出入国管理及び難民認定法 第53条(送還先)
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- 退去強制を受ける者は、その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。
- 2.前項の国に送還することができないときは、本人の希望により、左に掲げる国のいずれかに送還されるものとする。
- 一本邦に入国する直前に居住していた国
- 二本邦に入国する前に居住していたことのある国
- 三本邦に向けて船舶等に乗つた港の属する国
- 四出生地の属する国
- 五出生時にその出生地の属していた国
- 六その他の国
- 3.前二項の国には、次に掲げる国を含まないものとする。
- 一難民条約第三十三条第一項に規定する領域の属する国その他その者が迫害を受けるおそれのある領域の属する国(法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除く。)
- 二拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約第三条第一項に規定する国
- 三強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約第十六条第一項に規定する国
この条文の基本情報
送還先とは何ですか?
定義送還先とは、出入国管理及び難民認定法第53条に定められた規定で、「退去強制を受ける者は、その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第53条(送還先)は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第53条の条文原文は「退去強制を受ける者は、その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第53条は第四節 退去強制令書の執行に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第53条の前の条は出入国管理及び難民認定法第52条の8です。
- 出入国管理及び難民認定法第53条の次の条は出入国管理及び難民認定法第54条です。
- 出入国管理及び難民認定法第53条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第53条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第53条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/53
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点出入国管理及び難民認定法53条は、退去強制を受ける者の送還先を原則国籍国とし、送還できない場合は本人の希望で第三国等を選べ、迫害や拷問のおそれのある国を除外すると定める。
Q · 強制送還されるとき、送還先の国はどうやって決まるの?
原則は国籍国、無理なら本人の希望で他国も可能
出入国管理及び難民認定法53条1項によって、送還先は原則として国籍国または市民権の属する国になります。そこへ送還できない場合、2項により本人の希望で入国直前の居住国、過去の居住国、乗船港の属する国、出生地の国、その他の国から選ばれます。3項では、迫害・拷問・強制失踪のおそれのある国が除外されます。ただし2024年6月施行の改正で、迫害国の除外には法務大臣の認定による例外が付きました。
解説
退去強制令書に判が押された瞬間、その人がどの国の飛行機に乗せられるかは、実は自動的には決まっていない。53条1項は国籍国を原則とするが、2項は本人の希望で行き先を選ぶ余地を残す。入国直前に住んでいた国、過去に住んでいたことのある国、日本に向かう船に乗った港の属する国、出生地の国、出生時にその土地が属していた国、そして「その他の国」。この最後の一行が、実務では受入れに同意した第三国への送還を可能にする扉になる。さらに3項は、迫害のおそれのある国、拷問のおそれのある国、強制失踪のおそれのある国を送還先から除外する。ただし令和5年(2023年)改正で3項1号に「法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除く」という但書が入り、2024年6月に施行された。国際法上ほぼ絶対とされてきたノン・ルフールマン(迫害国へ追い返さない原則)に、日本法は自ら例外の穴を開けている。あなたが読んでいる2023年以前の解説書は、この一点でもう古い。
法的な位置づけ
出入国管理及び難民認定法53条は、退去強制における送還先を定める規定である。1項で国籍国または市民権の属する国を原則とし、2項でそこへ送還できない場合の補充的な送還先を本人の希望に基づき列挙する。3項は、難民条約・拷問等禁止条約・強制失踪条約に基づいて送還が禁止される国を送還先から除外している。
手順
- 1.通知書・令書の送還先欄を確認する 入管から受け取った書面の送還先欄を最初に確認する。国籍国なのか、第三国なのか、空白なのかを把握し、送還予定日や次の送還便の情報もあわせて聞き取る
- 2.53条3項該当性の資料を集める 送還先とされた国の人権状況について、国際機関の報告書や報道などの客観資料を集める。あわせて本人が迫害・拷問・強制失踪の対象になる具体的理由を時系列で書面にまとめる
- 3.2項の希望送還先と受入れ見込みを書面化する 国籍国へ送還できない、または送還が禁止される場合に備え、2項各号のどれに当たる国を希望するか特定する。親族の居住、在留資格、招へい状など受入れの見込みを示す資料を揃える
- 4.令書発付前に意見書を提出する 違反審査・口頭審理や法務大臣への異議申出の段階で、送還先に関する希望と3項該当性を明記した意見書を提出する。異議申出は判定の通知から3日以内なので、並行して準備する
- 5.執行停止と取消訴訟を弁護士と検討する 令書発付後に送還が迫っているときは、取消訴訟の提起と執行停止の申立て(行政事件訴訟法25条)を入管事件の経験がある弁護士と至急検討する。弁護士会の外国人相談窓口も活用する
よくある質問 AI による整理
Q1入管法53条とは何ですか?
退去強制を受ける者をどの国へ送還するかを定める条文です。原則は国籍国で、送還できなければ本人の希望で他国を選び、迫害等のおそれがある国は除外します。
Q2退去強制令書の送還先はどこに書かれている?
