や祖父母は同日で 60 歳以上。しかもこの 2500 万円は「非課税」ではなく「先送り」だ。親が亡くなったとき、贈与された財産は贈与時の価額で相続財産に足し戻され、相続税で精算される。あなたが手にするのは、税金を消す魔法ではなく、いつ、いくらの価額で課税されるかというタイミングの設計図である。
相続税法 21 条の 9 は、相続時精算課税の適用要件と選択手続を定める規定である。贈与年の 1 月 1 日において受贈者が 18 歳以上の直系卑属である推定相続人、贈与者が 60 歳以上であることを要件とし、贈与税の申告期間内に届出書を納税地の所轄税務署長へ提出した年分以後、当該特定贈与者からの贈与について本節の規定が適用される。届出の撤回は認められない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
生前贈与と相続を一体で課税する選択制度です。相続税法 21 条の 9 が入口の要件と届出を定め、贈与時の課税を抑える代わりに、相続時に贈与財産を贈与時の価額で相続財産へ加算して精算します。
贈与を受けた年の 1 月 1 日時点で、受贈者が 18 歳以上、贈与者が 60 歳以上であることが要件です(1 項)。年齢は贈与日ではなく 1 月 1 日基準なので、誕生日の位置で 1 年ずれることがあります。
届出書を提出した相手方である贈与者を指します(5 項)。精算課税の効力は特定贈与者ごとに独立するため、父を特定贈与者としても、母からの贈与は別枠で暦年課税を使えます。
納税地の所轄税務署長に提出します(2 項)。提出期限は贈与税の申告期間内(相続税法 28 条 1 項)で、受贈者・贈与者の関係と年齢を証明する書類の添付が求められます。
対象外です。4 項により、推定相続人となる前にその者から受けた贈与には 1 項の適用がありません。縁組の前後で同じ年でも扱いが分かれるため、贈与日と縁組日の前後関係が決定的です。
そのまま続きます。5 項により、離縁などで特定贈与者の推定相続人でなくなった後も、その特定贈与者からの贈与には 3 項の適用があります。関係が切れても課税の枠組みは切れません。
原則使えませんが、住宅取得等資金の贈与については租税特別措置法 70 条の 3 の特例により、贈与者が 60 歳未満でも精算課税を選択できる場合があります。適用期限は改正で変動します。
届出は初年度の一度きりで、以後は 3 項により自動的に精算課税が続きます。ただし贈与を受けた年は原則として贈与税の申告が必要です。申告要否は改正で変わるため最新情報の確認を。
その特定贈与者(届出をした親など)からの贈与については、6 項により撤回できず、以後ずっと精算課税です。ただし他の贈与者は別枠。父から精算課税を選んでも、母からは暦年課税を使えます。業界裏話ヒント:令和 6 年(2024 年)から精算課税にも年 110 万円の基礎控除ができ、この枠は相続財産に足し戻されません。昔ほど『暦年に戻れない=損』ではなくなった。古い解説だけで判断すると選択を誤ります
非課税ではなく繰り延べです。特別控除 2500 万円(相続税法 21 条の 12)を超えた分は一律 20%課税、そして相続時に贈与財産が贈与時の価額で足し戻されます(21 条の 15、21 条の 16)。業界裏話ヒント:相続税の基礎控除内に収まる家庭なら、精算課税で贈与しておくと結果的に税ゼロで大きな財産を移せる。逆に資産家は足し戻しで課税されるので、値上がり資産に絞るのが定石。得か損かは総資産額で真逆になります
孫でも 18 歳以上なら使えます(21 条の 9 第 1 項)。ただし孫は代襲相続人でない限り、相続時に相続税額が 2 割加算されます(相続税法 18 条)。業界裏話ヒント:孫贈与は『相続を一世代飛ばせる』メリットがある一方、2 割加算というコストも乗る。さらに孫への贈与は暦年課税の生前贈与加算(死亡前 7 年、相続税法 19 条)の対象外になる抜け道もあり、資産の種類と金額でどちらが有利か分かれます
その年の贈与は暦年課税として扱われます(21 条の 9 第 2 項)。精算課税は届出が効力要件なので、期限(翌年 3 月 15 日)を 1 日でも過ぎれば、その年分は選べません。業界裏話ヒント:一度届出を出せば翌年以降は自動継続なので、出し忘れリスクがあるのは最初の年だけ。逆に『初年度は暦年で様子見、翌年から精算課税』という段階的な入り方も、初年度に届出を出さなければ可能です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 何を定める条文か | 21 条の 9:精算課税の適用要件(年齢・続柄)と届出手続、撤回不可 | — |
| 働く場面 | 制度に入る入口の判定(一度きりの分岐点) | — |
| 金額の性質 | 金額の定めなし(要件と手続のみ) | — |
| やり直しの可否 | 6 項により撤回不可、特定贈与者ごとに永続 | — |
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