実用新案法 第19条(通常実施権)
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- 実用新案権者は、その実用新案権について他人に通常実施権を許諾することができる。
- 2.通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録実用新案の実施をする権利を有する。
- 3.特許法第七十三条第一項(共有)、第九十七条第三項(放棄)及び第九十九条(通常実施権の対抗力)の規定は、通常実施権に準用する。
この条文の基本情報
通常実施権とは何ですか?
定義通常実施権とは、実用新案法第19条に定められた規定で、「実用新案権者は、その実用新案権について他人に通常実施権を許諾することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 実用新案法第19条(通常実施権)は、日本の実用新案法に含まれる条文です。
- 実用新案法第19条の条文原文は「実用新案権者は、その実用新案権について他人に通常実施権を許諾することができる。」で始まります。
- 実用新案法第19条は第一節 実用新案権に置かれています。
- 実用新案法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 実用新案法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 実用新案法第19条の前の条は実用新案法第18条です。
- 実用新案法第19条の次の条は実用新案法第20条です。
- 実用新案法第19条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第19条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000123 - 本サイト収録
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第19条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000123/19
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点実用新案法19条は、実用新案権者が他人に通常実施権を許諾でき、許諾を受けた者が定められた範囲内で業として実施する権利を持つと定める。非独占のため複数社に許諾できる。
Q · 実用新案のライセンス(通常実施権)って、特許庁に登録しないと守られないの?
原則、契約だけで成立し、2012年以降は登録なしでも対抗できる
実用新案法19条により、実用新案権者は他人に通常実施権を許諾でき、許諾を受けた者は設定行為で定めた範囲内で業として実施する権利を持ちます。非独占なので複数社に同時に許諾でき、権利者自身も実施を継続できます。さらに19条3項が準用する特許法99条(2012年4月施行の当然対抗制度)により、登録していなくても権利が第三者に譲渡された場合に新権利者へ実施権を主張できます。ただし許諾範囲を超えた実施は侵害になりうる点に注意が必要です。
解説
町工場が大手メーカーの登録実用新案を使って自社製品を作りたい。そのとき結ぶのが通常実施権の契約だ。実用新案法19条は、権利者が他人に通常実施権を許諾できること、そして許諾を受けた者が定められた範囲内で業としてその考案を実施する権利を持つことを定める。ここで知っておくべき決定的な事実が一つ。あなたが通常実施権者なら、契約しただけで足りる。かつては特許庁に登録しなければ、権利が第三者に売られたとき新しい権利者から「そんなライセンスは知らない、製造をやめろ」と言われる危険があった。だが2011年改正(2012年4月施行)で当然対抗制度が導入され、登録なしでも新権利者に実施権を主張できるようになった。19条3項が準用する特許法99条が、その盾だ。あなたの机の引き出しにある一枚の契約書が、権利譲渡の荒波からあなたの事業を守る。
法的な位置づけ
実用新案法19条は通常実施権を定める規定であり、実用新案権者が他人に非独占的な実施許諾を行えること、許諾を受けた者が設定行為で定めた範囲内で業として登録実用新案を実施する権利を有することを規定する。専用実施権(18条)と異なり、許諾後も権利者自身が実施を継続できる点に特徴がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.ライセンス前に実用新案技術評価書を請求する 実用新案は無審査で登録されるため、契約前に必ず実用新案法12条の技術評価書を請求し、新規性・進歩性の評価を確認する。評価が低い権利なら無効リスクが高く、ロイヤリティ交渉の材料になる
- 2.設定行為で実施範囲を明確に定める 契約書に実施の地域・数量・期間・分野を具体的に明記する。19条2項の「設定行為で定めた範囲」が境界線そのものであり、口頭や曖昧な記載では範囲外実施と判断され侵害者にされかねない
- 3.共有権利者全員の同意を確認する 実用新案権が共有の場合、19条3項が準用する特許法73条1項により、許諾には共有者全員の同意が必要。同意なき許諾は無効となりうるため、共有者全員の同意書を取得する
- 4.当然対抗を主張できる証拠を保全する 権利が第三者に譲渡され実施中止を求められたら、実施権の成立日が2012年4月以降であることを示す契約書・発注書・支払記録を保全し、内容証明で当然対抗による実施権を通知する
よくある質問 AI による整理
Q1通常実施権とは何ですか?
実用新案権者から許諾を受け、設定行為で定めた範囲内で業として登録実用新案を実施できる非独占的な権利です。実用新案法19条が根拠で、複数社が同時に許諾を受けられます。
Q2当然対抗制度とは何ですか?
通常実施権を登録していなくても、権利が第三者に譲渡された際に新権利者へ実施権を主張できる制度です。2012年4月施行で、19条3項が準用する特許法99条が根拠です。
Q3実用新案のライセンス料の相場はいくらですか?