退去強制令書には送還先が記載事項として書かれます(入管法51条)。令書を受け取ったら、在留の可否より先に送還先の国名を確認することが重要です。
Q3無国籍の人は強制送還でどこへ送られる?
送還先となる国籍国がないため、53条2項に従い、本人の希望をもとに入国直前の居住国、出生地の国、受入れに同意する国などが検討されます。
Q4第三国への強制送還は日本でもできる?
できます。53条2項6号の「その他の国」が根拠です。ただし受入国の同意が必要なので、本人側で招へい資料や在留資格を用意できるかが現実の分かれ目です。
Q5送還先の指定だけを裁判で争える?
争えます。送還先が3項に違反するとして退去強制令書発付処分の取消訴訟を起こし、行政事件訴訟法25条の執行停止を申し立てる構成があります。
Q6送還先の希望はいつまでに出すべき?
令書が発付される前の違反審査・口頭審理・異議申出の段階が目安です。発付後の変更はハードルが上がるため、書面で早めに提出しておくのが安全です。
Q7迫害のおそれはどうやって証明する?
当該国の人権状況に関する国際機関報告や報道など客観資料に加えて、本人が標的になる理由を時系列で書面にし、53条3項の該当号を明示して提出します。
Q8強制送還を拒否したらどうなる?
送還まで収容が続く可能性があります。令和5年改正では、一定の送還忌避者に退去を命じ、従わない場合の罰則を設ける制度も導入されました。個別事情は弁護士へ。
この条文についての質問 AI による整理
Q1強制送還されるとき、行き先って自分で選べるんですか?
原則は国籍国です(53条1項)。ただし国籍国へ送還できないときは、2項が入国直前の居住国、過去の居住国、乗船港の属する国、出生地の国、その他の国のいずれかを「本人の希望により」選べる構造にしています。実務のポイント:実務で鍵になるのは2項の「その他の国」です。受入れに同意する国があれば第三国送還の余地が生まれますが、入管が自発的に探してくれることはまずない。受入国側の招へい資料まで自分で揃えて持ち込んだ人だけが、この選択肢を現実にしている
Q2難民申請が却下されたら、もう迫害のある国に送られるしかないんですか?
そうとは限りません。53条3項は難民認定処分の有無と独立して、迫害のおそれのある領域の属する国、拷問等禁止条約3条1項の国、強制失踪条約16条1項の国を送還先から除外しています。難民不認定でも、特定国への送還だけは違法だと争う構成は成り立ちます。実務のポイント:拷問等禁止条約ルートは難民条約ルートより要件の立て方が異なり、政治的意見や宗教といった理由の立証を要しない点が実務上の突破口になることがある。この二本立てを最初から組む代理人は多くない
Q32024年に法律が変わったと聞きました。何が変わったんですか?
令和5年(2023年)改正で53条3項1号に「法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除く」という但書が入り、2024年6月に施行されました。迫害のおそれがある国であっても、大臣の認定次第で送還先から除外されなくなる構造です。実務のポイント:同じ改正で、難民認定申請中は送還されないという送還停止効にも、3回目以降の申請などについて例外が設けられた。「申請さえ出し続ければ送還されない」という以前の前提はすでに崩れており、古い情報のまま動くと取り返しがつかない
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば、強制送還は「国に帰される」というひとつながりの出来事だろう。法律から見ると、退去強制事由の該当性(24条)、令書の発付、そして送還先の指定(53条)は別々の判断であり、それぞれ独立に争える。この落差のせいで、多くの人は最初の段階だけで諦め、最後の一段階を手つかずのまま送還日を迎える
- 3項がノン・ルフールマン原則を条文化していることは支援者の間では知られている。だが、その深刻度の変化は十分に共有されていない。令和5年(2023年)改正で3項1号に「法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除く」という但書が加わり、2024年6月に施行された。迫害のおそれがあっても、大臣の認定ひとつで送還が可能になる構造が、国内法上は出来上がっている
- 「難民認定されなければ送還先は争えない」という問いの立て方そのものが誤っている。53条3項は難民認定処分の有無に紐付いた規定ではなく、送還という執行行為そのものに課された制限である。難民不認定でも、拷問等禁止条約3条1項に該当すると主張して特定国への送還の違法性を争う構成は成り立つ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 入管法53条:送還先(どの国へ送るか) | 入管法24条:退去強制事由(誰を送還するか) 入管法52条:退去強制令書の執行(どう送還するか) |
| 争う場面 | 送還先が3項違反、または2項の希望が無視された場合 | 退去強制事由に該当しないと主張する場合 執行の方法や時期、自費出国の可否を争う場合 |
| 難民・人道保護との関係 | 迫害・拷問・強制失踪のおそれのある国を送還先から除外(1号に大臣認定の例外あり) | 事由の該当性そのものには保護の考慮を含まない 難民認定申請中の送還停止効(61条の2の9、例外あり)と併せて問題になる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は強制驅逐出國の要件を定めているが、難民法は未制定である。送還先の段階的指定を日本ほど明確に条文化しておらず、保護は個別運用と人権条約施行法に依存している。
韓国は送還国を国籍国原則とし、補充的送還先を列挙する点で日本と構造が近い。難民法は強制送還の禁止を独立の条文として置いている。
