出入国管理及び難民認定法 第74条の3
クイックジャンプ
第七十四条第一項若しくは第二項又は前条の罪を犯す目的で、その用に供する船舶等を準備した者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。情を知つて、その用に供する船舶等を提供した者も、同様とする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第74条の3は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の3の条文原文は「第七十四条第一項若しくは第二項又は前条の罪を犯す目的で、その用に供する船舶等を準備した者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の3は第九章 罰則に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の3の前の条は出入国管理及び難民認定法第74条の2です。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の3の次の条は出入国管理及び難民認定法第74条の4です。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第74条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第74条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/74_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点入管法74条の3は、集団密航や集団密航者の輸送を目的に船舶等を準備した者と、情を知って提供した者を、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処すると定める。
Q · 密航に使われると分かっていて船を貸したら、犯罪になるの?
なる。知って提供すれば2年以下の拘禁刑又は罰金
出入国管理及び難民認定法74条の3後段により、集団密航や集団密航者の輸送に使われることを知りながら船舶等を提供した者は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されます。密航が実行されていなくても準備・提供の時点で成立します。「情を知つて」には未必の故意も含まれうるため、「使われるかもしれないが構わない」と考えて貸した場合も処罰対象となりえます。
解説
漁船や小型クルーザーを一隻、誰かのために手配した。その時点で、まだ誰も日本の領海に入っていなくても、あなたは犯罪者になりうる。入管法74条の3は「船を準備しただけ」「船を提供しただけ」を独立した犯罪にしている。集団密航を実行する必要はない、外国人が一人も上陸しなくてよい、未遂ですらなく、準備の段階で二年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金が待っている。さらに恐ろしいのは後段だ。「情を知つて、その用に供する船舶等を提供した者」も同じ刑になる。つまり、船を貸した側、名義を貸した側、チャーター契約を結んだ側も同罪になる。あなたがマリーナ業者で、素性の怪しい客に「夜間だけ使いたい」と言われて船を貸したとする。その客の目的を薄々察していたなら、あなたはもう「情を知つて」の側だ。船舶等の「等」には航空機も含まれる。プライベートジェットの手配、ヘリの傭船、すべて射程内である。
法的な位置づけ
出入国管理及び難民認定法74条の3は、集団密航に係る不法入国・上陸罪(74条1項・2項)又は集団密航者輸送罪(74条の2)の目的で船舶等を準備する行為、及び情を知ってその用に供する船舶等を提供する行為を、実行の着手前の段階で独立に処罰する規定である。船舶等には同法2条3号により航空機が含まれる。
よくある質問 AI による整理
Q1入管法74条の3とは?
集団密航や集団密航者の輸送に使う船舶等を準備し、又は情を知って提供する行為を処罰する規定です。法定刑は2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。
Q2密航 船 準備 罪 刑罰は?
2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。2025年6月の刑法改正施行により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されました。
Q3密航に使われた船の持ち主は罪になる?
密航目的を知らずに貸した所有者は本条では処罰されません。目的を知り、又はその可能性を認識しつつ容認して提供した場合に限り、後段の提供罪が成立しえます。
Q4入管法の「船舶等」に飛行機は含まれる?
含まれます。入管法2条3号は「船舶等」を本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機と定義しており、航空機の手配・提供も本条の対象になりえます。
Q5集団密航とは何人から?
入管法74条1項は、上陸許可を受けずに、又は不正手段で許可を受けて上陸する目的を持つ「集合した外国人」を集団密航者としています。条文上に人数の明示はありません。
Q6密航の準備罪 時効はいつまで?
法定刑の長期が2年のため、公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。犯人が国外にいる期間は時効が停止します(同255条)。
Q7会社の船が密航に使われたら会社も処罰される?
入管法76条の2の両罰規定により、従業員等が業務に関して本条の罪を犯した場合、行為者のほか法人にも罰金刑が科されうります。
Q8密航の準備罪は未遂でも処罰される?
本条はそもそも実行前の準備行為そのものを処罰する規定で、準備・提供が完了した時点で成立します。密航が実行されたかどうかは成立に影響しません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1船を売っただけなのに、なんで犯罪になるんですか?
純粋な売買なら罪にはなりません。分かれ目は74条の3後段の「情を知つて」です。買い手が集団密航に使うと知りながら、あるいはその可能性を認識しながら引き渡せば、提供者として処罰されます。実務のポイント:捜査機関は売買契約書そのものより、価格が相場からどれだけ乖離しているか、代金が現金一括か、名義人と実際の交渉相手が一致しているかを見ます。この三点が揃うと、書類が整っていても故意を推認される
Q2未必の故意って、結局どこからがアウトなんですか?
「密航に使われるかもしれない」と思い、それでも構わないと考えて引き渡せばアウトです。逆に、疑いを持ったうえで確認し、相手の説明を信じた合理的根拠があれば、故意が否定される余地があります。実務のポイント:実務上、この区別は解釈が分かれる領域です。確認した事実を記録に残した事業者と、口頭で確認しただけの事業者とでは、同じ心理状態でも結論が変わる。確認したという行為そのものより、確認の記録が残っているかどうかが勝負を分ける
Q3自分が準備した船が結局使われなかったら、不起訴になりますか?