法律で定額は決まっておらず、考案の価値・市場規模・独占性の有無で交渉により決まります。技術評価書の評価が低い権利ほど引き下げ交渉の余地があります。
Q4実用新案技術評価書はライセンス前に必要ですか?
義務ではありませんが、実用新案は無審査登録のため、12条の技術評価書で権利の有効性を確認するのが実務上の鉄則です。評価が低ければロイヤリティ交渉に使えます。
Q5通常実施権は登録できますか?
2012年4月以降は当然対抗制度の導入により登録対抗要件が廃止されたため、現在は登録なしでも第三者に対抗できます。古い契約のみ経過措置の確認が必要です。
Q6共有の実用新案権でライセンスするには全員の同意が必要ですか?
必要です。19条3項が準用する特許法73条1項により、共有者は他の共有者全員の同意がなければ通常実施権を許諾できません。
Q7通常実施権を他人に譲渡できますか?
原則として実用新案権者の承諾が必要です。契約で移転制限が定められていることが多く、事業譲渡や M&A の際は実施権の承継可否を必ず確認します。
Q8通常実施権の契約書はどう書けばよいですか?
実施の地域・数量・期間など「設定行為で定める範囲」を明記し、独占の有無、ロイヤリティ、契約解除事由を特定します。範囲が曖昧だと侵害リスクが残ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1実用新案のライセンスって、特許庁に登録しないとダメなんですか?
いいえ、2012年4月の当然対抗制度導入以降は、登録しなくても通常実施権は有効で、権利が第三者に譲渡されても新しい権利者に対抗できます(19条3項が準用する特許法99条)。実務のポイント:かつては登録が対抗要件でしたが、登録には費用と手間がかかり、中小企業はほとんど登録していなかった。改正前のライセンシーが権利譲渡で泣かされる事例が多発したのが当然対抗導入の背景。2012年3月以前の古い契約は経過措置の確認を
Q2通常実施権と専用実施権、どっちを取ればいいんですか?
市場を独占したいなら専用実施権(18条)、コストを抑えて使えればよいなら通常実施権です。専用実施権は登録が効力要件で、設定すると権利者自身すら実施できなくなるほど強力。通常実施権は非独占で、他社も同時に許諾されうる。実務のポイント:実務では「独占的通常実施権」という中間形態がよく使われる。形式は通常実施権だが、契約で「他社には許諾しない」と特約する。専用実施権の登録コストを避けつつ事実上の独占を得る賢い手
Q3実用新案権って、特許より弱いって本当ですか?
本当です。実用新案は無審査で登録されるため、新規性・進歩性が後から否定され無効になるリスクが特許より高い。権利行使には実用新案技術評価書(12条)の提示が事実上必要で、評価が低い権利で警告し相手に損害を与えれば賠償責任を負うこともあります。実務のポイント:ライセンスを受ける側は契約前に必ず技術評価書を確認すべき。評価が低い権利なら、ロイヤリティ交渉で強気に出られる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 通常実施権という言葉は知っていても、それが非独占である重みを理解していない人が多い。非独占とは、同じ考案を競合他社も同時にライセンスされうるということ。あなたが独占的に市場を取りたいなら、通常実施権では足りず、専用実施権(18条)か「他社には許諾しない」とする独占的通常実施権の特約が要る
- 「実用新案権のライセンスを受けたのだから、その技術は確実に守られている」と考えること自体が誤り。実用新案は無審査で登録される。権利が後から無効になる可能性が特許より高く、実用新案技術評価書(実用新案法12条)を取らずに権利行使すれば、相手に損害を与えたとき賠償を負うリスクすらある。ライセンスを受ける前に、その権利の中身を疑うべき
- あなたから見れば「口約束でも実施を許された」かもしれないが、19条2項は「設定行為で定めた範囲内」での権利と定める。口頭の許諾では範囲が不明確で、紛争時にあなたの実施が範囲外と判断されれば、許された側のはずが侵害者にされかねない。あなたの安心と、法廷での立証可能性には大きな落差がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 独占性 | 19条 通常実施権:非独占、複数社に許諾可、権利者も実施継続可 | 18条 専用実施権:独占、権利者すら実施不可になる 2条 実施:実施の定義(製造・使用・譲渡等) |
| 効力・対抗要件 | 契約で成立、2012年以降は登録なしで当然対抗(99条準用) | 設定登録が効力発生要件 — |
| 実施できる範囲 | 設定行為で定めた範囲内(地域・数量・期間) | 設定行為で定めた範囲内で独占的に実施 業としての実施全般を画定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は専利法で発明・新型・設計を一元規律し、非専属授權(通常実施権に相当)は登記が第三者対抗要件とされる点が日本の当然対抗と異なる
韓国も実用新案法が特許法の通常実施権規定を準用する構造。通常実施権の効力・範囲の考え方は日本と近い
