国民健康保険法 第111条の3(報告及び検査)
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- 厚生労働大臣は、前条第五項及び第六項の規定による措置に関し必要があると認めるときは、その必要と認められる範囲内において、同条第三項若しくは第四項の規定に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者に対し、必要な事項に関し報告を求め、又は当該職員に当該者の事務所若しくは事業所に立ち入つて質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 2.第四十五条の二第二項の規定は、前項の規定による質問又は検査について、同条第三項の規定は、前項の規定による権限について、それぞれ準用する。
この条文の基本情報
報告及び検査とは何ですか?
定義報告及び検査とは、国民健康保険法第111条の3に定められた規定で、「厚生労働大臣は、前条第五項及び第六項の規定による措置に関し必要があると認めるときは、その必要と認められる範囲内において、同条第三項若しくは第四項の規定に違反して…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第111条の3(報告及び検査)は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第111条の3の条文原文は「厚生労働大臣は、前条第五項及び第六項の規定による措置に関し必要があると認めるときは、その必要と認められる範囲内において、同条第三項若しくは第四項の規定に違反して…」で始まります。
- 国民健康保険法第111条の3は第十一章に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第111条の3の前の条は国民健康保険法第111条の2です。
- 国民健康保険法第111条の3の次の条は国民健康保険法第112条です。
- 国民健康保険法第111条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第111条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第111条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/111_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法111条の3は、違反の相当の理由がある者に対し、必要と認められる範囲内で報告徴収と立入検査ができると定める。この権限は犯罪捜査のために用いることができない。
Q · 厚労省の職員が来て「帳簿を見せてください」と言われたら、全部出さないといけないの?
相当の理由と必要な範囲、この二つの縛りの中でしか求められない
国民健康保険法111条の3により、厚生労働大臣は報告徴収と立入検査ができます。ただし対象は同法111条の2第三項・第四項に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者に限られ、権限行使も同条第五項・第六項の措置に必要と認められる範囲内に限定されます。第二項が第四十五条の二第二項・第三項を準用するため、職員は請求があれば身分証明書を提示しなければならず、この権限を犯罪捜査のために用いることもできません。事務所にある全資料の提出を当然に求められる条文ではありません。
解説
厚生労働省の職員が事務所に来て「帳簿書類を見せてください」と言う。多くの人はその場で全部差し出す。だが本条を読むと、その検査は二重の縛りの中でしか動けないことが分かる。第一に、対象は「前条第三項若しくは第四項の規定に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者」に限られる。漠然とした疑いや匿名の通報だけでは、条文上の入口に立てない。第二に、権限は「その必要と認められる範囲内において」しか行使できない。前条第五項・第六項の措置に必要な範囲を超えた資料要求は、条文の授権の外だ。さらに第二項で第四十五条の二第三項が準用され、この権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはならないとされる。行政調査と刑事捜査は、条文上きっちり分けられている。知らずに全部出す日と、根拠条項を確認してから範囲を切って出す日とでは、同じ検査が別の意味を持つ。
法的な位置づけ
国民健康保険法第111条の3は、厚生労働大臣による報告徴収及び立入検査の権限を定める行政調査規定である。発動要件は同法第111条の2第三項又は第四項に違反していると認めるに足りる相当の理由があることに限られ、権限行使も同条第五項・第六項の措置に必要と認められる範囲内に限定される。第二項の準用により、当該権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.入室時に身分証明書の提示を請求する 第二項が第四十五条の二第二項を準用するため、関係人の請求があれば職員は身分を示す証明書を提示しなければならない。所属・氏名・提示を求めた時刻をその場でメモに残す。請求しなければ提示されないまま進むこともある
- 2.根拠条項と「相当の理由」を口頭で確認する 「111条の2第三項・第四項のどの義務について、どのような相当の理由があるのか」を確認し、回答をそのまま書き取る。範囲の確認を求めることは妨害ではなく、条文が予定した手続である
- 3.求められた事項と資料の対応表を作る 求められているのは「必要な事項」であって事務所の全資料ではない。求められた事項ごとに該当資料を対応づけた一覧を作り、範囲外の資料を同じ箱に入れない。提出物は控えを取ってから渡す
- 4.質問への回答は記憶で断定しない その場で答えられない事項は沈黙で押し通さず、「確認のうえ書面で回答します」と明示する。記録に残る意味がまったく異なり、後日の事実誤認の主張がしやすくなる
- 5.措置の書面が来たら争う土俵を確認する 111条の2第五項・第六項の措置が書面で示されたら、名宛人・根拠条項・理由の記載を確認する。不利益処分なら行政手続法13条の聴聞・弁明、その後は審査請求(3か月)と取消訴訟(6か月)を期間内に検討する
よくある質問 AI による整理
Q1国民健康保険法111条の3とは何ですか?
