生活保護法 第59条(譲渡禁止)
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保護又は就労自立給付金若しくは進学・就職準備給付金の支給を受ける権利は、譲り渡すことができない。
この条文の基本情報
譲渡禁止とは何ですか?
定義譲渡禁止とは、生活保護法第59条に定められた規定で、「保護又は就労自立給付金若しくは進学・就職準備給付金の支給を受ける権利は、譲り渡すことができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 生活保護法第59条(譲渡禁止)は、日本の生活保護法に含まれる条文です。
- 生活保護法第59条の条文原文は「保護又は就労自立給付金若しくは進学・就職準備給付金の支給を受ける権利は、譲り渡すことができない。」で始まります。
- 生活保護法第59条は第十章 被保護者の権利及び義務に置かれています。
- 生活保護法の公布日は昭和25年5月4日です。
- 生活保護法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 生活保護法第59条の前の条は生活保護法第58条です。
- 生活保護法第59条の次の条は生活保護法第60条です。
- 生活保護法第59条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第59条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 - 本サイト収録
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第59条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000144/59
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点生活保護法59条は、保護費と就労自立給付金、進学・就職準備給付金を受ける権利の譲渡を禁じる。念書や契約で他人に渡す約束をしても法律上無効となる。
Q · 保護費を受け取る権利を借金のかたに渡す約束をしたら、守らないといけないの?
守る必要はない。受給権の譲渡は法律上無効
生活保護法59条は、保護費、就労自立給付金、進学・就職準備給付金を受ける権利の譲渡を禁じています。念書へのサインや実印の押印があっても、受給権を債権者や施設に移す約束は最初から無効です。ただし禁止されるのは支給前の権利の移転であり、受け取った後の保護費を本人の判断で返済に充てること自体は本条違反ではありません。家賃の代理納付(37条の2)は実施機関による支払方法で、譲渡とは別の仕組みです。
解説
生活保護費は、あなたの手に届く前の段階から、あなた以外には渡せない金として設計されている。59条は、保護、就労自立給付金、進学・就職準備給付金を受ける権利を他人に譲り渡すことを禁じている。この禁止は強い。口約束でも、念書にサインしても、実印を押しても、譲渡は法律上無効になる。「毎月の保護費は宿泊所の運営者が受け取る」「来月分の支給を受ける権利を借金のかたに渡す」といった取り決めは、最初から成立していない。隣の条文と並べると全体像が見える。58条は差押えを禁じ、57条は保護金品に税金などの公課(役所が課す税金や負担金)をかけることを禁じている。三つを合わせると、保護費は債権者にも国庫にも取られにくい、囲い込まれた金である。ただし、似て非なる仕組みもある。福祉事務所が家賃を大家に直接払う代理納付(37条の2)は譲渡ではなく、実施機関による支払方法の一つである。この違いを見分けられれば、「もう約束したから」と泣き寝入りする理由はなくなる。
法的な位置づけ
生活保護法59条は、保護受給権の譲渡禁止を定める規定であり、保護、就労自立給付金および進学・就職準備給付金の支給を受ける権利を第三者に譲り渡すことを禁ずる。受給権は受給者本人に専属する権利と解され、同条に反する譲渡は無効となる。差押禁止(58条)および公課禁止(57条)と並び、最低生活保障の実効性を確保する保護規定群を構成する。
手順
- 1.譲渡・金銭管理の証拠を記録する 念書、契約書、通帳やカードを預けた事実、受け取った金額と日付を、写真やメモで記録する。受給権を移す内容の条項があれば、該当箇所を特定しておく
- 2.支給日前にケースワーカーへ相談する 担当ケースワーカーに事情を伝え、受取口座の変更または窓口支給への切替えを依頼する。金銭管理を強要されている事実は、記録に残る形で伝える
- 3.闇金・業者が関与する場合は外部機関に通報する 貸金業者や闇金が通帳やカードを保管している場合、警察、消費生活センター、法テラスに相談し、貸金業法20条の2違反の可能性もあわせて伝える
- 4.抜かれた分の返還を請求する 譲渡が無効であることを根拠に、無効な取り決めに基づいて受け取られた金銭の返還を求める。請求は一般消滅時効(知った時から5年)に注意して早めに行う
よくある質問 AI による整理
Q1生活保護の受給権は譲渡できる?
できません。生活保護法59条が保護を受ける権利の譲渡を禁じており、譲渡の合意は無効です。念書や実印があっても結論は変わりません。
Q2生活保護費 念書 無効になる?
