要点実用新案法 23 条は、登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要なとき、協議不成立を条件に経済産業大臣の裁定で通常実施権を設定できると定める。発動例はほぼない。
Q · 公共の利益のためなら、他人が登録した実用新案を勝手に使えるの?
勝手には使えない。協議と裁定を経て対価を払えば実施できる
実用新案法 23 条により、登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要なときは、実施希望者はまず権利者に通常実施権の協議を求めます(1 項)。協議が成立せず、または協議できないときは、経済産業大臣に裁定を請求できます(2 項)。裁定が下りれば、権利者の同意がなくても相当の対価を払って実施できます。ただし発動のハードルは極めて高く、戦後ほぼ例がありません。
他人が登録した実用新案は、その権利者が首を縦に振らない限り誰も手を出せない。多くの人はそう思っている。だが実用新案法23条は、その独占に社会が割って入るための細い非常口を一本だけ開けている。登録実用新案の実施が「公共の利益のため特に必要」であるとき、その技術を使いたい者は、まず権利者に通常実施権の協議を求められる(1項)。協議がまとまらない、あるいはそもそも協議に応じてもらえないなら、経済産業大臣に裁定を請求できる(2項)。裁定が下りれば、権利者の同意がなくても、相当の対価を払って実施できる。災害時の医療器具、公衆衛生に不可欠な物資、その「構造」が一社に握られて供給が止まったとき、この条文は社会の側の盾になる。ただし発動のハードルは極めて高く、戦後ほぼ使われたことがない。
実用新案法 23 条は公益裁定による通常実施権の規定であり、登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要である場合に、実施希望者が権利者に協議を求め、協議が成立しないときは経済産業大臣の裁定を通じて相当の対価のもとで通常実施権の設定を受けられる仕組みを定める。特許法 93 条と並行する公益的強制実施の制度である。
AI 輔助整理,以條文原文為準
公共の利益などのために権利者の同意がなくても、裁定を経て対価を払い登録実用新案を実施できる制度です。実用新案法 23 条が公益型の根拠で、設定されるのは非独占の通常実施権です。
経済産業大臣に請求します(23 条 2 項)。手続は特許法 84 条以下が準用され、審議会の意見聴取を経て対価とともに裁定が下されます。権利者には答弁書提出の機会があります。
特許・実用新案を通じて戦後ほぼ発動例がありません。要件が極めて厳しいためで、実務上の価値は裁定そのものより『請求できるカードを持つ』という交渉圧力にあります。
相当の対価(実施料)を権利者に支払う必要があり、その額も裁定で定められます(特許法 86 条準用)。無償ではなく、額に不服があれば訴訟で争えます。
協議が成立せず、または協議できないとき、相手は次段階の裁定請求へ進めます(23 条 2 項)。申入れの無視は裁定請求の引き金になるため、対価条件を含め真摯な対応が安全です。
争えます。答弁書で『公共の利益のため特に必要』の要件充足を正面から争え(特許法 84 条準用)、対価額の裁定に不服なら訴訟で争えます(特許法 91 条の 2 準用)。
枠組みは並行しており、実用新案法 23 条は特許法 84〜91 条の 2 を準用します。対象が考案(小発明・物品の構造等)であり、無審査登録のため権利の安定性が低い点が実務上の違いです。
通常実施権は非独占で複数人に許諾でき権利者も実施を続けられます。専用実施権は独占的で設定範囲では権利者も実施できません。23 条で設定されるのは通常実施権です。
災害対応、公衆衛生、国民生活に直結する供給確保など、社会全体の利益が個人の独占を上回ると言える極めて高いレベルが要求されます(23条1項)。「安く使いたい」「自社のビジネスに便利」程度では到底足りません。業界裏話ヒント:この公益裁定は特許でも実用新案でも戦後ほぼ発動例がなく、実際に裁定まで至った例は数えるほど。だからこそ実務上の真価は、勝つことより「請求できるカードを持っている」という交渉圧力の側にある
いいえ。設定されるのは通常実施権であって、相当の対価(実施料)を権利者に支払う必要があります(特許法86条準用)。対価の額も裁定で定められます。業界裏話ヒント:対価に不服があれば訴訟で争える一方(特許法91条の2準用)、裁定そのものの取消しは行政訴訟の対象になる。請求側も権利者側も、必要性の有無で決着がつくと実質は「対価をいくらにするか」が本当の主戦場になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 裁定の趣旨 | 実用新案法 23 条:公共の利益のための公益裁定 | — |
| 発動の前提 | 公共の利益のため特に必要 + 協議不成立 | — |
| 裁定機関 | 経済産業大臣 | — |
| 効果 | 相当の対価を伴う通常実施権の強制設定(独占権は存続) | — |
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