ドイツは送還警告で送還先を特定し、§60で迫害・拷問等のおそれのある国への送還を禁止する。送還先ごとの禁止判断が制度として組み込まれている。
米国は本人による送還先の指定を認めたうえで補充的送還先を列挙し、§241(b)(3) で生命・自由が脅かされる国への送還を留保する。拷問等禁止条約に基づく保護も別途認めている。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、在留資格を失った友人が入管施設に収容され、「来週には本国行きの便に乗せる」と告げられたとしたら? 残り数日で動かせるのは、在留の可否ではなく送還先の側かもしれない。国籍国に政治的な敵がいる、本国の家族から縁を切られている、そうした事情は53条3項または2項の主張材料になる。令書が出た後でも、執行前に書面で意思を残せるかどうかが分かれ目になる
- 技能実習生を受け入れている工場の担当者として、実習先の倒産で在留資格を失った実習生に「帰国手続きをしてください」と伝える立場に立った。だが送還先を決める権限は会社にも送出機関にもない。決めるのは入管であり、本人には2項で希望を述べる余地がある。会社が勝手に航空券を手配して「この国へ」と決めるのは、法の建付けの外にある
- パスポートの再発給を本国大使館に拒まれた。1項の国籍国送還が物理的に成り立たない。収容が年単位で続く現実が、ここから始まる
- 難民申請が不認定になり、もう打つ手はないと言われた。しかし53条3項の迫害のおそれの判断は、難民条約上の難民該当性の判断と完全に同じものではない。難民として認められなかった人でも、特定の国への送還だけは違法だと争う道は残っている。実務上、この二つを別々の争点として組み立てられるかどうかで、代理人の腕が出る
取るべき行動
被害を受けた側:迫害・拷問のおそれのある国へ送られそうな立場なら、1. 当該国の人権状況について、報道・国際機関報告・親族の証言など客観資料を集める2. 自分個人が標的となる理由(政治活動、宗教、性的指向、氏族対立など)を時系列で書面化する3. 53条3項各号のどれに該当するかを明示した意見書を、令書発付前に入管へ提出4. 入管問題に実績のある弁護士会の外国人相談窓口に接触し、送還執行の差止めまたは取消訴訟の可否を確認する
訴えられた側:退去強制手続の対象になった本人なら、1. まず在留特別許可の余地を争いつつ、並行して送還先の希望を53条2項各号に当てはめて特定する2. 希望国が受入れに同意する見込み(親族の居住、在留資格、招へい状)を資料で裏付ける3. 特別審理官の判定に不服なら3日以内に法務大臣へ異議を申し出る(49条1項)、この期限は極端に短い4. 収容が長期化する場合は仮放免・監理措置の申請を並行して進め、送還先の交渉時間を確保する
時効(請求できる期限):特別審理官の判定に対する法務大臣への異議の申出は、通知を受けた日から3日以内(出入国管理及び難民認定法49条1項)。退去強制令書発付処分の取消訴訟は、処分を知った日から6か月、処分の日から1年(行政事件訴訟法14条)。執行は令書発付後いつでも可能なため、実務上の真の期限は訴訟の出訴期間ではなく「次の送還便がいつか」であり、執行停止の申立てをどれだけ早く出せるかが勝負になる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
条約整合説:3項1号の大臣認定による例外は、難民条約33条2項が国の安全や重大犯罪を理由とする送還禁止の例外を認めていることに対応しており、条約上の枠内にあるとする見解。
条約抵触懸念説:例外の要件である「日本国の利益又は公安を著しく害する」は33条2項より広く解釈される余地があり、運用によっては国際法上の義務に反するおそれがあるとして、厳格な解釈と司法審査を求める見解。
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)6月施行 3項1号に「法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除く」との括弧書きを追加し、迫害のおそれのある国への送還禁止に国内法上の例外を設けた
- 拷問等禁止条約・強制失踪条約への対応改正(年次は要検証) 3項に拷問及び他の残虐な取扱い等に関する条約3条1項の国、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約16条1項の国を送還先から除外する号が置かれた。追加時期と改正法の特定は人的検証が必要
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 改正:3項1号に「法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除く」との括弧書きを追加。令和6年(2024年)6月10日施行。
- 出入国管理及び難民認定法 第24条退去強制事由、本条の適用前提
- 出入国管理及び難民認定法 第49条法務大臣への異議の申出、3日の期限
- 出入国管理及び難民認定法 第52条退去強制令書の執行、送還の実行手続
- 出入国管理及び難民認定法 第54条仮放免、送還までの身柄処遇
- 出入国管理及び難民認定法 第61条の2の9難民認定申請中の送還停止効とその例外(現行効力を要確認)
- 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法 第22条特別永住者の退去強制事由を限定する特則(現行効力を要確認)
- 行政事件訴訟法 第14条令書取消訴訟の出訴期間の制限
- 行政事件訴訟法 第25条送還執行の停止を求める申立ての根拠
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