生活保護法 第62条(指示等に従う義務)
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- 被保護者は、保護の実施機関が、第三十条第一項ただし書の規定により、被保護者を救護施設、更生施設、日常生活支援住居施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養護を委託して保護を行うことを決定したとき、又は第二十七条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
- 2.保護施設を利用する被保護者は、第四十六条の規定により定められたその保護施設の管理規程に従わなければならない。
- 3.保護の実施機関は、被保護者が前二項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。
- 4.保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。
- 5.第三項の規定による処分については、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
指示等に従う義務とは何ですか?
定義指示等に従う義務とは、生活保護法第62条に定められた規定で、「被保護者は、保護の実施機関が、第三十条第一項ただし書の規定により、被保護者を救護施設、更生施設、日常生活支援住居施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しく…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 生活保護法第62条(指示等に従う義務)は、日本の生活保護法に含まれる条文です。
- 生活保護法第62条の条文原文は「被保護者は、保護の実施機関が、第三十条第一項ただし書の規定により、被保護者を救護施設、更生施設、日常生活支援住居施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しく…」で始まります。
- 生活保護法第62条は第十章 被保護者の権利及び義務に置かれています。
- 生活保護法の公布日は昭和25年5月4日です。
- 生活保護法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 生活保護法第62条の前の条は生活保護法第61条です。
- 生活保護法第62条の次の条は生活保護法第63条です。
- 生活保護法第62条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第62条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 - 本サイト収録
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第62条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000144/62
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点生活保護法62条は、被保護者に指導・指示や施設入所決定に従う義務を課し、違反時は弁明の機会を与えたうえで保護の変更・停止・廃止ができると定める。
Q · ケースワーカーの指示に従わないと、生活保護はすぐ止められるの?
口頭だけでは不可。書面指示違反と弁明の機会が前提
生活保護法62条3項は、指示等に違反した被保護者について保護の変更・停止・廃止を「できる」と定めます。ただし施行規則19条により、処分は27条に基づく書面の指導・指示に従わなかった場合に限られます。さらに処分前には、理由・日時・場所を事前に通知したうえで弁明の機会を与える必要があり(4項)、処分には理由の提示(行政手続法14条)が求められます(5項)。
解説
ケースワーカーの一言だけで生活保護が打ち切られることはない。打ち切りまでに、法律は少なくとも三つの関門を置いている。第一に、処分の前提となる指導・指示は書面で出されていなければならない。生活保護法施行規則19条は、27条1項に基づく書面の指導・指示に従わなかった場合でなければ、本条3項の権限を使ってはならないと定めている。口頭で「働け」と言われ続けただけでは、停止や廃止には進めない。第二に、処分の前には弁明の機会が必ず与えられ、処分の理由、日時、場所があらかじめ通知される(4項)。第三に、行政手続法第3章の大部分は外されているが、処分基準(12条)と理由の提示(14条)だけは残っている(5項)。つまり「書面は届いたか」「弁明の通知は来たか」「理由は具体的に書かれているか」の三点を見れば、手続の瑕疵(手続上の欠陥)を自分で点検できる。義務を課す条文は、役所の手足を縛る条文でもある。
法的な位置づけ
生活保護法62条は、被保護者が施設入所等の決定、保護の実施機関による指導・指示、保護施設の管理規程に従う義務を定め、義務違反の場合に保護の変更・停止・廃止を認める規定である。処分に先立ち、事前通知を伴う弁明の機会の付与が義務付けられ、行政手続法第3章は12条・14条を除き適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.届いた書面の種類を見分ける 福祉事務所からの書面が「指導指示書」なのか、「弁明の機会の付与について」なのか、「保護変更(停止・廃止)決定通知書」なのかを確認する。書面はすべて写真に撮り、受け取った日付を記録しておく
- 2.従えない事情を書面で伝える 指示の内容が病状や介護などの理由で実行困難、または意味が不明確な場合は、その事情を書面にまとめて福祉事務所に提出し、受領印のある控えを受け取る
- 3.弁明書を準備して出席する 弁明の通知が届いたら、すぐに支援団体か弁護士に相談する。指示に従えなかった具体的な事情を証拠とともに弁明書にまとめ、指定された日時に出席して提出する。同席者についても事前に相談しておく
- 4.処分通知の理由を点検する 停止・廃止の通知書に書かれた処分理由が具体的か、弁明の内容に触れているかを確認する(行政手続法14条)。理由があいまいであれば、審査請求で主張する材料になる
- 5.審査請求と執行停止を申し立てる 処分を知った日の翌日から3か月以内に、都道府県知事に審査請求する。生活への影響が大きい場合は、行政不服審査法25条による執行停止も申し立てる。必要に応じて保護の再申請を並行する
よくある質問 AI による整理
Q1生活保護の指導指示違反とは?