厚生労働大臣の報告徴収と立入検査の権限を定めた条文です。111条の2第五項・第六項の措置に必要な範囲でのみ行使でき、対象も違反の相当の理由がある者に限られます。
Q2厚労省の立入検査は断れますか?
実力で扉を開ける強制調査ではありませんが、拒否・妨害・虚偽報告には不利益が結びつく構造です。実務上は「断れるが、断った事実が記録に残る」調査と理解するのが正確です。
Q3報告徴収と立入検査は何が違いますか?
報告徴収は必要な事項について文書等で回答を求めるもの、立入検査は職員が事務所・事業所に入って質問し帳簿書類を検査するものです。111条の3第一項は両方を並列で定めています。
Q4どんな場合に立入検査の対象になりますか?
111条の2第三項又は第四項の規定に違反していると認めるに足りる相当の理由がある場合です。漠然とした疑いや匿名通報だけでは条文上の入口に立てません。
Q5検査で出す資料の範囲はどこまでですか?
111条の2第五項・第六項の措置に必要と認められる範囲内です。その範囲を超えた資料要求は条文の授権の外であり、自発的に全資料を出す義務もありません。
Q6立入検査を受けたら処分が下りますか?
本条は事実を調べる権限にとどまります。不利益な効果が生じるのは111条の2第五項・第六項の措置の段階で、そこで初めて手続保障や不服申立ての土俵が開きます。
Q7行政調査に令状は必要ですか?
本条の検査に令状は要求されていません。憲法35条・38条の保障が行政手続に及ぶ範囲は、川崎民商事件(最大判昭和47年11月22日)以来の論点とされています。
Q8立入検査や措置に納得できないときは?
検査自体は事実行為で争いにくいため、措置の書面を待って聴聞・弁明の機会(行政手続法13条)、審査請求、取消訴訟で争うのが筋です。違法性は国家賠償でも問えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1厚労省の人が来たら、身分証明書って本当に見せてもらえるんですか?
見せてもらえる。本条第二項が第四十五条の二第二項を準用しており、職員は身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があれば提示しなければならない。裏を返せば「請求があれば」が条件で、黙っていると提示されないまま進むこともある。実務のポイント:提示を求めた事実と、証明書の所属・氏名を控えておくと、後から「誰のどの権限で行われた検査か」を特定できる。争う段階になったとき、これがあるかないかで話の組み立てが変わる。
Q2検査で聞かれたことに答えないと、あとで不利になりますか?
