土地収用法 第106条(買受権)
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- 第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示の日から二十年以内に、事業の廃止、変更その他の事由に因つて起業者が収用した土地の全部若しくは一部が不用となつたとき、又は事業の認定の告示の日から十年を経過しても収用した土地の全部を事業の用に供しなかつたときは、権利取得裁決において定められた権利取得の時期に土地所有者であつた者又はその包括承継人(以下「買受権者」と総称する。)は、当該土地が不用となつた時期から五年又は事業の認定の告示の日から二十年のいずれか遅い時期までに、起業者が不用となつた部分の土地又は事業の用に供しなかつた土地及びその土地に関する所有権以外の権利に対して支払つた補償金に相当する金額を当該収用に係る土地の現在の所有者(以下「収用地の現所有者」という。)に提供して、その土地を買い受けることができる。但し、第七十六条第一項の規定によつて収用した残地は、その残地とともに収用された土地でその残地に接続する部分が不用となつたときでなければ買い受けることができない。
- 2.前項の規定は、第八十二条の規定によつて土地所有者が収用された土地の全部又は一部について替地による損失の補償を受けたときは、適用しない。
- 3.第一項の場合において、土地の価格が権利取得裁決において定められた権利取得の時期に比して著しく騰貴したときは、収用地の現所有者は、訴をもつて同項の金額の増額を請求することができる。
- 4.第一項の規定による買受権は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の定めるところに従つて収用の登記がされたときは、第三者に対して対抗することができる。
この条文の基本情報
買受権とは何ですか?
定義買受権とは、土地収用法第106条に定められた規定で、「第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示の日から二十年以内に、事業の廃止、変更その他の事由に因つて起業者が収用した土地の全部若しくは一部が不用となつたとき、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第106条(買受権)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第106条の条文原文は「第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示の日から二十年以内に、事業の廃止、変更その他の事由に因つて起業者が収用した土地の全部若しくは一部が不用となつたとき、…」で始まります。
- 土地収用法第106条は第七章 収用又は使用の効果に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第106条の前の条は土地収用法第105条です。
- 土地収用法第106条の次の条は土地収用法第107条です。
- 土地収用法第106条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第106条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第106条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/106
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法106条は、事業認定の告示から10年未使用または20年以内に不用となった収用地を、元所有者等が当時の補償金相当額で買い受けられる権利を定める。
Q · 公共事業で収用された土地がずっと使われていない。取り戻せるの?
条件を満たせば当時の補償金相当額で買い受けられる
土地収用法106条により、事業認定の告示から10年たっても収用地の全部が事業に使われていない場合、または告示から20年以内に事業の廃止・変更などで土地が不用になった場合、権利取得時の所有者やその相続人は、起業者が支払った補償金相当額を現所有者に提供して土地を買い受けられます。期限は不用時から5年と告示から20年のいずれか遅いほうまでですが、起業者から通知・公告を受けると6か月で消滅します(107条)。
解説
土地は「公共のため」という理由で強制的に取り上げられた。ところが十数年たっても、そこには道路もダムもできず、フェンスに囲まれた空き地のままである。土地収用法106条は、そういう場面のために置かれた取り戻しの権利(買受権)を定めている。条件は二つのどちらかである。事業認定の告示から20年以内に、事業の廃止や変更で土地が不用になった場合。あるいは告示から10年たっても、収用した土地の全部を事業に使っていない場合である。権利をもつのは、収用された時点の所有者か、その相続人などの包括承継人(遺産を丸ごと引き継いだ人)に限られる。取り戻す値段は時価ではない。起業者(事業をして土地を取得した国・自治体・会社など)が当時支払った補償金に相当する額である。ただし、気をつけるべき点が三つある。第一に、期限は「不用になった時から5年」と「告示から20年」のいずれか遅いほうまでである。第二に、起業者から通知や公告を受けると、そこから6か月で権利は消える(107条)。第三に、地価が著しく上がっていれば、現在の所有者は訴えを起こして値上げを求めることができる。親や祖父母の代に収用された土地があるなら、まず登記簿と当時の裁決書を手元にそろえることである。
法的な位置づけ
買受権(土地収用法106条)とは、事業認定の告示から20年以内に収用地が不用となった場合、または告示から10年を経過しても収用地の全部が事業の用に供されなかった場合に、権利取得時の土地所有者またはその包括承継人が、起業者の支払った補償金相当額を収用地の現所有者に提供して当該土地を買い受けることができる権利をいう。
手順
- 1.登記と裁決書で収用の事実を確認 法務局で登記事項証明書を取得し、収用の登記と権利取得の時期を確認する。手元に権利取得裁決書があれば一緒に保管し、任意売買ではなく収用であることを確かめる
- 2.事業認定の告示日を特定 起業者または収用委員会に照会し、事業認定の告示日を確定させる。10年・20年の期間計算はすべてこの日から始まる。都市計画事業なら事業認可の告示日が基準になる
- 3.利用状況を区画ごとに記録 現地を撮影し、日付つきで区画ごとの利用状況を記録する。「全部を事業に供していない」か「不用となった」かを示す証拠を固める
- 4.補償金相当額を確認して資金を手当て 当時の補償金額を裁決書で確認し、資金を準備する。地価が大きく上がっている場合は、増額請求の訴え(3項)に備えて余裕を見込む
- 5.現所有者に提供して買受けの意思を示す 補償金相当額を現所有者に提供し、内容証明郵便などで買受けの意思表示をする。起業者から通知を受けている場合は、受領日から6か月以内に必ず行う
よくある質問 AI による整理
Q1買受権とは何ですか?