使われなかったことは成立要件に影響しません。この条文は準備・提供の時点で完成する独立した処罰類型だからです。ただし結果が発生していないことは、起訴猶予の判断や量刑では有利な事情として考慮されます。実務のポイント:この種の事件は前段の74条(集団密航者を輸送する罪など)の捜査に付随して摘発されるケースが多い。本体事件の立証が難しいとき、捜査機関は立証が容易なこちらで身柄を取り、本体の供述を引き出す入口として使うことがある
間違えやすい点 AI による整理
- 「実際に密航が成功しなければ罪にならない」と考える人が多いが、前提が逆である。この条文は既遂・未遂とは別系統の独立した予備罪型の処罰規定で、船舶等を準備した時点で完成する。密航者が一人も乗っていなくても、出航していなくても、成立しうる
- 「船を貸しただけだから自分は脇役」という認識は、刑の軽重を誤解している。後段の提供者は前段の準備者と同じ法定刑(二年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金)である。主犯と従犯の関係ではなく、条文上は横並びの独立した処罰対象として置かれている
- 「情を知つて」を「確実に知っていた」ことだと読む人が多いが、刑法上の故意には未必の故意が含まれる。「密航に使われるかもしれないが、それでも構わない」と考えて貸せば、その認識で足りる。あなたの主観では『確信はなかった』でも、法律から見れば故意ありと評価されうる。この落差が、善意のつもりだった事業者を有罪にする
- 船舶だけの話だと思われがちだが、条文は「船舶等」と書いている。入管法上、この「等」は航空機を含む。小型機、ヘリコプター、その傭機手配も同じ射程に入る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰する段階 | 入管法74条の3:実行前の船舶等の準備・提供 | 入管法74条:集団密航者を本邦に入らせ、又は上陸させる行為 入管法74条の2:集団密航者の輸送行為 |
| 法定刑 | 2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 5年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(営利目的は加重) 条文で要確認(営利目的は加重) |
| 主観的要件 | 前段は目的犯、後段は「情を知つて」(故意) | 集団密航者であることの認識 集団密航者であることの認識 |
| 関与者の典型 | 船・航空機を手配、売却、貸与する者 | 密航を支配・管理する者 運送を担う船長・運航者等 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は不法入境の媒介・運送を処罰し、中国大陸からの密航には両岸条例が別途適用される二本立て構造。
組織と運送を別罪とし、刑の上限は日本より大幅に重い。
外国人の密入国幇助を正犯並みに処罰し、営利性・組織性で加重する。
不法入国者の搬入・運送・蔵匿を包括的に処罰し、船舶等の没収規定も持つ。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 九州の小さな造船所に、現金一括で中古漁船を買いたいという客が来た。登録名義は別人、引き渡しは深夜、行き先は聞くなと言う。この時点で売っただけなら通常は罪にならないが、目的を察して協力を続ければ「情を知つて提供した者」に転じる。分水嶺は所有権の移転ではなく、あなたの認識の中身にある
- もし、知人から「釣り船を一晩だけ貸してくれ、燃料は満タンにして返す」と頼まれて貸したあと、その船が密航に使われていたと報道で知ったら? あなたが何も知らなかったなら不可罰。だが捜査機関は通話履歴、送金記録、事前のやり取りを全部洗う。「知らなかった」の証明はあなた側の防御になる
- 海運会社の運航管理者として、不自然なチャーター依頼を受けた。乗客名簿がない、寄港地が曖昧、支払いが第三国経由。断らずに船を出せば、組織的な集団密航(74条)の準備行為としてこの条文が適用されうる。会社は入管法の両罰規定(76条の2)で法人としても処罰される
- 捜索差押許可状が出て、船舶の購入契約書とあなたの LINE 履歴が押収された。あと数日で任意聴取の呼び出しが来る。この段階で最も効くのは、いつ何を認識していたかを時系列で整理することだ。故意の立証は客観状況の積み上げで行われるため、記憶が曖昧なまま供述すると後から覆せない
- 海上保安庁の巡視船が洋上で不審船を停船させ、乗組員から「日本に運ぶ予定だった」という供述が出た。密航者がまだ一人も乗っていない空船でも、この条文は成立する。結果が発生していないことは、あなたの無罪を意味しない
取るべき行動
被害を受けた側:船舶や航空機を無断で使用されたり、名義を勝手に使われた所有者の立場であれば、1. 発覚した時点で直ちに海上保安庁または警察へ被害申告、無断使用の記録を残す2. 貸与契約・鍵の管理記録・GPS や AIS の航跡データを保全、自己の認識がなかったことを裏付ける客観資料にする3. 船舶保険・船体保険の約款を確認、違法行為使用時の免責条項の有無を確認4. 捜査機関から参考人として聴取される可能性が高いため、事前に弁護人へ相談し、時系列を整理してから臨む
訴えられた側:1. 逮捕・聴取の段階で最優先は黙秘権の行使と弁護人の選任、当番弁護士制度は初回無料2. 争点は「情を知つて」の有無に集中する。取引の経緯、相手とのやり取り、代金の性質、断ろうとした形跡を弁護人と時系列で整理3. 通常業務としての船舶売買・傭船であったことを示す社内記録、過去の同種取引との比較資料を揃える4. 法人が関与する場合は両罰規定(入管法76条の2)で会社自体も罰金の対象になりうるため、会社側弁護人と個人弁護人の利益相反に注意する
時効(請求できる期限):法定刑の上限が拘禁刑二年であるため、公訴時効は三年(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は犯罪行為が終わった時、すなわち船舶等の準備または提供が完了した時点。共犯者が逮捕された場合や国外にいた期間は時効が停止する場合がある(刑事訴訟法255条)。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は集団密航罪及び輸送罪の予備行為を独立に処罰する規定であり、実行の着手や結果発生を要しない。後段の「情を知つて」には未必の故意も含まれると解する余地がある。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:集団密航事件の多発を受けた入管法改正により、集団密航者の不法入国・輸送等の罪とともに本条が新設された。
- 2.令和7年(2025年) 改正:刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)の施行により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める