生活保護法 第60条(生活上の義務)
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被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。
この条文の基本情報
生活上の義務とは何ですか?
定義生活上の義務とは、生活保護法第60条に定められた規定で、「被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 生活保護法第60条(生活上の義務)は、日本の生活保護法に含まれる条文です。
- 生活保護法第60条の条文原文は「被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及…」で始まります。
- 生活保護法第60条は第十章 被保護者の権利及び義務に置かれています。
- 生活保護法の公布日は昭和25年5月4日です。
- 生活保護法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 生活保護法第60条の前の条は生活保護法第59条です。
- 生活保護法第60条の次の条は生活保護法第61条です。
- 生活保護法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 - 本サイト収録
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000144/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点生活保護法60条は、被保護者に能力に応じた勤労、健康の保持増進、収支の把握と支出の節約など生活の維持向上への努力を求める努力義務規定で、違反のみでは保護は停止されない。
Q · ケースワーカーに節約や就労を注意されたら、生活保護は止められてしまうの?
口頭の指導だけでは止まらない。書面指示と弁明の手続が必要
生活保護法60条は、勤労、健康管理、家計の把握、節約などに「努めなければならない」とする努力義務であり、違反を理由とする直接の制裁規定はありません。保護の変更・停止・廃止に進むには、27条に基づく指示を施行規則19条により書面で受け、それに従わず、さらに62条4項の弁明の機会を経る必要があります。処分に不服があれば、知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事へ審査請求できます。
解説
ケースワーカーの「もっと節約してください」「そろそろ仕事を探しましょう」という言葉には、生活保護法60条という根拠がある。受給者に、能力に応じて働くこと、健康を保つこと、収入と支出を把握すること、節約すること、生活の向上に努めることを求める条文である。ただし、ほとんど知られていない事実がある。本条はいわゆる努力義務(守るよう努めることを求めるが、破っても直ちに罰がない義務)であり、本条に反したというだけで保護を止めたり打ち切ったりはできない。保護の変更・停止・廃止までには段階がある。まず27条の指導または指示があり、施行規則19条により書面で指示されてもなお従わない場合に初めて62条3項の処分が検討され、その前に弁明の機会(処分前に自分の言い分を述べる場)が保障される(62条4項)。口頭の注意と書面の指示は法的な重さがまったく違う。この違いを知っていれば、窓口の一言に振り回されず、本当に対応すべき場面を見極められる。
法的な位置づけ
生活保護法60条は被保護者の生活上の義務を定める規定であり、被保護者が能力に応じて勤労に励み、健康の保持及び増進に努め、収入・支出その他生計の状況を適切に把握し、支出の節約を図るなど、生活の維持及び向上に努めるべきことを定める。違反に対する直接の制裁を伴わない努力義務として位置付けられる。
手順
- 1.指導の日時と内容を記録する ケースワーカーから節約や就労について注意を受けたら、日時、担当者名、具体的な言葉をその日のうちにメモに残す。後に書面指示や処分へ進んだ場合の最初の証拠になる
- 2.口頭の助言か書面の指示かを確認する 受けた指導が口頭の助言にとどまるのか、27条に基づき施行規則19条の書面で出された指示なのかを確認する。書面指示であれば処分につながり得る段階に入っている
- 3.能力や家計の事情を示す資料をそろえて提出する 就労に制約がある場合は就労可能な時間や業務を具体的に記した主治医の意見書、求職活動の記録、介護・育児の状況を示す資料をそろえ、福祉事務所に提出する
- 4.書面で回答し、弁明の機会で資料を出す 書面指示に従えない事情があれば期限内に書面で回答する。62条4項の弁明の機会が設けられたら、客観的な資料を提出して事情を説明する
- 5.処分を受けたら3か月以内に審査請求する 保護の変更・停止・廃止の処分を受けたら、処分を知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事へ審査請求する。支援団体や法テラスへの相談も並行して進める
よくある質問 AI による整理
Q1生活保護法60条とは何ですか?
被保護者に、能力に応じた勤労、健康の保持増進、家計の把握、支出の節約など、生活の維持と向上に努めることを求める努力義務の規定です。
Q2生活保護の努力義務に違反したら罰則はありますか?
