生活保護法 第63条(費用返還義務)
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被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
この条文の基本情報
費用返還義務とは何ですか?
定義費用返還義務とは、生活保護法第63条に定められた規定で、「被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 生活保護法第63条(費用返還義務)は、日本の生活保護法に含まれる条文です。
- 生活保護法第63条の条文原文は「被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金…」で始まります。
- 生活保護法第63条は第十章 被保護者の権利及び義務に置かれています。
- 生活保護法の公布日は昭和25年5月4日です。
- 生活保護法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 生活保護法第63条の前の条は生活保護法第62条です。
- 生活保護法第63条の次の条は生活保護法第64条です。
- 生活保護法第63条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第63条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 - 本サイト収録
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第63条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000144/63
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点生活保護法63条は、資力があるのに急迫の事情等で保護を受けた人に、受けた保護金品相当額の範囲内で保護の実施機関が定める額の返還を義務づける。不正受給とは別の制度である。
Q · 遡及年金や賠償金が入ったら、それまでの生活保護費は全額返さないといけないの?
全額とは限らず、自立更生費を差し引ける余地がある
生活保護法63条により、資力があるのに保護を受けた人は、受けた保護金品に相当する金額の範囲内で、保護の実施機関が定める額を返還します。受けた保護費の全額は返還額の上限であり、全額返還が義務づけられているわけではありません。厚生労働省の通知でも、自立更生のためにやむを得ない費用は返還額から控除できる扱いとされています。返還決定に不服があれば、決定を知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事へ審査請求できます。
解説
「返還」と聞いて不正受給を思い浮かべるなら、その連想が一番危ない。63条が対象にしているのは、嘘も隠し事もしていない人である。売れない土地を持ったまま保護を受けた人、障害年金の遡及分があとからまとめて振り込まれた人、交通事故の賠償金が入る前に生活が立ち行かなくなった人。こうした「財産はあるが、今は手元にない」状態で受けた保護は、その財産がお金に換わった時点で返すことになる。ただし、条文をよく読むと「受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額」と書いてある。受けた保護の全額は返還額の上限であり、全額を返すことが義務づけられているわけではない。家財の買い替えや就職の準備など、自立更生(保護から抜け出して自分の力で暮らせるようになること)に必要な出費を差し引くよう求める余地がある。この検討をしないまま全額の返還を命じた決定が、裁判で取り消された例もある。福祉事務所から届く返還通知の金額は交渉の最後の数字ではなく、話し合いのスタート地点である。
法的な位置づけ
生活保護法63条は費用返還義務を定める規定であり、急迫の場合等において資力を有しながら保護を受けた被保護者に対し、受けた保護金品に相当する金額の範囲内で保護の実施機関が定める額を、保護費を支弁した都道府県又は市町村へ返還させる。補足性の原則(同法4条)を事後的に貫徹する制度であり、不正受給に対する徴収(同法78条)とは区別される。
手順
- 1.返還決定通知の中身を確認する 通知書で、資力が発生したとされる日、返還対象期間、返還額の計算内訳、根拠条文(63条か78条か)、教示欄の期限を確認する
- 2.資力発生日の認定を検証する 年金なら受給権発生日、相続なら相続開始日、事故なら事故日が原則。通知の日付がこれとずれていないかを年金証書や示談書と照合する
- 3.自立更生費の控除を書面で申し出る 家電の買い替え、転居、就職準備など自立更生に必要な出費をリスト化し、見積書や領収書を添えて返還額からの控除を福祉事務所へ書面で申し出る
- 4.分割返還を交渉する 一括返還が難しい場合、家計の収支を示して月々の返還可能額を提示し、分割返還を申し出る
- 5.3か月以内に審査請求する 決定に納得できなければ、決定を知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事へ審査請求する。控除の検討記録がない点など論点を絞って書面にし、法テラスや支援団体に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1生活保護法63条とは?
資力があるのにすぐ使えない状態で生活保護を受けた人に、後から保護費の返還を求める規定です。返還額は受けた保護費の範囲内で福祉事務所が決めます。
Q2生活保護63条 返還 時効はいつまで?
返還金債権は地方自治法236条により5年で時効消滅すると解されることが多いですが、起算点は実務上解釈が分かれています。
Q3生活保護の返還金は分割で払える?
