受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

実用新案法 第23条(公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)

クイックジャンプ
  1. 登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その登録実用新案の実施をしようとする者は、実用新案権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
  2. 2.前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その登録実用新案の実施をしようとする者は、経済産業大臣の裁定を請求することができる。
  3. 3.特許法第八十四条、第八十四条の二、第八十五条第一項及び第八十六条から第九十一条の二まで(裁定の手続等)の規定は、前項の裁定に準用する。

この条文の基本情報

公共の利益のための通常実施権の設定の裁定とは何ですか?

定義公共の利益のための通常実施権の設定の裁定とは、実用新案法第23条に定められた規定で、「登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その登録実用新案の実施をしようとする者は、実用新案権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 実用新案法第23条(公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)は、日本の実用新案法に含まれる条文です。
  2. 実用新案法第23条の条文原文は「登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その登録実用新案の実施をしようとする者は、実用新案権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協…」で始まります。
  3. 実用新案法第23条は第一節 実用新案権に置かれています。
  4. 実用新案法の公布日は昭和34年4月13日です。
  5. 実用新案法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 実用新案法第23条の前の条は実用新案法第22条です。
  7. 実用新案法第23条の次の条は実用新案法第24条です。
  8. 実用新案法第23条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第23条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000123
  • 本サイト収録実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第23条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000123/23

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点実用新案法23条は、登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要なとき、協議不成立を条件に経済産業大臣の裁定で通常実施権を設定できると定める。発動例はほぼない。

Q · 公共の利益のためなら、他人が登録した実用新案を勝手に使えるの?

勝手には使えない。協議と裁定を経て対価を払えば実施できる

実用新案法23条により、登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要なときは、実施希望者はまず権利者に通常実施権の協議を求めます(1項)。協議が成立せず、または協議できないときは、経済産業大臣に裁定を請求できます(2項)。裁定が下りれば、権利者の同意がなくても相当の対価を払って実施できます。ただし発動のハードルは極めて高く、戦後ほぼ例がありません。

解説

他人が登録した実用新案は、その権利者が首を縦に振らない限り誰も手を出せない。多くの人はそう思っている。だが実用新案法23条は、その独占に社会が割って入るための細い非常口を一本だけ開けている。登録実用新案の実施が「公共の利益のため特に必要」であるとき、その技術を使いたい者は、まず権利者に通常実施権の協議を求められる(1項)。協議がまとまらない、あるいはそもそも協議に応じてもらえないなら、経済産業大臣に裁定を請求できる(2項)。裁定が下りれば、権利者の同意がなくても、相当の対価を払って実施できる。災害時の医療器具、公衆衛生に不可欠な物資、その「構造」が一社に握られて供給が止まったとき、この条文は社会の側の盾になる。ただし発動のハードルは極めて高く、戦後ほぼ使われたことがない。

法的な位置づけ

実用新案法23条は公益裁定による通常実施権の規定であり、登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要である場合に、実施希望者が権利者に協議を求め、協議が成立しないときは経済産業大臣の裁定を通じて相当の対価のもとで通常実施権の設定を受けられる仕組みを定める。特許法93条と並行する公益的強制実施の制度である。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.「公共の利益のため特に必要」を裏づける資料を固める 供給逼迫の実態、代替手段の不存在、社会的需要の切迫性を客観資料で固める。災害対応・公衆衛生・国民生活への直結性を示せるかが発動可能性を左右する
  2. 2.権利者に通常実施権の協議を書面で申し入れる 実用新案権者または専用実施権者に対し、対価条件を含めて書面で協議を申し入れる(23条1項)。送達記録と応答記録を必ず残し、後の裁定請求の前提を整える
  3. 3.協議不成立・協議不能を確認し裁定を請求する 協議が成立しない、または応じてもらえないことが確定したら、経済産業大臣に裁定を請求する(23条2項)。手続は特許法84条以下を準用し、審議会の意見聴取を経る
  4. 4.審議で対価条件を提示し早期決着を狙う 審議会の審理では実施料(対価)の条件も自ら提示し、争点を必要性の有無から対価の妥当性へ移す。権利者側も同様に対価を主戦場にすると和解的許諾に傾きやすい

よくある質問 AI による整理

Q1実用新案の強制実施権とは?

