国民健康保険法 第120条の2
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保険者の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者が、正当な理由なしに、国民健康保険事業に関して職務上知得した秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第120条の2は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第120条の2の条文原文は「保険者の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者が、正当な理由なしに、国民健康保険事業に関して職務上知得した秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は百万円以下…」で始まります。
- 国民健康保険法第120条の2は第十二章に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第120条の2の前の条は国民健康保険法第120条です。
- 国民健康保険法第120条の2の次の条は国民健康保険法第121条です。
- 国民健康保険法第120条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第120条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第120条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/120_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法120条の2は、保険者の役員・職員及び元職員が正当な理由なく国保事業で知った秘密を漏らした場合、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処すると定める。
Q · 市役所の国保担当者が私の病歴や滞納を他人に話したら、罪になりますか?
なります。懲戒ではなく刑事罰の対象です
国民健康保険法120条の2により、保険者の役員・職員またはこれらの職にあった者が、正当な理由なしに国保事業に関して職務上知得した秘密を漏らした場合、一年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金に処されます。行政内部の懲戒処分とは別に刑事責任が生じ、被害者は告訴できます。退職した元職員も条文上明示的に対象に含まれ、守秘義務に期限はありません。書類を持ち出さず口頭で話しただけでも「漏らした」に当たります。
解説
市役所の国保窓口で、あなたは所得額、持病、通院歴、生活保護の受給歴、離婚後の世帯構成まで差し出している。書かないと保険証が出ないからだ。では、その紙を受け取った職員が、隣の課の同僚に「あの人、あんな病気なんだって」と話したらどうなるか。国民健康保険法120条の2は、保険者の役員・職員、そして既に辞めた元職員までを縛り、正当な理由なく国保事業で知った秘密を漏らせば1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定める。行政内部の懲戒処分ではない。刑罰である。警察が捜査し、検察が起訴し、前科がつく。しかもこの条文の射程は「在職中」で終わらない。退職して10年経った元職員が、同窓会の席であなたの滞納歴を話せば、その場で犯罪が成立する。あなたが窓口で差し出した情報には、退職後も切れない鎖が付いている。
法的な位置づけ
国民健康保険法120条の2は、国民健康保険事業に係る守秘義務違反の罰則を定める規定である。名宛人は保険者の役員・職員及びこれらの職にあった者であり、正当な理由なしに職務上知得した秘密を漏らす行為を構成要件とし、法定刑は一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金である。
よくある質問 AI による整理
Q1国民健康保険法120条の2とは何ですか?
国保事業の守秘義務違反に刑事罰を科す規定です。保険者の役員・職員・元職員が正当な理由なく職務上知得した秘密を漏らすと、一年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金となります。
Q2市役所の職員が個人情報を漏らしたら罰則はありますか?
国保事業に関する秘密なら本条により刑事罰の対象です。地方公務員法34条の守秘義務違反(同法60条)とは別に、国保固有の罰則が用意されています。
Q3国保の守秘義務違反は時効何年ですか?
法定刑の上限が拘禁刑一年のため公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項)。起算点は漏えい行為の時点で、被害者が気付いた時点ではありません。
Q4「正当な理由」とはどんな場合ですか?
法令に基づく照会や本人同意など、法的根拠のある情報提供が典型です。刑事訴訟法197条2項の捜査関係事項照会や、他制度との法定の情報連携が該当しうると解されています。
Q5退職した職員も守秘義務違反で罰せられますか?
罰せられます。条文が「これらの職にあつた者」を明示しており、退職後に漏らせばその時点で犯罪が成立します。守秘義務そのものに期限はありません。
Q6国保の情報漏えいを疑ったら誰に相談すればいいですか?
まず保険者へ個人情報保護法に基づく開示請求とアクセスログ開示を行い、並行して保険者の長へ文書で調査を求めます。出所が特定できれば警察への告訴と弁護士相談を検討します。
Q7口頭で話しただけでも漏えいになりますか?
なります。問われるのは情報の移転であり物の移動ではありません。会話、SNS の匂わせ、家族への愚痴も「漏らした」に含まれます。
Q8国保組合の理事にもこの罰則は適用されますか?
適用されます。条文の名宛人は「保険者の役員若しくは職員」であり、市町村職員だけでなく国保組合の役員も含まれます。退任後も同じです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1市役所の人が近所で私の保険料の滞納の話をしていたらしいんですが、訴えられますか?
職務上知り得た秘密の漏えいに当たれば本条の対象で、告訴が可能である。滞納の事実は他人に知られたくない私生活上の情報として保護される。実務のポイント:警察は伝聞だけでは動きにくいため、聞かされた第三者に『誰からいつ聞いたか』を書面で残してもらうのが実務上の分水嶺になる。この一枚があるかないかで、受理されるか相談止まりかが決まる
Q2退職した元職員なら、もう話しても大丈夫ですよね?
大丈夫ではない。本条は『これらの職にあつた者』と明記しており、退職者も名指しで対象に含めている。守秘義務に期限はなく、退職後に漏らせばその時点で犯罪が成立する。実務のポイント:退職時の誓約書は組織内の懲戒や損害賠償の根拠にすぎない。誓約書にサインしていなくても本条の刑事責任は変わらない。『署名していないから自由』という理解は逆で、法律の方が先に縛っている
Q3警察から照会が来たら断れないんじゃないですか?