受給権を第三者に移す内容の念書は59条違反で無効です。ただし、受け取った後の金銭の使い道を本人が自由に決めた部分まで無効になるわけではありません。
Q3生活保護費 宿泊所 全額徴収 違法?
受給権そのものを運営者に移す取り決めは59条により無効です。ケースワーカーに書類を見せ、本人口座への振込や窓口支給への変更を求められます。
Q4就労自立給付金は差し押さえや譲渡の対象になる?
就労自立給付金を受ける権利も59条で譲渡が禁止されています。差押えについても同法58条で保護の対象となる構造です。
Q5大家が保護費から直接家賃を受け取るのは違法?
受給権の譲渡による回収は無効ですが、福祉事務所の代理納付(37条の2)を使えば、家賃を大家へ直接振り込む合法的な方法があります。
Q6闇金に生活保護の通帳を預けたらどうする?
早急に福祉事務所と警察に相談し、受取口座の変更を進めます。貸金業者による通帳等の保管は貸金業法20条の2違反の可能性があります。
Q7生活保護の受給権は相続できる?
朝日訴訟の最高裁判決は、保護受給権を本人限りの一身専属的な権利とし、譲渡禁止を理由の一つに挙げて相続の対象にならないとしました。
Q8進学・就職準備給付金を親戚に渡す約束は有効?
給付金を受ける権利を渡す約束は59条で無効です。ただし支給後に本人が自分の意思で返済に充てた場合、その返済は有効となりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1施設から通帳を預けてって言われたんだけど、断ってもいいの?
断ってよい。59条が禁じているのは受給権の譲渡である。本人が自由意思で金銭管理を任せることまで直ちに違法になるわけではないが、入所の条件として強制できるものではない。受給権そのものを施設に移す約束は無効になる。実務のポイント:ケースワーカーに「金銭管理を強要されている」と記録に残る形で伝えるだけで、施設側への指導が動き出すことがある
Q2保護費で借金を返すのって違法なんですか?
受け取った後の保護費を自分の判断で返済に充てること自体は、59条違反ではない。禁止されているのは、支給を受ける前の権利を債権者に渡す約束の方である。ただし、返済のために生活が成り立たなくなれば、指導の対象になりうる。実務のポイント:受給中の借金は自己破産で整理できる。法テラスの費用立替を使った場合、保護受給者は償還の猶予や免除を受けられる場合がある
Q3不正受給の返還金を保護費から天引きされるのは、譲渡禁止に反しないの?
78条の2は、本人が申し出た場合で、実施機関が生活の維持に支障がないと認めたときに限り、保護金品を徴収金の納入に充てられると定めている。本人の申出を前提とする仕組みで、59条の譲渡とは別物として整理されている。実務のポイント:申出書に署名していなければ、一方的に天引きすることはできない。「天引きは当然」と言われても、まず申出書の有無を確認する
間違えやすい点 AI による整理
- 「一度サインしたのだから守らなければならないのでは」という問いの立て方そのものが間違っている。59条に反する譲渡は無効で、守るべき約束は最初から存在しない。考えるべきなのは、すでに抜かれた分をどう取り戻すか、次回の支給をどう守るかである
- 受給者から見れば「通帳を預けているだけ」でも、法律から見ると話が変わる。年金などの差押禁止債権が口座に振り込まれると、預金債権として差押禁止の性質を引き継がないと判断した最高裁判例(最判平成10.2.10)がある。着金後の保護費をどこまで保護できるかは、実務上、解釈が分かれている。受給権は守られていても着金した瞬間に守りが薄くなる、その隙を貧困ビジネスや闇金が狙う
- 譲渡が禁じられていることは知っていても、禁止が保護費本体だけでなく、就労自立給付金と進学・就職準備給付金にも及ぶことはあまり知られていない。自立に向けた一時金はまとまった額が一度に支給されるため、保護費本体よりも周囲から狙われやすい
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 禁止される行為 | 59条:受給権の譲渡(権利を他人に移すこと) | 58条:保護金品と受給権の差押え 37条の2:禁止ではなく、実施機関による家賃等の代理納付を認める |
| 主体 | 受給者本人と第三者(債権者・施設等)の合意 | 債権者による強制執行 保護の実施機関(福祉事務所) |
| 保護対象 | 保護、就労自立給付金、進学・就職準備給付金を受ける権利 | 既に給与を受けた保護金品と受給権 住宅扶助等の支払先を大家等に直接振り込む |
| 違反・利用時の効果 | 譲渡の合意は無効 | 差押えは許されない 適法な支払方法として有効 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も社会救助の現金給付を請領する権利について、差押え・譲渡・担保提供を一括して禁止する。日本は譲渡(59条)と差押え(58条)を別条で定める点が異なる。