一括返済が難しい場合、福祉事務所に分割返還を申し出ることができます。月々の生活に支障が出ない額を具体的に示して交渉するのが現実的です。
Q4生活保護中に相続した遺産は返還の対象?
原則として相続開始日から資力があったとされ、その日以降に受けた保護費の範囲内で63条の返還対象になります。分割協議の完了日ではありません。
Q5交通事故の賠償金が入ったら生活保護費を返す?
事故の時点で損害賠償請求権という資力があったとされ、事故以降に受けた保護費の範囲内で返還対象になります。医療扶助分も含まれ得ます。
Q6生命保険の解約返戻金は生活保護で返還対象になる?
解約返戻金は資力として扱われます。保護を受けながら保険を維持し後で解約金を受け取った場合、その範囲で63条の返還につながります。
Q7生活保護の返還金を払わないとどうなる?
平成30年改正で整備された徴収規定(同法77条の2)により強制徴収の対象となり得ます。適用範囲は最新の条文で確認してください。
Q8ケースワーカーから説明がなくても返還義務はある?
返還義務自体は生じ得ますが、説明がなかった事情は78条ではなく63条で処理すべき根拠や、返還額を決める裁量判断の考慮要素になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ちゃんと申告してたのに、不正受給と同じ扱いにされるんですか?
扱いは違います。63条は資力があったものの、まだ使える状態になっていなかった場合の返還で、上乗せの加算金も刑罰もありません。不正受給は78条で、徴収額に最大40% が上乗せされ、85条による刑事罰もありえます。実務のポイント:自治体が78条で処理しようとしていても、申告書の控えや面談記録があれば63条に切り替わることがある。控えは捨てずに保管しておく
Q2遡及で入った年金、全部返さないといけないの?
原則として、返還の対象は受給権が発生した月以降に受けた保護費の範囲に限られます。さらに、63条の返還額は実施機関が決めるものなので、自立更生に必要な費用は差し引ける余地があります。実務のポイント:差し引きは申し出ないと検討されないことが多い。振り込みの前に、何に使うかの計画を書面で出しておくと、そのまま通りやすい
Q3返還決定に納得できないとき、いきなり裁判できますか?
できません。生活保護法69条により、まず都道府県知事への審査請求(64条)を経る必要があります。期限は決定を知った日の翌日から3か月です。実務のポイント:審査請求の段階で、自立更生費の控除を検討した形跡がないと指摘するだけで、処分庁(決定を出した福祉事務所)が自ら決定を見直すケースもある。書面は長く書くより論点を絞る
Q4返還金って保護費から天引きされるんですか?
一定の徴収金については、本人が申し出た場合に保護費から差し引いて納める仕組みがあります(78条の2)。63条の返還金がこの仕組みの対象になるかは改正によって扱いが変わっているため、最新の改正状況をご確認ください。実務のポイント:天引きの額は生活に支障のない範囲で調整できることが多いので、同意する前に月いくらまでなら払えるかを先に伝える
間違えやすい点 AI による整理
- あなたは「何も悪いことはしていないのに、なぜ返さなければならないのか」と考える。一方、法律が見ているのは善悪ではなく、保護を受けていた時点で資力があったかどうかだけである。生活保護法4条の補足性の原則(使える財産を使い切ったうえでの最後の支えという考え方)から見れば、善意であっても返還は避けられない。この認識のずれが、話し合いのテーブルに着くのを遅らせる
- 返還義務があることは知っていても、返還額を下げられる余地があることを知らない人が多い。63条の返還額は実施機関が定めるものであり、厚生労働省の通知でも、自立更生のためにやむを得ない費用は返還額から差し引ける扱いになっている。黙っていると、その差し引きを検討してもらえないまま全額で決定されやすい
- 「いくら返せばいいのか」という問いは、実は二番目の問いである。一番目は「いつから資力があったとされるのか」だ。年金なら受給権が発生した日、相続なら相続が始まった日、事故なら事故の日というように、資力が発生した日が1か月ずれるだけで返還額は大きく変わる。その日付が正しく認定されているかを最初に確認する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる人 | 63条:資力があるのに急迫の場合等で保護を受けた人(善意) | 78条:不実の申請その他不正な手段で保護を受けた人 77条:扶養義務を履行しなかった扶養義務者 |
| 金額の決め方 | 受けた保護金品相当額の範囲内で実施機関が定める額(自立更生費控除の余地) | 費用の全部又は一部を徴収、最大100分の40を上乗せ可 扶養義務の範囲内で費用を徴収 |
| 制裁 | 加算金・刑罰なし | 加算金あり、85条で刑事罰の可能性 刑罰なし |