公共の利益などのために権利者の同意がなくても、裁定を経て対価を払い登録実用新案を実施できる制度です。実用新案法23条が公益型の根拠で、設定されるのは非独占の通常実施権です。

Q2実用新案法23条の裁定は誰に請求する?

経済産業大臣に請求します(23条2項)。手続は特許法84条以下が準用され、審議会の意見聴取を経て対価とともに裁定が下されます。権利者には答弁書提出の機会があります。

Q3公益裁定はこれまで使われたことがある?

特許・実用新案を通じて戦後ほぼ発動例がありません。要件が極めて厳しいためで、実務上の価値は裁定そのものより『請求できるカードを持つ』という交渉圧力にあります。

Q4強制実施権の対価はいくら?

相当の対価(実施料)を権利者に支払う必要があり、その額も裁定で定められます(特許法86条準用)。無償ではなく、額に不服があれば訴訟で争えます。

Q5協議に応じないとどうなる?

協議が成立せず、または協議できないとき、相手は次段階の裁定請求へ進めます(23条2項)。申入れの無視は裁定請求の引き金になるため、対価条件を含め真摯な対応が安全です。

Q6実用新案権者は裁定を争える?

争えます。答弁書で『公共の利益のため特に必要』の要件充足を正面から争え(特許法84条準用)、対価額の裁定に不服なら訴訟で争えます(特許法91条の2準用)。

Q7特許の強制実施権と実用新案で違いはある?

枠組みは並行しており、実用新案法23条は特許法84〜91条の2を準用します。対象が考案(小発明・物品の構造等)であり、無審査登録のため権利の安定性が低い点が実務上の違いです。

Q8通常実施権と専用実施権の違いは?

通常実施権は非独占で複数人に許諾でき権利者も実施を続けられます。専用実施権は独占的で設定範囲では権利者も実施できません。23条で設定されるのは通常実施権です。

この条文についての質問 AI による整理

Q1「公共の利益のため」って、どのくらいのレベルなら認められるんですか?

災害対応、公衆衛生、国民生活に直結する供給確保など、社会全体の利益が個人の独占を上回ると言える極めて高いレベルが要求されます(23条1項)。「安く使いたい」「自社のビジネスに便利」程度では到底足りません。実務のポイント:この公益裁定は特許でも実用新案でも戦後ほぼ発動例がなく、実際に裁定まで至った例は数えるほど。だからこそ実務上の真価は、勝つことより「請求できるカードを持っている」という交渉圧力の側にある

Q2裁定で実施権が認められたら、その技術はタダで使えるんですか?

いいえ。設定されるのは通常実施権であって、相当の対価(実施料)を権利者に支払う必要があります(特許法86条準用)。対価の額も裁定で定められます。実務のポイント:対価に不服があれば訴訟で争える一方(特許法91条の2準用)、裁定そのものの取消しは行政訴訟の対象になる。請求側も権利者側も、必要性の有無で決着がつくと実質は「対価をいくらにするか」が本当の主戦場になる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「公共の利益のためなら誰でも自由に、しかもタダで他人の実用新案を使える」という前提そのものが誤り。協議から裁定へと二段階の手続を踏む必要があり、しかも実施できるようになっても相当の対価(実施料)を権利者に支払う。無償ではない
  • 裁定制度の存在を知っている人でも、その発動例が戦後ほぼ皆無であることの深刻度までは知らない。「公共の利益のため特に必要」のハードルは極めて高く、実際に裁定まで至った例は数えるほど。実務上の真価は、裁定そのものより「請求できるカードがある」という交渉圧力にある
  • 「裁定が出れば権利者の独占権が消える」と思われがちだが、設定されるのは通常実施権(非独占)であり、独占権そのものは残る。権利者は他者にも実施を許諾でき、自らも実施を続けられる。奪われるのは独占性の一部にすぎない
比較の観点この条文ほかの条文
裁定の趣旨実用新案法23条:公共の利益のための公益裁定実用新案法22条:利用・抵触関係に基づく裁定
実用新案法19条:通常実施権の一般規定(裁定によらない)
発動の前提公共の利益のため特に必要 + 協議不成立自己の登録実用新案が他人の権利と利用・抵触 + 協議不成立
当事者の許諾・契約等(合意ベース)
裁定機関経済産業大臣特許庁長官
なし(合意による)
効果相当の対価を伴う通常実施権の強制設定(独占権は存続)相当の対価を伴う通常実施権の強制設定(独占権は存続)
合意した範囲の通常実施権