韓国も受給者が給付を受ける権利を他人に譲渡できないと明記し、差押禁止(제35조)と並べて規定する構造は日本と近い。
ドイツの社会扶助請求権は譲渡・質入れ・差押えのいずれもできないと一文で定める。
米国の社会保障給付は譲渡・差押えが禁止され、SSI にも準用される。口座に入った後の保護についても連邦規則で一定の手当てがある。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 駅前で声をかけられて入った宿泊所で、「保護費は全額こちらで受け取り、管理する」という書類にサインさせられたらどうなるか? 受給権を運営者に移す部分は59条により無効である。書類の写しをケースワーカーに見せ、本人名義の口座への振込か窓口での支給に戻すよう求めることができる
- 小さなアパートの大家として、入居者の保護費から家賃を確実に回収したいと考えた。入居者に「受給権を譲る」という念書を書かせても無効である。取るべき手段は福祉事務所に代理納付を相談することで、こちらなら家賃は合法的に大家へ直接振り込まれる
- 闇金に通帳とキャッシュカードを預けてしまった。次の支給日まであと三日しかない。今日のうちに福祉事務所と警察に相談し、受取口座の変更を始めなければ、保護費はまた口座から引き出される
- 大学進学を控えた保護世帯の高校生が、親戚から「進学・就職準備給付金が出たら立て替えた分の返済に回すと一筆書け」と迫られていると、友人経由で相談が来た。給付金を受ける権利の譲渡は無効なので、その一筆に法的な拘束力はない。一方で、支給を受けた後に本人が自分の意思で返済すれば、その返済は有効になりうる。線はそこで引かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 念書、契約書、通帳を預けた事実を写真やメモで記録する2. 担当のケースワーカーに相談し、受取口座の変更か窓口支給への切替えを求める3. 貸金業者や闇金が通帳を保管している場合は、警察、消費生活センター、法テラスに相談し、貸金業法20条の2違反の可能性も伝える4. すでに抜かれた分は、譲渡が無効であることを根拠に返還を請求できる余地がある
訴えられた側:1. 受給権の譲渡を前提にした条項は無効なので、契約書から削除する2. 家賃の回収は、福祉事務所に代理納付(37条の2)を相談して行う3. 金銭管理を引き受ける場合は、本人の任意の委任であることを書面にし、いつでも解約と返還ができる形にする4. 無料低額宿泊所を運営している場合は、社会福祉法に基づく届出と基準を満たしているかも確認する
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、無効な譲渡に基づいて受け取られた金の返還請求には一般消滅時効(民法166条、知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される。保護の決定そのものに不服がある場合は、決定を知った日の翌日から3か月以内に審査請求をする(行政不服審査法18条)
学説
通説:本条は受給権の一身専属性を具体化した強行規定であり、違反する譲渡は当然に無効。支給後の金銭の処分は本人の自由に委ねられ、本条の射程外と解される。
改正沿革 AI による整理
- 昭和25年(1950年)制定 保護を受ける権利の譲渡を禁止する規定として制定された
- 平成25年(2013年)改正 就労自立給付金の創設に伴い、同給付金を受ける権利も譲渡禁止の対象に加えられたとみられる(施行時期は要確認)
- 平成30年(2018年)以降の改正 進学準備給付金の創設、その後の進学・就職準備給付金への名称変更に伴い、対象が拡大・修正されたとみられる(改正年と施行日は要確認)
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:現行生活保護法の制定とともに、保護を受ける権利の譲渡禁止規定として設けられた。
- 2.平成25年(2013年) 改正:就労自立給付金の創設に伴い、同給付金を受ける権利も譲渡禁止の対象に加えられた。
- 3.平成30年(2018年) 改正:進学準備給付金の創設に伴い対象が拡大された。その後、進学・就職準備給付金へと改められた(改正年は要確認)。
- 生活保護法 第58条保護金品と受給権の差押禁止
- 生活保護法 第57条保護金品への公課禁止
- 生活保護法 第37条の2家賃等の代理納付、譲渡とは別の支払方法
- 生活保護法 第78条の2本人の申出による徴収金への充当
- 貸金業法 第20条の2公的給付の通帳等の保管を業者に禁止
- 民法 第466条債権譲渡の原則、法令による制限の受け皿
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