| 争い方 | 控除の申出、分割交渉、64条の審査請求 | 63条処理への切替主張、審査請求 扶養能力の争い、審査請求 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では授益的行政処分の撤銷に伴う給付返還を一般法で規律し、社会救助の不正取得には社會救助法が別途返還を定める。善意返還に特化した条文は日本ほど明確ではない
韓国は給付の変更・停止時に保障機関が既支給分の返還を命じる仕組みを持ち、不正受給の費用徴収とは条文を分けている
ドイツは直ちに換価できない財産がある場合、最初から貸付(Darlehen)として扶助を行う構成を取り、事後返還より事前整理の色が強い
米国 SSI は超過資産の処分を条件に給付する conditional benefits 制度があり、処分後に過払いとして回収する点で63条と機能が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保護を受けながら障害年金を申請していたら、2年分の遡及支給としてある日300万円近くが口座に振り込まれた。翌月、ケースワーカーから「63条に基づき返還してください」と言われる。返還の対象になるのは受給権が発生した月以降に受けた保護費の範囲に限られ、さらに自立更生に必要な費用を差し引く余地もある
- 交通事故で働けなくなり、保険会社との示談がまとまる前に生活保護を申請した。1年後に賠償金が入ったら、事故の時点から資力(お金に換えられる財産)があったとされ、その間の保護費が返還の対象になる。申請の時点でケースワーカーからこの説明を受けていたかどうかで、あとの揉め方が変わる
- もし父親が亡くなり、遺産分割協議が終わらないまま保護を受け続けていたら、どうなる? 実務では相続が始まった日から資力があったとされるのが原則で、分割協議がまとまって預金が手に入った瞬間、さかのぼって返還額が計算される
- あなたは福祉事務所の新任ケースワーカー。上司から「遡及年金の返還決定は全額でいいから」と言われた。自立更生費の控除を検討した記録がないまま決定を出すと、審査請求や取消訴訟で裁量権の逸脱(役所に任された判断の幅を踏み外したこと)と判断されうる。決裁の前に検討記録を残しておく
- 返還決定通知が届いた。審査請求の期限まで残り3か月。まずは通知の最後にある教示欄(不服申立ての方法と期限が書かれた欄)を読む
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書で、資力が発生したとされる日、返還の対象になる期間、返還額の計算の内訳を確認する2. 家電の買い替えや転居、就職の準備など、自立更生に必要な出費をリスト化し、見積書や領収書を添えて差し引きを求める3. 一括では返せない場合は分割返還を申し出る4. 納得できなければ、決定を知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事へ審査請求する(生活保護法64条)。法テラスや地域の生活保護支援ネットワークに相談すると、弁護士につながりやすい
訴えられた側:「不正受給だ」と言われた場合、まず63条(善意での返還)なのか78条(不正受給の徴収で、最大40% の上乗せがある)なのかを確認する。収入の申告を怠った事実がなく、ケースワーカーも財産を把握していた、あるいは説明を受けていなかったのであれば、78条ではなく63条で処理すべきだと主張する根拠になる。申告書の控えや面談記録の開示を求め、手元の証拠を固めておく
時効(請求できる期限):審査請求は、返還決定を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。取消訴訟は、審査請求の裁決を経てから提起し(生活保護法69条)、裁決を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。返還金債権の消滅時効は、地方自治法236条により5年と解されることが多いが、どの時点から数えるかは実務上、解釈が分かれている(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説・実務:63条の返還額は受けた保護金品相当額を上限として実施機関が裁量で定めるものであり、自立更生費の控除を検討せずに全額返還とした決定は裁量権の逸脱・濫用と評価され得る。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:現行生活保護法の制定とともに、資力がありながら保護を受けた場合の費用返還義務として規定された。
- 生活保護法 第4条補足性の原則、返還義務の根拠
- 生活保護法 第78条不正受給の徴収、63条との峻別
- 生活保護法 第77条の263条返還額の強制徴収規定(現行効力を要確認)
- 生活保護法 第64条都道府県知事への審査請求
- 生活保護法 第69条審査請求前置、取消訴訟の前提
- 地方自治法 第236条返還金債権の5年消滅時効
- 行政不服審査法 第18条審査請求期間3か月
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