60条自体に罰則はありません。不利益処分に進むのは、27条の書面指示に従わず、62条4項の弁明の機会を経た場合に限られます。
Q3生活保護 家計簿 つけないとダメ?
家計簿の作成そのものは法律上の強制ではありませんが、2013年改正で収支の把握が努力義務として明記され、指導の根拠になり得ます。
Q4生活保護受給者は必ず働かないといけないの?
勤労は「能力に応じて」に限られます。病気、障害、育児、介護などの事情は能力の評価に含まれ、働けない範囲まで求められるものではありません。
Q5生活保護 指導指示 書面 いつ届く?
口頭の助言で改善されない場合などに、27条に基づく指示が施行規則19条により書面で出されます。書面が届いた時点で段階が変わります。
Q6生活保護 弁明の機会とは?
指示違反を理由に保護を変更・停止・廃止する前に、受給者が自分の言い分と資料を示せる手続です(生活保護法62条4項)。
Q7生活保護 停止 不服申立て できる?
できます。処分を知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事へ審査請求します。取消訴訟は原則として裁決を経てから提起します(69条)。
Q8生活保護 健康管理 義務 違法?
健康の保持増進は努力義務であり、受診状況の確認や助言は適法な範囲です。ただし治療方針の強制や健康状態のみを理由とする処分はできません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ケースワーカーに「もっと節約して」と言われました。従わないと保護を打ち切られますか?
口頭で言われただけで直ちに打ち切られることはない。60条は努力義務であり、処分に進むには27条の指示を書面で受け、それに従わず、さらに弁明の機会を経るという手順が必要になる(62条3項・4項、施行規則19条)。実務のポイント:指導を受けたら日時と内容をメモしておく。後で争うときの最初の証拠になる
Q2保護費をやりくりして貯金しても大丈夫なんですか?
節約自体は本条が求めている行動である。最判平成16.3.16は、保護費を節約して子の学資保険に充てたことを理由に保護費を減らした処分を違法とした。ただし目的や金額によっては資産として扱われることがあり、その場合は保護費が調整される。実務のポイント:貯蓄の目的をあらかじめケースワーカーに伝え、記録に残してもらうと後でもめにくい
Q3持病で長時間は働けないのに、就労指導が厳しくてつらいです
本条の勤労は「能力に応じて」に限られる。病状は能力の評価そのものに入るため、主治医の意見書で就労可能な時間や業務の範囲を具体的に示せば、指導内容を見直させる根拠になる。実務のポイント:意見書は「就労不可」の一言より、「週○時間、軽作業なら可」のように具体的に書いてもらった方が、現場で受け入れられやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「ケースワーカーに節約しろと言われたら、従わないと保護が止まる」と受け取られがちだが、本条自体は努力義務であり、違反を理由とする直接の制裁規定はない。不利益処分に進むには、書面による指示と、それに従わなかった事実、さらに弁明の機会が必要である(62条3項・4項、施行規則19条)
- 働く義務があることは知っていても、その範囲が「能力に応じて」に限られる点の重さは見落とされやすい。病気、障害、育児、介護による制約は能力の評価そのものに含まれる。稼働能力を活用しているかどうかは、能力、意思、就労の場があるかを総合して判断され、裁判例でも評価が分かれている
- 「節約して貯金するのは違反ではないか」という問いは、前提から誤っている。本条が求めているのはまさに支出の節約と生活の向上である。最高裁(最判平成16.3.16)は、保護費を節約して子の学資保険に充てたケースで、満期保険金の一部を収入と認定して保護費を減らした処分を違法とした。ただし貯蓄の目的や金額によって扱いは変わる
- 受給者から見れば、2013年改正で加わった「収支の把握」は家計簿をつけるかどうかという私生活の問題にすぎない。しかし行政から見れば、指導の根拠となる明文規定である。家計の状況を説明できない状態が続けば、指導の対象として記録が積み上がっていく。この認識の差が、後で不意打ちのように効いてくる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性格 | 生活保護法60条:被保護者の努力義務(勤労・健康・家計把握・節約) | 生活保護法27条:保護の実施機関による指導・指示 生活保護法62条:指示に従う義務と違反時の変更・停止・廃止 |
| 違反時の効果 | 直接の制裁規定なし | 指示は書面で行う必要あり(施行規則19条) 書面指示違反で保護の変更・停止・廃止が可能 |