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国専利法第87条(強制授権)

台湾も国家緊急事態や公益増進などを要件に主務官庁の強制授権を認める。新型専利にも実施の制限が及ぶ点で日本と類似する

韓国
대한민국 특허법 제107조(재정에 의한 통상실시권)

韓国も公共の利益等を要件に特許庁長官の裁定で通常実施権を設定する。実用新案は特許法の準用構造をとり日本と近い

ドイツ
PatG § 24・GebrMG § 20(Zwangslizenz)

ドイツは連邦特許裁判所の判断で強制実施権を認め、公共の利益が要件。実用新案(Gebrauchsmuster)も同趣旨の制限に服する

アメリカ
28 U.S.C. § 1498(政府による特許の使用)

米国は一般的な強制実施制度を持たず、政府使用に対する補償請求という形で公益を調整する。日本の公益裁定とは構造が異なる

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • もし大規模災害のさなか、被災地で必要な簡易浄水器の構造があなたの会社の登録実用新案で押さえられていて、自治体や製造業者が量産したいのに権利者が許諾を拒んだら、どうなる? 使いたい側は経済産業大臣に通常実施権の裁定を請求できる。独占権は神聖不可侵ではない
  • あなたが小さな町工場で、ある医療補助器具の構造を実用新案登録している。大手が「公共の利益のため特に必要」を盾に通常実施権の裁定を請求してきた。だがあなたは無防備ではない。答弁書を提出し、その必要性要件を真正面から争える(特許法84条準用)
  • 協議を持ちかけられて無視するのは危険。協議不成立または協議不能になった瞬間、相手は次の段階である裁定請求へ進める権利を手に入れる
  • 量産ラインを数週間後に立ち上げたい製造業者。だが裁定は審議会の審理を経るため数か月かかる。いつ協議のテーブルに着くか、その一手のタイミングが供給開始の遅れを左右する

取るべき行動

被害を受けた側:1. 「公共の利益のため特に必要」を裏づける資料を固める:供給逼迫の実態、代替手段の不存在、社会的需要の切迫性2. 権利者に書面で通常実施権の協議を申し入れる(23条1項)、応答記録を残す3. 協議が不成立または協議不能になったら、経済産業大臣に裁定を請求(23条2項) 4. 審議会の審理では、実施料(対価)の条件も自ら提示し、争点を必要性から対価へ移して早期決着を狙う

訴えられた側:1. 協議の申入れを無視しない、無視は裁定請求の引き金になる、対価条件を含め真摯に交渉する2. 裁定請求されたら答弁書で「公共の利益のため特に必要」の要件充足を正面から争う(特許法84条準用) 3. 設定されても通常実施権(非独占)にとどまり独占権は残ることを前提に、対価(実施料)の妥当性を主戦場にする4. 対価額の裁定に不服なら訴訟で争う(特許法91条の2準用)

時効(請求できる期限):裁定請求自体に法定の期限はないが、協議が不成立または協議不能になって初めて請求が可能になる(23条2項)。裁定後に対価の不払い等があれば裁定が失効しうる(特許法89条から91条準用)。特定の消滅時効はないが、対価支払請求などの金銭債権には一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が及びうる(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説:公益裁定の『公共の利益のため特に必要』は、災害・公衆衛生・国民生活の確保など社会全体の利益が独占を上回るといえる極めて高い水準を要するとされる。設定されても非独占の通常実施権にとどまり、相当の対価を伴う点に争いはなく、奪われるのは独占性の一部にすぎないと理解されている。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

実用新案法の全文を見る所属する編章節を開く:第一節 実用新案権

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›