生活保護法27条に基づく書面の指導・指示に、正当な理由なく従わないことです。62条3項により保護の変更・停止・廃止の理由となりえます。
Q2生活保護 停止と廃止の違いは?
停止は保護を一時的に止め、再開の余地を残す処分です。廃止は保護そのものを終了させる処分で、再び受けるには改めて申請が必要になります。
Q3生活保護 弁明の機会 通知 何日前?
62条4項は、理由・日時・場所をあらかじめ通知するよう求めていますが、何日前という法定日数はありません。準備期間が不当に短ければ争点になりえます。
Q4生活保護 指示書 拒否 できる?
病状、介護、育児などで実行できない合理的な理由があれば、書面で事情を伝えられます。指示は必要最少限度に限られ、強制と解してはならないとされています(27条)。
Q5生活保護 廃止 審査請求 期限は?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、都道府県知事に審査請求します(行政不服審査法18条、生活保護法64条)。
Q6生活保護 管理規程違反 どうなる?
保護施設の管理規程違反は62条2項の義務違反となり、3項の処分対象になりえます。ただし書面指示と弁明の手続を省略することはできません。
Q7生活保護 保護廃止 違法?
書面指示を欠く、弁明の機会を与えていない、理由の提示が不十分、違反に比べて処分が重すぎる、といった場合は違法として取り消される可能性があります。
Q8生活保護 廃止されたら再申請できる?
できます。廃止処分で申請権が失われるわけではなく、要件を満たせば改めて申請できます(生活保護法7条)。審査請求と並行して進めることも可能です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ケースワーカーに「来月までに仕事見つけないと保護切るよ」って言われました。本当に切られるんですか?
口頭の予告だけで直ちに切ることはできない。本条3項の処分に進むには、27条に基づく書面の指導・指示に従わなかったことが前提となる(生活保護法施行規則19条)。さらに処分前には弁明の機会が必要である(本条4項)。実務のポイント:言われた日時と言葉をその日のうちにメモしておくこと。後で書面指示が出たとき、それまでの経緯が妥当だったかを争う材料になる
Q2弁明の機会って、何を言えばいいんですか? 行かなかったらどうなります?
中心になるのは、指示に従えなかった具体的な事情(病状、求職活動の実績、家族の介護など)を証拠とともに示すことである(本条4項)。欠席しても手続は進み、「弁明の機会を与えた」という事実だけが残る。実務のポイント:弁明書を書面で出したいと事前に申し出ておくとよい。口頭だけだと福祉事務所側が要約して記録するため、ニュアンスが削られやすい
Q3保護を廃止されたら来月から収入ゼロです。審査請求の結果を待つ間、どうすればいいですか?
審査請求(64条)をしても処分の効力は原則として止まらないが、行政不服審査法25条による執行停止を申し立てられる。並行して、要件を満たしていれば改めて保護を申請することもできる(生活保護法7条)。実務のポイント:再申請と審査請求は両立する。廃止処分で申請権そのものが消えるわけではないので、支援者の間では両方を同時に進める方法がよく使われる
Q4施設に入れと言われたけど、絶対に嫌です。断ったら保護は止まりますか?
本条1項は施設入所の決定に従う義務を定めているが、30条2項は本人の意に反する入所の強制を禁じている。この二つの関係は実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:争点を「従うか否か」ではなく、30条1項ただし書の「居宅では保護の目的を達しがたい」という前提そのものに置くとよい。通院状況、自炊能力、支援者の存在など、居宅生活が成り立つ材料をそろえる
間違えやすい点 AI による整理
- 「指示に従わなければ保護は打ち切られるのか」と問う人は多いが、問いの立て方がずれている。本条3項は「できる」規定であり、変更・停止・廃止のどれを選ぶか、そもそも処分をするかは実施機関の裁量に委ねられている。違反の程度に見合わない廃止は、裁量の逸脱・濫用として争う余地がある。問うべきは「切られるか」ではなく「違反の重さと処分の重さが釣り合っているか」である
- 施設入所の決定に従う義務(本条1項)は知っていても、30条2項が「被保護者の意に反して、入所又は養護を強制することができるものと解釈してはならない」と定めていることはあまり知られていない。義務と強制禁止が並んでいるため、入所を拒んだ場合の扱いは実務上、解釈が分かれる。拒否の理由を具体的に記録に残すことの重みは、想像以上に大きい
- あなたから見れば「担当さんからのアドバイス」でも、法律から見ればそれは27条の「指導又は指示」である。口頭のやり取りが積み重なり、ある日書面に切り替わった瞬間、同じ内容が処分の引き金に変わる。軽い気持ちで「はい、やります」と答えた記録が、あとで「指示を理解していた証拠」としてケース記録に残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 62条:指示等に従う義務と、違反時の変更・停止・廃止 | 27条:指導・指示の根拠と、必要最少限度・強制禁止 30条:施設入所の根拠と、意に反する入所の強制禁止 |
| 被保護者から見た意味 | 義務と不利益処分の根拠 | 指示の限界(強制と解してはならない) 居宅保護が原則、施設入所は例外 |