収用された土地が事業に使われない、または不用になったとき、元所有者やその相続人が補償金相当額で土地を買い受けられる権利です。土地収用法106条が根拠です。
Q2収用された土地 買い戻し いつまで?
不用となった時から5年、または事業認定の告示日から20年のいずれか遅い時期までです。ただし起業者の通知・公告から6か月で消滅します。
Q3収用地の買受け価格はいくら?
原則として起業者が当時支払った補償金に相当する額です。地価が著しく上がっていれば、現所有者が訴えで増額を請求できます(106条3項)。
Q4相続人でも収用地を買い戻せる?
できます。権利取得時の所有者の包括承継人も買受権者に含まれるため、相続人は買受権を行使できる立場にあります。
Q5収用地が一部だけ使われている場合は?
告示から10年経過時点で「全部」を事業に供していなければ、供されていない部分について買受けの対象となりえます。区画ごとの利用状況の立証が重要です。
Q6替地で補償を受けた土地も買い戻せる?
できません。82条により替地による損失補償を受けた土地には、106条1項の買受権は適用されません(106条2項)。
Q7収用地が第三者に売られたら買受権はどうなる?
収用の登記がされていれば、買受権を第三者にも対抗できます(106条4項)。売却後でも現所有者に対して行使できる余地があります。
Q8残地収用された土地も買受けできる?
76条1項で収用した残地は、一緒に収用されて残地に接続する部分が不用となった場合に限って買い受けられます(106条1項ただし書)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1道路にするって言って取り上げたのに全然工事してない。返してって言えるの?
「返して」ではなく「買い受ける」ことになる。事業認定の告示から10年たっても収用した土地の全部を事業に使っていなければ、元所有者は当時の補償金相当額で買い受けることができる(土地収用法106条1項)。実務のポイント:一部でも工事に着手していれば「全部を供しなかった」にはあたらないという反論がよく出る。そのため、どの区画がいつから使われていないかを写真と日付で区画ごとに押さえておくことが勝負を分ける
Q2親が亡くなってるんだけど、子どもの私でも買い戻せる?
買受権者には、権利取得の時点の所有者の包括承継人が含まれる(106条1項)。相続人はこれにあたる。実務のポイント:相続人が複数いる場合、誰がどう行使するかで揉めると、その間にも107条の6か月や本条の期限は進み続ける。通知が届く前に、相続人の間で行使するかどうかと資金の分担を決めておく家庭は、実はほとんどない
Q3買い戻すお金って、今の相場で払わないといけない?