本条第二項は第四十五条の二第三項も準用し、この権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはならないと定める。行政調査と刑事捜査は条文上分けられている。もっとも、行政調査で得た資料が刑事手続でどう扱われるかは、実務上、解釈が分かれている(川崎民商事件・最大判昭和四七・一一・二二以来の論点)。実務のポイント:答えられない事項は沈黙で押し通さず「確認のうえ書面で回答します」と切る。記録に残る意味がまったく違う。
間違えやすい点 AI による整理
- 「任意調査だから断れるのか、強制調査だから断れないのか」という問いの立て方自体がずれている。本条の立入検査は、実力で扉をこじ開ける類の強制ではない。しかし拒否・妨害・虚偽の報告に不利益が結びつく構造で運用されており、実務では「断れるが、断った事実が残る」調査だと理解した方が正確だ。二者択一で考えると、その場で判断を誤る。
- あなたから見れば「協力すれば心証が良くなる」場面だが、条文から見れば、これは「必要と認められる範囲内」に限定された授権にすぎない。範囲外の資料を自発的に差し出すことは、協力ではなく、条文が想定していない情報の提供にあたる。この落差が、後の段階になって効いてくる。
- 「立入検査を受けたら、その場で処分が下る」と思われがちだが、本条はあくまで事実を調べるための権限だ。不利益な効果が生じるのは前条第五項・第六項の措置の段階であり、そこに至って初めて行政手続法上の手続保障や、行政不服審査・取消訴訟という争う土俵が開く。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 111条の3:報告徴収・立入検査という調査権限の授権 | 111条の2:調査が支える義務規定と是正措置の本体 45条の2:身分証明書の提示と犯罪捜査否定の共通ルール |
| 発動の前提 | 第三項・第四項違反と認めるに足りる相当の理由がある者 | 同条各項の義務に該当する者 本条第二項による準用を通じて適用 |
| 法的性質 | 事実行為(行政調査)、それ自体では不利益効果なし | 第五項・第六項の措置は不利益処分にあたりうる 権限行使の手続的枠づけ |
| 争う土俵 | 国家賠償・措置段階での範囲逸脱の主張 | 聴聞・弁明(行政手続法13条)、審査請求、取消訴訟 提示義務違反は検査の適法性の問題として主張 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も職権調査主義のもとで資料・文書の提出要求を認めるが、発動要件を条文上「相当の理由」として明示する形式は日本の社会保険法の定型文に特徴がある
韓国の国民健康保険法も保険者・要養機関等に対する報告徴収と関係書類の検査を定め、検査職員の証票提示を義務づける点で構造が近い
ドイツは社会保険者に対する監督官庁の監査として構成され、個別事業者への立入検査は SGB IV の事業主監査(Betriebsprüfung)体系に分かれる
米国は行政 subpoena と監査を中心とし、拒否には裁判所の履行命令(enforcement)を要する点で、日本の間接強制型の立入検査と構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、根拠条項を告げないまま検査官が書庫に入ろうとしたら? 本条は「必要と認められる範囲内において」としか授権していない。範囲の確認を求めることは、妨害ではない。
- 報告を求める文書が届き、提出期限まであと七日。社内の担当者は「全部出せば早く終わる」と言う。だが求められているのは「必要な事項」であって、事務所にある全資料ではない。七日の使い道は資料の全出しではなく、求められた事項と手元資料の対応表を一枚作ることだ。
- 取引先から「厚労省の立入検査が入った、どうすればいい」と夜に電話が来る。あなたが最初に聞き返すべきは、業務内容でも売上でもない。「提示された根拠条項は何番だったか」の一点だ。それが分かれば、相手が今どの段階にいて、この先どこまで進みうるかが読める。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 入室時に身分証明書の提示を請求し、所属・氏名を記録する(第二項が第四十五条の二第二項を準用)。2.「前条第三項・第四項のどの義務について、どのような相当の理由があるのか」を口頭で確認し、メモに残す。3. 求められた事項と提出資料の対応表を作り、範囲外の資料を同じ箱に入れない。4. 質問への回答は記憶で断定せず、確認のうえ書面で補う旨をその場で明示する。
訴えられた側:1. 前条第五項・第六項の措置が書面で示されたら、名宛人・根拠条項・理由の記載をまず確認する。2. その措置が不利益処分にあたるなら、行政手続法第十三条の聴聞または弁明の機会で、検査の範囲逸脱や事実誤認を正面から主張する。3. 覆らなければ審査請求(行政不服審査法第十八条)と取消訴訟(行政事件訴訟法第十四条)を期間内に検討する。4. 検査自体は事実行為で争いにくいため、違法を問うなら国家賠償の枠組みも併せて考える。
時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはなく、報告の提出期限は個別の求めで指定される。前条第五項・第六項の措置が行政処分にあたる場合、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から起算して三か月(行政不服審査法第十八条)、取消訴訟は処分を知った日から六か月、処分の日から一年(行政事件訴訟法第十四条)。
学説
通説:行政調査は行政目的の実現に必要な限度でのみ許され、発動要件と範囲の限定は権限濫用を防ぐ法的統制と理解される。犯罪捜査目的の否定規定は、行政調査を刑事手続の保障を迂回する手段に転化させない確認規定と位置づけられる。
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