刑事訴訟法197条2項の捜査関係事項照会は『正当な理由』になりうるが、無条件の義務ではない。回答範囲は照会の必要性に見合う限度にとどめるべきというのが実務の考え方であり、この点は解釈が分かれている。実務のポイント:口頭照会に即答するのが最も危険である。書面を求め、決裁を経て回答した記録を残す。後から問題化したとき、組織は個人の判断だったと主張しうるので、決裁記録が自分を守る唯一の盾になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「役所が個人情報を漏らしても、せいぜい謝罪と再発防止策だろう」と多くの人が受け止めている。守秘義務違反が行政処分(役所が職員に下す懲戒)で終わると思い込んでいるのだ。だが本条は刑罰規定であり、被害者は告訴でき、有罪なら前科がつく。行政のミスと刑事事件は別レイヤーにある
- 守秘義務は「在職中の職員」だけの話だと理解されているが、条文は『これらの職にあつた者』を明示的に含む。退職から何年経っていようと、守秘義務そのものに期限はない。時効が走るのは『漏らした行為の時点』からであって、退職時点からではない
- 「漏らす」を『書類を持ち出す』『データをコピーする』と狭く捉える人が多い。しかし問われているのは情報の移転であって物の移動ではない。口頭で話す、SNS に匂わせる、家族に愚痴る、これらすべてが『漏らす』に含まれる。紙もデータも持ち出していないという弁解は、構成要件の理解を取り違えている
- あなたから見れば「自分の情報を自分の親族に教えてもらっただけ」でも、法律から見れば本人以外の第三者への漏えいである。成人した子が親の国保情報を職員から聞き出すのは、委任状なしなら本人の秘密の漏えいになりうる。この認識の落差が、善意の職員を被疑者にする
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 名宛人 | 国保法120条の2:保険者の役員・職員及び元職員 | 地方公務員法34条:地方公務員及び元職員 刑法134条:医師・薬剤師・弁護士等の職業人 |
| 保護対象 | 国民健康保険事業に関して職務上知得した秘密 | 職務上知り得たすべての秘密 業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密 |
| 法定刑 | 一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金 | 一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金(地公法60条) 六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金 |
| 阻却事由 | 正当な理由(法令照会・本人同意等) | 法令による証人・鑑定人としての陳述等 正当な理由(親告罪、刑法135条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も保険人員の秘密漏えいに刑事罰を置く。全民健保は単一保険者(中央健康保険署)体制のため、名宛人の範囲が日本の市町村・国保組合より集中している
韓国も国民健康保険公団の役職員及び元役職員の秘密漏えいを処罰対象とする。単一保険者である公団に集中する点が日本と異なる
ドイツは社会保障法典に「社会秘密」概念を置き、刑法203条2項で公務員等の私的秘密侵害を処罰する。一般法と社会法の二層構造で日本より体系化されている
米国は公的保険者に限らず医療情報を扱う対象事業者全般を規律する。営利目的での不正開示には加重刑が科され、法定刑は日本より著しく重い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 同じ町内の知人が市役所の国保担当をしている。ある日その人から「◯◯さんち、保険料ずっと滞納してるみたいよ」と聞かされた。小さな町で情報が回ると、その世帯は買い物先でも学校でも居心地を失う。この一言は世間話ではなく、120条の2の構成要件そのものである
- 国保組合の理事を務めていたあなたが任期満了で退任した。数年後、地元の懇親会で組合員の医療費の話題になり、つい具体名を出してしまった。「もう役員じゃないから関係ない」は通用しない。本条は『これらの職にあつた者』と明記しており、退任後も刑事責任は残る
- もし、あなたの医療費通知や特定健診の結果が、保険者から民間の健康アプリ事業者に流れていたとしたら? 業務委託であれば正当な理由がありうるが、委託契約と個人情報保護法上の根拠を欠けば、担当職員の行為は本条に触れうる。まず情報開示請求で、誰にどの範囲を渡したかを確定させるところから始まる
- 警察から「あの人物の国保加入状況を教えてほしい」と電話が入った。応じてよいのか。刑事訴訟法197条2項の捜査関係事項照会は『正当な理由』になりうるが、電話一本の口頭照会に応じるのは危険である。書面照会を求めるかどうか、その場で判断を迫られる
- 元職員のあなたが、退職後に医療系スタートアップへ転職した。前職で見た被保険者のデータを記憶から書き起こして営業資料に使う。持ち出した紙が一枚もなくても、記憶の中の秘密を漏らせば本条の『漏らした』に当たる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 誰から、いつ、どの範囲の情報を聞いたかを、伝えてきた第三者の証言・LINE・録音で固定する。伝聞の出所が特定できないと立件は困難2. 保険者に個人情報保護法の開示請求と、自分の記録へのアクセスログの開示を請求3. 並行して保険者の長宛てに文書で事実関係の調査と回答を求める4. 出所が職員と特定できたら、警察への告訴と、民法709条・国家賠償法1条による損害賠償を検討。市町村が保険者なら賠償請求先は自治体になる
訴えられた側:1. まず『正当な理由』の有無を整理する。法令に基づく照会(刑事訴訟法197条2項、税務調査、他制度との情報連携)や本人同意があれば犯罪は成立しない2. その根拠となる文書、決裁記録、照会書を時系列で確保3. 情報の特定性を検証する。個人が識別できない一般的な話は『秘密』に当たらない可能性がある4. 懲戒手続と刑事手続は別々に進むため、弁護人を早期に入れ、懲戒での弁明内容が刑事で不利に使われないよう調整する
時効(請求できる期限):法定刑の上限が拘禁刑1年であるため、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)。起算点は漏えい行為の時点であり、被害者が気付いた時点ではない。民事の損害賠償は損害および加害者を知った時から3年(民法724条)。時効の走り方が刑事と民事で異なるため、気付いたら刑事側を先に確認すべきである
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