| 処分の手続 | 事前通知付きの弁明の機会、理由の提示 | 書面指示が62条3項処分の前提(施行規則19条) 入所決定の前提は「居宅では保護の目的を達しがたい」こと |
| 不利益変更の歯止め | 裁量による処分(「できる」規定) | 56条:正当な理由がなければ不利益変更はできない 30条2項:意に反する入所の強制はできない |
他国ではどう定めているか 3 か国
就業能力のある受給者が正当な理由なく職業訓練や就業服務を拒否した場合に扶助を行わない仕組み。日本のような弁明の機会を条文に置く構造とは異なる
義務違反による給付の減額(Leistungsminderung)を段階的に定める。連邦憲法裁判所2019年判決で、減額の上限が制限された
TANF の就労要件を拒否した場合の給付減額・停止。具体的な運用は州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 就労指導が三か月続いたある日、「指示書」と題した書面が届いた。「求職活動を月4回以上行い報告すること」とある。ここから先、従わなければ本条3項の変更・停止・廃止が現実の選択肢になる。書面が届いた日が、局面が一段変わった日である
- もし「車を手放しなさい」と口頭で何度も言われているだけなら、それを理由に保護を止められるのか? 書面による指示がない段階では、本条3項の処分には進めないのが原則である(施行規則19条)。ただし保有が認められない車の扱いそのものは、別の問題として残る
- 「弁明の機会の付与について」という通知が届いた。指定日は5日後の午前10時、福祉事務所の相談室。何も言わずに終われば、記録上は「弁明を聞いたうえで」処分されたことになる。今日のうちに支援団体か弁護士に電話し、弁明書の準備と同席の相談を始める必要がある
- あなたは福祉事務所のケースワーカーで、指示に従わない利用者について上司から「もう廃止で」と言われた。書面指示の内容があいまいだったり、処分通知書の理由が抽象的だったりすれば、その廃止処分は審査請求で取り消されるおそれがある。現場の苛立ちを手続の省略で晴らせば、あとで処分ごと崩れる
- 救護施設で門限と飲酒禁止の管理規程を何度も破った。本条2項違反として処分の対象になりうる。それでも、書面指示を飛ばしていきなり廃止することはできない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 指導・指示が口頭なのか書面なのかを確認し、書面はすべて写真で保存する2. 病状、育児、介護などで実行が難しいなら、診断書などを添えて事情を書面で伝える3. 弁明の通知が来たら支援団体や弁護士に相談し、弁明書を用意して出席する4. 停止・廃止の通知を受けたら理由の記載を確認し、都道府県知事に審査請求する(64条)。生活に直結するので、執行停止の申立ても併せて検討する
訴えられた側:1. 指示は、書面の記載だけで内容が客観的に読み取れるよう、具体的かつ実行可能に書く(最判平成26.10.23参照) 2. 違反の程度に応じて変更・停止を先に検討し、廃止は最後の手段とする3. 弁明の通知には処分理由、日時、場所を明記し、弁明の内容を記録する4. 処分通知書には弁明への応答を含めた具体的な理由を書く
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。停止・廃止処分への審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。取消訴訟は審査請求の裁決を経てからでなければ起こせず(生活保護法69条)、裁決があったことを知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。都道府県知事が50日以内(行政不服審査会等へ諮問する場合は70日以内)に裁決しないときは、棄却されたものとみなせる(生活保護法65条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:62条3項は裁量規定であり、処分の選択は違反の内容・程度と均衡していなければならない。廃止は最低生活を失わせるため、変更・停止で足りる場合に廃止を選ぶことは裁量の逸脱・濫用になりうる
改正沿革 AI による整理
- 平成5年(1993年)行政手続法制定に伴う整備 行政手続法第3章(12条・14条を除く)を本条の処分に適用しない旨の規定が設けられたとみられる。改正の経緯と項番号は人的検証が必要
- 平成30年(2018年)公布、令和2年(2020年)4月施行 施設入所等の対象に「日常生活支援住居施設」が加わる改正。公布日・施行日は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:現行生活保護法の制定に伴い、指示等に従う義務と違反時の処分権限を規定
- 生活保護法 第27条指導・指示の根拠と必要最少限度
- 生活保護法 第30条施設入所の根拠と強制の禁止
- 生活保護法 第46条保護施設の管理規程の制定
- 生活保護法 第56条正当な理由のない不利益変更の禁止
- 生活保護法 第69条取消訴訟の審査請求前置
- 行政手続法 第13条不利益処分の意見陳述、本条で適用除外
- 行政手続法 第14条理由の提示、本条5項で適用維持
- 行政不服審査法 第18条審査請求期間3か月の起算
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