| 受給者の防御手段 | 「能力に応じて」の範囲を資料で示す | 指導は必要最少限度、意に反する強制は不可(27条2項・3項) 処分前の弁明の機会(62条4項)と審査請求 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は低収入戸のうち工作能力のある者に就業服務や職業訓練を提供・転介する仕組みで、勤労を支援と組み合わせて求める点で日本と共通する
韓国は勤労能力のある受給者に自活事業への参加を給付の条件とする条件付受給者制度を持ち、日本の努力義務より強い条件付けとなっている
ドイツは「要求の原則」として稼働能力ある受給者に就労努力を法的に求め、義務違反には給付減額の仕組みを設けている
米国は1996年福祉改革で就労要件と受給期間制限を導入し、就労を給付継続の条件とする方向を明確にした
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 訪問調査の帰り際に、ケースワーカーから「今月も食費が多いですね」と言われた。その夜、保護を切られるのではないかと眠れなかった。しかしそれは口頭の助言にすぎず、法的な処分へ進む道筋にはまだ乗っていない
- もし、腰の持病で週2日しか働けないのに「フルタイムで求職を」と指導されたら、どうなる? 60条が求めているのは「能力に応じて」の勤労である。主治医の意見書で就労可能な範囲を示せば、指導内容そのものを見直させる材料になる
- あなたは福祉事務所のケースワーカー側である。家計管理が苦手な受給者に、つい強い口調で節約を迫ってしまった。60条を根拠に口頭で「保護を止める」と示唆するのは、書面指示と弁明の機会という手続を飛ばしていることになり、後の処分の違法性を争われる原因になる
- 書面で「就労指導に関する指示書」が届き、期限まであと10日。ここからは段階が違う。従えない事情があるなら、診断書、求職活動の記録、家族の介護状況を今すぐそろえ、書面で回答しておく
- 高校生の子の進学に備えて、保護費を毎月少しずつ積み立てている。「これは不正なのでは?」と不安になる。節約して生活の向上に備えることは、むしろ本条の趣旨に沿う行動である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 指導を受けた日時、担当者、内容をメモに残す2. 口頭の助言なのか、27条に基づく書面の指示なのかを確認する3. 就労や家計に制約があるなら、診断書、求職の記録、介護状況などを資料にして提出する4. 書面の指示に従えない事情があれば書面で回答し、弁明の機会(62条4項)で資料を出す5. 停止・廃止などの処分を受けたら、都道府県知事に審査請求する。支援団体や法テラスへの相談も並行して進める
訴えられた側:福祉事務所側として指導する場合:1. 本条だけを根拠に不利益処分はできないことを前提にする2. 指導の内容は、本人の能力、病状、家庭の事情に応じた具体的で実行可能なものにとどめる3. 処分を視野に入れるなら、施行規則19条に沿って書面で指示し、経過を記録する4. 処分前に弁明の機会を確実に与える。手続を欠いた処分は審査請求や訴訟で取り消されるおそれがある
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。本条にかかわる指示違反を理由に保護の変更・停止・廃止の処分を受けた場合、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。取消訴訟は原則として審査請求の裁決を経た後でなければ起こせない(生活保護法69条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:60条は被保護者の生活態度に関する訓示的な努力義務であり、それ自体は法的強制力を持たない。不利益処分は27条の書面指示と62条の手続を経て初めて可能となり、指導は必要最少限度にとどめ意に反する強制は許されない(27条2項・3項)
改正沿革 AI による整理
- 平成25年(2013年)改正(平成26年7月1日施行) 勤労と支出の節約に加え、「自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握する」ことを明記する文言改正。健康管理と家計管理を受給者の努力義務として位置付けた
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:現行生活保護法の制定により、被保護者の生活上の義務として勤労と支出の節約などへの努力を規定
- 2.平成25年(2013年) 改正:健康の保持及び増進、収入・支出その他生計の状況の適切な把握を努力義務として明記(平成26年7月1日施行)
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