ドイツは実用新案(Gebrauchsmuster)の license を特許の einfache Lizenz と並行的に扱い、単純ライセンスは原則として後の権利取得者に対抗できる(sukzessionsschutz)
米国に実用新案制度はなく、特許の非独占的ライセンスとして処理。ライセンスは契約法上の権利として扱われ、bona fide purchaser に対する対抗は登録(recording)の有無に左右される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの町工場が、ある登録実用新案の通常実施権を得て5年間製品を作ってきた。ある日、権利者が事業を畳んで権利を競合他社に売却。新権利者が「うちの権利だ、製造をやめろ」と通告してきた。だがあなたには当然対抗の盾がある。2012年4月以降に成立した実施権なら、登録していなくても新権利者に対抗でき、操業を続けられる
- あなたが個人発明家で、自分の登録実用新案を3社に通常実施権で許諾した。通常実施権は非独占だから、3社全部に許諾でき、しかもあなた自身も製造を続けられる。ここが専用実施権(18条)との決定的な違い。専用実施権を一度設定すると、権利者である自分すら実施できなくなる
- もし通常実施権の契約書に「実施の地域は関東のみ」「数量は年1万個まで」と書いてあったら? 19条2項の「設定行為で定めた範囲内」がそれだ。範囲を超えて実施すれば、それは実用新案権侵害になりうる。契約書の範囲条項は、飾りではなく境界線そのもの
- 権利者から「来月から実施権を解除する」と通告が来た。あと30日。契約上の解除事由が本当に存在するのか、一方的解除が有効なのか、今すぐ契約書と内容証明の準備を。実施権の喪失は事業の停止に直結する
- 共有の実用新案権。共有者の一人が勝手にあなたに通常実施権を許諾した。19条3項が準用する特許法73条1項により、共有者は他の共有者全員の同意がなければ実施権を許諾できない。その許諾、無効かもしれない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 新権利者から実施中止を求められたら、まず自分の通常実施権の成立日を確認。2012年4月以降なら登録なしでも当然対抗できる(19条3項が準用する特許法99条) 2. 契約書・発注書・支払記録など実施権の存在を示す証拠を保全3. 内容証明で「当然対抗により実施権を有する」旨を通知4. それでも妨害が続けば、実施権確認や差止請求への対抗を弁護士・弁理士と検討。実用新案技術評価書の要否も同時に確認
訴えられた側:1. 権利者から「許諾範囲を超えた実施だ」と侵害を主張されたら、契約書の「設定行為で定めた範囲」(19条2項)の文言を精査。範囲が曖昧なら、あなたに有利に解釈できる余地がある2. 共有権利者の一人から許諾を受けた場合、他の共有者全員の同意があったか確認(73条1項準用)。同意がなければ許諾自体に問題があり、責任の所在は権利者側3. 技術評価書なしの権利行使なら、相手の請求自体に過失の問題がある4. 早期の和解、または実施権の範囲を明確化する覚書の締結を検討
時効(請求できる期限):通常実施権そのものに特定の時効はないが、ライセンス契約に基づく報酬請求権など債権的請求は一般消滅時効(民法166条、権利を行使できると知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される。当然対抗の主張自体に期限はないが、実施権の存在を示す証拠は契約時から保全すべき
学説
通説:19条3項が準用する特許法99条により、通常実施権は登録なくして当然に対抗力を有する。許諾の効力は契約により発生し、設定行為で定めた範囲が実施権の物的・地域的限界を画する。共有の場合は他の共有者全員の同意を要する(73条1項準用)。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)特許法等改正、平成24年(2012年)4月1日施行 通常実施権の登録対抗制度を廃止し当然対抗制度を導入。19条3項が準用する特許法99条が、登録なしで実施権を第三者に対抗できる内容に改められた。これに伴い本項の準用条文の指定が見直された(新設か文言改正かを含め全改正履歴は人的検証が必要)
改正の年表
- 1.明治38年(1905年) 新設:実用新案法が制定され、ドイツの Gebrauchsmuster 制度を範に登録実用新案制度を導入。実施許諾の枠組みが整備された
- 2.平成5年(1993年) 改正:実体審査を経ない無審査登録主義へ移行。権利の安定性が特許より低くなり、権利行使に技術評価書の提示が事実上必要となった
- 3.平成23年(2011年) 改正:特許法等改正(平成24年・2012年4月1日施行)で通常実施権の登録対抗制度を廃止し当然対抗制度を導入。19条3項が準用する特許法99条が登録なしで対抗できる内容に改められた
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