原則は、起業者が当時支払った補償金に相当する額である(106条1項)。ただし地価が著しく上がった場合は、現在の所有者が訴えを起こして増額を請求できる(同条3項)。実務のポイント:増額は自動的に適用されるわけではなく、現在の所有者が訴えを起こす必要がある。「著しく騰貴」の判断基準や増額幅は実務上、解釈が分かれている。交渉の初期段階で、相手に訴訟の手間とコストを意識させることが大切になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「一度収用された土地は二度と戻らない」と考えられがちだが、実際には違う。事業に使われない、あるいは不用になったという条件を満たせば、元所有者が当時の補償金相当額で買い戻す道が法律で用意されている
- そもそも「収用されたかどうか」という前提を確認しなければ話が始まらない。本条は収用裁決(またはそれと同視される協議の確認)を経た土地を対象にしている。用地交渉に応じて任意の売買契約で手放した土地には、原則として本条の買受権は及ばないと理解されている。契約に買戻しの特約があるかどうかを、まず確かめる必要がある
- 元所有者から見れば「自分の土地を返してもらうだけ」である。しかし法律上は、現在の所有者に補償金相当額を提供して「買い受ける」行為になる。地価が大きく上がっていれば増額請求の訴えを起こされうる。そのため、資金の手当てなしに動き始めると、権利はあっても行使できないまま期限を迎えるおそれがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定内容 | 106条:買受権の要件・価格・対抗力 | 107条:起業者による通知・公告と行使期間の制限 82条:替地による損失補償 |
| 期限 | 不用時から5年または告示から20年のいずれか遅い時期まで | 通知受領日または公告日から6か月で行使不可 期限の定めではなく補償方法の規定 |
| 買受権との関係 | 買受権の発生根拠 | 買受権を短期で確定させる起業者側の手段 替地補償を受けた土地は買受権の対象外(106条2項) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も徴収目的が実現しない場合に原所有者の買戻し(収回)を認め、原則として原徴収補償額を基準とする点で日本と発想が近い
韓国も公益事業の廃止・変更などで土地が不要となった場合に、原所有者の환매권を認める
ドイツは収用目的が期間内に実現されない場合の Rückenteignung(逆収用)を、原所有者の申立てに基づく制度として定める
フランスは、収用地が期間内に公益目的に使われなかった場合の droit de rétrocession を原所有者に認める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 祖父の農地がバイパス建設で収用されたのは15年前のことである。ルートが変更され、その区画は今も資材置き場になっている。相続人であるあなたは包括承継人として買受権者にあたりうる。最初にすべきことは、事業認定の告示日を確定させることだ
- もし起業者から「買受権の行使が可能です」という通知が届き、それを読まずに放置したらどうなるか。受け取った日から6か月がたった時点で、取り戻す道は永久に閉ざされる(107条2項)
- あなたは自治体の用地担当者である。計画の見直しで、収用した土地の一部が不用になった。元所有者への通知を怠ったまま第三者への売却を進めると、収用の登記に基づいて買受権を主張され、売却そのものがひっくり返る可能性がある
- 元所有者が補償金相当額を持って現れた。しかし周辺地価は収用当時の3倍になっている。現在の所有者であるあなたが黙って受け取れば、その価格で売買が成立してしまう。値上げを求めたいなら、訴えを起こさなければならない(106条3項)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 法務局で登記事項証明書を取得し、収用の登記と権利取得の時期を確認する2. 起業者に権利取得裁決書と事業認定の告示日を照会する3. 現地の利用状況を写真で記録し、「告示から10年未使用」または「不用」の事実を固める4. 補償金相当額を確認して資金を手当てしたうえで、現在の所有者に提供して買受けの意思を示す5. 通知が届いたら6か月の期限を最優先で管理する
訴えられた側:1. 起業者側は、不用地が生じたら遅滞なく買受権者に通知する(所在不明なら公告する)。これが権利を6か月で確定させる最短の道である(107条) 2. 替地による補償(82条)をしていた場合や、残地収用の制限(1項ただし書)にあたる場合は、本条の適用外または制限を主張できる3. 地価が著しく上がっていれば、訴えによる増額請求(3項)を検討する4. 第三者に売却する前に、収用の登記の有無と期限の経過を確認する
時効(請求できる期限):行使期限は、土地が不用となった時から5年、または事業認定の告示日から20年の、いずれか遅い時期までである(106条1項)。ただし、起業者からの通知を受けた日または公告の日から6か月を経過すると行使できなくなる(107条2項)。起算日の判断は個別事情に左右されるため、最新の改正状況とあわせて確認すること
学説
一般的理解:本条の買受権は収用裁決(またはこれと同視される協議の確認)を経た土地を対象とし、任意の売買契約で取得された公共用地には原則として及ばないと理解されている。任意買収の場合は契約上の買戻し特約の有無が問題となる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:現行土地収用法(昭和26年法律第219号)の制定。収用地の買受権に関する規定が置かれた
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)に伴い、4項の対抗要件に関する引用が新法に整備された
- 土地収用法 第107条買受権の通知・公告と6か月の行使制限
- 土地収用法 第26条事業認定の告示、期間計算の起算点
- 土地収用法 第76条残地収用請求、買受けの制限対象
- 土地収用法 第82条替地補償を受けた場合の適用除外
- 都市計画法 第70条事業認可告示を事業認定告示とみなす特則
- 不動産登記法 第118条収用による登記、買受権の対抗要件の基礎
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